今日も元気にメゼポルタ広場からお届けします。【完結】 作:沙希斗
これでこの話は終わりになります。
ですが、今回は攫われておりません(笑)
いつものように【メゼポルタ広場】を歩いていたハナは、「よぅ、姉ちゃん」と声を掛けられた。
無視して歩いていると、「無視すんじゃねぇよ」と背後から肩を持たれ、乱暴に振り向かされた。
「いったいわね! 何す――!?」
言い終わらぬうちに口を塞がれ、拳を鳩尾にめり込まされる。
そこで、ハナの中の何かが切れた。
興奮のせいか鳩尾の痛みを感じない。そのまま身を起こし、思い切り相手の胴に肘鉄を打ち付けた。
「ぐえぇっ!?」
気絶するとばかり思っていた男は、不意を突かれて後方に吹っ飛んだ。
いきなり吹っ飛ばされた男を見て、周りがざわつき始める。
そんな事はお構いなしに、ハナは男を睨み下ろしている。
「……ガキが、大人しくしとけば痛い目に合わんものを……!」
「子供じゃないわっ!!」
すぐに起き上がった相手に、彼女はそう言い放った。
ハナはその性格同様、外見も幼く見える事があるのだ。
相手は屈強な男である。体格差は歴然だ。にもかかわらず、彼女は臆する事無く相手を見据えている。
「お、おい姉ちゃんやめとけよ」
心配した者が声を掛けたが、ハナは目を逸らさないまま微塵も動かない。
「……フン、本当に痛い目に合いてぇらしいなぁ!?」
そう言うなり向かって来た男を、ハナは躱した。
周りで「おぉ……!」と感慨の声が上がる。
「ちょこまかしやがって!」
何度も躱された男は、苛立ちを募らせている。
その内「いいぞ姉ちゃん!」「もっとやれぇっ!」などと囃す者も出始めた。
男が多い被すように抱き付いて来た時、ハナはスッと前に出た。
ドゴォッ!
二人が重なった刹那、インパクトの音が派手に響いた。
「うげえぇっ!!!」
次の瞬間、男は彼女の後ろに胃の中のものを吐き出した。
そのまま腹を押さえて崩れ落ち、なおも吐き続けながら悶え苦しんでいる。
周りの者は何があったか分からずに、我が目を疑っている。
男が抱き付こうとした瞬間、彼女はその力を利用して腹に曲げた膝を食い込ませたのだ。
いわゆるカウンターというやつである。
「あぁもぉっ! きったないわねぇっ!」
ハナは自分も吐き気を催したような顔をした。
それから我に還ったような顔をして周りを見渡し、顔を赤くして苦笑いしてから歩いて行った。
【ドンドルマ】ではこういう事は日常茶飯事なので、騒めきつつ彼女を見送った人々も、すぐに何事も無かったかのように通常に戻ったのであった。
男は、後で【守護兵団】に捕まって、しばらく牢屋暮らしをしたという。
今までのものを読んだ友人が「ハナは一般人に攫われる程弱くない」とのたまいやがりましたので、ハナ自身が自力でやっつけて解決するパターンも書いてみました。
ですが、「やっぱりカイの話が一番良かった」との事。
これだけ色んなパターンを書いたのに、「ハナ(女)」ではなく「カイ(男)」が攫われる話(第99話)が一番良かったようです。
一応これでもそれぞれのパターンを頭を絞って書いたというのに(苦笑)
でも、四人がそれぞれで違う反応をするのが面白く、書いていて楽しかったです。
読者の皆さんは、どの話が良かったですか?