今日も元気にメゼポルタ広場からお届けします。【完結】 作:沙希斗
「ババコンガ」のお題を友人から貰って書こうとしていたら、「下りて」来ました。
何故お前はそう簡単に「下りて」来るのだ……。
「ハナよ、ピンク色の猿に会いたくねぇか?」
ある日、ベナがそう言ったの。
「おサルさん? ピンク色してるの!?」
「おうよ。お前の好きなピンク色の猿だ」
なんかニヤニヤ笑ってるのが気になったんだけど、あたしは「会いたいっ」て言った。
【密林】の、《10》ってとこだったかな~~? とにかく【昼】には行けるけど【夜】には行けない所。ベナがそこにいるって言うから走って行ったらさ、ピンクのおサルさんが一杯いたのよね。
「ヤダ可愛いっ♪」
嬉しそうに近付いて来た一匹を抱き上げようとしたんだけど、引っ掛かれちゃった。
「いった~~いっ!」
そうしたら、飛び付いてお腹で圧し潰そうとした。
「もぉ、なんなのよぉ!」
気が付いたら、おサルさんみんながそうしてる。
怖くなって逃げ回ってたら、なんか奥の方で吠えたのがいた。
同じピンク色なんだけど、一番おっきなおサルさん。
しかも、頭の毛がとんがってる!
その子も同じようにフガフガ言いながら突進して来たんだけど、可愛いどころか逆に怖かったよ。
「【ババコンガ】の縄張りにようこそ♪」
「嬉しそうに言わないでよぉ! ベナのバカッ!」
むくれて言ったら(兜で見えないけど)ニヤニヤ笑いのまま、こう言われた。
「という事で、【コンガ】を頼む」
【コンガ】っていうのは、小さい方のおサルさんの事みたい。
「こっちの方が、数が多いじゃないのよぉっ!」
「なら【ババコンガ】を相手にするか?」
「遠慮しときます……」
とにかく、引っ掛かれたり、飛び付かれて尻餅を付いたりしながら、あたしは【コンガ】相手に闘った。
一人で大騒ぎしながら頑張ってたら、ベナが「あ!」って間抜けな声を出したのよね。
そうしたら、なんか茶色い塊が飛んで来た。
べしゃっ
振り向こうとしたあたしに、それが当たった。
「……! くっさ~~~いっ!」
鼻が曲がるかと思ったわよ!
それを見て、ベナったらゲラゲラ笑ってるんだもん。ヒドイと思わない!?
「もぉっ! どうにかしてよぉ!」
泣きそうな気分だったんだけど、ベナは【ババコンガ】との格闘に忙しいみたいで、なんにも助けてくれなかった。
回復したくても、あんまり臭くて吐き気がして、【回復薬グレート】が飲めなかった。
その内ベナが【消臭玉】を掛けてくれたんだけど、(といっても自分も臭くなってたから、ついでに掛けてくれただけなんだけど)もう散々だったよ。
ベナがニヤニヤ笑ってる時は、要注意だって分かったわよ。まったく!
ちなみにタイトルの「匂い」を「臭い」としなかったのは、わざとです。
「臭い」の方を使うとくさい臭いだとすぐにバレてしまうと思ったからです。