今日も元気にメゼポルタ広場からお届けします。【完結】   作:沙希斗

15 / 262
この話は、何を書こうか考えていた時に、何故かハナが「下りて来て」私に書かせたものです。
 
「ハナ」は友人が作ったキャラであり、従って「友人の人格」から生まれたもので、「私の人格」ではないと考えています。
それは「カイ」でも同じで、なので「彼らの人格」で(特に一人称の)小説は書けないと思っていました。


私の小説の書き方はふと思い付いたり夢で見たりした「あるシーン」をきっかけにして、そこに向けて書き始める事によって勝手にキャラが物語を進めてくれるのに任せて書くので、(大まかな流れはあるにしても)自分自身でもどんな発展になるかとかどんな終わり方になるかとか、長くなるか短くなるかも分からずに書き進めるんですよ。

なので書いている途中で「長くなるな」と思っても案外短く終わったり、その逆で「短い話になるのかな」と思っても長くなったりする。

でも、前記したように「私の人格(頭の中にあるキャラ)」は「ハナ」でも「カイ」でも無く自分で操作していたキャラである「アレクトロ」と「ベナトール」ですから、どうしても彼ら二人のどちらかの視点で書く事が中心になってくるのです。

だから「一人称」の形でハナが下りて来るとは思いもよらなかったわけです。


私の心の中は「アレクトロ」の口調で喋っておりますので、今見直しても「なんでこんな気色悪い口調の奴が下りて来たんだろ?」と不思議でなりません。   


ピンクのトリさんに会う

 

 

 

 あれは【密林】ってとこで【採取クエスト】に行ってた時だったかなぁ?

 ベナがね、いろいろ素材が取れる場所を教えてくれてね、【ベースキャンプ】の上のツタを登ったとこあるでしょ? あそこで【ハチミツ】を採ってたの。

 

 あ~まい【ハチミツ】、あたし大好き♪

 

 こっそりなめたらベナにげんこつされたし、怒ったハチに刺されたりもしたんだけどっ。

 でね、ごそごそしてたらピンク色の、おっきなウロコを見付けたわけ。

「このおっきなウロコ、なに?」

 可愛らしく小首をかしげて聞いたあたしに、ベナはこう言ったの。

「あぁ、そいつは【怪鳥の鱗】だな」

「カイチョウ?」

「【怪しい鳥】と書く」

「トリさんなの?」

「【あれ】が鳥と言えるかどうか……。まあ【鳥竜種】ではあるがな」

 チョウリュウシュなんて難しいことは分かんなかったけど、きっとピンク色の可愛いトリさんなんだろうなと思ったのよね。

 だから「トリさんに会いたいっ」って言ったの。

「お前が会うのはまだキツいんじゃ――」

「いいのっ! ベナがなんとかしてくれるんでしょ?」

「……へいへい。何でもします」

 ため息を付かれたけど、ベナって【ドンドルマ一の鬼教官】なんて言われてる割には、あたしのワガママ聞いてくれるし、けっこう優しいんだよね~~。

 

 そりゃ最初に会った時は怖かったよ? おっきいし黒いし、なんか【さわるな危険】のオーラを出してるみたいでとっつきにくそうだったし。

 でも【ベナトール】っていう名前が、なんか【ナイシトール】みたいな薬の名前に思えて大笑いしちゃってさ。そしたら怖くなくなったんだよね。

 「ベナって呼ぶねっ」って言ったら「勝手に略すな!」って怒られたけど、ベナはベナだし(笑)

 

 

 次の日に、同じ【密林】にトリさんがいるって分かって、ベナが【クエスト】を受けてくれて連れて行ってくれた。

 またツタを登って、その先にある《5》って地図でなってる所に行くと、バサバサッておっきな羽音がしてトリさんが下りて来た。

 思った通りのピンク色だったんだけど、翼の膜のとこだけ水色だった。

 普通のトリさんとは違ってて、体に羽根が生えてないし、ウロコが生えてて尻尾がトカゲみたいに細くなってるのはちょっと気持ち悪いって思ったけど。

「へんな顔~~!」

 あたしは開口一番そう言ったの。だっておっきなクチバシがシャベルみたいになってたんだもん。

「【怪鳥】。正式名は【イャンクック】」

「ヤンクック?」

「イャンだ。発音がちと難しいが」

「イヤン……。もうクックでいいや」

 

 兜で顔は見えないけど、きっと苦笑いしてるんだろうな、ベナ。

 

 クックはあたしたちに気が付くと、顔の後ろの……、あれは耳なのかな? をパッて広げたの。扇みたいに。

 頭の上に扇を二つ立てたみたいになったもんだから、ますますへんな顔になって、笑っちゃった。

 そしたらクェ~~とか言いながら突っ込んで来るんだもん。ビックリしちゃったよ。

 きゃあきゃあ言いながら逃げ回ってたら、ベナが【ハンマー】でポカンッて小突いたんだよね。まるで頭にげんこつするみたいに。

 

【挿絵表示】

 

 そしたら駄々っ子みたいにバタバタ足を踏み鳴らして怒ったりして、可愛かったな。

 とりあえずあたしも攻撃してみようとしたんだけど、体を回転させて尻尾でペチッて叩かれて、飛ばされちゃった。

 もう痛くてさぁ、動けなくなってたら、ベナが「だからキツいと言ったろうが!」と怒りながら、【生命の粉塵】をかけてくれた。

「もう下がってろ!」

「はぁい……」

 

 でもそこに、火玉が飛んで来たわけ。

 アイツ、ブレス吐くのね。

 

 ベナはあたしを抱えて転がって、ブレスを避けてくれた。

「大丈夫か? 当たってねぇよな?」

「うん。ありがと」

 お礼を言ったら突き飛ばすようにして離れて、「気を付けねぇか!」だって。

 

 照れ屋さんだね、ベナって。

 

 あたしはブレスが怖かったから、うんと遠くでベナの邪魔をしないようにして見てた。

 そしたらベナってさ、クックの攻撃に当たらないのよ。すごいと思わない!?

【ハンマー】ってガード出来ないのに!

 でも頭ばっかり狙うから、クックが気絶したり耳がボロボロになっちゃったりしたのは可哀想って思った。

 ちょっとしたらボロボロの耳をたたんで、足を引きずった。

 あとで聞いたら耳をたたむのは、弱ってる合図なんだって。

 

【挿絵表示】

 

 ベナはあたしが可哀想だと思ってるって思ったのか、【討伐】じゃなくて【捕獲】にしてくれた。

 

 

「ほらよ」

 【クエスト】から帰って、少しした頃だったかな。

 ベナが何か渡してくれたの。

 それは【怪鳥の耳】で作った、小さなピアス。【クックイヤーカフス】っていう物なんだって。

 ベナが【武具工房】に入ってなんかしてるな~とは思ってたんだけど、まさかあたしへのプレゼントを作ってもらってただなんてっ。

 もしかして耳を壊してたのは、これを作るためだったのかな?

 

 ベナって、いいとこあるじゃない♪ 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。