今日も元気にメゼポルタ広場からお届けします。【完結】 作:沙希斗
「太刀」を主に使うキャラがカイしかおりませんので引き続き「カイ」が中心になっております。
依頼主の名前と依頼文は、公式のものです。
その日に張り出された【依頼書】は、一風変わった依頼主からのものだった。
何故なら依頼主の名前が【全身黒ずくめの男】となっていたからである。
そして内容文は、こんな風に書かれてあった。
『いいか、黒を愛する同志よ。
黒き者には、黒き装備で相手するのがマナーというもの。
今回の相手も、もちろん黒。
だが安心したまえ。装備はこちらで用意している。
また、今回の太刀は新作だ。
気に入ったのならば手に入るよう、協力するぞ』
「新作の【太刀】か……」
【依頼書】を見付けてそう呟いたカイは、「受けてみる?」と【ユニス】に聞かれた。
彼が【太刀】を好んで使っているのをよく見ているからである。
「その【瑠璃煌刀タンオーク】、長リーチなの。貸与されるから試せる。防具は【ブレシスFXシリーズ】」
「場所はどこ?」
「【
「あんまり行った事ないんだよなぁその狩場。【モンスター】は何?」
「【メラギナス】」
「何それ?」
カイは素っ頓狂な返しをした。聞いた事もない名前だったからである。
「私もよく知らない。最近になって発見された、【
「ふぅん」
「でも手強いから【剛種】のカテゴリーに入ってる」
「【剛種】なのかぁ……」
「カイ、資格あるでしょ」
「あるにはあるけども……」
【剛種】は凄腕ランク以上の者しか狩猟許可の下りない【モンスター】である。
だが凄腕では【通常種】に当たる【変種】よりも手強く、【古龍】などのような通常よりも強い【モンスター】が入れられているカテゴリーなのだ。
なので【変種】や【奇種(凄腕以下のモンスターでは「亜種」に当たるモンスター)】よりも当然攻撃力も高い。
「アレクにも聞いてみるよ。そんな【モンスター】だったら喜んで付き合ってくれそうだし」
そう言った彼は、【ユニス】から次のように言われて一瞬固まった。
「このクエスト、一人用」
「――ええぇっ!?」
「カイ、大袈裟」
しばしの沈黙ののち、そんな大声を出したカイに【ユニス】はいつもと変わらない冷静な口調で突っ込んだ。
【潮島】に着いたカイは【ユニス】から聞いた情報を基に、【ベースキャンプ】から道なりに行ける洞窟を目指した。
飛び下りた先は真っ暗で、日の光すら届かないような場所だった。
その暗闇に、朧気に金色が浮かんでいた。
よく目を凝らして見えたものは、黒い甲殻と細い金の縞が入ったような体色の【モンスター】。
その黒も『褐色』や『漆黒』などという生易しい色ではなく、光を吸収した完全な『闇』のような黒だった。
体形からして恐らく【飛竜種】なのだろう。
【エスピナス】に似ているような気がするので、多分その仲間なんだろうなとカイは思った。
だが奴と違ってもっと角が発達しており、鼻先の一本だけじゃなく両脇に二本、細い角があった。
その二本は金色で、角というよりは触覚のように見えた。
相手は始めただ佇んでいただけだったのだが、カイが【太刀】の柄に手を添えつつ背後からそろそろと近付いて行くと、奇妙な高い周波数の音を発しながらきょろきょろと辺りを見回し始めた。
異常に発達したとても大きな耳を持っており、文字通りに『耳をすませて』いるようだった。
そしてカイが近接する直前に反応し、その場で小さく飛び上がるようにしてカイの方に向き直った。
見付かった!
そう思ったカイだがそのまま抜刀斬りして即回避する。
間近で見て分かったのだが目が白い。
いや白いというよりはそんなレンズを被せて見えなくしているように見える。
恐らく暗闇で光が必要無くなった結果、透明なレンズはいらなくなったのだろう。
とすれば、目は見えていないはずである。
そうか、だから耳が発達したのか。
カイは対峙しつつそう思った。
『見る』必要がなくなった代わりに『聞く』事で周りを把握出来るようになったのだろう。
その証拠に真正面を避けて攻撃していれば遅れて向き直ろうとする分手数を増やせる事が分かった。
だが敵もその弱点を補うかのように、見えないままにも反動を付けて体全体でタックルして来たり、尻尾を叩き付けようとして来たり、バク転して背後に着地しつつブレスを吐いて来たりした。
それらは上手い者なら簡単に避けられるものなのだが、立ち回りが分からない時には食らってしまう。
特にブレスは金色と黒のエフェクトが交じった氷を吐くというような変わったもので、どのような効果があるのかは分からなかったが当たるとけっこう痛かった。
怒ると金色の縞の光が増し、面積が増えたように見える。
怒り時の攻撃モーションはそれ程変わった事はして来なかったが、地形破壊を伴う飛び掛かりや、直線的に溝を掘りつつ向かって来るブレスが脅威だった。
戦闘不能でキャンプ送りにされつつも、最終的にはなんとか討伐する事に成功する。
驚いたのは罠に掛らなかった事で、なのでこの【モンスター】は【古龍】と同じように捕獲は不可能なんだなとカイは思った。
角を折った時、光を全て吸収したかのような闇色の角の中身が金色だったのを見て、闇色なのは外殻だけで中身は金色なのかもと思った。
元々は金色だったのに、闇に溶け込むために外殻だけ闇色に変わったのかもしれない。
剥ぎ取ってから周りを見渡して岩壁に亀裂があるのを見付けたカイは、迎えが来るまで採掘して過ごし、帰って行った。
報酬は【メラギナス】の素材と【太刀】の生産素材(黒妖石)。
【武具工房】に持って行くと出来た【太刀】は貸与されたものと形は同じだったが、初期状態では【瑠璃煌刀アーク】というらしかった。
どうやら【タンオーク】にまで強化するには【辿異種】の【ミドガロン】を狩って強化素材(黒溶石)を手に入れないといけないらしい。
【辿異種】はG級【モンスター】であり、しかもGR200以上ないと狩猟許可が下りない。
なのでGRどころか一番下のランク帯であるHRのカイでは到底無理な話であった。
「辿異種ミドガロン」は「G級ミドガロン」より更に手強く、「火耐性」が55以上無いとたちまち炎の餌食にされてしまいます。
具体的には対策をしていないと「体力バー」が文字通り「燃やされ」、火消し(三回転がる)をしないと縮み続けます。
しかも一度「燃やされる」と力尽きるまでいくら回復しようがバーが伸びません。
ですが、ちゃんと対策をすれば闘っていて楽しい「モンスター」です。
(ただしGR800から狩れる難易度☆4は除く。あいつらは全て攻撃力が馬鹿高い上に「即死技」を持つので)
タイトルは「剛種メラギナス」を狩る方のクエスト名で、「辿異種ミドガロン」を狩る方は「黒の頂を極めし者」というタイトル名になっていました。
こちらの方は「NPC同行禁止」ではありましたがハンター同士ではPTを組めるようです。
貸与される防具は「ウィルGXシリーズ」で、「辿異種」対策で火耐性55になるようにスキル調整がされてあったので狩っていて楽でした。
(ただし咆哮の対策はされていなかったので思いっ切り耳を塞ぎました)
太刀の方は剛種では「瑠璃煌刀タンオーク」だったものが、こちらは最終強化されて「瑠璃煌刀ヴィレギュラ」になっておりました。