今日も元気にメゼポルタ広場からお届けします。【完結】   作:沙希斗

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少し遅れましたが20日まで「ホワイトデーイベント」をやっていましたので参加したものを書きました。
こちらも今年の分しか書いていないので出来立てほやほやです。

なお、依頼主のセリフは公式サイトに載っていたものを書き起こしています。


続・メゼポル探検隊が追う! 絶対に割れないビスケットは実在した!

 

 

 

「君が今回の調査に協力してくれるハンターさんっスね!?」

 

 ある日カイは、「【メゼポル探検隊】のメンバーから紹介された」という隊員の一人から、そう声をかけられた。

「俺たちは今、【絶対に割れないビスケット】を作るための素材を探しているっス!」

「ビスケットが絶対に割れないの!? ――で、何でそんなもの探してるの?」

 そう聞くと隊員は目を逸らせて明らかに動揺し始め、「そ、そりゃ…お返し…っスよ!」と妙に力を入れて向き直った。

「ハンターさんなら分かってもらえるっスよね!? あいつに、俺の熱い想いを込めた【絶対に割れないビスケット】を送りたいっス!」

 

 相手は熱血漢であるらしく、「ほ、ほら、手伝ってくれるんスよね!? 早く行こうっス!」と二の腕を掴んで【受付カウンター】に引っ張って行った。

 引き摺られるようにして連れて来られたカイは慌てた。

「まま待ってくれよ! クエスト内容は――」

「【棘竜】の捕獲っス!」

 

「いばらりゅう……」

 口の中でその言葉を転がしていたカイはハッとなり、「それって【エスピナス】じゃないか!」と狼狽えた。

 

「そんな手強い【モンスター】なんて――」

「手に入れた情報によると、【棘竜】に何らかのヒントがあるらしいっス……」

 カイの様子を見て断られると思ったらしい隊員は、「お願いするっス! 【メゼポル探検隊】の運命は、ハンターさんにかかってるっス!」と懇願した。

 

【挿絵表示】

 

 

 覚悟を決めて【樹海】に赴いたカイは、たった一人で【エスピナス】の元へと駆けて行った。

 というのも「男性限定のクエストである」と言われたためで、他の二人と都合が付かなかったからである。

 

 いつも寝床にしているらしい《7》に寝ていた小振りな【エスピナス】を前に、深呼吸してから切り掛かる。

 何度も攻撃してようやくのっそりと起き上がった相手は、寝惚け眼でカイを一瞥してから面倒臭そうに噛み付いて来た。

「うわっと」

 避けて二、三度斬ると吠え、全身に赤い模様が浮き上がった。

 

 つまり怒ったのだ。

 

 途端に豹変し【静】から【動】へと移り変わった相手を捌く。

 

【挿絵表示】

 

 【動】どころか【激動】へと変わったかのような動きに翻弄されつつ、それでも僅かな隙に斬っていく。

 捕獲という事だったので頃合を見て【支給ボックス】に入っていた【携帯用シビレ罠】を仕掛けようとするも、なんとその前に死んでしまった。

 

「……。なんか弱くないか!?」

 カイは失敗した事に落ち込みつつそう言った。

 どうやら【若個体】であるらしい。

 

 【若個体】とは成体になった直後もしくは縄張り争いなどで戦闘の経験が浅く、本来の力を発揮出来ていない個体を指す。

「あんまり攻撃しちゃいけなかったんだな」

 反省したカイはもう一度受け、今度は慎重に攻撃して捕獲した。

 

【挿絵表示】

 

 

 帰ると報酬の中に【探検報告書】というものがあった。

 

【挿絵表示】

 

 どうやら【メゼポル探検隊】の調査報告書であるらしい。

 隊員に渡すと殊の外喜び、「これで手掛かりがまた一つ増えたっス!」と、お礼として報酬金や色々なアイテムと共に【ポルタマシュマロ】をくれた。

 

【挿絵表示】

 

「それ、全部食べないでね」

 隊員と別れた後【ポルタマシュマロ】を頬張っていると、【ユニス】が釘を刺して来た。

「なんで?」

「【女性限定クエスト】の消費条件になってるから」

「そうなのか。じゃあハナに渡して来るよ」

 以前【男性限定クエスト】の消費アイテムとして【ポルタブラウニー】を渡されたのに食べてしまった事を思い出し、全部食べる前にハナの所へ持って行った。

 

「ハナ、これあげる」

「わぁっ! ありがとうっ♪」

 顔を輝かせて声を弾ませたハナはカイを抱き締めてから早速口に放り込み――。

「あ、それは【女性限定クエスト】の――」

「食べちゃった」

 

 前にもこんな事があった事をお互いに言いながら笑い合い、ハナは残った【ポルタマシュマロ】を貰ってから【女性限定クエスト】に赴いた。

 ちなみにこちらの方は【ハチミツ】と【特産キノコ】の納品だったらしい。

 

【挿絵表示】

 

 それだけだったのに、【依頼書】には大袈裟にも『【メゼポル探検隊】の運命は、ハンターさんにかかってるっス!』と書かれてあったとか。

 

【挿絵表示】

 

 貰ったアイテムは特別武器が作れる素材で、なので二人で【武具工房】に出掛けて【片手剣】と【太刀】を注文する。

 出来たものは【メラルー】を模した【ねこ手(こそ泥)】という変な名前の【片手剣】と、【キャンディスティック】というどう見ても鉤型のキャンディにしか思えないような形の【太刀】だった。

 

【挿絵表示】

 

 

【挿絵表示】

 

 

【挿絵表示】

 

「噂では、この剣で斬られた相手の心を奪うんだって」

「だから【こそ泥】なのか? 変なの」

 そう言って笑うカイに、ハナは悪戯っぽい顔でこう言った。

 

「ねぇ、斬られてみる?」

 

「そんな事しなくても、オレは君には心を奪われてるよ。とっくにね」

 そう言って抱き寄せながら唇を重ねると、「でもね」とこう囁いた。

 

「他の人は、斬らないでね」

 

 

 

 数日後、「新しい情報が入った」と隊員から連絡があった。

 しかしその情報を基に【絶対に割れないビスケット】の素材になるという【ガチガチパウダー】の材料の一つ【ガチの花】を手に入れるためには、【花畑】と呼ばれている狩場に行かなければならないと分かった。

 しかしそこに【エスピナス辿異種】が潜んでいたので討伐して欲しいとの事。

 

【挿絵表示】

 

 【辿異種】はGR200にならないと狩る事を許されない【G級モンスター】である。

 こちらは【男女ペア限定】のクエストだという事だったので二人で行けるのだが、二人のランクは【凄腕】。

 つまり100以上とはいえHRである。

 

 仲間内でGRなのはベナトールのみ。

 しかも彼は余程請われない限り、PTを組むような性格じゃない。

 更に言うと【絶対に割れないビスケット】の謎を解明して貰える【ビスケットクリーム】で作れる武器は、【スラッシュアックスF】と呼ばれているG級専用の武器であるという。

 

【挿絵表示】

 

 彼は言わずと知れた【ハンマー使い】である。

 それに普段の様子を見る限り、他の武器種に変えるつもりは毛頭無いだろう。

 

 という事で、結局他のGRハンターに頼む事になった。  

 

 

 

 

 




以前の話でも登場しておりますが、「ユニス」というのは「総合クエスト受付カウンター」を受け持っている「ガイド娘(受付嬢)」です。

前の「バレンタインイベント」の話(メゼポル探検隊が追う! 絶対に溶けないチョコレートは実在した!)と同じように、「ポルタマシュマロ」は文中のように直接手渡しは出来ず、まず男性キャラが「男性限定クエスト」に赴いて手に入れた「ポルタマシュマロ」を、「ショートメール」に添付させたものを女性キャラに送り、それを受け取った女性キャラが「女性限定クエスト」に出掛けて必要なアイテムを貰う、という流れになっています。

「エスピナス辿異種」のクエストに関しては「ベナトール」でログインして試してみたんですが、「クエストを受ける」事は出来るのに出発しようとすると「条件が満たされていません」というメッセージが出てクエストをこなす事が出来ませんでした。
「男女ペア限定」という事だったので「パートナー(ハナ)」と二人で設定すれば行けると思ったんですが、「パートナー」はPTとして認められていないようです。

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