翠風に舞う氷の華   作:滅爛ねぎ

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お久しぶりです。ねぎです。
いつもの通りモチベが死んでしまい、長らく休止しておりました。
今回は物語が少し動きます。ぜひお読みくださいませ。
それでは、どうぞ!


度重なる大異変

「ただいま戻りました……って村長さん!?」

「あら、丁度戻ってきなさりましたね。こちらも丁度マスター殿と話してた所ですわよ」

「おーうトウカ。戻って来たか。どうだった?渓流の様子は…と言ったが、その雰囲気からしてあまり良くはなかったみたいじゃの」

「…はい。あまり良い報告はできなさそうです」

渓流から帰ってきたトウカを待っていたのは、ギルドマネージャーとこの村の村長。どうやら何か話をしていたようだ。

話に混ざり、あの惨状と不自然な風漂竜の足跡や様子のおかしな淡竜,そして突然乱入してきた紅蓮滾る爆鱗竜についての報告をした。

「……様子のおかしなアルバフラマに紅蓮滾るバゼルギウス、そして不確定ではあるがレイギエナが度重なって渓流に出現。そして『何者か』が派手に荒らした痕跡がある、と。一番気になることはその『何者か』だが、本来なら新大陸を含めた一部地域にしか生息していないはずのレイギエナの痕跡があるのは妙だのう。()()()()()()()()()()()()()()。やはりなにか悪いことが起きはじめているのじゃろうか…」

「他の地域でも、とは?」

「雪山で普段は生息していないはずの天眼タマミツネが発見されましたの。しかもかなり気が立っているみたいで、派手に暴れ回っていて…幸い人的被害は今のところ出てないけれど、いつ周辺の人里が襲われてもおかしくないですわ。」

「更には天空山にベルキュロスが、地底火山に朧隠ホロロホルルが、旧砂漠にフルミネアラが、森丘に極雷帝ジンオウガが出現しておる。これも十分な異変だが、ここ最近遺跡平原で()()()()()()()()が観測されてしまってな…」

「とんでもないもの…とは一体?」

深刻そうに俯くマネージャーと村長。トウカが促すように質問をすると、マネージャーは頭を抱えそうな雰囲気で話しはじめた。

「…()()()()()()()()()じゃよ。それも少なくとも数十はいたらしい。」

「ご、ゴア・マガラの群れ!?なんでそんな急に!?被害の程は!?」

「それが…()()()()()()()()()()()()()みたいなんじゃ」

「……えっ?」

立て続けに流れてくる情報に、思わずフリーズしてしまうトウカ。そんなトウカを尻目に、村長が説明をはじめた。

「正確に言えば『被害はゴア・マガラ数頭分』だったみたいなのです。数十も集まってその被害、そもそも普通は群れるはずのないゴア・マガラの群れ、明らかにおかしいとは思いません?」

「確かに…何故なんでしょうか?」

一見矛盾しているような現象に考え込む三人。しばらく経った時、トウカが何やら仮説を思いついたのかハッと顔をあげる。

「…もしかして、そのゴア・マガラ達は『鱗粉の生成機能または感知機能が正常に働いていない』のでは?そう仮定すれば群れを成しているのに被害が少ない説明がつく!」

「確かに…それならば全て辻褄が合うが…それを証明するには…」

「私が件のゴア・マガラの群れを追います!現在位置は?」

「遺跡平原に居座っておる。安心せい、報告を見るにすぐ移動する素振りはないみたいじゃ」

「ありがとうございます!準備をしてすぐ出発します!」

すぐにでも出発しそうな雰囲気を醸し出すトウカを見て、村長が静止をする。

「待ちなさいな。マネージャー殿はすぐに移動する様子はないと言われましたよ。貴女はつい先程アルバフラマと戦闘したばかりでしょう?少しでも体を休めた方が賢明ですわ」

「確かにそうですね…ありがとうございます。では私は自宅へ戻り、仕度と休息の後に遺跡平原へ出発しますね!」

そう言い残し、自宅方向へと走り去るトウカの後ろ姿を見ながら優しく微笑む二人。その視線と表情は、まるで子供を見守る親のようであった。

 

 

 

一方その頃、渓流の外れにて…

九番のあの高台に、(レイギエナ)は鎮座していた。

しかし、その表情はどことなく険しい。彼の思考としては『ここまで破壊された土地に長く居座る理由はない』である。

それもそうだ。度重なる超危険生物達の干渉により破壊された渓流は、今や生物の気配が少なかった。生物の気配が少ない、つまりは獲物が少ないということにも繋がる。幸いまだ落ち着いて縄張りを決めることすらできていないのだ。ここを離れた所であまり変わらない。諍いの傷もすっかり癒えた。そろそろここを発とうか。

そんな思考を巡らせていると、ふと空に飛び立つ二つの影が。気まぐれに目をやると、その影は件の火竜だった。時間も経ち、あちらの傷も殆ど癒えているものの直接齧りつかれた左翼と首元には、未だ痛々しい傷跡が残っていた。ただ、少なくとも今のところは問題なく飛行できている様子。

その隣を飛んでいる飛竜。緑色の甲殻に身を包み、火竜とよく似た姿の()()()を彼はよく知っている。

雌火竜リオレイア。火竜の雌個体であり、雄の火竜とは概ね番の関係であることが多いモンスターだ。

彼は感心していた。遂に番を持ったかと。(まぁ出会った時から番だったのかもしれないが、彼は知るよしもない)

相手はこちらに気付いていない。どうやら彼らも環境を一時的に見限り、引越しをするようだ。

彼ら(火竜と雌火竜)の行き先は知る由もない。もしかしたら、二度と再会することはないかもしれない。しかし、それでも良い。自身が生を謳歌する場所は、自身で決めるべきだ。

そんな思考を巡らせていると、影は既に遠くまで行ってしまっていた。挨拶もないのかと思うかもしれないが、彼らは別種。そもそもあの時偶然とはいえ協力したことは奇跡に等しいことだ。普通ならお互い干渉しないか縄張りなどを争い敵対する関係である。

風漂竜は決心する。すぐにでもここを発とうと。そもそもここ(渓流)は上陸の足場となったというだけの地域。環境的に快適に過ごせるかと言われると、素直に首を縦には振れない状況であった。

“もっと涼しい場所へ行こう”

そう思い立ち、青空へと舞い上がる。どこへ行くかは決まっていない。気ままに飛び回り、自らに適した土地を探すのみだ。

『キュオォォォォァァァァァン!』

どんどん遠くなる渓流に向かって咆哮。別れの挨拶か、はたまた出発の合図か。真相は彼にしか分からない。

十分な高度に達した風漂竜は、空気の流れから寒冷地を読み取る。僅かだが吹いてくる風が冷たい方向へ、真っ直ぐ飛んでいく。この方向に一体何があるのか、彼は全く分からない。ただ、その目には『何があっても生き抜く』という、決意が宿っていた。




いかがでしたでしょうか?
度重なる大異変、ついに動き始めた主人公達、これから始まる物語をお楽しみに!
…できるだけ早めに投稿することを善処させていただきます!
それでは、また次回!!
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