憑依防空棲姫in ワンピ   作:ナガン

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自分なりに主人公有利になるよう屁理屈こねくり回した。




ココヤシ村

「一味に入れてください!」

「おう、いいぞ!」

「!?」

 

面接言ったら即採用。即決即断で俺の一味入りは決定した。

 

バラティエまで手配書が届いた今、俺がここにいるわけにはいかなかった。もう人生終わったも同然ならと開き直り、原作に参加できる喜びを享受しようとおもった次第で、一味入りを志願した。物語が進めば皆賞金首になるし、同じ立場の仲間がいるのも心強い。ぶっちゃけその場の勢いだ。

 

二週間のお礼を述べた後、ルフィ達と共にバラティエを後にする。

 

次の舞台は、ココヤシ村

 

 

 

 

バラティエを出てしばらくの海上、ルフィ一味では仲間のことを知ろうとサンジの料理に舌鼓を打ちつつ自己紹介なるものが始まった。

 

「改めて、サンジだ。言わなくてもいいと思うが、バラティエで副料理長をやっていた。モットーはレディファースト。女には絶対手を上げねえし、上げたやつは許さねえ」

「防空棲姫です。バラティエではセイキと呼ばれてました。料理は出来ませんが、怪力は自信があります。後水に浮けます」

「ヨサクって言いやす。賞金稼ぎですが故有ってルフィさんと共にしていやす」

「俺はルフィ。海賊王になる男だ。これからよろしくな。でセイキ、水に浮けるってどういうことだ?」

「え~と、文字通りの意味で、まあ実際に見てもらうとして……」

「敬語はいいぞ、もう仲間なんだし」

「……えーと、まあこんな感じに艤装が召喚できて、だな」

 

この一味の性格上、悪い意味でバケモノと呼ばれることはあり得ないと思うが、それでも自分が人外であるとアピールするのは棲姫の心理的に抵抗があった。だがそれをいつまでも隠すのは、仲間になるものとしては駄目だろうと勇気を出して告白する。

 

彼女は少し離れて。艤装を召喚した。駆逐イ級のような頭そこから角になぞらえた高角砲が伸びる。それが四基。そして足元の背後には移動用の生体パーツが垣間見えていた。

 

召喚の影響で船が揺れたが、それ以上にルフィ達の反応がすごかった。ヨサクは叫び声をあげて恐慌状態に陥り、サンジは呆然としていたが俺の感情の機微を感じ取ったのかすぐにヨサクを物理で落ち着け、ルフィは予想通り目を輝かせて、触ってきさえしてきた。

 

「予想通りの反応ありがとう。で、こんな感じに浮けますよ。ってことを言いまし……言った」

「うお~~~~! すっげ~~~! 見ろよ海の上に立ってるぞ! なあこいつら何か食えんのか?」

「……いや、知らないけど。多分食べれるんじゃないか、な?」

「ほらお前、これ食えよ! うめえぞ」

 

カームベルトを超える時、生き物の印象を艤装からは感じられなかった。撃てと命じれば撃ち、進めと命じれば進む。機械みたいなものであると。だが、今思い返してみるとどの命令も大雑把なもので具体性が無かった気がする。それなのに不満を一切感じなかったことから、自立思考はあるのかもしれない。

ルフィは棲姫の艤装に飛び乗り、船の料理を艤装に食わせようと押し付ける。それを見て、艤装に食べろと命じてみると、なんと皿を壊さず器用に料理を食べきってしまった。

 

「こいつらすっげ~賢いな! なあなあ他に何ができるんだ?!」

「ぐ、ぐいぐい来るなあ……。今は燃料が無いから動けないけど、このまま移動することもできる」

「燃料?」

「まあ、食べ……ものじゃなくて油だよ。ちょっとそれが足りないから無理」

 

食べ物を食べれば、燃料や弾薬が微量だが回復することは確認していた。しかしそれを今言えば間違いなくルフィに大量の食事を強要される。

 

「そっかー。じゃいいや」

 

できないと言っただけなのが功を奏し、ルフィはあっさりと引き下がった。

 

「セイキちゃん素敵~~~♡」

「ちょっとすいやせんセイキさん。海の上も移動できると言いやしたが、それはカームベルトを超えられやすか?」

「あはは……」

「もしかして鷹の目が言ってた女は人違いじゃなくて……?」

「あ~……はい、俺です」

 

ヨサクのひらめきを笑ってごまかしたことが証明だった。どうせばれるのだからと、彼女は肯定する。

 

「じゃあセイキさんの首には……」

「ま、まあ……」

「お前賞金首なのか!? いくらだ!?」

「5000万……」

「5000万!? これから行くアーロンよりも倍以上の額じゃないっすか!」

「だれだ? アーロンって」

「ナミが向かった先の相手っすよ!」

 

そう言ってヨサクはアーロンについて知りえる情報を話し始めた。

 

その横で、棲姫は自分の手配書を改めて見てみる。

 

懸賞金 5000万ベリー alive only

名前 不明

容姿 似顔絵(※写真取得失敗)

備考 身体的特徴:白い肌、白髪、赤目、頭部に二本角あり。

悪魔の実の能力者の可能性大。

 

 この似顔絵、角以外あんまり似てない……? 誤魔化せそう。

 

 

そう彼女は思った。

 

 

実際の所、海軍では今回の件は前代未聞だった。天竜人に手を上げたことではなく、情報が全くないことが。

 

すでに住民の聞き込みから、彼女がシャボンディ諸島の住人ではない事は明らかだった。残る選択肢は賞金稼ぎか海賊か、奴隷か、はたまた革命軍か。だが奴隷が一人で勝手に出歩くはずもない。ましてや天竜人に手を上げるなど。では海賊なのかと言われれば、海賊リストの中に彼女はいなかった。シャボンディ諸島に来るには数々の難所を潜り抜けなければならず、あの黄猿から逃げ切った以上多少なりともその名は噂となって耳に入るはずなのだ。それさえも全くない。ならば賞金稼ぎか、と言われても、名声の観点から海賊と同様あり得ない。残るは革命軍だが、今回の件でにわかに慌ただしくなっているのはあちらも同じようで、掴んだ情報から判断するにこの線も薄い。

そして一番不可解なのは、彼女がシャボンディ諸島にどうやって上陸したかがわからない点だった。持ち主不明の船は無く。そもそも港での目撃証言が全くないことが海軍の頭を悩ませた。気になる点として、事件の直前に海面を滑る影の目撃証言が数件上がったぐらいである。

 

 

「これだけの情報で懸賞金をかけるのは不可能です。冤罪を起こしかねません」

 

事件から一週間後、懸賞金会議にて棲姫の議題が上ることになるが、彼女の名前さえ出席者は誰も知らなかった。

 

 

「それに大将"黄猿"の話によれば、犯人の女は身投げしたそうじゃないか。もう死んでいると見るのが自然では?」

「それはあくまで可能性の話だ。事実我々は犯人の捕縛どころか死亡確認さえ出来ていない」

「それに手配書に載せる写真がない以上、似顔絵の作成になるわけだが、誰もが角のことしかろくに覚えていない」

「本人確認がこちらで出来ない以上、これは通すわけにはいきません」

「上からの命令だ。通すのは決定している」

 

上。それが天竜人からの圧力だと言うことを誰もが察した。

 

「ならば天竜人の召使いに似顔絵の為の聴取を行えば多少なりとも改善されるのでは?」

「今もなおわめき散らしているあのお方達にお伺いを立てろと?」

「……」

「今も上層部は手配書が出ないことに嫌味を言われている。せめて手配書がまっとうに機能するように予防策を考えよう」

 

結局、本人確認は直接対面した黄猿が責任を取る形で行うこととして、無駄な犠牲が少しでも減るようにとalive onlyが追加された。額についても、天竜人の機嫌を損ねずかつ詐欺が行われないような額として、5000万が設定された。

 

 

こうして手配書が出回り、イーストブルーにおいて件の渦中の人物は

 

「あ、角とれるんだ」

「「「知らなかったのかよ!!」」」

 

着々と容姿を変え始めていた。

 

―――――――――――――――――――――

 

アーロン編のストーリーなんて、ほとんど覚えてない。すまない、またなんだ。アーロンパークの頂上にナミの部屋があって、そこでルフィが大暴れしている場面しか記憶がない。

 

だからこそノジコから話を聞いて、そこに生きている人達を見て、聞いて、実感した。ココヤシ村の住人のナミの為の心意気とその覚悟を。

 

「行くぞ」

「「「「おう」」」」

 

そして知ってしまった以上、その覚悟を無視することはできなかった。彼らが無駄に命を散らすことの無いよう、頑張ろうと思った。

 

 

 

「足がはまって動けねえ」

「えぇ」

 

時は飛んで、アーロンパークの決戦。雑魚たちを蹴散らす為、顔が牛の巨大魚を振り回したルフィだったが、そのためにわざと地面をめり込ませた結果がこれですハイ。

俺は呆れ、ゾロはため息、サンジも呆れ、ウソップはやばいと顔に書いていた。命の取り合いの空気にウソップと二人で及び腰になりながらも、ルフィ救出に向けて動き出す。

 

「くそ、全然外れねえ!」

「ウソップ。右持つから左持って」

「駄目だ。全然抜ける気がしねえ」

「鼻くそほじってんじゃねえ!!」

 

 人がてめえ頑張ってる時によぉこの船長は!!

 

とっさに引っ張っていたウソップに手を貸したが、ルフィの足は本人が言う様に伸びるばかりで抜ける気配がしない。こうなるんだったら足場を破壊しておくんだった。

 

 

「殺す!」

「うわああああ!」

「おいコラ放すな!」

 

そうこうしているうちに、ふざけていると思ったたこ足の魚人が大岩を持ち上げてこっちに迫ってきた。

タコ魚人はゾロが引き付けてくれたものの、ウソップがビビって反射的に手を離してしまい、俺がルフィを引っ張る役目に自然と収まる。

 

これで手の空いている幹部は一人。こっちもウソップがたった今フリーになった。

 

正直に言います。まだ自分から戦いに行きたくはありません。遠慮します。そして、勝手に手を放して逃げようとした薄情者に思うところがないはずがない。

 

「よっしゃウソップ君。残りの幹部は君に任せた。副船長として期待しているぜ(サムズアップ)」

「え?! よよ~~し、任せろ! このキャプテンウソップの力! 括目しろ!」

「あ?」

「ひいいいいいいいい!!!」

「ちょ、ウソップまて! 逃げるなもどってこい!!」

 

怯えているのか演技なのか、ウソップは見事な身代わりを連続で披露しつつ、幹部の一人と共にアーロンパークから離れていった。ものすごいダッシュで。止めようと思った時にはもう遅く、幹部と共に見えなくなってしまった。

 

あの阿呆、フォローしようと思っていたのにできなくなってしまったじゃないか。

 

「つーかいつになったら抜けんだよまじで!!」

「セイキ。ウソップを追え!」

「え?」

「俺なら大丈夫だ。ゴムだからな!」

「いやゴムって、ものすごい心配なんすけど?」

「まかせろ!」

「……オーケイ。船長」

 

ルフィ、ゾロ、サンジとウソップ。戦力の偏りは明らかであり、俺がウソップの援護に行けば、バランスはある程度取れる。だがルフィのこの状況。どうにも嫌な予感がした。でもウソップも幹部に勝てるとも思えなかった。少し悩んだ後にルフィの命令に素直に従うことにして、手を離しウソップの後を追った。

 

―――――――――――――――――――

 

「ウソップハンマー! ウソップハンマー! ウソップハンマー! ウソップハンマー!」

「ウソップ。 ウソップさん! やりすぎィ!」

「せ、セイキ……。はっはっは! 遅かったな! 幹部はもう仕留めたぜ! 俺一人で!! 俺一人で!!!」

「お、おう……。あれだけ叩かれてまだ息があるのか。まあいいや、とにかく戻るぞ 皆まだ戦ってるだろうし」

 

意外なことか想定通りか、ともかく彼女が追いついたときにはウソップはアーロンの幹部を撃破していた。

 

 タワーになったたんこぶを頭に作らされた敵をしり目に、敵を倒してハイテンションで舞い上がるウソップをなだめて、棲姫は戻るようアーロンパークへと促す。

 

そうだな! あいつらにも自慢しなくちゃな! とウソップは足取り軽く戻って行く。棲姫も追いかける形でそれに続いた。

 

「というか、すっごいボロボロだな。大丈夫か?」

「へへ、これは死闘の証さ。大丈夫に決まってる!! 何せ俺はキャプテンウソップだからな!」

 

どうやって勝ったんだろう、と気になったが、臆病である彼が格上の相手に挑み勝利したことは名誉であることは間違いない。だから素直に褒めた。

 

「でもすごいことだよ。おめでとう」

「あ、いや……まあ、あいつらも命張ってるんだし、俺も命張らなきゃ釣り合わないというか……うわわなんでもない! 何でもないぞ!」

 

素直な称賛を送られたのが意外だったのか、彼はつい本音を漏らしてしまった。それに対して彼女も、本音を漏らす。

 

「いや、素直にすごいよ、それは」

 

 そうだよなあ、命をかけなきゃ、いけないんだよなあ

 

それを言われて初めて気づいた。バラティエの時は自分のことで一杯一杯で想像もしていなかっった。命をかけていると言う実感すらなかった。

海賊団は命を互いに預けられる者。それに俺は賛同したならば、それができるようにならなければならない。どんなに体のスペックが高かろうと、この心構えが無ければ一味ではない。

 

その点で言えば、ウソップは彼女の先を行っていると言えた。

 

死の実感を未だに感じていないから、戦場に立てるだけ。命を懸けて仲間を守る気概は未だに持ち合わせていなかった。

 

「そ、そうか。なんたって俺はキャプテンウソップだからな、ハッハッハッハ!!」

「でも、今走ってるのお前のせいだからな?」

 

気恥ずかしくなったウソップは走りながら高笑いするという器用なことをしてるが、棲姫の言うとおり、元はと言えば彼が原因。

 

「とにかく急ぐから、スピードあげるぞ」

「え、あ、ちょうわあああああああああ!!」

 

ウソップの手首をしっかりホールドすると、彼女は一気にスピードを上げる。彼は引きずり倒されないよう、必死に足を動かし続けた。

 

そしてボロ雑巾のように倒れるウソップをよそに棲姫は戦場に復帰する。ちょうどゾロとサンジが幹部を倒し、アーロンと対峙したところに乱入する形となったらしい。

 

「おえぇ……マジで死ぬ。もう死ぬ……」

「すこしは自分の逃げ足を鑑みろ」

 

グロッキー状態のウソップを端において、彼女はいなくなったルフィについて村人に問いかけると、彼らは地面ごと海に投げられたと答える。ノジコ達がひそかに助けに行っていることも。

 

 あ、俺これ助けに行くパターンですね。わかります。

 

「ゾロさんやい。なんかむっちゃふらふらしてるけど大丈夫?」

「なんだその喋り方は……別にどってことねえよ」

「セイキちゃん。ここは俺が食い止める。だからルフィを早く助けてやってくれ」

 

やべえアーロンさんこっち見てる。むっちゃこっち見てる。と、彼女は痛いぐらいの獰猛な視線から顔を反らす。睨み返すほどの胆力はまだないです(LV1)

 

「いやほんとに大丈夫?」

「女に心配されるほど落ちぶれちゃいねえよ。早く行け!」

 

結局、ゾロの気迫に押される形で棲姫は海に飛び込んだ。

 

多分、この体のスペックなら勝てるはず。だけど。そんな安易な思いつきで彼の信念を台無しにできるほど俺の神経は図太くない。多分、やれば何もかもを台無しにしてしまう、そんな確信を彼女を抱いた。

 

だからこれは、自己弁護ではない、はず。

 

ああくそ、もう悩んだってしょうがない。今はできるだけ早くルフィを助ける。そう思った彼女はその怪力で以てわずか二十秒足らずでルフィの足の大岩を破壊した。

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

「おつかれさま~~セイキちゃん!! ああ!濡れた体がせくすぃ~♡」

「さ、サンジさんもお疲れ様、です」

「水臭いじゃないですかセイキちゃん。バラティエを出てからは俺と君は同じ仲間。是非呼び捨てで呼んでください♡」

「アッハイ」

 

 

サンジはどこからか取り出したタオルを差し出してくる。ありがたく受け取るが、女になってまだ一か月たってないからこういう女性扱いは鳥肌が立つ。たたなくなったら男としての部分が本格的にやばいんだろうけど。

 

「アーロンは?」

「今ルフィと戦ってまぁす♡」

 

周りを見渡すと、ゾロが寝転がって休んでいるのが目に入ったのでそっちに向かった。

体の正面が血まみれの彼を見て、その鉄臭さに俺は盛大に顔引きつらせ、手で顔を覆う。明らかにやばい傷だ。早く手当てする必要がある。

 

「とりあえず、誰か呼んでくる」

「馬鹿かてめえ。敵が近くにいるんだぞ」

 

ゾロが指摘通り、アーロンパーク内ではルフィとアーロンの死闘が繰り広げられており、大変危険な状況だ。この場合、ゾロを村人の所に連れて行く方が正しい。

 

で、そうなるとどうやって運ぶかだ。ミリタリー系の動画で引きずり方を見た記憶はあるが、実際よくわからん。なので、まあこの傷に触らない運び方なんて一つしか思い浮かばないわけでして、

 

「おい、ちょっと待て」

「なんも言うな。な? 初めてなんだ。暴れると落ちるぞ」

「てめくそ剣士! うらやまし……セイキちゃんになんてことを!」

 

やっぱ言われると思った。定番だよね、お姫様抱っこ。見よう見まねだが、運べてるし良しとしよう。

 

「!? おいあぶねえ!」

「避けろセイキ!」

 

傍で行われていたルフィ対アーロン。それはアーロンが海中まで戦域を広げたところから一気に彼に優位が傾いていた。手も足も出ないルフィ、それを見たアーロンは余裕のつもりか、俺に標的を変えてきた。

 

ゾロが警告し、ルフィが回避を命令する。でも俺は彼らのような身のこなしはできない。だってついこの間までただの大学生だったんだ。咄嗟に体が最適解を出してくれるわけもない。

 

ただ、ゾロに当てるわけにはいかないとだけ思って、彼を守るようにその攻撃を背中に受けた。

 

ナミが村人たちが息を飲むのが感じられた。

 

冷たさが左の肩甲骨あたりから上にまっすぐ伸びていくのが感じられた。鋭い刃物で切られた時、痛みを感じないとよく言われるが、それなのだと思った。

 

2秒たち、5秒たって、異常に気付く。あれ、何か、そこまで痛くない……? いや痛いんだけど、悶絶するような痛みじゃなくて、むしろ間違えて指を紙で切った時のようなアレで。

 

「な、何なんだ貴様……。何故俺の鼻が通用しない!?」

 

 あ、この体チートやわ(再確信)

 

「シャークオンダーツ!!」

 

抱えていたゾロを地面において庇う様に立てば、返す刀で彼はまた飛び込んできた。

 

 これは、止められる。そう思って両手を前にかざして、攻撃に備える。

 

それはアーロンにとっては悪夢だったのだろう。下等種に半漁人の自身の攻撃がこんなにもあっけなく止められてしまう事が。

 

「二回攻撃したよな? ならこっちも二回殴る」

 

一度目は真面目に死を覚悟して、二度目は顔面を狙われた。それでいて怒らない程、俺は聖人君主ではない。ちょうどいいから、アーロンでフルスペックの力を試そう。

体重が乗っていない、力だけの素人の膝蹴り。それなのに彼の強靭な肉体は悲鳴を上げた。次に、右手を振りかぶる。流石にアーロンは反応して防御態勢とったが、なお余りある衝撃は顔まで貫通し、ライナーに彼を吹き飛ばした。

 

「……まじかよ」

「あーーーー! セイキお前何してんだよ! アーロンは俺が倒すんだからよ!」

「あはは……。サンジ、ゾロ運ぶの手伝って」

「はぁい。わかりました♡」

 

 防空棲姫、恐ろしあ。

 

「クソ。この下等種風情がァ!この俺になにをしたァ!」

「まじか、あれ食らって生きてるのか」

 

素人のパンチの威力など知れているということだろうか。アーロン血を流しながらも尚も立ち上がる。

その光景を見て、アーロンが続けて悪態を叫ぶ前に、俺がうんざりした顔をする前に、ルフィが動く。

 

彼が放ったゴムゴムのピストルは再びアーロンを壁に叩きつけた。

 

「俺が相手だ! 間違えてんじゃねえ!」

 

彼の突き出した拳に、無視されたのに侮られた悔しさは感じられなかった。俺がアーロンを軽々と吹き飛ばしたのを見たのに、その目に嫉妬の色はなかった。仲間の窮地を船長として助けるという気迫のみがあった。

一時の感情任せに手を出した俺が恥ずかしく感じられた。同時にルフィが倒さなければ、意味がないとも理解した。仲間を誰よりも大切にしているルフィがナミの為に倒して、初めてナミは救われる。サンジとゾロが手を出さないのは、それを理解していたから。

 

 あとで、ちょっかい出したことを謝ろう。今は、船長のサポートをしよう。

 

「いででで!? てめえ何しやがる!」

「運んでやるだけ感謝しやがれクソ剣士」

 

さしあたってはゾロの応急処置から。

 

 

まあそんなこんなで、無事ルフィはナミの呪縛を解き放つことができたとさ。

 

 




手配書と自己紹介部分は元は会話文だけで投稿する予定だったんやで。

お気に入り1000突破ありがとうございます。


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