今日も元気にメゼポルタ広場からお届けします。【完結】   作:沙希斗

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下位ハンターあるある?(笑)

でも二人は自分からは積極的に狩りに行くタイプではないので、上位になっても意外に「モンスター」の生態を知らなかったりします。


毒の狂走曲

 

 

 

 この日、夜の【沼地】はいつになく騒がしかった。

「あぁもぉ、速い! 追い付けないでしよぉっ!」

「うわわっ!? こっち来たっ」

「来たなら逃げないで攻撃してよぉっ」

「だって、毒に当たるんだよぉ」

 

 先程から大騒ぎしながら走り回る【ゲリョス】に翻弄されているのは、カイとハナである。

 ベナトールに用事が出来たとの事だったので、ハナはアレクトロに同行を願い出たのだが、「たかが【ゲリョス】に付き合ってられっかよ」と突っぱねられ、カイと【クエスト】に赴いたのだった。

 アレクトロと共に(というよりは半ばアレクトロに無理矢理付き合わされる形で)色んな【モンスター】の狩猟をこなしているカイなら、ある程度は安心出来ると考えたハナだったのだが……。

 

 べしゃっ

 

「ちょっとぉ! 早速毒吐かれてんじゃないわよっ!」

 正面で対峙した【ゲリョス】に、もろに顔面から毒を浴びせられたカイは、大慌てで【解毒薬】を飲もうとして追撃を食らい、吹っ飛ばされたりしている。

 そう言うハナも【片手剣】で切り掛かろうとしてビヨンと伸びた尻尾に(はた)かれたり、啄みを受けて、せっかく捕っていた【光蟲】を盗まれて憤慨したり。

 

 良い所のない二人だったが、更に追い打ちを掛けられた。

 なんだか【ゲリョス】がカツカツと鶏冠を打ち鳴らしているな~と眺めていると――。

 

 ピカーン!

 

 いきなり目の前が真っ白になって、二人はピヨピヨと目を回す。

 幸いこの時は相手が攻撃して来なかったのだが、それよりも連続で閃光を発したため、目がおかしくなるんじゃないかと思う程何度も目晦ましを食らわされた。

 啄みで覚醒させられるか、もしくは自力でなんとか目を覚ますかしたが、眩しくて仕方ない。

 閃光を防ぐには鶏冠を攻撃して砕くしかないのだが、意識しているつもりでも、中々鶏冠に攻撃が当たらなかった。

 〈気絶無効〉のスキルを付ければ閃光中はむしろ攻撃チャンスなのだが、そんな事を思い付く二人でもなかった。

 

 

「もぉ~~! 眩しいし毒吐くしやたら走り回るし。コイツ嫌い!」

「アレクは『可愛い』って言ってたけどね」

「こんなシャクレ顔の、どこが可愛いのよぉっ」

 そんなこんなで、それでも攻撃を続けていたら、ゆっくり倒れて動かなくなった。

「やった♪ 剥ぎ取りしよっと」

 無防備に近付くハナを見て、「ハナ、まだ死んだんじゃな――!」と言いかけたカイ。

 が、それも空しく、ハナが【ゲリョス】に触れたか触れないかぐらいの時に大暴れされた。

 完全に死んだと思っていたハナはもろに巻き込まれてしまい、吹っ飛ばされた後ぐったりとなった。

「ハナ! しっかり!」

 駆け寄ったカイだったが、彼女の状態を確かめる間も無く襲われたため、攻撃に集中するしかない。

 

 死んではないと思うんだけど、まさかね……。

 

 動かないままのハナをチラチラ見ながら、そう思いつつカイは攻撃を続けた。

 二度目の死んだふりの時にハナに近付いてみると、意識はあるものの全身打撲になっていて、痛くて動けない様子。

 そこで【回復薬グレート】を飲ませてみると、「こんなの聞いてないわよ……」と言いながら起き上がった。

「ごめん、言ってなかった」

 てへっと笑うカイに対し、「笑い事じゃないでしよぉっ!?」と思い切り突っ込むハナ。

「ごめんごめ――! ほら来るからっ!」

 連続で啄んで来る【ゲリョス】を、二人は寸での所で回避。

 二手に分かれて攻撃していると、再び倒れて動かなくなった。

「これは、死んでるの? フリなの? どっち?」

「う~~ん、どっちかなぁ……?」

 そこで【ペイントボール】をぶつけてみる。 

 ピクリとも動かない。

「死んでるみたいね……」

「そうみたい」

 

 顔を合わせた二人はガッツポーズした後ハイタッチを交わし、今度こそ剥ぎ取りに行ったのであった。  


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