今日も元気にメゼポルタ広場からお届けします。【完結】   作:沙希斗

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時期が外れてしまいましたが、四月頃(2018‎年‎4‎月‎4‎日)に書いた話です。
どうせならその頃に投稿すれば良かったと今頃になって思いましたが、思い付いては続きを考えたりする書き方をしているため、書いた順番を変えると話がバラバラになってしまうと思ってそのままの順番で投稿する事にしました。


【メゼポルタ】に桜舞う時期は

 

 

 

 【繁殖期】の中頃になると、【メゼポルタ広場】に植えられた、【桜】なる木の花が咲き始める。

 

 この木は遥か東方の地方、もしくは【シキ国】という【フォンロン地方】のある大陸から南に見える島国にしか生えていない植物だそうで、どうやら【シキ国】から船で渡って来た者から聞いて種を譲って貰ったらしいのだ。

 今や【メゼポルタ広場】全体に植えられているので、この時期になるとまるで【桜レイア】のような色の可憐な花を咲かせており、その眺めはけっこう見事なものである。

 

 東方の人々、もしくは【シキ国】出身の者に特に好まれる花で、彼ら曰く「散り際が美しい」との事。

 確かに雪が降るかのように小さな花びらが散り行く様は儚げで、一気に散って行く様子には潔ささえ感じる。

 そんな花を愛でるために『花見』なるものが催されるのだと【シキ国】出身者から聞き及んだ者達は、この時期になると【桜】の下で時にはどんちゃん騒ぎをしていた。

 

 

「ふむ。中々風流じゃのぉ」

「【マスター】、こんな所で『花見』なんかしてて大丈夫なんですかい?」

 

 広場の一角で杯を交わしている【ギルドマスター】に、アルバストゥルは声を掛けた。

 ちなみに酒盛りをしている相手は【大長老】なので、その一角が物凄く目立っている。

 

「構わんよ。ここは広場全体が見渡せるでな。何かあればすぐに伝令も飛ばせるしの」

「こっちも同じじゃの。それに今の所【古龍】接近の報告は無いようじゃからの。まぁたまにはのんびりするのもええもんじゃで」

 

 上から降って来た嗄れ声を見上げて、アルバストゥルは笑顔を向けた。

 

「【大長老】様、【マスター】小さいんですからうっかり潰さないで下さいよ?」

「馬鹿言うでない。そんな事は弁えとるわ」

「そんな事言って、酔ってふらついたら分かんないじゃないですか」

「それぐらい避けるわいっ」

 

 などと話していたら、当然のように参加させられた。

 

 彼自身は酒にはあまり強くないし、そもそも集まって騒ぐという事自体が好きじゃないので出来れば早々に退出したいと思ったのだが、警護のためかベナトールもその場にいたし、【大長老】の膝の上には小さく縮こまったハナがいた。

 半ば強制的に参加させられたであろう彼女が訴えるような目で見て来たので無視しようと思ったが、「逃げるな貴様」とベナトールに肩を掴まれたため、参加せざるを得なくなってしまったのだった。

 

「ちょ、ちょい待ちオッサン。レインとカイにも声掛けて――」

「おぉカイ、良い所に来たのぉ!」

「はい、楽しそうでしたから♪」

「アレクぅ、抜け駆けはなしだからね?」

「空気読めよおめぇら……」

 

 その内他のハンターや一般人も参加して来るようになり、【大衆酒場】がそのまま外に移動して来たような騒ぎになった。

 

「おぉし! 今日は無礼講じゃ!」

 

 上から降って来た【大長老】のがなり声に、一同が歓声を上げる。

 それに調子に乗った者が歌を披露したり、踊りに発展したり、【モンスター】退治の寸劇を披露する者も現れたりして大賑わいである。

 騒がしいのが苦手な男二人(ベナトールとアルバストゥル)は隅の方で用意されていたご馳走をつついていたりしていたのだが、ベナトールは飲み比べに参加させられ、アルバストゥルは踊りや寸劇に参加させられたりした。

(踊りも寸劇もどちらもへっぽこだったので爆笑の渦になった)

 

彼自身は顔から火が出るような心境だったのだろうが、真っ赤になってむくれている様子が更に笑いを誘っていた。

 彼の性格はハンターの間では割と知られているので、みんなは彼なりに楽しんでいるのだろうと思う事にした。

 

 こういう事が好きで今までも首を突っ込んでは可愛がられていたカイは、絵になる踊りを披露して誰もが惚け、終った後は静まり返った後の大喝采を受けたりしていた。

 レインとハナ(主にレイン)は食事を運んだりなど裏方を引き受けていたが、喉自慢大会に発展したものに誘われてやんやの拍手を受けたりした。

 

 実はベナトールも無理矢理参加させられたのだが、彼の朗々と響く歌声は力強く、また【狩猟笛】のように皆を鼓舞するような高く低く、特に低く謳われる旋律は腹の底から響いて来て、聞く者皆が興奮し、感動し、終いには大合唱になったりした。

 

 

 ベナトールが飲み比べで優勝し、酔うどころか顔色一つ変えないのを見て更に尊敬の意を示された頃、「儂ゃそろそろ寝る」と【大長老】が横になった。

 潰されないように慌てて近くにいた者達が散らばり、【ラオシャンロン】もかくやと思うような鼾をかき始めた彼に、誰もが耳を塞ぐ。

 

 が、それも次第に慣れ、どんちゃん騒ぎは夜が更けても続いたのだった。 

 

 

 

 




「飲み比べで優勝したベナトールが顔色一つ変えない」という話になっておりますが、宴会がお開きになって「マイハウス」に帰った途端、ベッドに倒れたのは内緒(笑)
でも翌朝は二日酔いも無くケロッとしていたようです。


「フロンティア」では春になると、実際に「メゼポルタ広場」の一角で桜が咲き始めます。
季節やイベントなどに合わせたオブジェが設置してある場所があるんですが、そこも花見が出来るような雰囲気になります。
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