翠風に舞う氷の華   作:滅爛ねぎ

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どうも。少し遅れてきてしまいました。
相変わらずの内容と語彙力ですが、たのしんで貰えたら嬉しいです。
それではどうぞ!


風の秘密と華の苦悩

風漂竜が好奇心で新大陸を飛び出し、荒れ狂う嵐に突入した時とほぼ同時刻。

 

ここはユクモ村の人気が少ない通りの一番奥。その一角に、一軒の家が建っていた。外装は他の家をふた回り大きくしたような感じだが、その玄関から出てきた人で普通の家ではないことがすぐに分かった。

身長は174cmくらいだろうか、細身で女性にしては少し高いように感じる。

肩よりも長く伸ばした銀色の髪。前髪は、右の顔を覆うほど長い。ざっと二の腕辺りまで伸びているだろうか。風を受け、少しだけたなびいている。

優しそうな深緑色の瞳は、彼女の雰囲気の源だろう。

ユクモやカムラの服を少し模した黄緑色のシャツにレモン色のロングスカートは、こちらまで心を和やかにしてくれそうだ。

このように、戦場とは全く違う雰囲気と髪型だが、彼女はトウカである。

彼女は、一部の人以外には秘密にしている()()()()()があり、そのせいで人々から恐れられるのを危惧して人気が少ないこの場所に住んでるのだ。

家の壁に背中を預けた彼女は、どうやら何かを待っているらしく、澄んだ青空を見上げている。

しばらくすると、群青色の頑丈そうな甲殻を持ち、深緑色の嘴状の器官を上顎に備えた緑色の飛竜が、水色の綺麗な翼膜をはためかせ飛んできた。

翼蛇竜(ガブラス)よりも一回りほど小さなその飛竜は、彼女の家の前に着地した後に彼女に近づき、咥えていた筒を渡した。

「いつも伝書運びありがとうねエール。えっと…『傷の状態や健康状態から、何者かによって渓流から追いやられ、無理に火山に飛来した個体だと推測。しかし、本個体を追いやった者は不明』か…これは渓流の調査が必要だね。まっててエール、すぐに返事書くから。」

『キィ!』

『エール』と呼ばれた飛竜の種族名は『蒼殻竜サジオス』

最近発見された新種で、ギルドが新たな情報伝達手段兼オトモに出来ないかと模索している段階である。

エールは幼い頃に彼女に拾われ、大切に育てられ今では狩りの大事な相棒である。(その時にサジオスの存在がギルドに知れ渡った。つまり彼女がサジオスの発見者である)

「よし書けた。エール、これマスターに渡しておいて」

『キィィ!』

返事を書き終え、筒をエールに渡す。エールは渡された筒を一度翼爪を使って咥え直し、集会所がある方角に飛んでいった。

「よし、行こうか。」

トウカはオフの服装から、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ミツネX一式を着込み真飛竜刀【アレクス】を担ぎ、スリンガーを装着した後に深呼吸、そして静かに目を閉じた。

すると、()()()()()使()()()()()()()()()()()()()()()()()溝に前髪が格納され、顔の右半分が露わになった。

その顔にほとんど変わった所はないが、瞳の色がまるで深い湖のような綺麗な蒼色だった。

「ギルドマネージャーに事情を話して渓流の採取ツアーにでも行こうかな。今回はエールも連れて行こう。」

大体の予定を立ててから、エールの後を追うように集会所へと歩き出した。

 

 

 

 

 

 

所変わって、ここは集会所のギルドマネージャーの部屋。

「マネージャー、私です。トウカです。」

「おぉトウカ、返事はしっかり目を通したぞ。渓流の調査に行くそうじゃな。何が居るかわからんから、気をつけるんじゃぞ。ほれ、調査クエストじゃ。」

「ありがとうございます。では、行ってきます。」

言い忘れていたが、トウカはギルドマネージャー直結のハンターだ。

エールを飛ばせば顔パスで通してくれる。

「あぁ、そうそう」

「どうかしましたか?」

「ついさっき、渓流を観測していた観測隊から連絡が来ての。どうもモンスター達の動きがおかしいらしい。…もう一度言うが、くれぐれも気をつけての」

「…分かりました」

「それと…“あの件”についてじゃが…一応了承はしているが、今回もくれぐれも気をつけての」

「分かってますよ!今回も上手く()()()()みせますよ!」

そう言うと彼女は受付を済ませ(本来この場合はしなくても良いのだが、しないと気が済まないらしい)、クエスト出発口へと足を運んだ。

 

 

クエスト出発口から少し歩いた所で彼女は指笛を鳴らす。すると、どこからともなくエールが舞い降りてきた。

「行こうエール、今日は気を引き締めてね」

『…キルルァ』

エールを撫でながら少し険しい表情で語りかける。エールも何かを感じ取ったのか、少し目を細め返事をした後に飛び立ち、彼女の側を旋回する。

ガーグァ車に乗り、渓流の調査に赴くトウカと、側を併走(飛行)するエール。

 

 

 

 

 

渓流に風漂竜が流れ着いていることを、彼女達は知らない…

 

 

 

 

 

 

 

トウカが例の桜火竜を捕獲した頃、あの風漂竜はというと

『……………』

九番に当たるいつもは迅竜(ナルガクルガ)などが寝床にしている所で、しばしの休息をとっていた。

あれから八番に当たるで一夜を過ごせたためある程度回復。それに伴って翼が少し回復して少しなら飛べるようになり、ここを見つけ更に一夜を過ごし今に至る。

彼にとって、周りは草の一本でさえも見たことがない、未知の世界。

今の寝床にいる間は多少は安心できるが、まだまだ問題が山積みだった。

その一つが食料。もちろん周りのモンスターは見たことがないものばかり。どのモンスターが天敵で、どのモンスターが獲物かが彼には全く分からなかった。

しかし今は空腹だ。野生の勘を頼りに、獲物になりそうなモンスターを探しに行くことにした。

 

 

 

ここは四番に当たる場所。数十羽の丸鳥が食事や羽繕い、休息をしている平和な光景が広がっていた。

そんな平和を突き破るように、空から巨大な影が飛来した。丸鳥たちは慌てて五番に当たる場所に逃走を始める。が、時すでに遅し、一羽が急降下してきた鋭い爪に襲われ一撃で絶命した。

丸鳥を仕留めた飛竜こそ、あの風漂竜である。野生の勘が案外役に立ったらしい。だが、周りには何が潜んでいるか分からない、横取りを危惧し急いで食事を済ませる。ちょうど完食した頃…

 

ガサガサッ

『ッ!』

突然草むらが揺れ、咄嗟に身構えた。そして、おそらく道中で仕留めたであろう丸鳥を丸ごと貪りながら現れたその存在は

『ゴォォォァァァッ』

今までで一度も見たことがないモンスターだった。

その身体つきは、かつて森で出会った轟竜(ティガレックス)(もちろん彼はその名を知らないが)に似ているが、滑らかな皮がその者ではないと主体している。身体中に鮮血と見間違うほどの紅い斑点があるが、こちらは今そんなことを気にするほど余裕はない。頭部のほとんどを占めている口からは、止まることなく涎が垂れている。どうやら相手の狙いは自分のようだ。

彼は、目の前の竜が一体何なのかは分からなかったが、その緋い瞳を見ているとなんだか少し懐かしくもとても嫌な気配がした。

なんだかこの感覚どこかで感じたことがある気がする。と引っかかっていたが、目の前の竜はそう長々と待ってはくれないようだ。異形の竜がものすごい勢いで飛びかかってくる。間一髪のところで空中に回避した所で、引っかかりの謎が解けた。

以前恐暴竜(イビルジョー)に出会った時も同じような感覚になった。今目の前にいる竜は、そいつと同じような存在なのか?と一瞬思考する。だがそんなことをしている暇はない。相手の眼前に大量の氷をばら撒き、視界が奪われた隙に彼は仮巣に急いで戻って行った。

 

 

 

獲物に逃げられたのがよっぽど悔しいのか、その後異形の竜は夜が明けるまで目に付く生物を全て喰らい尽くしていった。そして、まだ足りないと言わんばかりに孤島方面へと翼を広げ飛んで行った。

しかし、彼は運良く再び出会うことは無かった。




今回は今後の重要キャラの一匹の特殊なパリアプリア(特殊要素は続報をお待ちくださいな)と、自作モンスター『蒼殻竜(そうかくりゅう)サジオス』を出しました。
パリアの声を誰か教えてください(切実)
これからもよろしくお願いします。
それではまた!

蒼殻竜サジオスについての詳しい情報はこちらをどうぞ
https://twitter.com/meturan_negi/status/1512163211281268738?s=21&t=i4wxjnNMLCd88AUBQx-VTA
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