今日も元気にメゼポルタ広場からお届けします。【完結】 作:沙希斗
ただし私はPSPまでしか携帯機シリーズをやった事がありませんのでこのクエストは知りません。
なので情報サイトを基に「フロンティア」風に書いております。
私の知らない「シキ国」及びそこにそびえているという「天空山」の話が出て来ましたので、それらは資料なり動画なりを見て書きました。
今回はその一つ「竜ガ紡ギシ古キ歌」の中の「厄災覆天編」を投稿します。
クエスト及びエピソード内容は情報サイトに書いてあったものを基にしております。
ある日【ジャンボ村】の村長が、【ドンドルマギルド】に奇妙な物を持ち込んで来た。
なんでも旅の途中で【天空山】に寄った時、とある石板を見付けたというのだ。
その石板には文字が刻まれており、調べて欲しくてこちらに赴いたとの事。
そこには、こんな文字が刻まれてあった。
『災厄、天を覆いし時
霞、古都を這いて
王亡き玉座は猟の庭』
そして何故か【天空山】に、普段はそれ程いないはずの【ガブラス】が大量発生していたという。
【天空山】というのは【シキ国】にある天を突くような山らしく、古代文明の名残りが辛うじて残っている所なのだとか。
『辛うじて』と書いたのはその山がかつては普通の山だったのに過去に巨大規模の地殻変動が起こったらしく、その事によって今や崩れかけているという有様で、地形共々かなり不安定で危うい場所に成り果てている。という理由からである。
そんな場所に村長がわざわざ出向いたのは遺跡群に興味があったからだそうで、持ち込んだ石板も、恐らく失われた古代文明の物だろうという事だった。
【ハンターズギルド】に持ち込んだのはその謎を解くというよりは、【ガブラス】が異常発生した事に懸念を抱いたから。
何故なら【ガブラス】は「災厄の使者」と呼ばれる【モンスター】であり、【古龍】に先駆けて現れる事が多いからである。
「この石板と関係があるかどうかは不明なんだけど、『災厄の前兆』かもしれないだろ? それにあまりにも数が多いから減らして欲しいんだ。何より調査が滞るし」
「そうじゃのぉ。【天空山】は【ドンドルマ】からも遠い場所の関係で、まだまだ調査が進んでおらん所じゃからのぉ。調査が滞るのはちと困るしのぉ」
「取り敢えず40匹ぐらい狩ってもらえると有難い」
「40匹とはちと数が多いが、そんなに湧いておるのかぁ!?」
「うん。おいらが見た場所ではうじゃうじゃいたよ。もう視界中【ガブラス】だった」
「うむむ……」
それを聞いて眉間に皺を寄せた【ギルドマスター】は、「【ギルドナイト】に調べさせた方が良いかもしれんのぉ……」と呟いた。
【ギルドマスター】から【シキ国】に赴くように言われたベナトールは、早速【天空山】に登って行った。
【ベースキャンプ】として設えられた場所まで着いて、まず彼はあまりの崩壊っぷりに驚いた。
なにせここですら、崩れた岩場にツタが絡まって辛うじて地形を維持している。といった具合の足場しか無いのだから。
そこを起点に登ろうとして、ふと彼は不思議なものを見た。
それは奇妙な紋章のある扉だった。
恐らく古代文明時代のものと思われる。
一部が崩壊していたのだが、扉自体の役目は果たしている様子。
だが彼の怪力でいくら押しても引いても、そして【ハンマー】でぶっ叩いてもびくともしなかった。
もう開かなくなっているのか、それとも何かの条件を満たせば開くような仕掛けになっているのだろうと、開かないのなら深く考えずに取り敢えず反対側から上に登る事にした。
そちらの方へ道が開けていたからである。
どのエリアも至る所が崩れており、非常に足場が不安定である。
崩壊が今も続いているのか時折落石があったりして、危なっかしくて仕方がない。
そんな場所なのに宙に浮いた岩に絡まるツタだけを頼りに登らなければならなかったり、今にも割れそうな薄い岩が階段状に連なっていたりする所を渡らねばならなかったりした。
見下ろすと雲海が見えたりして、ここがかなり標高の高い山だという事が分かった。
遺跡群の名残りやただ柱の根元だけが残っていて段差の激しいエリアになっている所もあったが、【ジャンボ村】の村長程は遺跡には興味が無いし、【ガブラス】退治が目的なのでサッサと進む。
が、どのエリアを見てもせいぜい2、3匹がふらふら飛んでいる程度。
その程度の数ならばどの狩場にでも見かけるので、とてもじゃないが異常発生という雰囲気ではない。
もしかしたらもう四散してしまったのかと思いつつ、地図で言う《7》に踏み込んだベナトールは、思わず我が目を疑った。
そこに、視界を覆い尽くす程の【ガブラス】が群れ飛んでいたからである。
やはり村長の言っていた事は本当だったかと確信し、群れの中へ突っ込む。
途端に喧しく鳴き交わしながら四方八方から襲って来る相手を、手当たり次第にやっつけていく。
何せ数が多いために、【ハンマー】を適当に振り回しているだけでも次々に自らぶち当たっては死んでいくので、狙う事すらもしなくて良いくらいだった。
当然毒も吐かれるのだが、解毒をしている暇が無い。
というか解毒よりも討伐を優先しないと視界が確保出来ず、この場所から抜け出せないくらいなのだ。
なので依頼数である40匹をとうに超しても彼は【ハンマー】を振り続けた。
ようやくそこから抜け出した頃には累々たる屍が積み重なっており、だがそれでも全体的な数が少々減ったという程度にしかなってはいなかった。
しかも減らせたと思う端から次々に沸いて来た。
なのでキリが無いと思ったベナトールは、自分が抜け出せた事でもうそれ以上の討伐を諦めた。
元々全滅させるという依頼ではなかったので、抜けた事を利用してサッサと帰って行った。
【ガブラス】を探して各エリアを探索していた時もそうだったのだが、他の小型【モンスター】があまり見当たらず、大型【モンスター】もまったくいなかったのにはやはりおかしいと思った。
帰還して村長にその旨を話すと、慌てた様子で石板を解読し始めた。
「『災厄、天を覆いし時』……。これって【ガブラス】の異常発生の事なんじゃないのか?」
「ふむ……。確かに似ているのぉ」
「『霞、古都を這いて』……。『霞』という事は、もしかして【霞龍】? 『古都』というくらいだから、歴史あるここ【ドンドルマ】なのでは?」
「それは考え過ぎじゃろう。なにも【モンスター】とは限るまいて。それに古代文明の遺物ならばその文明を指すのではないのかの?」
「では『王亡き玉座は猟の庭』とは? これってもしかして【大老殿】に玉座があるから『王亡き』というのは王じゃない【大長老】様の事かもしれない」
「まさかそんな事など――」
そう言い合っていると、慌てふためいた様子で【ギルド職員】が駆け込んで来た。
「街壁が【オオナズチ】に襲撃されているとの報告が入りました!」
「なんじゃとぉっ!?」
「やはりこの石板通りじゃないか! でも本来は大人しい【古龍】である【オオナズチ】が【街】を襲うなんて、信じられない……!」
村長はまさかの事態に驚きを隠せずにいる。
「近くにいたハンターと既に戦闘に入っているようですが、外壁が持ちそうにありません!」
「募集している暇は無い! 行けベナトール!」
「承知しました!」
こうしてベナトールは、休む間も無く今度は【オオナズチ】を狩るために街門に向かったのだった。
普通のハンターでも受けられるクエストらしいのですが、後に続くエピソードを考えると「ギルドナイツ」絡みにした方が良いと考え、(後に続く全体も含めて)この話の主役は「ベナトール」だけになってしまいました。