今日も元気にメゼポルタ広場からお届けします。【完結】   作:沙希斗

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これは「守護者であるならば(第215話)」に出て来た外装の色違いが作れるイベントクエストに参加した話です。
話自体は去年(2018年8月18日)に書いたものですが、今年も2019年7月17日(水) メンテナンス終了後~2019年9月4日(水) メンテナンス開始まで開催されております。
サブタイトルはその中のHR3から参加出来るクエストのクエスト名です。

依頼主のメッセージや依頼文などは公式に書かれてあったものです。



こんな催し物もあるんです

 

 

 

 以前「【モンスター】に招待状を奪われた!」と大騒ぎしていた【従者ネコ】が、「御主人様からの言伝ですにゃ」と【ハンターズギルド】にやって来て、今度はこんな依頼を持って来た。

 主人の言伝とは、こんな内容であった。

 

 

『~館の主より~

 

 ハンターの諸君、御機嫌よう!

 以前は私の従者ネコが世話になったそうだね。

 奪われた招待状を取り返してくれた事、感謝するよ。

 …そうそう。それを聞いて私は思いついたんだ。

 今回の企画を、ね!

 私は今回、人ではなく、モンスターらに宴の招待状を渡した!

 君たちには、招待状ではなく、挑戦状をプレゼントしよう!

 モンスターから招待状を奪い集めた者は、私の宴(豪華景品付き)に参加する権利を獲得する。

 全てのモンスターに渡した訳ではないが、強いモンスターほど多くの招待状を渡したよ。

 というわけで。どんどん招待状を集めてくれたまえ!

 …本当にモンスターが宴に来ては、もてなしに困るからね!

 ハハハハハ!』

 

 

「……。【挑戦状】、ねぇ……」

「まったく、あの主人も懲りない方よのぉ」

 

 半ば呆れたように呟いたベナトールに、【ギルドマスター】は賛同した。

 どうもあの館の主人は宴好きらしいのだが、今回はハンターが【モンスター】絡みなら何でもやってくれるのに味を占めたらしく、妙な催しを思い付いたらしいのだ。 

 彼本人としては宴に参加する気などさらさら無いのだが、ハナに場数を踏ませようという魂胆なのか【大長老】が今回も依頼を受けるように言って来たため、仕方なく最初の依頼を受けた。

 その依頼文にはこう書かれてあった。

 

『招待状を集めるには、大型のモンスターを倒す必要がある。

 単純明快ではあるが、それ故、逆に退屈にも感じるだろう。

 なればと思い、少し変わった趣の催しも用意したというわけだ。ハハハハハ!

 では、励んでくれたまえ』

 

 マスターオーダーは『モス10頭の討伐』となっていたのだが、サブオーダーが『こんがり肉1個の使用』という変わったものだった。

 しかもアイテム無所持で挑まなければならないという。

 【携帯肉焼きセット】を支給するという事だったのでそれを使って【こんがり肉】を作れという事だろうとベナトールは考えた。

 最初から【こんがり肉】を用意出来ないので、恐らく【モス】を狩って【生肉】を剥ぎ、それを焼いて作れという事なのだろう。

 前回のように武具を貸予されるのかと思ったが、今回は防具無しな上に【ハンターナイフ】で挑まなければならないようだ。

 

「まぁ、相手が【モス】だしなぁ……」

 ベナトールは一応納得した。

 

 

 狩場はというと【大闘技場】だったので、指定されたそこへ【インナー】のまま入る。

 【支給ボックス】を覗くと【携帯肉焼きセット】一つのみがポツンと入れられていた。

 

 まぁ、【モス】なら回復系などいらんがな。

 

 そう思いつつ取り出して【ポーチ】に入れ、中に足を踏み入れると、一番奥の中央付近に明らかに【モス】とは違う【モンスター】がいた。

 そいつはハンターの食べる【こんがり肉】の何十倍もの大きな【生肉】を与えられており、一心不乱に食らい付いていた。

 

【挿絵表示】

 

 【モス】以外の存在に一瞬固まったベナトールにつぶらな瞳を向けた相手は、食事を邪魔されたと思ったのか吠えた。

 そして巨大なサンショウウオを思わせる体をぶるんと震わせると、あぐあぐと馬鹿でかい口で地面を食らうようにしながらこちらに真っ直ぐ突進して来た。

 

 そこにいたのは【パリアプリア】という【モンスター】だった。

 

 突進自体は早くないので開始を見て歩いても簡単に避けられる。

 だが相手はそれを何度も繰り返す傾向があるために、振り向きの角度を読まなければ轢かれてしまう。

 周囲には沢山の【モス】が放されており、ベナトール自身は避けられても【彼ら】はどんどん轢かれて死んでいった。

 マストが【彼ら】の討伐なので自分から手を下さずに討伐出来るなと思いつつ、【呑竜(どんりゅう。パリアプリアの別名)】の様子を見つつ剥ぎ取ってみる。

 が、【生肉】が中々剥げず、体表に生えている【アオキノコ】やら【特産キノコ】やらばかりが剥げてしまう。

 ようやく【モス】の本体に【剥ぎ取り用ナイフ】が到達したと思っても、【苔皮】ぐらいしか剥ぎ取れない。

 

 そうこうしている内に10頭の条件を満たしてしまったらしく、「クリアしましたので【大闘技場】から出て下さい」と監視していたギルド関係者に言われてしまった。

 

 だが、マスト達成の報酬は【こんがり肉】だけであった。

 このクエストの報酬には【華燭解放券D】という【外装】用の製作レシピが貰えるはずなのである。

 

 数をこなさねばならんのか、それともサブクリアで初めて貰えるものなのか……。

 

 そう考えたベナトールは、今度はなるべく【呑竜】に轢かせないようにしながら【生肉】が出るまで剥ぎ取ってみる事にした。

 運良く剥ぎ取れたならば、後は焼くのみ。

 だが相手がずっと突進を止めなかったりいきなり飛び付いて来たりと忙しいため、隙を見て【こんがり肉】を作らねばならなかった。

 焼き加減のタイミングは〈肉焼きソング〉が身に染みているのでそれに合わせ、逃さず上げる。

 

【挿絵表示】

 

「上手に焼けましたっ」

 

 呟いて、出来た【こんがり肉】をおもむろに齧り付いてみる。

 『使用せよ』というサブだったので、自分で使ってみたのだ。

 なぜなら【呑竜】に与えても【生肉】しか食べないからである。

 

 その後メインもクリアしたので【大闘技場】を出てみると、「サブクリア達成おめでとうございます」とその報酬として【華燭解放券D】を渡された。

 

【挿絵表示】

 

 やはりサブオーダーをクリアしなければならなかったのだ。

 

 ちなみに余談として、このクエストには『一度でも力尽きれば失敗する』という厳しい条件が付いていたという。

 

 

 武具工房に持って行き、ハナに同行するための【華燭外装】を作ってもらう。

 出来たそれは、前回の白に赤いマントの付いた、特に女物は清楚な感じのする物ではなく、黒い甲殻を繋げた鎧に白いマントの付いた、まったく真逆の見た目の物だった。

 

「まるで悪役の貴族みてぇだな」

 着替えたハナと並んで、ベナトールは苦笑した。

 

【挿絵表示】

 

 

【挿絵表示】

 

 【外装】自体はこのクエストで作れたのだが、【招待状】自体は言伝通りに【モンスター】から奪わねばならないとの事。

 が、相手は【辿異種】の【ドラギュロス】だという事が分かった。

 しかも今回は難易度☆1ではなく☆2のものを指定されていた。

 その難易度を狩れる資格はGR400から。

 なので、今回も凄腕クラスのGRハンターに任せる事になった。

 

 外見に恐れを成したのか今回の宴は【サンドリヨン】騒ぎも無く滞りなく終わり、ハナはホッと胸を撫で下ろした。

 一方ベナトールの方は、ただ退屈なだけの宴だったなと思っていた。 

 




例によって「パートナー」には「外装」が使えませんので、「ハナ」にはGR専用のクエの方に行って防具の生産券を貰って着せています。
ちなみに「難易度☆2の辿異種ドラギュロスを十五分で狩れ」というものでした。
ベナトールは外装の方です。

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