今日も元気にメゼポルタ広場からお届けします。【完結】   作:沙希斗

136 / 262
イケメン女顔のカイは「月刊・狩りに生きる」の専属モデルをやっているんですが、今回はそのモデルにスカウトされた話です。


アイドル誕生?

   

 

 

 

 ある日【メゼポルタ広場】を歩いていたカイは、ある者に声をかけられた。

 

「すいません、ちょっと良いですかぁ?」

「はい?」

 

「【月刊・狩りに生きる】の者ですが、今女性モデルを探していましてね! 主に装備のモデルなんですがね、貴女ほどの可愛らしい人を是非モデルにしたい訳なんですよ! 良かったら現場だけでも見て行きませんかぁ? 決めるのはそれからでも構いませんので」

 

「あのぉ……」

 

「いえいえ無理にとは申しませんよ? 申しませんけども、貴女みたいな可愛らしいタイプをずっと探してたんで、ちょっとだけでも付き合ってもらいたいかなぁって」

「いや付き合うのは別に構わないんですよ。モデルというか、雑誌がどう作られるのか興味ありますし。でもね、渋っているのはそこじゃないんですよ」

 

 カイはいかにも申し訳なさそうな表情になって言った。

「オレ、男なんです」

 

「ええぇっ!?」

 途端に相手が素っ頓狂な声を出したもんだから、近くにいた者がギョッとしてこっちを見た。

 

「そんな訳ないでしょう。有り得ないですよ! 付き合いたくないからってワザとらしい嘘付かないで下さいねっ!?」

「いやそれが嘘じゃないんですよ。確かにオレはよく女扱いされますし、それが嫌で仕方がないんですが、生まれ付いた性別ばかりはどうしようもありませんし……」

 

 困ったように言うカイに、まだ信じられないと言いたげな表情の相手。

 

「ちょ、ちょっとこっちへ!」

 まるで秘密を隠すかのようにして通りの隅にカイを連れて行った相手は、「ちょっと脱いでもらえますか?」とヒソヒソ声で言った。

 

【挿絵表示】

 

 渋々という感じで上半身裸になったカイを見て、それでも納得いかないような顔を浮かべていた相手だったが、「……。分かりました。認めましょう」と言った。

 

 だが、諦めるかと思いきや、相手は思案顔になっている。

 

「ふむ……。もしかしたらこういうのもありかもな……」

 カイを見詰めて何やら考えていた相手は、「良しこれでいこうっ!」と一人合点したように弾けた声を出した。

 

「是非男性モデルになって下さいっ! 本来ならばハンターの男性は屈強な者が多いので、ウチのモデルも筋肉隆々なんですが、今時それでは当たり前過ぎます。それにそういうモデルは男性受けは良いですが、女性受けはあまりしません。まぁそれが当たり前と言われればそれまでなんですが、貴方が着れば同じ装備でも男臭くは見えないはず。装備のカタログは断然男性よりも女性の方が読者が多いので、男女抱き合わせでのカタログを作れば男性専用カタログだけで売っていた今までよりも売り上げが上がるはずっ! なので、是非専属モデルになって下さいっっ!!!」

 

 軽く声をかけたつもりでいた相手は、一生懸命お願いしていた。

「……。どんなか分からないので、最初は見に行くだけで構いませんか?」

「はいっ! 有難うございますっっ!!」

 

 

 編集社は、ハンター達が集う【メゼポルタ広場】や【大衆酒場】からは離れた区画にあった。

 緑の多い公園の近くなので、非常に落ち着いた雰囲気のある場所である。

 

「お、スカウトして来たのか」

「可愛い子じゃないか、これならドレスのような装備をさせても似合いそうだな」

 スタッフが次々と声を掛けているのを「実は……」と説明され、当然のように素っ頓狂な声を上げる者、「うっそでえぇ!」とゲラゲラ笑いだす者、呆気に取られて物も言えない者など、それぞれで様々な反応をしている。

 

 中には「オイ、本当に付くモノ付いてんのかぁ?」と、いきなり股間を触ろうとする不届き者がいたので、そいつには鉄拳をお見舞いしてやったカイであった。

 

 撮影室に案内されて覗いてみると、やはり屈強そうなモデルがゴツイ装備を身に付けて、色々なポーズをとっている。

 それをスケッチ係が素早く写し取り、出来た端から他の係が色付けや文付けなどをして流れ作業で仕上げていた。

 それが面白くて目を輝かせて見ていたカイは、「やってみる?」とスケッチ係に声をかけられた。 

 

「オイ女性用の部屋は別だぜ?」

 当然のように男性モデルにそう言われたので、またもやここでも説明する。

 

「……。時代も変わったなぁ……」

 最初呆気に取られた様子のモデルは、呆れたような、寂しそうな、複雑な顔をして言った。

 

 それでも面白そうな顔で撮影風景を見ている。

 

「はいこれ着て~~、こういうポーズして~~」

 指示通りにカイがやってみせると、「中々スジがあるわね!」と褒められた。

 

【挿絵表示】

 

 

【挿絵表示】

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

「明日から来てね~~」

「えぇっ!?」

 

「何よ見学のつもりだったの? あなたはもうウチの専属モデルに決まったのよ」

「そそそんな、まだ心の準備というものが……」

「おうアマ公、頑張ろうぜ!」

「女扱いすんなっ!」

 

 カイがモデルを勤めるようになってから、(特に女性の)売り上げが随分伸びたという。 

 

 

 




挿絵は自分が持っている装備の登録画面を出して、カタログ風にして撮影しました。
半裸になるシーンでは、このキャラの「インナー」が肌の露出の少ないものでしたので、わざと肌露出の多い胴防具(鬼神ノ胴当)を作って撮影する事にしました。

ゲーム上ではかなり逞しい体つきをしておりますが、実際の(小説内の)カイはもっと華奢で女っぽい体つきをしていると脳内変換して下さい。


今回は今までで使っていた(演技していた)キャラとは違うキャラでログインして撮影しています。

と言いますのも、今まで自分の持ちキャラは(そう作ったので)全員黒人だと思ってたんですが、実はそれらのキャラがいるアカウントとは別のアカウントでキャラを作っていた事があったんですよ。
で、その事を私自身すっかり忘れてしまっていたんですが、たまたま間違えてそのアカウントでログインした事で他のキャラがいた事を思い出したんです。

で、自分でどんなキャラを作ったのかすらも忘れていたんですが、それがたまたま「カイ型」だという事が分かりましたので、(友人がドス時代に使っていた)カイと同じ髪型、髪色に変えて「カイ」として使う事にしました。
(声は違っていましたが)

今までのアカウントでは(キャラ数の関係で)「カイ」と「ハナ」の組み合わせでの「パートナー」を雇えていなかったんですが、これで雇えましたので、これからはこの二人でクエストに行くような話を再現出来るようになりました。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。