翠風に舞う氷の華   作:滅爛ねぎ

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どうも、久々にモチベが出てきて執筆しております、ねぎです。
今回は久々に人間…というかもう1人の主人公ちゃんが主軸のお話です()
それでは、お楽しみくださいませ♪


大異変と淡竜

渓流で一悶着あった日の夜

トウカとエールは渓流に着いていた。

「エール、先に()()()に行ってて。私もすぐ追いつくから」

『キィッ!!』

トウカに言われたエールは、満月が照らす空へと舞い上がり、本来の狩猟域とは違う方向へと飛んで行ってしまった。

「えーっと、武器の切れ味も大丈夫…すぐ戻る予定だし一応置いてこうか。で…スリンガーの可動も問題なしと……よし、そろそろ行こうか」

準備を済ませたトウカは、キャンプの近くの崖の前に行き、崖に触れ…

「ここなら登れそうだね。よっ…と」

あろうことか()()()()()()()

まるで山を駆け上る雷狼竜(ジンオウガ)のようにスイスイと上へと行くトウカ。あっという間に崖を登り切ってしまう。

「よーし、ここからならすぐ行けそうかな!」

そう言うと、今度は太い木に登って枝に乗り、まるで二足歩行の飛雷竜(トビカガチ)のように別の木の枝へ次々とと跳び移っていく。どうやら彼女的には、走るよりこっちの方が速く移動出来る上に小型モンスターに遭遇しずらく楽らしい。

しばらく移動していると、上部に大型の飛竜が余裕で出入り出来そうな穴がぽっかり開いた、地上からの入り口が無い短い洞穴が見えてきた。

その近くの開けた場所に着地するトウカ。エールも既に着いている。どうやら、1羽のガーグァを仕留めているようだ。その傍に…

地底火山で捕獲した、あの桜火竜が眠っていた。

実はトウカは、行く前に送った返事の最後にこう記していた。

【私が調査に行く時、今回も捕獲したモンスターを一緒に運んでくれないか】と

【今回も】とある通り、捕獲したモンスターと共にフィールドに赴くのは過去に何回かある。というのも、この桜火竜は何かに追われ本来の生息地から大きく離れていた場所に飛来していたものの、周辺の村や街などを襲って被害を出していた訳ではない。トウカはもしそういうモンスターを捕獲した場合、調査が終わったら元の生息地に返すということを毎回行っているのだ。

「とりあえず中にガーグァを置かなきゃ。エール!途中で落とさないようにね!」

『キィ!』

仕留めたガーグァは、桜火竜を中に誘き寄せるための餌だったようだ。ガーグァを持ったエールは中に入っていく。

何故ガーグァをエールに仕留めさせ運ばせたか。それは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。まだオトモとして普及しておらず、野生個体が広範囲に生息している蒼殻竜だと比較的問題にはならないようだ。

程なくすると、丸鳥を持っていないエールが飛んできた。どうやら無事に中に置けたようだ。

「よしよし、よく頑張ったね!後で戻るから、先にキャンプに戻っておいて!」

『キィ!』

そう言うと、エールはキャンプがある方向へと飛んで行き、トウカは近くの森の足元の草むらへと隠れた。

「(麻酔の時間から逆算したら、もうすぐ起きるはず。リオレイア亜種だから何かに襲われるってことは無いとは思うけど、一応起きるまで見守っておこう)」

そんなことを考えながら、息を潜めるトウカ。

予想通り、桜火竜はエールがキャンプの方向へと飛び去ったすぐ後に目を覚ました。

周りを見渡し、周囲の匂いを嗅ぐ桜火竜。丸鳥の匂いを嗅ぎつけたのか、穴の方を見上げる。

「(お願い!そのまま入って…!)」

願うトウカ。その願いが届いたのかは分からないが、月明かりに照らされた桜色の女王は翼を広げ、眠りから覚めたばかりだからか少々ふらつきながらも穴へと入っていった。

「(やった!!今までで一番上手くいった!!)」

トウカは、おそらく中で用意した食事を嗜んでいるであろう桜火竜に気づかれないように心の中で叫び、静かにガッツポーズをとる。

トウカも思っている通り、この作業は何度か行っているのだが、大抵は何かに気を取られて狩猟域や人里の方向へと行こうとしてしまう。その場合、スリンガーで本来の目的地に向けてそこら辺の石ころなどを放ち音を出して誘導するのだが、今回はその必要が無かったようだ。

「(よし、もう大丈夫のはず、そろそろ戻ろう)」

また木の上へと登り、別の木の枝へと跳び移っていきキャンプへの帰路に着くトウカ。遠くで森が途切れ、崖が近づいているのが分かるがスピードを緩める気は無さそうだ。そして、ついに空へと放り出されてしまった。しかし、彼女は焦ることも無く空中で短く二度指笛を鳴らす。

すると、飛び出してきたエールが彼女の両肩を掴み、そのままキャンプへと運んでいく。

「いつもありがとうエール。これからも頼りにしてるよ!」

『キィィ!』

お互いを信頼しているからこそ出来る代物だ。

さて、そうしてキャンプへと戻った1人と1体。軽く準備をすると、昼の調査に備えキャンプで身を休めるのであった……

 

 

 

 

 

 

 

朝日が登り始めた頃、トウカはエールに頭部を押し付けられ目を覚ました。

「ありがとうエール…私、いつのまにか寝てたみたい…」

『キィ!!』

「分かった分かった。さぁ、行こうか!」

早く行くぞとエールに急かされながら支給品BOXからいくつかアイテムを取るトウカ。愛刀の真飛竜刀【アレクス】を担ぎ、本格的な調査をするために渓流の狩猟域へと足を運んだ…

 

 

「さて、1番は何もなかったから…次は4番に行こうか」

『キィァ』

1番には特に異変は無く、丸鳥の群れが水を飲みに来ていた。

しかし、4番に入ってすぐ、彼女達は異変に気付く。

まず、丸鳥1羽すら見当たらない。そして…

『「ッ!?」』

入ってすぐ分かる腐乱臭。どうやら5番方向からしているらしい。彼女達はハンター故に匂い自体に慣れてはいるが、異常事態を知らせるには十分すぎる情報だった。

「…行こう」

『…キィッ!』

もしかしたら異変の元凶がいるかもしれない。そう思った1人と1体は、気を引き締めて5番へと足を運んだ…

 

 

5番の状況は、誰が見ても惨状としか言えない状態だった。

潰された丸鳥(ガーグァ)の頭部や大猪(ドスファンゴ)の物であろう牙の破片、相当な大きさの群れを抱えてたであろう狗竜(ドスジャギィ)の襟巻きや生きてたら最大金冠だったであろう青熊獣(アオアシラ)の腕甲、あの尾鎚竜(ドボルベルク)の立派な角やここら辺には普通来ないであろう水竜(ガノトトス)の脚などがそこら中に転がっており、エリア中に血と肉片が散乱しており、木々はあり得ないほどの力で折られ、地面は何かに抉られたかのような跡が幾つも残っていた。それに、落ちていた素材の持ち主はどれもマスターランクに相当する実力者揃いであることが見て取れる。

目の前に広がる光景は、新大陸の調査記録を読んで知った〈瘴気の谷〉に近い光景とそっくりだった。

「……うそ………でしょ……」

『………』

調査の過程で幾多もの惨状を目の当たりにしてきたトウカとエールだが、ここまで凄惨な光景は見たことが無く、揃って絶句していた。

この地獄を作り上げた犯人は誰か、それを一刻も早く調べなければいけない。そう思い、目つきを鋭くしたトウカは早速調査を開始した。

「ここまで何かが暴れたことがハッキリと分かる痕跡は流石のイビルジョーとかラージャンでも残さない。それに地面に抉られたような跡…イビルジョーが岩を掘り起こしたならもっと深いしこんなに高頻度で岩は掘り起こさないはず…ラージャンだったら縄張りを主張するために拳の跡がついてるし、それにこんな抉れた跡は残せない…バゼルギウスはここら辺では確認されてないし、もし仮にここで狩りをしたのなら、もっと周囲の植物や地面が焼け焦げてるはず…うーん…どれも現場に残された痕跡から推測される特徴と一致しない…」

『キィ!キィッ!!』

「ん?どうしたのエール?」

痕跡を残した者の正体が分からず、頭を悩ませるトウカ。するとエールが何かを発見した。

『キィ!』

「これは…モンスターの皮?ちょっとヌメヌメしてるけど綺麗な斑点模様…」

何かのモンスターの皮だ。特徴的な紅色の斑点がある。

「この皮の特徴は…メゼポルタギルドで確認されたパリアプリアの皮にそっくり…だけどパリアプリアにはこんな斑点は無かったはず。それに匂いもそこまで気にならないし…ギルドに持って帰ろう。もしかしたら新種かもしれない」

皮を研究素材用の瓶に入れ、これまた研究素材用のポーチに入れる。

「これは…もしかしなくてもとんでもないことが起きてるね…もっと調査をしなきゃ。行こ!エール!」

『キィ!!』

大異変の予感を感じとったトウカとエール。そのまま調査を進めるため、そのまま6番へと足を運んだ…

 

そして6番、5番よりは遥かにマシだが、それでも何者かに荒らされた跡が残っていた。

「……これは相当深刻だ……」

『………』

「ここは……概ね5番で見たのと同じ感じだね。一応軽く見た後に7番に行こう」

『キィ!』

そう言い、調査を進める1人と1体。だが、これといって何も掴めなかった。が…

「これは…リオレウスの足跡だ。状態からして相当弱ってる。何かに襲われたのかな…?それとこっちは…ここら辺では見たことがない足跡だ。だけど…この特徴は間違いなくレイギエナの足跡だ。なんでリオレウスとレイギエナが……そもそも、なんで()()()()()()()()()に…?」

例の火竜と風漂竜の足跡を見つけた。その時

?『クォォォォァァァァン!!』

『キァッ!?』

「何!?この咆哮!?」

7番に当たる所から、大型モンスターの咆哮が聞こえてきた。

「ラギアクルス?いや、にしては声が高すぎる……と、とにかく急いで行こう!」

『キィッ!!』

トウカとエールは、咆哮がした方向、つまり7番に向かって急いで走り出した。そして、7番には…

 

 

 

 

ジャギィの群れを蹂躙する1体のモンスターがいた。

その容姿は海竜種に似ているが、四肢の先端にある、指が木の葉に変化した鰭がそれを否定する。水色の体色に背中や尻尾、首や胴体の側面に並ぶ群青色の鰭を持ち、頭部には後方に向かって生える2対の捩れた橙色の角を持ち、口元からは火の粉を散らしている。

「うそ!?なんでこんな所に『アルバフラマ』が!?」

トウカも言った通り、この竜の名前は『淡竜アルバフラマ』

孤島や水没林などに生息してはいるが、渓流では現状確認されてないモンスターだ。

「まさかこんな所で初めて『扇竜種』と戦うことになるなんて…しかも初めて確認された扇竜種のアルバフラマと…」

『扇竜種』とは、とある大陸で初めて発見され、分類された種族。今対峙しているアルバフラマは初めて発見され、初めて正式に『扇竜種』となったモンスターなのだ。

『クルルル…』

「おっと…随分ご機嫌斜めなようね…」

どうやら見つかったらしい。随分と気が立っているようで、火の粉を口元から散らしながら殺意の籠った瞳でこちらを睨みつけている。

「エール!これを!」

『キィッ!!』

トウカは空中に何かを放り投げる。どうやら電竜(ライゼクス)の甲殻の破片のようだ。

それを受け取ったエールは、なんとその場で噛み砕いて飲み込んでしまった。すると、口元から雷が漏れ出る。

蒼殻竜サジオスは空気のブレスを放つことが可能なのだが、食べた物が宿す属性によって放つブレスの属性も変わるのだ。これは野生の蒼殻竜も同様で、生息する地域によって放つブレスの属性が変わる。

そして、淡竜(アルバフラマ)の弱点属性は雷属性だ。

「気を引き締めてエール!来るよ!!」

『キァァッ!!』

『クォォォォァァァァン!!』

口元から火の粉を散らして咆哮する淡竜、抜刀するトウカと口元から雷を散らすエール。

戦いの火蓋が、切って落とされた。




いかがでしたでしょうか?
本当は戦闘シーンまで書きたかったですが文字数がびろんびろんしそうだったので一旦切りました!!
次回、トウカちゃん&エールVS淡竜アルバフラマ…?
淡竜アルバフラマと扇竜種については下記のツイートをご覧ください!
それでは、また次回!!

https://twitter.com/meturan_negi/status/1514355449365078019?s=21&t=YTDUuWMAuDW8Ib6x1kszOg
アルバフラマについて

https://twitter.com/kreatoraerecord/status/1363537890953678848?s=21&t=YTDUuWMAuDW8Ib6x1kszOg
扇竜種について
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