今日も元気にメゼポルタ広場からお届けします。【完結】 作:沙希斗
今年のものはありませんでしたので、去年(2018年10月28日)に書いたものを投稿しております。
挿絵も去年撮影したものです。
クエスト出発前の依頼主及びそのセリフなどは、公式に書かれてあったものです。
ある日、【高地研究家】と名乗る男が調査の依頼をして来た。
「高地をだいぶ調べているが、まだ知らないことがたくさんある。それだけ魅力的な土地なんだよな」
男はそう呟くと名乗りを上げたハンターに、「そこでキミにはひとつお願いが」と言った。
「エルペを傷付けることなく、イワヒメ草を採って来て欲しい。また、その際の状況をレポートにして届けてくれないか?」
「ねぇねぇ、その報酬ってどんななの?」
そのやり取りを聞いていたハナは、興味津々でそのハンターに詰め寄った。
「えっと……。確か【双剣】の製作アイテムとか言ってたよ」
まだハンターになったばかりと言うようないで立ちの、見た目からして十代後半ぐらいだと思われるその少年が、上位の、しかも凄腕ランクと思われる女性ハンターに詰め寄られ、戸惑いながらも【依頼書】を見せる。
「やだっ、この【双剣】すんごく可愛いじゃないっ!」
そこに製作アイテムを基に作られる予定の【双剣】が描かれてあったのを見るや、ハナは興奮気味にその【依頼書】をしゃくり取った。
そこには【双剣】というよりはむしろパペットに近いような、【エルペ】と【ブルック】を可愛らしくデフォルメしたものが刃にあたる部分に付いていたからだ。
「私この【双剣】欲しいっ! ねぇ一緒に行ってもいい?」
目を輝かせて言うハナになおも戸惑っていた少年は、しかしボソッと言った【ユニス】の言葉に救われた。
「そのクエ、一人用」
「えぇ~~、そうなのぉ!?」
いかにも残念そうなハナ。
それでも諦め切れないのか、「ねぇ、譲ってくれる気ない?」などと言っている。
「ハナ横暴。下位ハンターの芽を摘まないで」
「分かったわよぉ……」
【ユニス】に諭されて渋々諦めたハナだったが、それでも「帰ったらどんなクエだったか教えてねっ」などと食い下がっていた。
数日後にクエストから帰って来た少年は、がっくりと肩を落としていた。
「どうしたの?」
成果を期待して待っていたハナは、彼のあまりの落ち込みようが気になって心配そうに聞いた。
「それがね……」
沈んだオーラを纏わせながら、少年は話し始めた。
「【高地】に行ったらね、キャンプにある【アイテムボックス】の中に【地図】があったから、それを頼りに各エリアを探索して【イワヒメ草】を探したんだけど……」
「うん」
「あ、その前にね、頭防具だけ【エルペフェイク】が貸与されててね、自分も【エルペ】になったような気分で探索出来たんだけど……」
「へぇ~~! 面白いっ♪」
「しかも各エリアの【イワヒメ草】が採れるポイントにね、【エルペ】が集まって教えてくれてたんだよ。可愛かったなぁ」
「わあっ、いいな~~」
「だから採取も楽で、必要数の十個もそんなに苦労せずに集められたんだ」
「良かったじゃない。じゃあなんでそんなに落ち込んでるの?」
「それがね、うっかり【エルペ】を攻撃して一匹殺しちゃってね」
「あらら」
「詳しく纏めたレポートを【高地研究家】の人に渡したらさ、『【エルペ】を傷付けないように頼んでおいたのに殺すとは何事か!』って凄い剣幕で怒られちゃってね」
「うわぁ……」
「で、『お前のような奴は信用ならん! 他の者に代わってもらう!』って」
「そうだったのぉ」
「だからね、貴女に譲るよ」
同情の表情で声を掛けたハナは、その言葉を聞いて途端に顔を明るくした。
「いいのっ!?」
「うん。だって僕もう信用無くしちゃったし。ハナさん行きたがってたじゃない。だから行っといでよ」
「ありがとっ♪」
喜び勇んで受付に突進したハナではあったが、「アイテム無所持が条件」と【ユニス】に言われて出直した。
【高地】に着いたハナは【アイテムボックス】を覗き、そこに入っていた【地図】と【携帯食料】を取り出した。
下位クエストであり、なおかつ危険な【モンスター】がいないと判断されたらしく、【応急薬】などの回復アイテムは入ってなかった。
アイテム無所持の条件で来ているので回復系が全く無いのは非常に心細かったのだが、それ程安全性が確認されているのだろうと思い直して《エリア1》へ。
頭防具以外は自由だったし、武器の制限もなかったのでいつもの【リオハート】シリーズに【デスパライズ】で来ているハナは、まるでピンクのドレスを着た【エルペ】頭の獣人族であるかのような格好になっていた。
エリアに入ってすぐの入り口付近に、【エルペ】が集まっていた。
【彼ら】はハナを見付けると、『ここだよ』とでも言うように跳ねて行き、採取ポイントの一つで止まった。
クエストを譲ってくれたハンターから「エルペが教えてくれた」というような事を聞いていたのもあって、「ありがとっ」とお礼を言いながら採取する。
【彼ら】は元々好奇心旺盛なのだが、【エルペフェイク】を被っている彼女を仲間と思ったのか、それとも奇妙な奴だと思ったのか、わらわらと近寄っては臭いを嗅いだり楽しそうに近くを跳ねたりするので、ハナはもう可愛くて仕方がない。
それどころかこちらのアクションに反応し、一緒に踊ってくれたり添い寝してくれたりするのを見るとずっと戯れたいと思ってしまう。
が、そんな事をやっていたら時間がいくらあっても足りなくなるので「またね」と離れる。
そんな事をしながら各エリアを周っては【エルペ】に教えてもらって【イワヒメ草】を採取し、帰った。
必要数とレポート(【高地観察日記・え】と書かれたノート)を【高地研究家】に渡すと、彼は大喜びでこんな依頼をして来た。
「最近、高地に行くとメラルーにいろいろと物を盗まれる事が多くなってね。ちょっと懲らしめて来てくれないか?」
「良いですよ」
快く引き受けたハナに、彼は「あ、そうそう」とこんな釘を刺した。
「何も悪いことをしていないブルックには何もしないで良いからね」
そして「今回もこの様子をレポートにして届けるよう、頼むよ」と【高地観察日記・ぶ】と書かれたノートを渡して来た。
今度はアイテム無所持な上に防具無しの指定。
しかも武器は【ハンターナイフ】の貸与である。
ただし頭防具だけ、今回は【ブルックフェイク】の貸与だった。
ちなみに【ブルック】というのは毛深い牛のような【草食種】の事である。
普段は非常に大人しい性格なのだが仲間意識がとても強く、例えエリアの端で一頭が危害に遭ったとしても同じエリアにいる間は群れ全部で脅威と見たものを排除しようとする。
なので群れが多い程大きな牛が入り乱れて突進して来るために、特に大型【モンスター】との戦闘中は邪魔どころか脅威にすらなりえる程だった。
さて、そんなエリアにやって来たハナは、のんびりと草を食む【ブルック】の群れの中に沢山の【メラルー】を見付けた。
【ブルックフェイク】を着けているので【ブルック】として誤魔化せるかと思ったのも甘く、早々にバレてしまう。
『ニンゲンにゃ』
『ニンゲンにゃ』
『ブルックじゃないにゃ』
『仲間でもないにゃ』
そんな事を口々に言いながら小躍りし、地面に伏せて構えた。
飛び掛かり前に尻を振る独特な予備動作を見たハナは、可愛いと思いつつも逃げるか【アイテムボックス】にあった【支給用投げ爆弾】もしくは【支給用横打ち樽爆弾】で応戦する。
数が多く、四方八方からぶつかって来る【彼ら】に尻餅を付かされたり爆弾類を盗まれたりして憤慨して切り掛かると、たまたま近くにいた【ブルック】の一頭に当たってしまった。
こうなったら今度は【メラルー】の群れと【ブルック】の群れに四方八方から突進され続ける事になる。
大きな【ブルック】はそれなりに体重もあるため、どつかれたり踏まれたりするとけっこう痛い。
「あぁもぉっ! 邪魔っ」
視界を塞ぐ【ブルック】を切り捨てようとしたハナは、しかしはたと止まった。
依頼主に「ブルックには何もするな」と言われた事を思い出したからである。
ならばうっかり殺しでもしてしまったら、あの少年のように信用を無くしてしまう。
なのでハナは踏みとどまり、逆に突進を利用して【メラルー】をやっつけてもらう事で【ブルック】に対する苛立ちを解消した。
「やぁ、ありがとう!」
帰ってレポートを渡すと、「助かったよ。ご苦労さん」と報酬を渡してくれた依頼主にお礼を言って別れ、【武具工房】へ。
作ってもらった二振りの剣(というよりは棒の先にぬいぐるみを取り付けたようなもの)を抱え、ハナは早速レインの元へ駆けて行った。
「ねぇ見てみて♪」
顔全体を輝かせるようにしながら息せき切って入って来たハナを見て、レインは「何か良い事あったの?」と期待に満ちた目で聞く。
そして見せてもらった【双剣】を一目見るなり「かんわいぃ~~~♪」と声を弾けさせた。
「でしょでしょっ? だから見せようと思ったんだっ♪」
丁度来ていたカイも可愛いものを見るような目で笑い、【女子】三人できゃっきゃ言っている中で、それを一瞥するや否や鼻を鳴らした者が一人。
「ふん、そんなもんで闘えるわきゃねぇだろが」
当然、アルバストゥルである。
「空気乱すのはんた~~い」
「ケッ、女の気持ちなんざ分かるかよ」
「あのー、女じゃないのも一人交じってるんだけど……」
「てめぇは女だろうが」
「オレは男だってばっ!」
「どうでも良いが、そんなもんをクエに持って来んじゃねぇぞ」
「なんでよぉ、癒されるからいいじゃない」
「癒されるかボケ! 俺と組む時に持って来たら問答無用でぶっ壊すからな」
「いいもんっ、ベナとカイと組む時に持って行くもんっ」
「いや多分オッサンでも壊されると思うぜ」
「ベナはそんな事しないもんっ!」
後日、ベナトールとクエストに行ってその【双剣(エルペブルック)】を使っていたハナは、見るに耐えんというような雰囲気を出されてこれは壊されかねないと判断し、カイと行く時にだけ装備する事にしたという。
「ハナ」役のキャラが黒人なので、裸(防具無し)になると黒い肌が目立ちます(笑)
「エルペフェイク」の時は頭が「エルペ」なのとなるべく「エルペ」を集めてから撮影したのもあってか、交ざって分かりにくくなってしまっています。