今日も元気にメゼポルタ広場からお届けします。【完結】   作:沙希斗

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これは毎年お月見の時期に配信されるイベントクエストに参加したのを書いたものです。
今年も配信されるかもしれませんが、書いた順番と、時期としてはまだ早いので去年(2018年9月21日)に書いたものを投稿します。

依頼主のセリフやクエスト内容などは公式に書かれてあったものです。


月の兎のお仕事体験

   

 

 

 

 ある日「お月見博士」なる人物から依頼があった。

 何でも「私の研究によれば、まん丸お月さまに住む兎さんは、餅だけでなく、薬も作っている」のだとか。

 

「これはもう、薬作りを体験して兎になりきるしかありませんな!」

 

 彼はそう息巻くと、「いくつか道具と材料をご用意しましたのでどうぞお役立て下さい」とお辞儀をして去って行った。

 狩場は【樹海】で、道具は【アイテムボックス】に届けて置くと言う。

 

 

「一人でしか行けないのかぁ……」

 

 【依頼書】を見て興味を持ち、【ユニス】からクエスト内容を聞いていたハナは、残念そうにそう言った。

 面白そうだと思って先に内容だけ聞いておき、後でカイを誘おうと思っていたからである。

 でも『薬を作る』というだけの依頼というのもあり、簡単そうなので受ける事にした。

 

 

 

 アイテム無所持で防具貸与という事だったので、ポーチを空にした状態で【受付カウンター】へ。

 防具は【ブートF】シリーズだった。

 

【挿絵表示】

 

 ちなみにクエスト内容は、『回復薬、解毒薬、栄養剤を調合して納品せよ』というもの。

 なので、まず【樹海】の至る所にある採取場所でそれらの調合素材を採取しなければならない。

 【アイテムボックス】を覗くと【虫あみ】が入っていた。

 

 【ベースキャンプ】に【山菜爺】がいたのでついでとばかりに話し掛けてみると、こんな事を言われた。

 

「おぉ丁度良い所に。今【鉄鉱石】を探しているのじゃ。取って来てくれたらワシの『トッテオキ』と交換してやろう」

 

 生憎【アイテムボックス】の中には【ピッケル】は入って無かったので、丁寧にお断りした。

 

 

 まず【回復薬】を作ろうと考えたハナは、その素材を採取するためにキノコが生えているヶ所にしゃがみ込んでゴソゴソし始めた。

 素材の一つが【アオキノコ】だったからである。

 が、その場所では【特産キノコ】やら【厳選キノコ】やらが採れるばかりでちっとも目的のものが採れない。

 確かにそれらのキノコは売れば高く、納品すれば貴重な収入源になりはするのだが、今回はそれが目的ではないので逆にそればかりが採れてしまうと苦々しく思ってしまう。

 おまけに【ランポス】と【ブルファンゴ】が至る所で群れており、無視しても突っ込んで来るので煩わしいったらなかった。

 

 イライラしながら蹴散らしていたハナは、ふと視界の端に【彼ら】とは明らかに違う、派手で大きな【モンスター】が降りて来たのが映った気がして思わず姿勢を低くした。

 

 そのまま茂みに隠れつつ見てみる。

 そこには鳥によく似た姿の、しかし羽毛のある翼ではなく翼膜を持つ【鳥竜種】と思われる【モンスター】がいた。

 

「ピーちゃんじゃんっ」

 そう声を漏らす。

 

 要するに【ヒプノック】の縄張り内だったらしい。

 

 だが相手は気付く事無く呑気に歩いている。

 ならばと気にしつつも採取を続けていたハナだったのだが、ゆっくりとこちらに向かっていた相手がびくりと飛び上がり、鳴いた。

 割と距離が離れていたのだが、ハナの姿が目に映ったようである。

 直後に猛然と突進して来たのを慌てて回避する。

 こうなったらもう闘うしかないのでハナはすぐさま抜刀し、隙を見ながら斬って行った。

 相手が麻痺ったりこけたりしている間に、まるでこの機に乗じてやっつけようとしているかのように周りの小型【モンスター】共が張り切り始めたため、吹っ飛ばされたりして集中出来ない。

 

「あぁもぉっ! 邪魔っ!」

 

 苛立って【彼ら】に追い打ちをかけていると、倒れてもがいていた【ヒプノック】が起き上がり、白い液を吐いた。

 

 避け切れずに食らい、昏睡するハナ。

 

【挿絵表示】

 

 それを見た相手は追撃するどころかクルリと回れ右し、逃げた。

 

 【ブルファンゴ】に『起こして貰った』ハナはスタコラサッサと逃げて行く背中を見送って、飛んで行くのをただ唖然と眺めていた。

 

「……まあいっか」

 

 今回は【ヒプノック】の狩猟は依頼に入っていないし、一方的に襲われて命の危機に陥る程に緊急性が無かったので、放って置く事にした。

 

 

 とにかくも【アオキノコ】を採らなくてはならない。

 この場では採れないと見限ったハナは、他のキノコが採れるエリアに移った。

 だがここも【マヒダケ】や【ドキドキノコ】ばかりで芳しくない。

 ようやく目的のものが採れたのは、三ヶ所目のエリアに移った頃だった。

 

「じゃあ次は【太陽草】か【薬草】ね」

 

 【ドンドルマギルト】の管轄している狩場では主に【太陽草】が【回復薬】の素材になり、【薬草】はむしろ生えている狩場が少ないのだが、幸いにも【樹海】はそのどちらも生えているようだった。

 

 納品に必要な数は一個だという事が分かっていたが、採れた素材分全部調合してからキャンプに帰って一個だけ納品する。

 

【挿絵表示】

 

 どっちみちアイテムの持ち込みが禁止されていたので必要だったからである。

 一応【応急薬】も支給されてはいたのだが、足りなくなった時に絶望しないためには予め調合して持っておいた方が良い。

 

 そんな感じで調合素材を採取しては調合していたのだが……。

 

「【栄養剤】って、素材何だっけ?」

 

 分からなくなったハナは、取り敢えず採れた素材を適当に選んで調合しようと試みた。

 だが違うアイテムになったり、そもそも調合出来なかったりして目的のものにならない。

 

「もしかして、この貴重な虫を使うんじゃないでしょうね?」

 

 支給された【虫あみ】で取れた【不死虫】をつまみ上げ、ハナは呟いた。

 確かに調合素材なのだがあまり取れない虫なので、大事に持って帰ろうと思ったのだが……。

 

 細かく刻んだ【アオキノコ】と一緒にすり潰すと、【栄養剤】になってしまった。

 

「仕方ないわね……」

 

 溜息を付きつつ納品する。

 一個しか作れなかったのだ。

 

【挿絵表示】

 

 同じように調合していた【解毒薬】を納品し、控えていた【ギルド職員】にクリア認定を貰って帰る。

 報酬は何種かの武器の素材だという事だった。

 

 

 

 【武具工房】で見てみると、【片手剣】【弓】【ガンランス】【太刀】【狩猟笛】【ランス】【ハンマー】が作れる事が分かった。

 

【挿絵表示】

 

 

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【挿絵表示】

 

 

【挿絵表示】

 

 なので当然のように【片手剣】を作ってもらう。

 それは【ホワイトワイズ】という白兎を模したものだった。

 何でも【睡眠属性】が付いているという。

 

 それを聞いたハナはほくそ笑み、同じクエストをもう一度受けて【樹海】に赴いた。

 それは先程いた【ヒプノック】に、眠らされた仕返しをするためだった。 

 

【挿絵表示】

   

 

 

 

 

 




最近の傾向として「イベントクエスト」にはお助けNPCを連れて行けないようになっているようで、なので今回も「NPC同行不可」なためにハナ役のキャラ一人でクエに行っております。

こういうイベント系で手に入る武器は強化すると総じて性能の高いものが多いのですが、如何せん形が形なので、それを踏まえた上で使うかネタ武器として仲間内だけで使うかになってしまいます。


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