今日も元気にメゼポルタ広場からお届けします。【完結】   作:沙希斗

206 / 262
今日は七夕なので、「七夕イベント」に参加した話を投稿します。
今年のものは「タイクンザムザ」という甲殻種を狩るクエストだったんですが、HRのものを小説にするにはあまりにも弱すぎたのと、G級(辿異種)のものは四人が参加出来ないのとで去年(2018年7月1日)に書いたものを投稿します。

サブタイトルと依頼主、依頼内容は公式に書かれてあったものです。


わたしを離さないで

 

 

 

 ある日、ハナが【掲示板】でこんな依頼書を見付けて来た。

 

 ――どうも、オリヒメです。

 毎日夜空を見上げては、七夕の日が来るのを待ってるの。

 でも気になる彼との距離を簡単に近づけてはダメ。

 恋の駆け引きとしてはうまく遠ざかる刺激も必要になってくるのよ。

 

 

 

「もうそんな季節になったんだねぇ」

 依頼書を見たカイは、感慨深げに言った。

 

 ちなみに【七夕】というのは東方つまり【シキ国】辺りで行われる、季節ごとの風習の一つだそうな。

 

 なんでも、遥か昔に【織姫】【彦星】と呼ばれていた二人の男女があまりにも仲が良過ぎて仕事をしなくなった事に罰として引き裂かれ、一年に一度だけの、【温暖期】のある一日だけ会う事を許されたという逸話があるのだとか。

 彼らは夜空の星になり、天の川を挟んで離れ離れになっているのだという。

 そして一年に一度だけ、天の川に【カササギ】という鳥が橋を掛け、逢瀬を許されるのだとか。

 しかしそのたった一度だけの逢瀬の日に雨が降ると天の川の水量が増して【カササギ】が来ず、会う事が出来なくなって嘆き悲しむという。

 そしてその涙が地上に落ちるので、その日に雨が降る事を【催涙雨(さいるいう)】というのだとか。

 

 

「なんか、可哀想な話よねぇ」

「だねぇ、わざわざ離れた星座にある星を【織姫】【彦星】になぞらえなくても良いと思うけどな」

 

 しみじみ言うハナにカイは同感した。

 ちなみに依頼主である【オリヒメ】なる人物は、この逸話に出て来る【織姫】とはまったく関係の無い人物だと思われる。

 だが何故か【七夕】が近付く時期になると、こうやって依頼を出して来るのである。

 つまり、この依頼主も一年ぶりに見掛けた、という事になるのだ。

 

 

 さて、ターゲット【モンスター】はと見てみると、【ゴゴモア】と書かれてあった。

 しかも上位ではなく、HR1から参加可能との事。

 

「これなら二人でもやれるね」

「そだね」

 という事で、今回は二人だけで行く事にした。

 

 

 

 【潮島】に着くと、やはり下位の者でも出来るように【支給品】がたっぷりと入っていた。

 ので、【応急薬】やら【携帯食料】やら、役立つアイテムを取っておく。

 中には【支給用大タル爆弾】なども入っていたので、カイが一応取った。

 もしかしたら仕掛ける事が出来るかもしれないと思ったからである。

 

 【ベースキャンプ】から海岸を通って道なりに地図で言う《1》に出ると、遠くの樹冠にぶら下がっていた【ゴゴモア】がいた。

 

 【潮島】は狩場として提供されている場所全体に木々が生い茂っており、しかもその木は空を覆い尽くさんばかりに頭上に枝葉を茂らせているため、それを利用して生活出来るように進化したらしい【ゴゴモア】が、常に掌から分泌される蜘蛛の糸状のものを使ってぶら下がっては移動しているのだ。

 

 エリアに入った途端にこちらに気付いた【ゴゴモア】が、ぶら下がったままゆっくりこちらに向き直り、咆哮する。

 

「しっかし、よくあんなでっかいのがぶら下がってて枝が折れないよなぁ」

「案外見た目よりは軽いのかもよ?」

「かもな」

 

 などと話している内に、糸を交互に繰り出しつつ近付いて来た。

 真上まで来ると落ちて来て潰されてしまうので、二手に分かれて避ける。

 落ちて来た相手は左右に首を巡らせると、二人を撒き込む様に大きく腕を振りつつ体ごと回転した。

 反動で長い尻尾が伸びるので、以外にも攻撃範囲が広い。

 大袈裟に避けた二人は、地面にいる間にと両側から斬り込んだ。

 

 が、大人しく切り刻まれる相手ではない。

 

 連続で爪を叩き付けたり、地面に付けた糸を手繰るようにして器用にその場から離れたり、バックジャンプしたりしてぶら下がっていなくとも多彩な攻撃を仕掛けて来る。

 だが、地面にいる間の攻撃として、一番の真骨頂はこの攻撃だろう。

 

 突進などで遠くに離れた【ゴゴモア】は、おもむろに地面に両手から出した糸を付けるや、それがゴムであるかのように、伸ばしながら体を曲げて踏ん張った。

 その様子から察するに、自分の体を糸の反動で撃ち出す攻撃をして来ると分かる。

 

 そう。まるで自身がパチンコの弾であるかのように。

 

「わぎゃっ!?」

 狙われたカイはそんな悲鳴を上げ、吹っ飛ばされた。

 

「ちょっと、大丈夫!?」

 心配そうに声を掛けるハナに、カイはバツが悪そうに起き上がりつつこう言った。

 

「カウンター、失敗しちゃった」

「やだカイ、カウンターなんか狙ってたの?」

「まあね」

 

 『カウンター』というのは【ゴゴモア】が糸を用いた攻撃をする際、攻撃を食らう直前にこちらから攻撃を仕掛ける事により、大ダメージを狙える攻撃の仕方の事である。

 それはぶら下がり時の攻撃でも良く、それぞれの攻撃に応じたタイミングを間違えずに上手く決める事が出来ると、【ゴゴモア】の体内組織(よく分かっていないが筋肉組織辺りだと思われる)が爆ぜ、通常の十二倍のダメージを与える事が可能なのだ。

 

 カウンターが決まるとこちらは無傷で済む。

 ただし、失敗すればこちらが大ダメージを与えられる重症もしくは瀕死覚悟の攻撃になってしまう。

 なぜなら、糸を使う攻撃は反動を伴う分直に攻撃されるより勢いがあるため、通常攻撃より攻撃力が高いからである。

 

 カイはアレクトロがよく狙っていたのを見ているため、下位で攻撃力が低いのを利用して、挑戦してみたのだ。

 

「無理に狙わなくても、すんごく体力低い【モンスター】なんだから、普通に攻撃してればすぐにやっつけられると思うよ」

「そうなんだけど、やってみたかったんだよ」

 

 それを聞いて「んじゃ私もっ」と挑戦してみたハナであったが、やはり失敗して吹っ飛ばされ、「いたた……」などとぼやいていた。

 そんな二人の様子を見て、【ゴゴモア】の背中にいつも乗っかっている【ココモア(子供)】が、馬鹿にするかのように歯を向いて自分のお尻をペンペンしたりしている。

 

 それを腹立たしく思いつつも、それでも可愛いと思った二人であった。

 

 

 下位だからなのか、それとも他の【モンスター】と比べて極端にさえ思える程体力が低いからなのか、ほぼ移動される事無く討伐出来てしまった。

 あっけなく思いながらも剥ぎ取ろうとしていたカイは、うっかり【支給用大タル爆弾】を置いてしまう。

 そういや使わなかったなと思いつつ、ついでにもう一個置く。

 二個セットになっていたからだ。

 手持ちが軽くなったと剥ぎ取りを再開したら、死角になっていたのかハナが知らずにそれを蹴ってしまい――。

 

 当然のように爆音と共に二人は【ゴゴモア】の死体から飛ばされた。

 しかも死体が爆発した事により、剥ぎ取り箇所が少なくなってしまって良い素材が剥ぎ取れなくなった。

 

 カイは憤慨されたハナに、帰ってからなけなしの金で高い食材の料理を奢らされましたとさ。

 

 

 ちなみに報酬は【ササ姫の恋文】というアイテムで、【片手剣】の生産素材だったそうな。

 

【挿絵表示】

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

 




こうやって死体に爆弾を仕掛けておき、剥ぎに来た仲間を自分共々吹っ飛ばすという悪戯を実際にやっていたのは私です(笑)
てか、逆にやられた事もありました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。