今日も元気にメゼポルタ広場からお届けします。【完結】   作:沙希斗

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これは「ジャガー」という防具の「外装」が作れるイベントクエストに参加したのを書いたものです。
今年のものはありませんでしたので、去年(2018年9月17日)書いたものを投稿しています。



仄暗い火山の洞窟で

 

 

 

 昔、【沼地】に二頭の年老いた【黒鎧竜】が現れた事があった。

 要請を受けた上位ハンター達が直ちに赴いたが、【彼女】らは長い年月を経てハンターとの戦闘を学んだのか他の個体より手強くなっており、彼らは胸の甲殻を破壊するだけで精一杯だったという。

 

 その【血塗られた黒殻】は加工され、【ジャガー】シリーズという防具に生まれ変わった。

 

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 時は流れ、今度は【火山】に年老いた【黒鎧竜】が現れたという報告が入った。

 しかもかつて【沼地】に現れた時のように二頭であるという。

 今度こそ狩猟しようとハンター達は出掛けたが、やはりことごとく返り討ちに遭って帰って来た。

 それで上位ハンターでは手に余るのではないか? という話になったのだが、☆4の難易度を受ける資格のあるHR51~99ぐらいからなら何とかなるだろうと、その難易度で依頼を出す事になった。

 もちろんそのランクだけに限定されている訳では無いため、凄腕、SR、GRでも受けられる。

 

 

 そんな時に【掲示板】を見ていたアルバストゥルは、その依頼に興味を持った。

 なぜなら『通常よりも手強い個体である』と注意書きがされてあったからである。

 彼は己の実力を試すため、というよりは己の実力だけでもって【モンスター】と命のやり取りをする事を望むため、わざと手強い相手に挑んだり、武具貸与とかアイテム無所持などの難易度の高い条件のものを選んだりする傾向があった。

 

 この依頼の報酬は『【ジャガー】シリーズの【外装】が作れる生産券を与える』というもので、ならば防具は貸与なのかと彼は思った。

 最近の【外装】用の依頼として、生産前にその依頼を受けるハンターに貸与し、予め着心地や、【防具】として作った時のスキルが自分に合うか試す傾向があったからだ。

 恐らく依頼を受けるハンターならばその【外装】(もしくはスキル)を希望しているはずで、それならば生産前に予め貸与させ、クエスト中に自分で試して納得させてから実際に作らせようと【ハンターズギルド】は考えたようである。

 

 だが話を聞くと「武具もアイテムも指定していない」と言われた。

 

「それは何故なんですか?」

 そうギルド職員に聞いたアルバストゥルに、相手は「相手が相手だからな」と言った。

 

「貸与する依頼を出すものは、他のランクの者にGR帯でしか行けない狩場を安全な時だけ特別提供したり、【モンスター】がそれ程手強いものではなかったりするものに限られているのだよ。今回の【黒鎧竜】の場合は昔【沼地】に来た時同様通常より手強いものだし、報告では二頭いるという事だった。そんな【モンスター】相手に指定してしまったら、得意な武器やスキルで挑めずに失敗してしまう者が出るかもしれん。いや失敗どころか死者が出る可能性だってある。だからそんな危険を冒すよりは各自で好きな装備で挑んで欲しいのだ」

 

 配慮に納得したアルバストゥルは、ならばといつもの【大剣】と自分用に設えた防具で挑む事にした。

 

 

 が、いざ対峙してみると、報告通りに殊の外手強い相手だった。

 幸いにもというのか偶然にもというのか一頭ずつで闘えたものの、とにかく攻撃力が凄まじい。

 その上に歳を経て甲殻が通常個体より頑丈になっているようで、【マストオーダー】になっていた胸部破壊にやたらと時間が掛かってしまった。

 なのでようやく一頭目を討伐した頃には二頭目を狩猟する時間が無くなってしまい、泣く泣く【リタイア】を選ばざるを得なくなってしまった。

 

 これは、〈火事場+2〉でやった方が良いかもな……。

 彼はそう考えた。

 

 難易度の高い依頼を〈火事場〉で受けようものなら一撃で戦闘不能にさせられてもおかしくない程なのだが、それでも彼は少しだけ自信があった。

 なぜなら【火事場弓】で狩る事に慣れていたからである。

 【グラビモス科】限定ではあったものの、【彼ら】は逆に【剣士】よりも【ガンナー】、取り分け【弓】と相性が良い相手だとアルバストゥル思っていた。

 

 

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 入念に準備してリベンジすると、やはり【大剣】で挑むよりも早い時間で胸部破壊を成功させる事が出来た。

 地形の場所的に薙ぎ払いブレスを避け切れずに結局一度戦闘不能にさせられたが、早々に一頭目が弱った素振りを見せたため、捕獲する。

 

 結局二頭目は合流せず、現れたのは一頭目を捕獲して少し経った頃だった。

 

 合流されて最悪死ぬかもしれないと思っていた彼だったがその心配が無くなって心底ほっとする。

 一頭ずつ捌けるならばいかに手強い相手だろうがそれ程脅威ではないので、二頭目も落ち着いて対処する。

 二頭目は戦闘不能になる事もなくこちらも捕獲に成功した事で、【火事場弓】での狩猟に少しだけ自信が付いたアルバストゥル。

 

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 しかし依頼自体には興味があったが【ジャガー】シリーズを作る気は端から無かったので、せっかく生産券を貰ったのに【アイテムボックス】の肥やしにした彼であった。  

 

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昔この防具が作れるイベントがあった時に「ベナトール」で参加していたようなのですが(覚えて無いけど特別素材があった)、その素材が全身を作るには足りなくて女性用のものは作れませんでした。

イベント当時に撮影したものを見ると外装用の方も「ベナトール」で参加していたため、昨日「アルバストゥル」役のキャラでログインしてHC上位黒グラのクエを受け、撮り直しました。
戦闘中のシーンは火事場になっていませんが、これは一乙したためです(^^;)

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