今日も元気にメゼポルタ広場からお届けします。【完結】 作:沙希斗
何故なら七夕が私(アルバストゥル)の誕生日だからです。
誕生日の時期にたまたまこんなイベントクエストがあったため、目出度いものとして誕生日と絡めて書きました。
「挿絵」もその時に撮影しています。
ただし今年は「復刻アニバーサリー」の一環として2019年7月17日(水) メンテナンス終了後~2019年9月4日(水) メンテナンス開始まで配信されるイベントの一つらしいので、去年(2018年7月7日)に書いたものを投稿します。
依頼主(親方)のセリフ(クエ出発前の一部)、依頼書の内容などは公式に書かれてあったものです。
その日、【武具工房】で【親方】と話していたアルバストゥルは、思い付いたようにこう聞かれた。
「そういやぁ、おめぇさん今日誕生日なんじゃあなかったか?」
「えぇ、まぁ……」
曖昧な表情で答えた彼。
別段嬉しいとも思わなかったからである。
「なんでぇなんでぇ、そう言うめでたい事はサッサと言うもんだぜぇ?」
「はぁ……」
「んじゃ記念のたい剣を作ってるやるからよ、材料調達と、ついでにたい古より伝わるけったいな験担ぎを頼みたい」
「なんすかその験担ぎってのは?」
そう聞いた彼を無視するように、【親方】はこんな事を言った。
「まあ良いから一人で行って来な。必要物と指示は随時送るぜ! なあにたい変なことはねえ! 絶たいに期たいに沿う渾身の一発を披露してやるぜ!」
正式なクエストとして【依頼書】を出しておいたという事だったので【ユニス】の所へ行ってみると、こんな特殊条件が書かれてあった。
『ビンと弾以外のアイテム持ち込み不可』
しかも、【マストオーダー】の一つが『???』になっている。
「また随分いい加減な【依頼書】だなオイ……」
アルバストゥルはぼやきつつ、とにかく指定狩場になっていた【密林】へ行ってみる事にした。
キャンプからの出発だったので【支給ボックス】を覗くと、【モドリ玉】があるのを見付けた。
それを取るついでに一緒に入っていた【応急薬】【携帯食料】【携帯砥石】も取っておく。
今回はアイテム持ち込み不可だったので、ギルドの支給が大変有り難かった。
【マストオーダー】の一つが『【リオレイア亜種】の頭部破壊』となっていたため、まずはそれを済ます事に。
【彼女】の初期位置は大抵決まっているのでそちらに駆けて行くと、案の定《10》で佇んでいた。
「ヘイ【彼女】、遊ぼうぜぇ!」
気付いて威嚇した【彼女】にそんな軽口を叩きながら斬り掛る。
【リオス科】の【モンスター】とはある程度会話出来る彼ではあったが、今は【仕事】として来ているので【リオス語】で語り掛ける事はしなかった。
頭を中心に攻撃していって早々に頭部破壊を済ませ、「相手してくれてありがとな!」と即座に【モドリ玉】でキャンプへ。
依頼内容は狩猟ではなく単なる部位破壊だったため、後の事は無視した。
部位破壊のクリア条件を満たしたとして【支給ボックス】の中に【ピッケル】が送られて来たため、それを使ってもう一つの【マストオーダー】【鉄鉱石】二個を掘る。
それを【納品ボックス】に納めたら、何故か【釣り蛙】が【支給ボックス】に入っていた。
「っつう事は、もしや謎の【マストオーダー】っつうのは……」
察しが付いたアルバストゥルだったが、一応念のために一緒に入っていた【親方からの伝言】と書かれたメモを見てみた。
『たい漁祈願のためのガノトトスの一本釣りというたい役を任せたい』
「やっぱガノ釣りなんじゃねぇかよ」
苦笑して突っ込みつつ、地図で言う《4》へ進んでみると、そこに【ガノトトス】だけじゃなくて【彼女】も来ていた。
これはやめといた方が良いな。
そう考えた彼は一旦エリア外に出て、【彼女】がいなくなるまで待つ事にした。
何故なら発覚状態になってしまうと【ガノトトス】は釣れないからである。
しばらく待って様子を見、【彼女】が飛び去ったのを見計らって改めて《4》へ。
その頃には【ガノトトス】もいなくなっていたため、隣のエリアである《3》へ行ってみた。
湖はそちらにも続いているからである。
件の【ガノトトス】は一応いたにはいたのだが、うっかり見付かってしまったので再び《4》へ戻ってこちらに移動してくれるのを待つ。
隠れて待っていると運良くすぐに帰って来てくれたため、こっそり波打ち際まで近付いて、【釣り蛙】を針に着けて竿を投げ入れた。
それでも見付かってしまったが、辛抱強くそのまま竿を固定していると、やがて【釣り蛙】に集中して彼の事は無視するようになった。
つまりそれ程【ガノトトス】にとっては【釣り蛙】が好物であるらしい。
見詰めていると、浮きが不意に勢いよく沈み込んだ。
「うぉっしゃあぁっ!」
掛った【ガノトトス】を逃がすまいと、踏ん張りつつ竿を引く。
相手も釣られまいと暴れ回る。
その攻防を繰り返し、最終的にそれを征したのはアルバストゥルの方だった。
「うぉりゃあぁっ!!」
気合諸共思い切り反り返りつつ竿を振り上げる。
釣り上げられ、勢い余って地面に叩き付けられた相手は、魚よろしくビッタンビッタン跳ね回っている。
「どうでいっ!」
誰もいやしないのにドヤ顔でガッツポーズしたアルバストゥルは、まだ跳ねている【ガノトトス】を無視して帰って行った。
全ての【マストオーダー】をクリアしたからである。
他のハンターならばついでにどちらの【モンスター】も狩ったのかもしれないが、彼は基本的に無益な殺生はしないタチである。
なので狩猟クエストとして指定されていないのならば、わざわざ狩る必要は無いと判断したのだ。
【街】に帰って報告すると、報酬として受け取ったのは【たい変めでたい品】というアイムだった。
「なんじゃこりゃ???」
困惑しつつも【親方】に渡すと、「おぉ、良く頑張ったな!」と弟子と一緒に何やらカンカン作り始めた。
「多分今日中に出来るからよ。楽しみに待っといてくれや」
嬉しそうにカンカンやってるのをしばらく見ていたアルバストゥルだったが、まあ任せておこうと【武具工房】を出て行った。
少しして(ハナに捕まったのもあって)ついでに仲間と共に来てみると、親方は得意満面に「出来たぜ!」と【あるもの】をカウンターにドカンと置いた。
それは、赤く大きな魚が釣り針に掛かり、それを釣った竿と一体になったかのような【大剣】だった。
「俺からの誕生日プレゼントだ。【大剣】使いのおめぇさんにピッタリだと思ってよ。こういう形にしてみたのよ」
ドヤ顔でふんぞり返ってそう言った【親方】だったが、アルバストゥルは複雑な顔になっている。
「凄いじゃないアレク♪ ほら嬉しそうな顔しなさいよっ」
ハナはまるで自分が誕生日プレゼントを貰ったかのように顔を輝かせた。
「【親方】これ、何て言う魚?」
カイはその特徴的な魚に興味津々になっている。
「こりゃ多分、【鯛】だな」
代わりに答えたのはベナトールだった。
「おぉ流石だ、よく知ってたな!」
【親方】は感心して言った。
「なんでその【鯛】なわけ?」
「遥か東方、つまり【シキ国】辺りではな、この【鯛】とやらが縁起の良い魚として目出度い行事に使われたりするんだと。で、目出度い誕生日によ、こいつのために一肌脱ごうと思ったってぇ訳だ」
「もしかしてよ」
その時、それまで黙っていたアルバストゥルが口を開いた。
「【依頼書】の内容のヘンテコな字の使い方とかよ、メモのとかよ、依頼を頼む時の変な物言いとかよ」
そこまで言って、アルバストゥルは全て察した顔で言った。
「
「やはり察しが良いなおめぇさんは、その通りだ」
その言葉を聞いてここに来る前に彼からクエスト内容などの話を聞いていたカイとハナは、「あぁ! そう言う事か!」とか「シャレだったのねっ!」などと合点している。
そんな中、男二人は無言でただ苦笑いしていた。
めで鯛のは良いんですが、これ斬れるんでしょうかね?(笑)
ちなみに最終強化して「鯛剣【太鼓判】」になると、無属性ですが攻撃力2827で水色ゲージの付くものになります。
【辿異武器】のカテゴリーに入っているものなので一つだけ辿異スキルが備わっており、装備するだけで〈耐震強化+1〉の恩恵を受けられます。