今日も元気にメゼポルタ広場からお届けします。【完結】 作:沙希斗
「気持ちいーねっ♪」
ハナは、【森丘】の緩やかな丘の上に立ち、思い切り伸びをしながら言った。
【温暖期】の時期ではあったが、【シルトン丘陵】は風が吹くと結構涼しかった。
「そうだねー♪」
同じように風に吹かれながら、こちらも思い切り体全体を伸ばしながらカイが言う。
二人は狩猟のためにここに来ているのだが、その目的を忘れるぐらい気持ち良かった。
《エリア1》と呼ばれるキャンプから出てすぐのこの場所は大抵【アプトノス】の生息地となっており、今もその群れがそれぞれで草食む様子を観察出来る。
この【草食竜】は非常に大人しく、こちらから何かをしない限りは特には危険性はない。
例えこちらが攻撃したとしてもせいぜい逃げるか子供を護ろうとして大人が尻尾を振り回して来るぐらいなので、ハンター達は脅威の対象どころか自らの食糧として【生肉】を剥ぐ対象としか見ていなかった。
後は意外にも力が強く、また忍耐強いため、手懐けて【竜車】を引く対象としても見られる程度だった。
かく言う二人もその【竜車】で来たばかりなので、【アプトノス】とは幌付き車に繋がれているかその辺で草を食んでいるかの違い程度しか見ていなかった。
つまりハンターにとって、それ程身近な【モンスター】だという事である。
そんな【アプトノス】だが、今は【生肉】も充分にあるので二人は無視する事にした。
一応【竜骨(小)】が取れるので欲しければその対象とする事も出来るのだが、そのアイテムは【アプトノス】だけでなく【ランポス】でも取れるし、わざわざそのために狩らずとも拾えるため、そんな理由で【彼ら】の命を脅かす事もない。
まあ、中には【モンスター】と見れば屠らずにはいられないとばかりに、『無意識に』無抵抗な【彼ら】にさえも武器を向ける輩もいるらしいが。
さて。
エリア全体に生えて草原となっている丈の短い草に座り込み、そんな【彼ら】を見るともなしに見ていたハナは、あまりにのんびりしたこの雰囲気に、眠くなってしまった。
【彼ら】がいる場所より高いこの場所に吹き渡る風が気持ち良く、彼女はごろんと寝ころんでしまう。
今回の狩猟相手は【イャンクック】で、従って相手が食糧として見ない【アプトノス】のいるこのエリアには、(地形の関係で大型【モンスター】が降りられないという理由もあって)まず来ないと言ってもいい。
なので、本来ならば一刻も早く他のエリアに探索に出ないといけないのは彼女も分かっていた。
が、眠気に負けて、とうとう眠ってしまった。
「……ハナ?」
彼女に付き合って景色を眺めていたカイは、自分がボーッとしている間にいつの間にか相手が寝てしまっていた事に気付いて呆れた。
アレクだったら見た瞬間容赦無く蹴り起こすんだろうなとクスリと笑いつつ、起こそうと手を伸ばして、やめる。
彼女の無防備な寝姿が、あまりにも可愛らしかったからである。
一応、ここに【ランポス】が来る事もあるんだけどなぁ。
そんな事を思ったカイだったが、自分も横向きに寝ころんで、そしてそうっとハナを抱え込んでみた。
ハンターの平均身長よりやや低い程度の彼だったが、ハナの上半身はすっぽりと腕の中に納まってしまった。
間近になった彼女の寝息が、体を曲げた事によって密着した自分の顔にかかる。
おでこや鼻の頭にキスしてみたけれど、ハナは少し身じろいだだけで目を覚まさなかった。
愛し気に頬や髪などを優しく撫でている間に、カイも眠くなってしまった。
早く、【イャンクック】を探さないと……。
そう思いながらも睡魔に勝てず、カイはハナを抱え込んだ格好のまま眠ってしまった。
二人が目を覚ましたのは、【クエスト終了】の笛を聞いた時だったという。
こんな事をしたら依頼者の信用丸潰れなんですけどね(苦笑)
まあ、たまにはこんな穏やかな日もあるという事で。
カイも男の子なので、こうなったら最後までヤらせようとも思ったんですが、18禁を書くつもりは無いのでやめました(笑)