機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ The GOETHIA-LOGUE   作:Rick Mocky

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よぉ、俺ァ整備班の責任者やってる、ナディ・雪之丞・カッサパってんだ。みんなから「おやっさん」って呼ばれてるんだ。

今、何してるんだって? ちょいと休憩してんだ。

ドックの中に籠ってばかりじゃあ、気が滅入るし、そうだなぁ......

「たまには食堂でゆっくりしたい」

たまには、そういう時もあって良いんじゃねえか?
当然、整備班のヤツラには、休憩時間を与えねえとな......エドワーズに突っ込まれちまうからよ...

成り行きで数十年ぶりにMSいじる事になったが、三日月のバルバトス、ある程度は何とかなったんだが、どうも上手くは行かなんだ。マニュアルとにらめっこしながらやってんだがなぁ...昭弘のグレイズ改は、難しくないから整備しやすい機体だし....元々「MW専門」だからなぁ......┐('~`;)┌

それに対し、エドワーズのG-3・エルヴィンのゼロ炎の2機は、「推進剤の補給だけ」で完結だってよ。ワケ分からねぇ素材使ってるから、装甲の交換が出来ねぇ、ってさ。

余計アタマが痛くなりそうだ.....orz


さて、オルガ達に動きがありそうだな。

果たしてどうなる、第3話!

今頃マルバ、何処で油売ってんだろうな......


第3話:激突!鉄華団 VS タービンズ・前編~衝突!~

LOG-「侵」:第3話

 

激突!鉄華団 VS タービンズ・前編~衝突!~

 

Chapter-1:嵐の前の静けさ

 

タービンズ母艦・ハンマーヘッドのブリッジでは......

 

マルバ:「頼みますよ、名瀬さん!」

 

名瀬:「アンタの依頼は聞いてやるが......着の身着のまま逃げて来た、だなんて、それでも「社長の器」かよ、マルバ?」

 

と、白のセットアップスーツに白の帽子を被った色男、タービンズのリーダー:名瀬・タービンが、マルバに詰め寄る。

 

マルバ:「「社長の器」だなんて.....そりゃないですよ?」

 

名瀬:「ヒューマン・デブリの権利書関係は「持っていなかった」のは致し方ない、として......手塩に育てたガキ共に会社乗っ取られるわ何やらで、ヤられ放題だなぁ....情けないにも程があるぜ。なぁ、アミダ」

 

アミダ:「全くだよ名瀬。「あの時の威勢」は、何処に行ったのかねぇ?」

 

マルバ:「あ、アミダさん....それだけは勘弁を......」

 

名瀬:「アミダ、取り合えずその辺にしとけ。ま、そのガキ共とこれから対峙する「みたい」だし。ここは任せときな。テイワズきっての武闘派の底力、しっかり目に焼き付けなよマルバ」

 

名瀬がそう言うと、マルバはただただ頷くしかなかった。

 

 

後に、とんでもない報復を受けるとは知らずに......

 

 

一方、イサリビでは......

 

ダンジ:「きょーかーん、何難しい顔してるんですかぁ~?

しかも......「三日月さんの」バルバトス眺めて....」

 

エドワーズ:「ナディさんや、ヤマギ君も、そんでもってオルガ団長含め、みんな知らないんだよなぁー....「ガンダム・フレーム」の稀少性と、「厄祭戦」について.....」

 

ダンジ:「そんなに珍しいんですか、あのMSは?」

 

せっせこG-3のメンテをしつつ、向こうでヤマギと雪之丞が話している様子を眺めながら、エドワーズは淡々と話し始める。

 

エドワーズ:「確かに「この時代」じゃあ、ガンダム・フレーム機は「骨董品」扱いになるくらい、稀少価値が高いんだわ。その価値を上げるに相応しい要因となったのが「この技術」が投入されてるからだ」

 

ダンジ:「「この技術」って?」

 

エドワーズ:「MSや艦船、スペースコロニーに必ずと言って良いほど積んである、半永久機関であるエイハブリアクター。ソイツを2基登載しているだけあって、並列稼働させる事が出来る、かなりスゴい機体なんだわ...」

 

ダンジ:「え、2基も?1基だけで充分動かせますけど?」

 

エドワーズ:「ま...まぁ、な...(((^_^;)厄祭戦後、MSとエイハブリアクターの製造権限は、GHが牛耳ってるようなものだし、火星圏や圏外圏には、MSをイチから作りおこす技術や詳しい資料は、無いらしいんだわ。そりゃナディさんがアタマ抱える理由、分かるような気がする......昭弘君のグレイズ改あるじゃない?」

 

ダンジ:「昭弘さんのグレイズが、どうかしましたぁ?」

 

エドワーズ:「あれさぁ...リアクター1基だけで、どうにかなってるんだよねー。火星軌道上で刃重ねたシュヴァルベ・グレイズ同様、リアクター1つで何とかなってるんだわ。今の時代に出回ってるMS の「主流」かな?」

 

へー、と頷きながらも、推進剤補給を済ませるダンジ。

G-3の整備が終わった。部屋へと戻るエドワーズとダンジ。

 

ダンジ:「教官、さっき話に出てきた「厄祭戦」って何ですか?」

 

エドワーズ:「ダンジ君、良い質問だね!」

 

エドワーズは、頭に埋め込まれた記憶チップのデータを引っ張り出しながら、語り始める。

 

(イメージBGM: オリジナルサントラ2より「Hashmal:The Legend of the Calamity War 」)

 

エドワーズ:「『今から300年前、B.D. 暦100年に勃発した戦争さ。地球圏を皮切りに、月・スペースコロニー・火星圏・そして木星圏をまたにかけて勃発した、世界大戦かな?

事の発端は、地球圏で開発された無人兵器:MAの暴走から始まり、地球全土に繰り出しては、MAを中心に、MW のモデルとなった、端末機がウヨウヨ暴れまくり、人間を見つけたら躊躇いなく始末する、と云う虐殺し放題、地球人類の4分の1を死に至らしめたらしい。そして宇宙は宇宙で、MAと子機の群れが蹂躙、コロニーや木星圏まで勢力を伸ばしては、地球と同様、大虐殺を繰り広げたんだ。地球圏の地図を見れば分かるように、かつてオーストラリアの首都「だった」シドニーが、跡形もなく消えてしまった。今やシドニー「湾」だぜ......恐らく、MA 20機くらいで、シドニーを沈めたんだろうよ。

そして長期化する戦況と、疲弊する当時の人類。どん底に陥った時、ある技術者の提案で、人類勝利のキッカケとなるモノが産まれた。それこそが....』」

 

ダンジ:「マンマシンインターフェイスシステム、通称「阿頼耶識システム」、そしてMSですよね?」

 

エドワーズ:「その通り!『MAを倒す為に、人の姿を模した巨大兵器・MSの開発と、それを乗りこなす為のシステムとして、「阿頼耶識」もとい、MMIが誕生したワケよ。

まぁ、MAもエイハブリアクター積んでる、とは言えども、ガンダム・フレーム機とは比べ物にならない位の高出力で、且つ「封じる」システム』が、あるとか無いとか、だったかな?確か、えっと........」

 

凝り固まるエドワーズ。ここでネタギレかと思いきや?

 

クランク(以降、アレン):「『ガンダム・フレーム機に対しては相性が悪く、MAに近付き過ぎると行動不能になってしまう。ガンダム側のリアクターは高出力状態になる分、パイロットに過度の負荷を与えてしまう為、安全装置が作動してしまう』のだ。「封じる」と言う例えが相応かも知れんな。『MAの外見が、鳥のような姿から「天使」と比喩されるのに対しMSは、それらを狩る「悪魔」に準えた』ようだ」

 

と、補足説明をしながらクランクもとい、アレンと合流した。

 

エドワーズ:「クラン、じゃなかった...アレンさん、どうしました?」

 

アレン:「ビスケット君がお前を探していたぞ?ブリッジに来てくれ、との事だ」

 

エドワーズ:「分かりました。ダンジ君、行くよ!」

 

ダンジ:「了解ッ!」

 

エドワーズとダンジは、急いでブリッジへと向かった。

ブリッジへと急ぐエドワーズ達を見送るアレン背後から、壁にもたれかけ、アレンの様子を伺うエルヴィンが話しかけて来た。

 

エルヴィン:「アレン、行かなくて良いのか?」

 

アレン:「うむ、そうだな。エドワーズ達に任せている。年長者は、黙って後ろから見守る立場、だからな」

 

エルヴィン:「フ....そうだな......」

 

やり取りを終えるとアレンは部屋へ、エルヴィンは格納庫へと向かった。

 

Chapter-2:再開と対峙

 

ブリッジに到着したエドワーズ。

 

エドワーズ:「どうした?何があったんだ?」

 

フミタン:「他船からの停止信号です」

 

オルガ:「他船?位置は?」

 

フミタン:「不明です」

 

ユージン:「GHじゃねぇのか?」

 

ビスケット:「わからない。一体何処から?」

 

混乱するブリッジ内。その空気を鎮圧するかの如く、エドワーズが指示を出した。

 

エドワーズ:「皆とにかく落ち着け!!GHだったら停止信号ではなく、向こうから停船命令の広域通信が来る筈だ。「俺らの船を知っている」と云う事は.....チャダ君、モニターに映せるかい?」

 

チャド:「教官、発信先の映像、モニターに映します」

 

モニターに映し出されたのは........

 

 

「見覚えのある顔触れ」だった。

 

マルバ:『ガキ共よぉ~!「俺の」船を返せ!』

 

ビスケット:「社長!?」

 

マルバ:『「人の」船を好き勝手に乗り回しやがって!』

 

オルガ:「マルバ・アーケイ?......何でアイツが?」

 

マルバが何やら喚き散らしているようだ。

 

マルバ:『この「泥棒ネズミ」共が!「俺のウィル・オー・ザ・ウィスプ」を今すぐ返せ、って......エドワーズぅ!?Σ(゜Д゜)何でおめぇがここにいるんだよぉ?Σ(゜Д゜)』

 

溜め息を付いてから、画面越しの父親に向かって反論した。

 

エドワーズ:「結局アンタが頼って逃げる場所、と言ったら「やっぱりここだった」とはねぇ....相変わらずだな親父、良くも悪くも....な」

 

オルガ:(((^_^;)(教官、何かキレてねぇか?)

 

ビスケット:(((^_^;)(だろうね。社長が映った瞬間、何かが「吹っ切れた」ような危ない臭いが...)

 

エドワーズの言葉で、凍り付くブリッジ。オルガの後頭部にドデカイ冷や汗が滴り落ちる感覚と、背筋が凍る位の恐怖を感じた。勿論、ユージン・ビスケットも然り。

 

エドワーズ:「『親父の「亡命先」?何か見たことあるような「ブリッジ模様」なんだよね~?て事は....

 

「まさか」ね....

 

そんなワケないですよね?そこにいるの分かってますよ。

 

いい加減ダンマリ決めて、艦長席でふんぞり返ってないで、出てきたらいいじゃないですか?

 

木星圏に本拠を構えている、複合企業体・テイワズ直参組織にして、独自の運送網を展開している運送部門:「タービンズ」の代表......

 

 

「木星の白マムシ」こと......名瀬・タービン代表!』」

 

(イメージBGM: オリジナルサントラ1より「Teiwaz(Accordion Ver. )」)

 

驚愕する鉄華団一同とクーデリア。特にビスケットは絶句しつつ、開いた口が塞がらぬ表情に。

 

ビスケット:「教官、いま「テイワズ」って言いましたよね?あの「テイワズ」ですよね?」

 

エドワーズ:「あぁ、言ったよ。(  ̄▽ ̄)「仁侠的なニオイが充満する」木星圏の「勝ち組」組織ね♪(  ̄▽ ̄)」

 

 

更にドン引く一同。その一言を聞いた時点で誰しも思った事だろう。

「教官、何度も言うがいい加減に「止まって」くれ」と。

 

そんな事など気にも止めず、モニター越しの「白マムシ」が返答する。

 

 

 

名瀬:『......ハハッ!俺の「臭い」を引き当てるとは.....流石「煉獄帰りの軍神」、マルバの息子だ。息子と話したいからちょっとどいとけ。その代わり....女共に手ェ出したら、承知しねぇからな....』

 

マルバ:『あ、ああ、スイマセン...アイツらを上手く説得させてやって下さいね.....』

 

マルバが名瀬にお願いし、立ち去った後、名瀬が映し出された。

 

(イメージBGM: オリジナルサントラ1より「Brainstorming 」)

 

名瀬:『これはこれはエドワーズ君、久しぶりだねぇ。つい先日あったくらいかな?』

 

エドワーズ:「ご無沙汰です、名瀬代表。どうしたんですか?親父が....マルバ・アーケイがあなた方の船・「「ハンマーヘッド」に乗船されている」じゃないですか。コレは、何の冗談ですか?」

 

名瀬:『冗談も何も.....キミも知っての通り、一緒に仕事した事があってさぁ....』

 

エドワーズ:「その節は、親父共々お世話になりました。お礼をしたかったのですが....」

 

名瀬:『律儀過ぎるなー、キミは。どこまで話したっけ....あ、そうそう!たまたま火星に立ち寄る用事があって、久々にマルバに会ったら.....えっらいボロボロになってて、そんで「GHと揉めて困ってるから、助けてやって欲しい!」と泣きついて来た訳だわ』

 

エドワーズ:「成程......話の筋と、親父が考えている事が分かりました。つまりこう言う事ですよね、名瀬代表?」

 

火星以来の「口撃」が始まった。

 

エドワーズ:『「親父が名瀬代表に助けを求めた」すなわち....「テイワズに保護して貰う」と云う事。あのGHでさえも、介入出来ない位の技術力を保有している上に、独自でMS持ってますからねぇ』

 

オルガ:「マジかよ!?Σ(゜Д゜)」

 

エドワーズ:『まさか親父がこんなこと言ってませんでしたか?

「CGSの所有財産等を、全部タービンズで預かってほしい」って云う事を』

 

名瀬:『あー、「手助けの駄賃」として何とか、とマルバが言ってたわ。それで調べてみたら、CGSは廃業、全資産は「鉄華団」とかいうのに委譲されているようじゃねぇか。こりゃたまげたわ。一通り見させて貰ったが....手続きも手馴れたモンだし、書面上に不備もなく成立してるし、抜け漏れも無い。ソコはイイんだけどねぇ.....』

 

エドワーズ:『要するに......親父に代わって鉄華団が持ってるものを全て返すように要求。言い方を変えれば「取り上げに来た」と云う認識として、捉えていいんですね?』

 

名瀬:『察しが早いねぇ、エドワーズ君。火星での彼らの戦闘、見させてもらったよ。ガキにしちゃあ大したもんだし、勿論お前さんもな。資産の返還に快く応じてくれれば、悪いようにはしねぇし、うちの「傘下」で真っ当な仕事を紹介してやる。命を張る必要のねぇ、真っ当な仕事斡旋してやるから...さ?』

 

エドワーズ:「評価して戴き誠に光栄ですが......我々鉄華団には、大事な案件を遂行していまして....」

 

名瀬:『「クーデリア・藍那・バーンスタイン:「革命の乙女」の護送」の件ね。あぁ、この件は複雑でな、「マルバの資産」名義になってるけど?』

 

オルガ:「「資産」?どういう意味だ!?」

 

エドワーズ:「オルガ団長、ここは落ち着け。取り乱してすいません、名瀬代表。何故にクーデリア嬢を?

確かに「CGS」として受けた依頼として、正式に引き受けたんですが.....そちらに保護して貰っている「クソ」親父がトンズラかましたせいで、引き受けざるを得ない事になりまして......何か抜け漏れとかありましたか?ざっと目を通されたかと思われますが、何か不服な点あります?これだと話が拗れそうなので、自分がそちらに行きますので、対応お願いしますね」

 

名瀬:『あ、ああ......考えておくが、その前にマクマードの親父にも確認しねぇとなぁ....』

 

エドワーズがブリッジを去ろうとすると......

 

オルガ:「教官、どこへ?」

 

エドワーズ:「「最悪の事態」も有り得るから...団長、対応は「冷静に、且つ慎重に」な」

 

意味深なアドバイスをオルガに告げた後、エドワーズはブリッジを去り、格納庫へと向かった。

 

格納庫へと向かう道中、立ちすくむエルヴィンとすれ違う。

 

エルヴィン:「エドワーズ、どうやら「交渉」は「決裂」したようだ。一戦交える事となったぞ。名瀬・タービンとやらが、こう言っていたぞ。

「生意気の代償、高く着くぞ。」とな.....」

 

エドワーズ:「やっぱり...な。」

 

エルヴィン:「分かっていたのか?」

 

エドワーズ:「まぁ、な。オルガ団長の事だから....彼には彼なりの「信念」と「筋」は持っているからね.....でもそれが...時として裏目に出てしまう場合があるんだよなぁ....そして、三番組時代の「落とし前」、清算する意味合いもあるからな......ダニエル、お前も出るのか?」

 

エルヴィン:「戦力は多い方がいい。俺も出よう」

 

エドワーズ:「助かるぜ....何せ相手はテイワズの「看板」背負ってるんだ。GHとは違うニオイすらしてならないからな......」

 

 

 

その頃、鉄華団・タービンズ双方に動きが。

 

タービンズの船、ハンマーヘッドでは....

 

名瀬:「悪りぃアミダ、こうなっちまった┐('~`;)┌」

 

アミダ:「ヤンチャする子供を叱ってやるのは大人の役目だよ」

 

名瀬:「ほォんと、イイ女だよ、お前は。欲を云えばさぁ、エドワーズ君とナシつけたかったのになぁ......」

 

アミダ:「マルバの息子にホレてんのかい、名瀬?ま、今はどうでもいいけど......」

 

名瀬:「ど、「どうでもいいけど」って....f(^_^;」

 

アミダ:「ラフタにノーマルスーツを着るように伝えな!」

 

エーコ:「はい!姐さん!」

 

アミダ:「総員戦闘準備だ!全員持ち場に付きな!アジー、あたしと出て貰うよ!」

 

アジー:「はい。いつでも」

 

名瀬:「あ、そうそう。「固有周波数にヒットしない謎のMS」もいるみたいだから......気を付けなよ」

 

アミダ:「分かってるって、名瀬。適当にあしらっておくよ」

 

名瀬:「「楽しんで」来なよアミダ。火遊びは.....程々にな(* ̄∇ ̄)ノ」

 

 

そして、イサリビでは...

 

ビスケット:「「慎重に」って言ったじゃないか!交渉の余地はあった筈だ!さっき、教官に言われたばかりなのに......」

 

オルガ:「分かってるけどな....通すと決めた「筋」は曲げられねぇよ」

 

諦めたのか、観念したか定かではないが、ふぅ、と溜め息をつくビスケット。

 

オルガ:「敵艦にケツを取られちゃいるが、鉄華団の力を見せ付けるには、むしろ好都合だよな...お前ら!」

 

ユージン:「あたりめぇだろ!」

 

シノ:「おう!目にもの見せてやろうぜ!」

 

オルガ:「テイワズとの渡りをつける千載一隅のこのチャンス、ものにするぞ!」

 

いきり立つユージンとシノ。

 

チャド:「エイハブウェーブの反応、確認!敵艦、加速して距離を詰めて来る!」

 

オルガ:「よぉし、ブリッジ収納!速度は維持して180度回頭!砲撃戦に備えろ!」

 

チャド:「了解、ブリッジ収納!!」

 

オルガが指示を出すと、チャドが指示通りにブリッジ収納シークエンスを行った。

 

艦内放送(フミタン):『これより本艦は、戦闘状態に突入します。艦内重力を解除。総員、120秒後の回頭に備えて下さい』

 

オルガ:「昭弘、出てくれるか?」

 

昭弘:『ああ!任せろ!』

 

オルガ:「ミカァッ!」

 

三日月:「勿論!(クーデリア、そこ)邪魔」

 

クーデリア:「あっ、ごめんなさい。」

 

クーデリアを交わしながら、三日月は格納庫へ。

 

オルガ:「頼むぜぇ!(そんでもって...)シノも準備してくれ!」

 

シノ:「おうよ!待ってました!」

 

張り切るシノ。そしてユージンも.....

 

ユージン:「俺も行くぜ!」

 

オルガ:「いや、ユージンは「残って」くれ」

 

ユージン:「はあ?(何言い出すんだよオルガ。俺も行きたかったのに.....)」

 

オルガ:「「船を任せたい」んだよ。ここを頼めるのはお前しかいない」

 

照れくさそうな表情でオルガに返答するユージン。

 

ユージン:「お、おう....仕方ねぇな(「貸し借り無し」な、オルガ)」

 

フミタンが、クーデリアに駆け寄るように近付く。

 

フミタン:「お嬢様は、中枢ブロックに避難を。お手伝いしますので、先ずはノーマルスーツを.....」

 

遮るように、クーデリアがつぶやく。

 

クーデリア:「ここにいては......邪魔になりますね?....いえ、一人で大丈夫。フミタンは皆さんの力になってあげて下さい。」

 

フミタン:「お嬢様がそう仰るのなら......では、お嬢様もお気をつけて」

 

淡々と返すフミタン。祈るように目を瞑り、デッキを立ち去るクーデリア。

 

オルガ:「悪かったなビスケット」

 

ビスケット:「もう退けないんだろ?」

 

オルガ:「あぁ、だから力を貸してくれ」

 

ビスケット:「分かってる」

 

「一度決めた事は、何としてでもやり通す」と云うオルガの「筋」を理解しているビスケットにとって、最早手に取るように分かっていた。参謀として、そしてオルガの、鉄華団の良心として......

 

 

時同じく、エドワーズの部屋では.....

 

アレン:「方位180度、距離6200から3100まで詰め寄ったとは、相対速度の一致とは.....手慣れた詰め方だな」

 

ダンジ:「アレンさん、そこで感心しないで下さいよぉ...(ーー;)」

 

エドワーズ:「アレンさん、ダンジ君。頼まれて欲しいんだが.....」

 

ダンジ:「何ですか、教官?」

 

エドワーズ:「二人とも、ノーマルスーツ着て貰って、MWでイサリビの護衛任せてもらいたいね!」

 

アレン:「まさか...一戦交えるとでも言うのか?GHでも迂闊に手を出す事すら出来なかったテイワズ、とやらに?」

 

一呼吸置いて、アレンの問いに答えるエドワーズ。

 

エドワーズ:「あぁ、どうやらそのつもりらしいです。取り合えず「ブリーフィング」しますか。ダンジ君、俺のタブレット持ってきてくれる?」

 

 

(イメージBGM: 真・三國無双4サントラより「Intelligent Boys 」)

 

エドワーズにタブレットを渡すダンジ。タブレットを起動、ブリーフィング画面を開き、3Dで状況が映し出された。

 

エドワーズ:「さてさて......これが今の状況。俺たちの船・イサリビは180度回頭し、タービンズの船・ハンマーヘッドと相対する形となろうとしているね?」

 

ダンジ:「そう言えば、艦内放送で言ってますね」

 

エドワーズ:「まずは敵の戦力。保有MSは......っと!(ハンマーヘッドの立体ホログラフィーをタップすると、「保有MS」の情報ページにアクセス。)おいおい冗談だろ?「今の俺たち」の状況では、難しい相手みたいだ...」

 

 

頭を抱えるエドワーズ。「今の鉄華団」の錬度、頭数では困難を極める位である事が明白であった。画面を見て驚くアレン。

 

アレン:「何だ、この圧倒的な戦力差は?」

 

エドワーズ:「気付きましたか、アレンさん。俺も正直驚きました....これが、タービンズの「戦力」です。

MSは5。指揮官1に対して一般が3、そして哨戒が1かぁ....どれどれ?(機体情報の詳細をタップ。)

哨戒機が......STH-14s...通称「百里」か。高機動型で足が速いヤツ......シュヴァルベと渡り合える位、かな?

そんでもって.....STH-05:通称「百錬」、テイワズで運用されてる汎用型の主力MSか。成程、流石のGHも圏外圏に手が出せないのは、このMSの存在あればこそ、だな」

 

画面を見ながら頷くエドワーズ。その横でフリーズするダンジ。全然ついていけない状態だが、ダンジが質問してみた。

 

ダンジ:「教官、その下に出ている「STH-05/AC」って、さっきの「百錬」とか言うMSと、同じ型番みたいですけど?」

 

エドワーズ:「良く気付いたねダンジ君......って、オイッッ!百錬の型番の横に「/AC」だとォッ?

その百錬....ソイツ手強い相手だぞ、「今の錬度」ではな。GH 以上に手強いヤツだ。」

 

(イメージBGM: 真・三國無双4サントラより「Smileless」)

 

青ざめた表情と化したエドワーズ。型番から見て彼は「理解」していた。それを察したかのように、アレンが問い掛ける。

 

アレン:「まさかエドワーズ、「異名持ち」か?」

 

イヤな汗を流しながら、エドワーズが答えた。

 

エドワーズ:「そうなんです......「/AC」の「A」で、且つ「テイワズ」と云えば.....真っ先に思い浮かぶのは、この「異名」なんですよ。

 

 

「真紅の蛇姫」こと....アミダ・アルカ!!」

 

 

ダンジ:「えーっ?(ここで「異名持ち」キターorz)」

 

アレン:「「蛇姫」だと?木星圏にもエースパイロットがいるとでも?」

 

エドワーズ:「ええ、そうですよアレンさん。火星圏にこのような狂歌があるんです。

「テイワズに 過ぎたる物は 二つあり 仁侠カタギと 真紅の蛇姫」と。

まさか、あの音に聞く「蛇姫」と一戦交える日が来るとはな.....今日は何てイイ日だ!(  ̄▽ ̄)」

 

ニヤニヤ笑い出したエドワーズ。当然の事ながら、それを察したダンジ。

 

ダンジ:「きょーかん?まーた何か企んでませんか?タービンズに対しても......「ビームサーベル」抜くわけ....無いですよねぇ~?(ーー;)」

 

エドワーズ:「どうだか?さっきブリッジでさ、親父と名瀬代表と話してたし、あの時の戦い、誉めてたみたいだぞ?

「ガキ共にしちゃあ、大したものだ」ってね。ブリーフィングは一旦切り上げて、俺たちも行きますか!」

 

ダンジ:「適当に切り上げて......教官?大丈夫ですか?」

 

アレン:「不安しかないが...大丈夫か?」

 

エドワーズ:「大丈夫デスヨ。ソコハナントカスルンデー(  ̄▽ ̄)」

 

そう云うと、ダンジの「心のリミッター」が外れ、心の中でこう思ったかもしれない。

「教官、絶対ビームサーベル抜くだろう」と。

 

 

 

イサリビ、速度を維持して180度回頭。ハンマーヘッドと対峙。

 

鉄華団対タービンズの戦いの幕が、切って落とされた。

 

 

Chapter-3:開戦!!

 

タービンズサイド・ハンマーヘッド格納庫。

 

アジー:「姐さん、先に行かせてもらいます」

 

アミダ:『ああ』

 

青い百錬が、カタパルトに下降され、出撃態勢に。

 

アジー:「アジー・グルミン、行きます!」

 

(イメージBGM:オリジナルサントラ1より「Different Definition 」)

 

ジジジ、と言う摩擦音を響かせ、アジーを載せた百錬が射出された。

 

ハンマーヘッド整備員:『次ィ~、姐さんの百錬、下ろすよォォッ!』

 

エーコ:『姐さん、敵の船ですが、速度を落とさずに180度回頭してきました~』

 

アミダ:「「教科書通り」、速度は殺さず、艦首だけをうちに向けてきたか....先ずは「合格点」だよ」

 

ハンマーヘッドオペレーター:『カタパルト準備完了。出撃どうぞ!』

 

アミダ:「アミダ・アルカ、百錬、出るよ!」

 

アミダの赤い百錬が出撃した後に、青い百錬がもう2機出撃した。

 

 

 

対する鉄華団、イサリビでは.....

 

雪之丞:「すまんねぇ三日月。結局、リアクターは調整不足のままだ。「こんな状態」でおめぇを出したかねぇんだが...」

 

三日月:「まあ、動くんなら何とかするさ」

 

雪之丞:「(「動くんなら何とかする」ってオイ、無謀な事言うじゃねぇかよorz)寝覚めがわりィから、死ぬなよ」

 

三日月:「おやっさんより長生きする「つもり」」

 

 

雪之丞:「調子良いこと言いやがってぇ。じゃあ、気ぃつけてな。(バルバトスハッチ閉まる。)おーい!昭弘のグレイズが出次第、バルバトスも出すぞお!!」

 

整備班員:『うーすッ!』

 

バルバトスの起動シークエンスに入る三日月。

 

三日月:「うっ!?....リアクターだけじゃなく、各モーターに変な負荷が掛かってる。ま、やれるだけやるさ」

 

ブリッジから通信が入る。

 

フミタン:『目標より、MSの出撃を確認。数は4です』

 

三日月:「わかった......おやっさん!」

 

雪之丞:「よォし!バルバトスを下ろすぞ!下ぁ気ぃつけろよ!!」

 

射出カタパルトに移動するバルバトス。

 

フミタン:『Aロック作動。カタパルト、ハッチ開放します。カタパルト...スタンバイ。いつでもどうぞ』

 

三日月:「んじゃあバルバトス...三日月・オーガス、出るよ!」

 

バルバトス射出。

後部にマウントされた滑腔砲を展開、先に出た昭弘のもとへと向かう。

 

次は......

 

雪之丞:『次は....おめぇさんか....推進剤だけで大丈夫なのか?』

 

エルヴィン:「心配はない。「デュアルドライブ」ゆえ、もしエイハブリアクターがダメになっても、「コイツ」は動けるから、大丈夫だ」

 

雪之丞:『へ?「でゅあるどらいぶ」ぅぅ?何じゃそら?(ーー;)』

 

エルヴィン:「エルピス、相手はどう来てる?」

 

エルピス:「MSが4機出撃された模様。しかし、敵艦船よりMS 反応2機確認。うち1機は正体不明です」

 

エルヴィン:「「切り札」か、それとも......雪之丞さん、お願いします!離れるように指示を!」

 

雪之丞:「『わぁったよ。』次ぃ!!「フェニクス」下ろすぞ!吹っ飛ばされねぇよう、一旦離れろぉ!!」

 

エルピス:「フロアハッチ展開を確認。一旦ホバリングします」

 

機体が一時的に浮き、カタパルトアームに固定されるゼロ炎。

 

エルピス:「シューター固定完了、カタパルトへ移動開始。フロアハッチ閉鎖。カタパルト移動完了。Aロック解除、射出カタパルト並びにハッチ展開を確認。電磁レールテンション最大、射出権限の認可、確認しました。「You have CONTROL」です、ご主人様」

 

エルヴィン:.良し、「I have CONTROL !!」ダニエル=グレン・エルヴィン、フェニクス、行かせてもらうッ!」

 

エルピス:「ウイングガンダムゼロ炎、テイク・オフ」

 

ネオバードモードのまま、ゼロ炎は射出。そして......

 

エドワーズ:「バズーカ砲あったから、取り合えず積んでみた。相手はタービンズの精鋭。生きて帰れる補償は....どうだかな?」

 

雪之丞:『出撃前に、不安そうな愚痴こぼしてどうする?ま、三日月を前線で黙らせる事出来るの、おめぇさんしかいねぇからなぁ.....』

 

やれやれ、と云う表情を見せながら雪之丞が離れていく。

 

エドワーズ:「「ハイパーバズーカ」中々使えそうな気がするなコレ(  ̄▽ ̄) さてさて....ダンジ君にアレンさん、準備は出来たかい?」

 

ダンジ:『教官。既にイサリビ上部で待機してますよ~』

 

アレン:『何時でも行けるぞ!』

 

エドワーズ:「これで「最終防衛ライン」完成、と。後は俺だけか......ナディさん!!G-3を!!」

 

雪之丞:「『帰って来いよ!』最後ォォッ、G-3下ろすぞぉ!下ぁ気ぃ付けろよ!!」

 

射出カタパルトに下ろされるG-3。

 

フミタン:『射出タイミング、G-3へ委譲します、何時でもどうぞ』

 

エドワーズ:「エドワーズ・アーケイ...G-3 、行きます!」

 

G-3射出。三日月達の元へ合流する。

 

昭弘:『あ......』

 

三日月:『お待たせ』

 

昭弘:『カッ....待っちゃいねぇよ』

 

三日月:『「赤い鳥の人」と、教官も出るんだ』

 

エルヴィン:『戦力は、多い方に越したことはないだろう......「軍神」サマのお出ましだ』

 

エドワーズ:「これで全員だな。相手はかなりの手練れ。火星軌道上でやりあったGH以上に強ぇからな。三日月君に昭弘君、決して深追いと無茶はするんじゃないぞ。特に「赤いMS」には気を付けろよ」

 

三日月:『何かわかんないけど.....気を付けてみる』

 

昭弘:『了解!』

 

エルヴィン:「エルピス、敵の様子は?」

 

エルピス:「ご主人様、まもなく会敵します」

 

エルヴィン:『そろそろ来るぞ、エドワーズ』

 

三日月:『あれか...』

 

エドワーズ:「さぁて......「叩き」ますか!」

 

一方、タービンズサイドは......

 

 

アミダ:「アジー、船の射線に入るんじゃないよ」

 

アジー:『ラジャー』

 

アミダ:「アンタ達「にも」言ってるんだから、気を付けなよ」

 

タービンズ一般兵:『『はい!姐さん!』』

 

アミダ:「さあ.....「躾の時間」だ。坊やたち......」

 

ハンマーヘッド、イサリビ双方からの砲撃を合図に、開戦。

イサリビ甲板上部で構えているMWでは.....

 

アレン:「「始まった」...ようだな?」

 

ダンジ:「そう、ですね。ぼくたちも、ウカウカしてられませんよね!(ピーピー)MS反応キヤッチ。アレンさん、砲撃を」

 

アレン:「分かっている。ダンジ君はMWの操縦に集中してくれ。阿頼耶識持ちのキミが頼りだからな!」

 

ダンジ:「了解。アレンさん、酔わないようにしてくださいね!!」

 

Chapter-4:挫く戦意

 

(イメージBGM:「真・三國無双4」より「合肥-GREAT RED SPIRIT-」)

開戦してから数時間経過。ハンマーヘッドからの砲撃を受け、防戦必死のイサリビ。

 

ユージン:「ちっとは回避できねぇのか!?」

 

ビスケット:「下手に舵を切れば、距離を詰められて、対艦ナパーム弾の射程に捕まる!」

 

ユージン:「くっ....(何か良い対抗策は...)」

 

フミタン:「ミサイル接近」

 

ハンマーヘッドからのミサイルを撃ち落とす。ブリッジで焦るユージン。オルガに「船を任せる」と頼まれた以上、無下にする訳にはいかない。

ミサイルを撃ち落としても、対艦砲撃の雨は止まない。

イサリビクルー全体に、被弾の衝撃が伝わる。

 

イサリビクルー:「ぐっ!!!!」

 

ビスケット:「あれを続けてもらえば、ナノラミネートアーマーでも溶解するんだ!今は迎撃可能な距離を維持して!」

 

再び被弾。

 

チャド:「このままでもマズイって!」

 

時同じく......

 

アレンの精密射撃、ダンジの絶妙なMW捌きで、ハンマーヘッドの砲撃を撃ち落とし、何とかイサリビを守り切っていた。

 

ダンジ:「対艦ナパーム?アレンさん、撃ち落とせますか?」

 

アレン:「造作もない。ダンジ君、捕捉出来ているのか?」

 

ダンジ:「大丈夫ですよ」

 

生身の人間のように、フレキシブルに動き、砲撃を撃ち落とし、守りに専念するダンジとアレン。

ホバリングし、ハンマーヘッドからの砲撃を交わしつつ撃ち返すという、ヒットアンドアウェイの戦法を取り、防戦必死の状況。

 

ダンジ:「教官から任されたミッション、しっかり果たしてみせるッ!」

 

MWのアクセルに、いつも以上に力が入るダンジ。そして、的確に撃ち返すアレンの射撃の腕。互いのスキルが混じり合い、見事なまでの連携でイサリビを防いでいる。

 

アレン:「ダンジ君、再びミサイル接近」

 

ダンジ:「了解ッ!間に合え!!」

 

阿頼耶識もとい、MMIと直結されているダンジには、状況が手に取るように把握している。まさに人機一体。

 

タービンズサイドは....

 

エーコ:「敵艦、進路維持!」

 

ビルト:「意外と胆が据わってるんだぁ...」

 

戦況をモニタリングしながら、納得するエーコとビルト。

その状況を聞き、艦長席でふんぞり返る名瀬が指示を出す。

 

名瀬:「「長引きそう」なのかぁ?なら、ラフタに出てきてもらったらどうだぁ?」

 

エーコ:「了解♪」

 

 

MS サイドは....

 

エルピス:「ご主人様、敵機2機接近。恐らく先発かと.....」

 

エルヴィン:「ようやくお出ましか....「性能の違い」とやら、見せてやるか」

 

ゼロ炎、百錬に対し威嚇射撃のファーストインパクトを仕掛ける。

分散して回避。

 

百錬パイロットA :『何なの?あの機体。「百里」より足が速いようだけど?』

 

百錬パイロットB: 『とにかく、撃ち落とすよ!』

 

ゼロ炎に向かって、ライフル掃射。銃弾の雨の中をひらりと交わし、百錬らの「大上段」まで上昇。「彼女ら」の頭上でMS形態に変型、 そして......

 

ダンッッ!!

 

百錬パイロット:『『ぐぁっ!!?』』

 

ハイパーカレドヴルッフ二刀流で、百錬を退けたではないか!

 

百錬パイロットA:『うちらの銃撃をかわし、更には死角からの奇襲。何なの、あのMS?』

 

百錬パイロットB :『「武闘派のタービンズ」が....こんな見ず知らずの赤い鳥のヤツに遅れを取るワケには....(ダァァン!)あがァァッ!?』

 

ゼロ炎の左の肘鉄を右腕に喰らい、ライフルカノンを弾き飛ばされつつのけ反る百錬。もう1機の方は、「がら空き」の背中目掛けて、輪胴式グレネードランチャーを発射。

 

百錬パイロットA: 『よくもウチらの仲間をォォッ、墜ちろォォッ!』

 

アラートが鳴るゼロ炎のコクピット。

 

エルピス:「ご主人様、背後から狙撃されてます!」

 

エルヴィン:「間に合うかッッ?エルピス、苦肉の策だ。ブースター逆噴射で焼き払う!」

 

エルピス:「了解。ブースターユニット、左右に展開。ブースター、逆噴射!」

 

 

グレネードの流れ弾を、逆噴射されたブースターの火力で消滅。狙撃してきた百錬の視界を奪った。

 

百錬パイロットB:『ちいッ!視界がッッ!?』

 

爆風の煽りを受け、機体周辺の視界を奪われ、見失ってしまった。

 

百錬パイロットB:「どこ消えたんだ、あの赤いMSは...?」

 

ピーピーピー!

 

警告音が鳴った次の瞬間!

 

ガァンッ!

 

百錬パイロットB: 「ぐあァッ!」

 

弾幕の中で「鳥の姿」に変形し体当たりを仕掛け、突き飛ばしながら飛び去って行き再度変形。「彼女ら」を、見下ろす赤いMS。後ろに懸架されている片刃式ブレードに右手を添えている事を悟られぬよう身構えているが.....

 

エルヴィン:『アンタらには、私を斬ることも、ましてや、「油断を装っての袋叩きにする」事も....お見通しだ。抵抗しても無駄だ。アンタら、いや....「貴女たち」の刃から.....純粋なまでの戦意すらも感じられない。甘すぎる、それでも貴女たちは「戦士のつもり」か?』

 

百錬パイロットA:「同情のつもりか?」

 

百錬パイロットB :「舐めた真似を!!」

 

赤いMSは、徐に両翼に備え付けられた「ライフル」を両手に握り、銃口を向ける。

 

エルヴィン:『これは「警告」だ。貴女たちのような.....純粋無垢で、可憐な乙女たちが「立ち入る」ような場所ではない。それでも抗うのなら......宇宙のチリとなって貰おうか?』

 

凍り付く百錬のコクピット。貴女たちは後で気付く事となるが、「経験した事の無い位の身の危険」を体感していた、と云う事を。

 

 

百錬パイロットA:「ねぇ.....うちら、どうなってるの?」

 

百錬パイロットB :「追い立ててるつもりが逆に.....「睨まれてる」ようで......こわいよぉぉッ(´;ω;`)」

 

百錬パイロットA:「泣いてどうする?ウチだってぇ、えぐ....う゛ち゛だ っ゛ でこわいよぉぉっ!(T0T)」

 

 

 

百錬パイロット『『だずげで、だぁぁりぃぃん!o(T□T)oo(T□T)o』』

 

 

そして......

 

エルピス:「ご主人様、敵機体双方より「降伏信号」を受信。戦意を喪失された模様。宜しいのでしょうか?」

 

エルヴィン:「ああ.....彼女達の戦意を砕くには、この位の事をしなければ......「力無きモノが搾取される」こんな時代、子供達は愚か、まさか女達も駆り出されるとはな......

 

 

あの「女狐」め、この世界で何をしようと?」

 

悲壮感漂うゼロ炎のコクピット内。エルヴィンは、敢えて戦う乙女たちの戦意を挫き、「二度と戦わないように」と云う願いを込めながら、彼女たちを見守っていた。

 

Chapter-5:急襲、そして衝突!

 

ユージン:「何の光だ?」

 

艦橋モニターを観て、状況を確認するユージン。

しかし、時既に遅し。

 

ビスケット:「「上」だッッ!」

 

ハンマーヘッドから出撃した哨戒機:百里が奇襲を仕掛けて来た。

 

ラフタ:「まぁだ爪乾いてなかったのにぃ....」

 

足をばたつかせながら愚痴をこぼすラフタ。彼女が駆る百里がイサリビ周辺を飛び交う。

 

ユージン:「別のMS!?対空砲とMW じゃ追い付かねぇぞ!」

 

アレン:『ブリッジ聞こえるか!足の早いMSが1機、こっちに急襲してきた。俺とダンジだけでは持ちこたえられん!前線に出ているのを誰かしら下げた方が良いぞ。』

 

ビスケット:「アレンさん、申し訳ないです......アドモスさん、前線に出ている三日月たちに連絡取って下さい!MS を戻さないとやられる!」

 

ビスケットの指示を聞き、フミタンは直ちに前線に展開している4人に指示を送った。

 

前線では...?

 

滑腔砲を放つバルバトス。

 

三日月:「もう1機いたのか?」

 

がら空きである事を気付いたアミダ。アサルトライフルを乱射する。

 

アミダ:「余所見ッッ!」

 

エドワーズ:『余所見してんのは、何処のお姫さまだい?逆にがら空きなんだよぉッッ!』

 

ズガァン!ズガァン!

 

灰色のMS が放ったバズーカ砲(G-3のハイパーバズーカ)を2発喰らい、のけ反るピンクの百錬。そのコクピットの中、アミダがモニターで状況を確認する。

 

アミダ:「ちぃぃッッ....あの灰色のMSが、さっき名瀬が言ってた...アジー、気を付けな。あの灰色のヤツは、アタシがやる!」

 

アジー:『姐さん、先行したステイシー・シアンビーの双子が、謎の赤いMS にやられた模様。戦意喪失しています。』

 

アミダ:「うちの斬り込み役をそこまで追い詰めるとは......中々出来るヤツがいるんじゃないのかい?」

 

関心するアミダ。

 

 

エドワーズ:「あの赤いMS ....「蛇姫」は俺がやる。三日月君と明弘君は、一旦イサリビに下がって防衛を頼む!」

 

明弘:『了解』

 

三日月:『わかった』

 

エドワーズの指示で、イサリビの防衛の為に二人を下げた。

 

モニター越しのG-3と対峙しながら、アジーに指示を出す。アサルトライフルを左に持ち換え、片刃式ブレードを抜刀する。

 

アミダ:「つれない真似をするじゃない?アンタ一人でこの「蛇姫」の相手が出来るかい?アジー、逃げたヤツらを追いつつ、ラフタのカバーに入りな」

 

アジー:『ラジャー』

 

アミダ:「名瀬、聞こえる?アジーだけじゃ心許ないし、

斬り込み役が心へし折られて戦意喪失状態。増援寄越してほしいけど、大丈夫かい?」

 

名瀬:『アミダがそう言うんだったら....良いぜ。イケる子たち何人か向かわせるよ。双子も回収しとくから、安心しな』

 

(イメージBGM: Wings/山本彩)

 

アミダ:「助かるよ、名瀬。さぁて.....アタシを楽しませてくれるかい、「軍神」さん?」

 

逆手持ちのブレードを真横に構え、G-3に躍りかかるアミダの百錬。

 

エドワーズ:「来い!」

 

シールドを前に構え、防御姿勢を取るG-3 。

 

エドワーズ:「さあ来い、蛇姫。「燻製」にしてくれるわ!」

 

アミダ:「「煉獄帰りの軍神」の異名が本当なのかどうか......見定めてやるよ!」

 

 

To be continue the next LOG......

 

 




???:「次回、LOG-「侵」第4話......

混戦極める鉄華団・タービンズとの戦い。

エドワーズはアミダとの一騎打ちに、三日月と明弘はイサリビの防衛に。


総力戦濃厚となる中、どちらが先に「切り札」を切るのか?



機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ The GOETHIA-LOG
LOG-「侵」第4話

「激突!鉄華団 VS タービンズ・中編~劣勢~」

次回も凄い事になりそうだ.....


今回の「スクリプト」を読み上げてるのは、誰かって??


オルガ達に袋叩きにされて、「とある艦船」に保護された....


「トド・ミルコネン」だよ!

今度こそは、ちゃんと「仕事」で応えてやるからよお、期待して待っててな。

......ですよねぇ、モンタークの旦那ァ?



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