今日も元気にメゼポルタ広場からお届けします。【完結】 作:沙希斗
なぜか彼女は一度「下りた」ら「下ろし」易くなるみたいで、たまに「下りて」来るようになってしまいました。
カイはまったく「下りて」来ないのに、なぜだ……。
この口調、私自身は気持ち悪いと思っているというのに。
「ねぇベナぁ、【モンスター】にさ、女の子っているの?」
ある日ね、ふと気になって、そう聞いてみたの。
だって【モンスター】ってさ、乱暴なイメージしかないじゃない? でも男の子ばっかりじゃないような気がしたのよね。
「そりゃ奴らだって子孫残して繁栄してるんだから、雄もいりゃあ雌もいるさ」
「女の子って、どんな姿してるの?」
「見た目にゃ殆ど変わらんが、【ハンターズギルド】が名前で区別している奴もいるんだよ。【リオレイア】とか【ナナ=テスカトリ】とかな」
「ふうん……」
「会ってみるか?」
「うん! 会ってみたいっ」
それで、【樹海】に行く事になったの。
地図でいう《1》、つまり【ベースキャンプ】から出てすぐの所に、【彼女】はいた。
緑色の体の……。えっと、【リオレウス】っていう【モンスター】によく似てる女の子。
女の子なんだけど……。
「なんか、ムダ毛が多くない?」
開口一番口をついて出たのは、そんな言葉。
だって、背中がやたらと毛深いんだもん。
「あのなぁハナ。【モンスター】が毛の処理をする訳がないだろう」
ベナは呆れてる。
話が聞こえたのか、【彼女】はこっちを向いて吠えた。
おっきな声! あたしは耳を塞いでしまった。
そこに突進! でもベナがあたしを掻っ攫って、高台の上に放り投げてくれた。
当然ベナは轢かれたけど、へっちゃらな様子で立ち上がった。
ベナって、ほんとタフよね。
向かい合うと、【彼女】はブレスを吐いた。
ベナはころんって転がって、ブレスを避けた。
そして近付いて、頭を【ハンマー】で殴ったの。
【彼女】は頭をぶるんって振って、噛み付こうとした。
振り上げを当てて怯ませて、その隙に縦二回。
そうしたら、ひっくり返っちゃった。
それでも頭を殴り続けるベナ。なんか可愛そうなんだけど、【ハンマー】は頭を殴った方が、攻撃しやすいんだって。
起き上がった【彼女】は、特大に吠えた。
あたしは怖くなったんだけど、それでも見ようと思った。
ベナだけ闘ってるのに、一人だけ【ベースキャンプ】で待つのもなんかイヤだし。
怒った【彼女】は二、三歩下がると、足で地面を蹴ってくるんって後ろに回転して、尻尾をベナに叩き付けようとしたの。
【サマーソルト】っていわれる攻撃らしくて、尻尾の先っぽにある毒を、相手に叩き付けてるんだって。
ベナは予備動作で見切って、簡単に避けてた。
ビックリしたのはね、怒ると三連ブレスを吐く事!
しかも同じ所じゃなくて、首をずらして三ヵ所別々に吐くのよね。だから避け辛いはずなんだけど、ベナは当たらないのよねぇ~~! こっちにもビックリだわ。
頭ばっか狙うから、鱗が剥げて痛々しい姿になっちゃったわよ。【彼女】。
女の子なのにぃ~~。
捕獲して【クエストクリア】して帰ったら、ベナがなんか嬉しそうにしてた。
何事かと思ったら、報酬で【雌火竜の紅玉】を貰ったんだって。
見せてもらったら、すっごく綺麗な紅色の玉。まるで中に炎があるみたいに揺らめいてるの!
かなり貴重なものらしくて、流石に貰えなかったんだけど……。
う、羨ましくなんて、ないんだからねっ!
文中では「掻っ攫って放り投げた」となっていますが、ゲーム内ではそう言う事は出来ませんので挿絵では打ち上げで高台に飛ばしてます(笑)
「雌火竜の紅玉」も「紅色の玉」と書いていますが、実際のアイコンは緑色です。
捕獲報酬で紅玉が貰える事があるので、こういう書き方にしてみました。