今日も元気にメゼポルタ広場からお届けします。【完結】   作:沙希斗

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連日投稿ですが、クリスマスネタその二。
クリスマスと言えばという事で。



サンタハンター(その二)

   

 

 

 

 その日目が覚めたアルバストゥルは、レインにこう言われた。

 

「ねぇアルバ、【モミの木】取って来て」

「【モミの木】?」

 

 怪訝な顔をする彼に、レインは言った。

 

「うん。今【クリスマス】の時期でしょ? この時期はね、【モミの木】を部屋に飾って飾り付けするのよ」

「よく分からんが、それが何になるってんだ?」

「お祝いのためのイベントなの。毎年そうやってお部屋や広場なんかに飾るのよ」

 

 アルバストゥルはそういえばと思い当たる。毎年この時期になると、【メゼポルタ広場】の中央に、目立つように飾り付けをした大きな針葉樹が立てられているなと。

 

「【雪山】に生えてるはずだから、採取とかのついでに切って来て。こんな葉っぱの木ね」

 

 レインは【モミの木】の葉の形を紙に描き、「忘れないでね」と渡した。

 

「切るって幹ごと切って来んのか?」

「そうよ。大きな物じゃなくて良いから。部屋の中に飾れるぐらいの大きさので」

「あそ。よく分からんが、まぁ探せたら切って来るわ」

「うんお願い」

 

 

 

「――っつう事なんだわ」

 

 三人と合流したアルバストゥルは、レインが言っていた事を話してみた。

 

「おめぇら、こんな事やったことあるか?」

「たぶんそれ、一般人の風習なんじゃないかな?」

「何か意味でもあんのか?」

「そういえばおじいちゃんに聞いた事あるような気がする?」

「何を?」

 

 そう聞いたアルバストゥルに、ハナはこんな話をした。

 

「えっとね、大昔にどこかの国で【救世主】が誕生したんだって。で、その日に空の星が一つ降りて来て、お祝いするみたいにして生まれた家の前の【モミの木】の天辺に止まったんだって。だから今でもそれを忘れないように、一般人は【モミの木】の天辺に星型の飾り付けをするんだってさ。でもそれだけじゃ寂しいからって葉っぱの方にも色々飾って派手にするのが普通だそうよ」

 

「その【救世主】ってのは【サンタクロース】とやらの事なんか?」

 

「その人物とは違うみたいよ。確かに【サンタクロース】も偉い人なんだけど、もっとずっと偉い人だって。大昔に争い事を無くして人類を救ったとかなんとかおじいちゃん言ってたよ。で、【クリスマス】っていうのはその人の誕生日を祝うイベントでもあるんだってさ」

「へぇ~~」

 

 アルバストゥルは、関心が無さそうな返事をした。

 

「そういやね、一般人にはこんな風習もあるみたいだよ」

 カイが知ったかぶりした。

 

「どんな?」

「今オレ達がしている恰好の人物。つまり【サンタクロース】が、毎年この時期に子供達にプレゼントを配っている話は知ってるだろ? それと同じように、子供にプレゼントを渡すんだって。しかも見付からないように、夜の間に寝ている枕元にそっと置いておくらしいよ」

 

「また随分と面倒臭ぇ事をやるもんだな」  

 

「ねぇアレク、レインにやってあげたら?」

「あいつはもうガキじゃねぇよ」

「レイン、きっと凄く喜ぶと思うよ。『一般人の風習を分かってくれた♪』って」

「プレゼントっつってもなぁ、何渡して良いか分かんねぇしなぁ」

「気持ちが籠ってれば何でも良いのよ」

 

「……。まぁ考えとくわ。取り敢えず【モミの木】切って来る」

 

「行ってらっしゃい」

「気を付けてね」

 

 ずっと黙ったままだったベナトールは、何かを思いついたようだった。

 だが、その表情の変化は誰も気付いていなかった。

 

 

 

 【フラヒヤ山脈】に着いたアルバストゥルは、それらしき葉の形の木を探した。

 生えている場所が【ブランゴ】のいる所だったので、始めは無視していたのだが、ちょっかいでも連続されると痛いため、仕方なく殺す。

 

「せぇ~~の!」

 【モミの木】の前で呟いたアルバストゥルは、溜めを作った。

 

「だりゃあっ!」

 最大溜めで【モミの木】を攻撃する。【嵐ノ型】の溜めなので斜め下から【大剣】が振り上がり、【モミの木】は斜めに根元を切られて倒れた。

 

「うおっと!?」

 自分の方に倒れて来た【モミの木】を受け止める。切り口が斜めのままだと座りが悪いだろうと考えた彼は、【剥ぎ取り用ナイフ】で削って大まかに平たくした。

「こんなもんで良いだろ」

 

 

 担いで帰っていると、【フルフル】がいた。

 

 そういや上位【フルフル】の依頼受けてたなと思い出し、痛まないような位置に【モミの木】を置いて討伐。上手い具合にお目当ての【真珠色の柔皮】が剥ぎ取れたので、ホクホクしながら帰って行った。

 

 

 

「これで良いのか?」

 

 家に帰ったアルバストゥルは、玄関のドアを蹴破りつつ担ぎ込んだ。

 

「乱暴ねぇ。うん間違いなく【モミの木】ね。ありがと♪」

「んで? どこに置くんだ?」

「そうねぇ、玄関から見える真正面の壁際が良いな」

 

 言われるままに立て掛けたが、このままでは真っ直ぐ立たない。

 そこで支えになる木枠を根元に作り、それに入れてやった。

 

「器用ねぇ」

「んな事ぐれぇ誰だって出来ると思うがな」

 それから飾り付けを渋々手伝わされたアルバストゥルは、「御苦労様♪」とハグされた。

 

 

「あら邪魔しちゃった?」

 丁度その時、ハナがやって来た。

 

「なんだよ、邪魔すんじゃねぇよ」

 わざとそう言ったアルバストゥルだったが、照れているのはハナにはバレバレである。

 

「なんだ飾り付けも手伝おうと思って来たのにもう終わっちゃってるじゃん」

「『も』って、他にまだ何かやる気だったのかよ?」 

「お料理をね、手伝ってくれる事になってたの」

「なんでまた?」

 

 そう言うレインにキョトンとするアルバストゥル。

 

「だって今日はクリスマスパーティーをする予定だもの」

「オイちょっと待て。俺は何も聞いてねぇんだが?」

 

「ボクは聞いていましたにゃ」

 

「フィリップ、聞いてたなら言ってくれよ。おめぇはいつからレインの召使いになったんだよ」

「言っちゃダメって言われましたのにゃ」

「はぁ……。おめぇら、また勝手に決めてたのかぁ?」

 

 アルバストゥルは、深い溜息をつきつつ言った。

 

「だってアレクに言っても文句言うだけだもん。つまんないじゃない」

「それつまらんとか言う問題かぁ?」

「良いの! ほら時間無くなるから男は黙って待ってなさい」

「……。俺が手伝う事は?」

「無いわ」

「ほら邪魔っ! 向こうへ行って」

 

 一応手伝いの意を示した彼だったのだが、邪険にされて渋々キッチンから出て行った。

 

 楽しそうにきゃっきゃ言いながら料理を作っている二人をふてくされて見ていたアルバストゥルだったが、【真珠色の柔皮】を剥ぎ取っていたのを思い出し、二人(+一匹)が料理に集中している間に自分の部屋に籠って何やら作り始めた。

 

 

 料理が出来上がった頃、やはり呼ばれていたらしい男二人がやって来て、全員が揃ったところで賑やかにパーティーが行われた。

 

 カイなどは【ガウシカ】の着ぐるみを着せられて、同じ格好のフィリップとはしゃいでいる。

(【サンタクロース】は【トナカイ】という動物が引くソリに乗って来るという言い伝えがあるのだが、ハンターが集う大陸には【トナカイ】なる生き物はいないため、それに似た【ガウシカ】が代用されているのだ)

 

 いつもより豪華にデコレーションされた【ポルタケーキ】が振舞われ、特にカイが目を輝かせていた。他にも大振りな骨付き肉などもあるので、食いしん坊のカイにはたまらない様だった。

 

「ずっほほんならっはらひぃほに(ずっとこんなだったら良いのに)♪」

 カイは嬉しそうに口一杯に頬張りながら言った。

 

「あのなぁカイ、人んちっつう事を忘れんなよ? やりてぇなら【大衆酒場】でやれ。ってか、食いもん飛ばしながら言うんじゃねぇよ! きったねぇなぁ」

「まぁ硬ぇ事言うなあぐっ、はれふ(アレク)」

「いや言うだろ!」

 

 そんなこんなで、賑やかに夜が更けていった。 

 

 

 

 朝起きたレインは、枕元にリボンが掛った小包が置いてあるのに気が付いた。

 『レインへ』と書いてあったので開けてみると、そこには【真珠色の柔皮】で作った下着の胸当てが入っており、『メリークリスマス』と書いたカードが入っていた。

 

「これは、どういうつもりなのかな?」

 レインは笑いを堪えながら、アルバストゥルに尋ねた。

 

「何の事だ?」

「しらばっくれたってバレてるわよ? これどう見てもあなたの字だもの」

「い、いや深い意味はねぇんだぜ? ただ【フルフル】の皮には傷修復能力があるから、単に直接肌に着けた方が健康に良いかなと思っただけであってだな。んでもって上位の貴重な皮なら丈夫だし真珠色で綺麗だし似合いそうだし胸のサイズなんとなく分かるし俺一人暮らし長かったから服とか作れるし……」

 

「私の裸、いつ見たの?」

 

「いいいやそのあの……」

 真っ赤になってわたわたしている彼を見て、レインはくすくす笑いながら言った。

 

「うそうそ。ありがとねっ。大好きよ♪」

 

 抱き付いてキスされたアルバストゥルは、ますます真っ赤になったのであった。

 

 

 

 同じように朝目覚めたハナは、枕元に小さな小包が置いてあるのに気が付いた。

 そっと開けてみると、そこには黄色く光るピアスが入っていた。

 

 それは【超絶のピアス】というもので、ハンターランクが999にならないと貰えない記念品である。

 

 一から十まで種類があり、それぞれに強力なスキルが付いているものなのだが、その中の〈風圧〉〈聴覚保護〉のスキルポイントが同時に付く(ついでに言うとおまけ程度に〈砲術〉も付く)【超絶のピアス六】が入っていた。

(黄色いのは【センショク草】の黄色を使って作るためで、他の【超絶のピアス】はそれぞれで求められる【センショク草】の色をしている)

 

 【ピアス】といえども頭防具扱いなのでこれを着けようとすると【リオハートヘルム】を外さなくてはならなくなるのだが、これ一つで〈龍風圧無効〉〈高級耳栓〉のスキルが発動するため、非常に便利な防具になる。

(スロットも最終強化で三つ空くので、他のスキルの組み合わせも出来る)

 

 そして走り書きのような字で『メリークリスマス』と書かれたカードを見たハナは、心底嬉しそうな顔をして、ギュッと【超絶のピアス六】を胸に抱いた。

 

 

「ベナぁ♪」

 早速それを着けてベナトールの部屋を訪ねたハナは、駆け込むなり彼を力一杯抱き締めた。

 

「ありがと。大好きっ♪」

「……。何の事だ?」

「しらばっくれないで。これくれたのベナでしょ?」

「俺は知らんぞ? 大方【サンタクロース】とかいう奴が来たのではないのか?」

「嘘付かないでっ」

「知らんと言ったら知らん。……だが、似合ってるぜハナ」

 

 口の端を持ち上げてすぐに強面に戻したベナトールが、そう見せて実は嬉しそうな顔になっているのを見逃さなかったハナであった。




うちのハンター(少なくとも自キャラ)達は、一般人の習わしや風習などには疎いのです。

ハナのランクは「凄腕(HR100以上。今現在のランクで言えばHR5以上)」ですが、999には程遠いので「超絶のピアス」は貰えてません。
サンタベナトールの図↓

【挿絵表示】


友人に見せると「ごっついwwww」と大笑いしてました。
実際にこんなのが来たら子供が寄り付くどころかションベンちびって腰抜かすと思います(笑)
だってオッサンの身長二メートル近くある上に筋肉ありまくりだし。

アルバストゥルの作ったプレゼントは、「ブラジャー」ではなく「キャミソール」や「タンクトップ」のようなものだと思われます。


あ、ちなみに話の中に出て来る「ポルタケーキ」というケーキは、イベントクエなどでたまに貰えるアイテムです。
(今はもう廃止されているようです)
ショートメールでプレゼント出来る他、「狂走薬グレート」の効果があるので集めておいて自分で使うという手もありました。
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