今日も元気にメゼポルタ広場からお届けします。【完結】 作:沙希斗
「アレク、【白水晶の原石】を運ぶ依頼を受けたんだけどさ。手伝ってくんない?」
「ったくおめぇは。んな面倒臭ぇもんを頼まれてんじゃねぇよ」
「だってさ、【宝石券】が貰えるんだもん」
「んなもん何に使うんだよ?」
「えっとね。たぶん【双剣】の強化に必要だったはず……?」
「たぶんってお前なぁ……」
相変わらずの適当発言に呆れながら、アレクトロはカイに付き合ってやる事にした。
【沼地】の洞窟にある物なので、【ホットドリンク】を飲みつつその原石がありそうな箇所を【ピッケルグレート】で掘る。
大きな塊がゴロンと出て来たので、「どっこいせ」と両腕に抱えて運び出す。
これを【ベースキャンプ】にある【納品ボックス】に収めれば、【クエストクリア】なわけなんだが……。
クエェ~~!
洞窟を出てえっちらおっちら運んでいると、そんな声を発しながら、突如突っ込んで来たものがいた。
「だーもぉお前は! 嬉しそうに突っ込んで来んじゃねぇよ!」
当然のように【白水晶の原石】を落っことし、割ってしまったアレクトロが、苦笑いして言う。
「【ゲリョス】は光り物が大好きだからねぇ……」
まだ【原石】を落としてなかったカイが、仕方ないなと言いたげに答える。
しょうがないので落としたついでに自分が引き付けて、その間にカイに運ばせる。
だが一回納品したら終わりじゃなく、三回繰り返さなければならないため、何度も落とすハメになってしまった。
初めこそ【ゲリョス】との追い駆けっこを楽しんでいたふうのアレクトロだったが、こう何度も落とされると流石にキレた様子。
「いい加減にしやがれてめぇ!」
言うや否や戦闘モードに入り、運搬そっちのけで【ゲリョス】と格闘し始めた。
「しょうがないなぁ、もぉ……」
カイは苦笑しつつ、アレクトロを囮にして運搬した。
それでも他の邪魔(【ランゴスタ】とか、【ブルファンゴ】とか)が入って落っことしたりして、中々納品が進まなかったのだが。
カイが運搬を済ませた頃には【ゲリョス】の鶏冠は砕けてしまっていたのだが、無駄な殺生を嫌うアレクトロは、カイがクリア条件を満たしたと知るや、相手から背を向けて一緒に【街】に帰ったのだった。
余談だが、【ゲリョス】の鶏冠は放って置けば再生するため、討伐さえしなければまた元通りになる。
ので、始めから殺す気の無かったアレクトロは、【ゲリョス】を相手取る事は今回はお遊び程度にしか考えていなかった。
「パートナー(及びクエに同行するAIキャラ)」は敵を倒す事でしか働かないので、運搬の手伝いはしてくれません。
(一応指示すれば罠をかけたり「生命の粉塵」や「回復笛」などで助けてくれはしますが)
ので、挿絵に映っているカイは手ぶらで付いて来てます(笑)
「光り物が好き」というカイの発言通り、「ゲリョス」は鉱石を運んでいると必ず同じエリアにやって来ようとします。
なので、どこにいるかが分からない場合、わざとそれを逆手に取って誘き寄せる事が出来ます。
(「フロンティア」だけかもしれませんが)