今日も元気にメゼポルタ広場からお届けします。【完結】   作:沙希斗

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これは去年(2018年9月10日)「夏はまだ終わらない」という、「キュールF」という「外装」が作れるイベントクエストに参加したのを書いたものです。
今年のものはまだ配信されていないのか、それとも来週あたりに配信されるのかは分かりませんが、とにかくクエストがありませんでした。
なので挿絵は去年撮影したものです。

依頼主のセリフ、依頼文、謎のメモなどは公式に書かれてあったものです。
相手の性格はその文を見て私が勝手に想像して書きました。


少し長め(六千字超え)です。



夏はまだ終わらない

   

 

 

 

「よぉよぉ! なに辛気臭い顔してんだよっ!」

 

 一人で【メゼポルタ広場】を歩いていたアルバストゥルは、いきなりそう声を掛けられて背中を思い切り叩かれた。

 

「ぐほっ!? いってぇな誰だよ?」

 

 向き直った彼は、もう毎日が楽しくて仕方がないとでも言いたげにニコニコ笑っている陽気そうな男に不機嫌そうに言った。

 

「最近よぉ、周りのハンターたちの元気がないと思わないかい?」

 

 男は自己紹介もせずに気安く話し掛けて来る。

 一般人であるらしい。

 

「どうやら夏が終わることに悲観しているって話だ」 

「【温暖期】が終るぐれぇで悲観なんぞすっかね?」

 

 そんな彼の呟きを無視し、男はなおも続ける。

 

「オレに言わせればよ、『おいおい、夏はまだ終わっちゃいないぜ?』って話だよ」

 

 そう言うと男はここぞとばかりにアルバストゥルの肩を抱き、周りにも聞かせるようにしてこんな事を言った。

 

「そんなわけで元気になれる夏らしいクエストと報酬を用意したぜ! ただし、今回用意した2つのクエストは、両方ともクリア条件を隠してある」

 

 周囲のハンターがざわつくのを見て男は「おいおい、慌てるなって」と笑い、ますます嬉しそうに声を張り上げた。

 

「支給品に【メモ】があるからそれを頼りに、クリアしてくれよな! あ、ただし防具は貸与でアイテム無しってのは飲んでくれ! 武器は自由にして良いぜ!」

 

 そして「それじゃ、全力で、夏を、楽しもうぜ! ウェェェイ!」とアルバストゥルに手を振りながら去って行った。

 

「何なんだあいつは……」

 

 残された彼は呆気に取られて陽気さを振りまきながら去って行く背中を見送っていたが、周囲のハンターたちはその依頼に興味を示したらしく、男の真似をしてノリノリで「ウェェェイ!」と言い合いながら【受付カウンター】に移動して行った。

 

 

「あ、アレク♪ ウェェェイ!」

「ウェェェイ!」

 

 自分はどうしたもんかと思っていると、そんな事を言いながら満面の笑みで近寄って来た者が二人いた。

 

 カイとハナである。

 

「……。おめぇら、よく恥ずかしくねぇな」

 

 呆れ顔で言うアルバストゥルを余所に、半ば強引にカウンターまで引っ張って行く二人。

 当然のように彼の分まで受けさせようとした訳だが――。

 

「その依頼は一人専用。PTでは受けられない」

 【ユニス】は無表情でそう言った。

 

 既に他のハンターも受けようとしていたので、恐らく何度もその言葉を彼らにも告げているのだろう。

 

「えぇっ、そうなのぉ!?」

 

 残念そうに言うハナにも、【ユニス】は特に感情を表さないような顔を向けて頷いた。

 

「なんだ一緒に行けないのかぁ」

 

 カイも残念そうな顔になっている。

 彼の場合は三人で行くというよりは、ハナと二人で行きたかったのだろうが。

 

「じゃあさ、競争しよ?」

 

 沈んだ顔を一変させ、ニコッと笑ってそう言うハナ。

 

「競争だぁ?」

「うん。誰が早く依頼を達成できるかの競争」

「あ、良いねそれ♪」

 

 カイが目を輝かせている。

 

「クリア条件って秘密なんでしょ? だから謎解きの知恵も必要なわけじゃない? さっきの陽気な人が【支給ボックス】にメモを入れて置いてくれるって言ってたから、まずはそれをヒントに謎を解いていく必要があるんだよ多分」

 

 そこまで言うと、今度はカイがそれを継ぐようにして続けた。

 

「【依頼書】で示された狩場が【彩の滝】ってなってる。って事はさ、今度も大型【モンスター】がいないって事だと思うんだ。G級の狩場にまた行けるチャンスじゃん!」

「マジかよ!?」

 

 それを聞いて、初めてアルバストゥルが乗って来た。

 

 G級専用の狩場になど、このような特別に手配されているものでない限りは行くチャンスが無いからである。

 

「狩場が【彩の滝】なら話は別だぜ。良いぜその話乗ってやろうじゃねぇか」

「んじゃ決まりだねっ♪」

 

 そうして三人が受付を済ませると、ハナはいきなりダッシュして【クエスト出発口】に駆けだした。

 

「もう競争は始まってるよっ」

「あ、ずっこい!」

「待ててめぇっ!」

 

 三人は子供のような事を言いながらそれぞれで【気球】に飛び込んだ。

 最近は空路の開発も進み、遠くの狩場にはハンターでも【気球】で行けるようになったからである。

 

 

 

 【彩の滝】に着いたアルバストゥルは、「おぉ! すげえぇ!」と目を輝かせた。

 実はここにはまだ来た事が無かったからである。

 

 リゾート気分になりそうな南国感たっぷりの風景と、煌びやかに輝く太陽に照らされる滝。

 狩場全体が滝で出来ているために、その飛沫が至る所で虹を作り、【ベースキャンプ】にいる時でさえそれを見る事が出来るようだ。

 

「……にしてもよぉ」

 

 気分は嫌でも高揚していくが、それでも彼は呆れたように呟いた。

 

「いくらリゾートの雰囲気があるっつっても、防具まで水着風にしなくても良かったんじゃねぇのかぁ?」

 

 貸与された防具は【キュールF】シリーズと呼ばれる、海パンにビーチサンダルを模したようなものだったからである。

 

【挿絵表示】

 

 まぁ、ここ暑いからいっか。

 泳ぐのは滝壺から出られなくなりそうで怖ぇけど。

 アルバストゥルは、楽観的に考える事にした。

 

 

 【支給ボックス】に入っていたのは【地図】と【応急薬】と【携帯砥石】と一枚のメモ。

 そこにはこう書かれていた。

 

『生命溢れる大樹。虹の根元にある蜜を探せ』

 

「なんのこっちゃ?」

 

 呟きつつも【地図】と睨めっこしながらエリアに出てみると、《3》にある高台の上にハチの巣があった。

 

「やっぱ蜜っつったら【ハチミツ】の事だよな」

 

 そんな事を言いつつ採取してみると、滴り落ちて溜まっている【ハチミツ】の中に【メモリーメモE】というメモがあった。

 

【挿絵表示】

 

 べたべたしているそれを広げながら見てみると、そこにはこう書かれていた。

 

『暗き洞窟、骨と髄。蜘蛛の根城を探せ』

 

 取り敢えず洞窟を探して《6》に入ると、骨が散らばっているのを見付けた。

 

「ここか?」

 

 だが探ってみても【カラ骨(小)】ぐらいしか採れない。

 

「このエリアじゃねぇのか?」

 

 そう呟いて周りをよくよく見回すと、蜘蛛の巣らしきものが見えた。

 探ってみると【メモリーメモD】が。

 

【挿絵表示】

 

 絡まっている蜘蛛の糸が指にくっ付くのに煩わしさを感じつつ開いてみると、こう書かれてあった。

 

『朽ちた大木を背に小さく連なる赤き頂きを探せ』

 

 取り敢えず朽ちた大木を目印に探していくと、《5》に出た。

 滝の流れに引っ掛かって朽ちて重なっている大木を見付けたので、探ってみる。

 だが実際に【メモリーメモC】を見付けたのは、そのすぐ手前に生えている先端が赤く染まった植物の隙間。

 

【挿絵表示】

 

 それは小さな丸い多肉植物に、枝が生えたような形をしていた。

 恐らく『小さく連なる赤き頂き』というのが多肉型の部分を指しているのだろう。

 広げるとこう書かれてあった。

 

『ヤオザミ15匹の討伐。こんがり肉をBCで食べる』

 

 【ヤオザミ】は今いるエリアにもいるので、まず奴らを狩る事に。

 いなくなったので道なりにそのまま《2》に出ると、ここにも群れていたので狩る。

 それだけでは指定数にならなかったが、二つのエリアを出入りしながらやっつけていると、すぐに15匹になった。

 

 【ベースキャンプ】に帰って【支給ボックス】を覗いたが、【サブクリア】としての支給品が来ていない。

 アイテム無所持の条件なので【携帯肉焼きセット】が支給されないと【こんがり肉】が作れない。

 

 もしかして、納品がサブになってんのか?

 

 そう思いつつ【納品ボックス】を覗くと、『【携帯砥石】を納品して下さい』というギルド職員のメモがあった。

 

「なんだやっぱ納品もあるんじゃねぇかよ」

 

 そう言いつつ【携帯砥石】を納品すると、控えていたらしいギルド職員に「【サブクリア】の支給品です」と【携帯肉焼きセット】と【生肉】を渡された。

 

「ういっす。ご苦労さんです」

 

 お互いに会釈して、そのまま見守られながら【こんがり肉】を作る。

 【肉焼きソング】を口ずさみながら焼いていたら、肉を上げた絶妙なタイミングでギルド職員に「上手に焼けましたっ♪」と弾むような声で言われたので、吹いてしまった。

 

【挿絵表示】

 

「せっかくなんで、食います?」

 

 アルバストゥルは、もう一個焼きながら声を掛けた。

 

「いえそれはハンターさんのものですから」

「【生肉】はまだ余ってますぜ。失敗した時用に余分に渡すようになってたんでしょ?」

「ま、まぁそうなんですが……」

「今丁度昼飯時だし、腹減ってんでしょ? 冷めた弁当より焼きたての奴を食った方が美味いですぜ?」

 

 心情を読んでニヤニヤ笑ってると、「で、では遠慮なく……」と恥ずかしそうに受け取った。

 

「んじゃいっせーのっ!」

 

 顔を見合わせて笑ってから同時にかぶり付く。

 

「美味しいっ!」

 

 途端に目を真ん丸にした相手に、「そりゃ良かった」と彼は肉汁まみれの口で笑った。

 

 クリア条件を満たせたと言うので【気球】に乗り込む。

 元々別行動だったので、お礼を言われながら見送られたのを小さくなるまで手を振る。

 高度が上がり、すぐにギルド職員の姿は見えなくなった。

 

 

 

 帰ると、カイとハナはまだ帰って来ていなかった。

 

「うぉっしゃあぁ! 勝ったぜ!!」

 

 仲間がいないのに無駄に雄叫びを上げたアルバストゥルは、【ユニス】に苦笑された。

 

 報酬は【メモリーメモA】【メモリーメモB】という続きのメモ二枚と【銀色に輝く腕輪】。

 

 もう一つの【クエスト】に必要な物なのだろう。

 そこで【ユニス】に【依頼書】を見せてもらうと、冒頭にこんな事が書かれてあった。

 

『おっと、《デイドリーム》をまだやっていないならそっちから先に頼むぜ!』

 

 《デイドリーム》というのは最初に受けた依頼のクエスト名である。

 やはり報酬のメモから続きのヒントが与えられるようになっていたらしい。

(ついでに言うとこちらのクエスト名は《フォーエバー! サマーナイト》と言うそうな)

 ちなみに【ユニス】曰く、「【銀色に輝く腕輪】は最初に受けた依頼を達成した証拠として持って行くように依頼主に言われた」との事。

 そこで腕輪を装着し、二枚のメモを読んでみる。

 

『ウェェェイ! 

マエにコロリンしたあ

とに大きな声でよんで!』

『花火を使う場所=A+B

 ■ ■■■ ■■■ 

■■■■■■■  ■■』

 

 

「分かるかこんなもんっ!!!」

 しばし考えていたアルバストゥルは、そう叫んでメモをぐしゃぐしゃにした。

 

「あぁっ先に帰ってる!」

 その時、ハナの声がした。

 

 続いて「あぁ負けちゃったあぁ!」と声がして、カイが帰って来た。

 

「ざまぁみやがれ。俺様の知恵に掛かりゃ、こんなもん朝飯前なんだぜ」

 

 得意気に踏ん反り返っていたアルバストゥルは、【ユニス】に言われた次の一言で撃沈した。

 

「次のクエスト、出発出来ないじゃない」

 

「どゆこと?」

 

 落ち込んで暗いオーラを出している彼に聞いたハナは、「報酬見てみろよ……」とどんより言われて報酬で渡された二枚のメモを見た。

 

「なぁんだ、こんなの簡単じゃない」

 

 一読するなり事も無げに言ったハナは、目の前でいきなり前転した。

 何事かと見ている二人の前で、彼女は起き上がり様に拳を天に突き上げ、叫んだ。

 

「ウェェェイ!」

 

 見ていた【ユニス】は何の反応も示さず、シーンとなっている。

 

「ぎゃははは! ばっかでぇっ!!」

 

 アルバストゥルはゲラゲラと腹を抱えて笑い始めた。

 しかもメモを見て同じ事を思い付いたらしい周りのハンターの何人かが似たような事をやり始めたため、彼は余計に笑い転げた。

 同じようにそんな事をやっている仲間を見て抱腹絶倒する者もいたため、周囲は大変賑やかな状況になった。

 必然的に【ユニス】の周りには笑いながら腹を抱えて転げ回る連中がそこかしこに見受けられるようになったため、【ユニス】はカウンター越しに困った笑みを漏らしていた。

 

「ねぇ、もしかして狩場でやらないと意味無いんじゃないの?」

 

 そんな騒ぎに苦笑いしながら言ったカイに「んなわけあるかよ!」と笑いつつ、あまりにもうるさくなったのもあって次の依頼を受けてサッサと【気球】に乗り込む。

 次の【クエスト】はPTで行っても良いという事だったので、今度は三人で乗り込んだ。

 

 

 

 【彩の滝】に着いて【ベースキャンプ】でもハナは懲りずに「ウェェェイ!」とやっていたが、やはりクリア条件ではなかった様子でクリア許可を与えるギルド職員は来なかった。

 

「むぅ……」

 

 むくれたハナを尻目に、「やっぱ【メモリーメモB】と合わせて謎を解く必要があるんじゃねぇのか?」とアルバストゥルは頭を悩ませている。

 そんな中で【支給ボックス】を覗いていたカイは、「【支給用グーク花火】があるよ」と言った。

 

 【グーク花火】とは、【小タル爆弾】サイズ、もしくはそれより小さいサイズの樽に詰められた打ち上げ花火の事で、ノリの良いハンターが【クエストクリア】を祝って景気良く打ち上げたりするのに使う花火の事である。

 フィールドのどこにいても置くだけで自動で打ち上がり、可愛らしい【グーク】を模した花火が空に咲く。

 ある程度打ち上がると自動で消えるのだが、何個も置けるので連続で何度も打ち上げると意外にも賑やかである。

 

 つまりは、その花火を『どこか』で打ち上げる必要があるらしい。

 

「なんか【支給用???人形】っていうのも入ってるよ」

 

 そう言いながらカイが取り出したのは、白い【グーク】を模した一抱えもある人形だった。

 

 この人形も狩場に持って行けるものではあるのだが……。     

 

「こいつも、どっかに置けっつう事か?」

「分かんない」

「一応持って行ってみる?」

「だなぁ……」

 

 今回は『ノーヒント』だと【依頼書】に書かれてあったため、【サブクリア】の条件がまったく分からないのだ。

 

 

 取り敢えずエリアに出た一行は、適当にその場にいる【ヤオザミ】や【ランゴスタ】などを狩ってみたり、先程持って来た【支給用???人形】を置いてみたりと色々やってみた。

 が、一向に「クリア条件を満たせた」という連絡が来ない。

 

「分っかんねぇよちくしょおぉっ!」

 

 苛ついてハナの置いた人形を蹴っ飛ばすアルバストゥル。

 人形はぼよんぼよんと弾みながら飛んで行った。

 その馬鹿にするかのような動きにますます苛立った彼だったのだが、しかしそれが逆に良かったのか、ふと閃いた。

 

 突然地面に腹這いになり、表面が滑らかになっている平らな岩の上でメモを取り出して何やらやり始めたアルバストゥルを見た二人は、「何やってんの?」と近寄った。

 彼はペンを取り出して、【メモリーメモB】に書かれてある■の通りに【メモリーメモA】の文字を塗り潰していた。

 そうやって残った文字を読んでみると……。

 

『ウェェェイ!

■エ■■■リ■■■あ 

■■■■■■■よん■■』

 

「これって、もしかして……」

「そうだ打ち上げる場所は多分《4》だ!」

「おぉ! アレクすげえぇっ!!」

 

 早速その場所に駆け出した三人は、ドキドキしながら【支給用グーク花火】を置いてみた。

 

 ヒュ~~~! パンパンッ!

 

 小型花火なのでやや控え目な音と共に、【グーク】の形の花火が上がる。

 途端に「クリアおめでとうございますっ!」と言いながら、満面の笑みでギルド職員がやって来た。

 

【挿絵表示】

 

「ぃやったあぁっ!!」

 

 アルバストゥルは腹の底から勝利の雄叫びを上げ、二人はハイタッチした後抱き合ったたのだった。

 

 ちなみに、【サブクリア】の条件は【ランゴスタ】五匹の討伐と、《3》の奥まった所に一匹だけいる【モス】の討伐だったそうな。

  

 

 

 

 




実際に私もゲーム内でやりました。
前転して「ウェェェイ!」って(笑)

話の中では続きのクエを三人で行った事になっていますが、実際は「NPC同行不可」だったために挿絵では二つのクエ共にアレク役のキャラ一人だけが映ってます。

この「キュール」という防具は「MHF-G Anniversary 2016イベントのひとつとして、毎週週替わりで様々なオリジナル防具の生産素材を1日1部位分ずつプレゼントする」というイベントがあった時に作れた防具らしいのですが、その頃には私は「フロンティア」を離れており、公式サイトも一切見ていなかったため、残念ながらこの防具は持っていません。
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