今日も元気にメゼポルタ広場からお届けします。【完結】   作:沙希斗

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前回の「朱に染まりし溶岩の」の続きのような依頼書を見付けたので、それを基に書きました。
なので依頼主のセリフ(クエ出発前)も依頼文が基になっております。


鎧を纏う朱と黒

 

 

 

 朱色の【ヴォルガノス】にやられたハンターが復帰したというので、アルバストゥルは【大衆酒場】に行ってみた。

 すると彼は既に出来上がっており、周りにこう豪語している所だった。

 

「先程発見された【ヴォルガノス亜種】……。必ずこの手で狩ってみせるぜ!」

 

 どうやらギルドの方も亜種として正式認証したらしい。

 やんやの喝采が飛ぶ中で、アルバストゥルはにや付きながら「頑張れよぉ」と声を掛けた。

 からかうようなその声に気付いてムッとした顔をしながら座った目で振り向いた彼は、「おめぇも手伝えぇ」と絡んで来た。

 

「ちょ、もたれるな酒臭ぇ!」

 

 どかせようとしたら肩を組んだ状態で顔を寄せられ、濃厚な酒の臭いを吐きながらこんな事を言って来た。

 

「……この時期はよぉ、黒い鎧竜もいるってよぉ……」

「んなもん他の連中に頼めよ!」

「固ぇ事言うなよぉヒック。オレとおめぇの仲らろぉ!?」

「あのなぁ、俺はそこまでおめぇとつるむ気は――」

「手柄はぁ、山分けって事れろぉらぁ? なんなら上乗せおえぇ!」

「分かった! 分かったから吐くなっ!」

 

 配膳していたギルド職員に怒られてとばっちりを受けた形になったアルバストゥルは、渋々彼の【マイハウス】まで送りに行き、ベッドに投げ倒して憤慨しながら帰って行った。

 

 

 翌朝、「鎧竜のお腹壊すの大変だから」とかなんとか言って付いて来たカイと共に三人で【火山】へ。

 ソロで挑むと言う彼に、「もし独りでキツかったらいつでも呼べよ」と声を掛け、《2》から《10》へ入って行くのを見送った。

 

【挿絵表示】

 

 それから二人は《3》へ入り、そこを経由して《4》へ。

 【彼女】はキャンプからすぐのその場所にいる事が多いからである。

 

 エリアに入ると丁度出て行こうとしている所だった。

 

「ヘイ【彼女】。もう少し居てくれねぇかな?」 

 

【挿絵表示】

 

 アルバストゥルはそんな事を言いながら走り寄りつつ尾の先に抜刀斬り。

 何事かと立ち止まり、キョロキョロし始めた相手の腹下で、カイは【落とし穴】を仕掛けた。

 落ちてあたふたしている間にカイによる麻痺が決まる。

 

「ナイス!」

 

 声を掛けつつ『溜め斬り』。

 と、二度目の溜め斬りが決まる間際ぐらいに出て来た。

 

「そりゃ怒るわなぁ」

 

 直後に放った特大の咆哮を聞いて、アルバストゥルは慰めるように言った。

 

「かと言って、容赦なんぞする気はねぇけどなっ!」

 

 そして尻尾を斬り飛ばした。

 怒りに移る咆哮は長く、その間に溜められるからである。

 ただし、〈高級耳栓〉を付けているからこそ出来るのであって、これが無い者はその間中耳を塞ぎ続ける事になってしまうのだが。

 

【挿絵表示】

 

「オレも狙ってたのにぃ」

「悪ぃな。おめぇの連撃より俺の溜めの方が先に斬れちまったわ」

 

 そんな事を言っている二人に、怒りの横薙ぎブレスが飛ぶ。

 だが何度も狩猟してそんな事は分かり切っている彼らに通用するはずがない。

 むしろ突進で溶岩の中に入られ、そこから連続してブレスを吐かれるのは勘弁して欲しいと思っているので、なるべく溶岩の少ない地形に誘導しながら闘った。

 

 腹下に潜り込むのも腹破壊をするのもカイの方が得意だったようで、二段階破壊を済ませてくれたのを見て「さんきゅー」と親指を立てる。

 兜の中でニカッと笑っているのを察しているカイは、得意気に笑った。

 これも兜で見えないが分かっているアルバストゥルは、ドヤ顔してやがるなどと思っていた。

     

 依頼文には狩猟と書かれてあったため、捕獲にする。

 討伐だと剥ぎ取りに来ないといけなくなるので、手強い【ヴォルガノス亜種】と闘った後であいつが遠い場所まで剥ぎ取りに来るのはしんどいだろうと思ったからである。

 尻尾から取れる素材が欲しければ剥ぎ取りに来ないといけないのだが、それは報酬素材を多めに渡そうとアルバストゥルは思った。

 

 

 二人が【黒い鎧竜】こと【グラビモス亜種】の狩猟を終えてもクエスト時間はまだ余っていた。

 そこで「一応様子を見てみようぜ」と《10》へ。

 しかしそこは静まり返っていた。

 

「隣に移ったか……」

「行ってみる?」

「……いや、少し待ってみよう」

 

 【ヴォルガノス】の仲間は戦闘中でも頻繁にエリア移動する。

 それでも大きな溶岩溜まりがあるのはここ《10》と地形が繋がっている《9》だけなので、しばらく待っているとやって来る場合があるのだ。

 

 だが、いくら待っても来る気配は無かった。

 

 クエスト終了時間が差し迫っているのに気付いた二人は、「怒られても良いから手伝おう!」と《9》へ駆け込んだ。

 そこに見えたものは力無く横倒しになっている【ヴォルガノス亜種】と、その隣でぶっ倒れているハンター。

 一瞬瀕死になっているのかと狼狽したが、単に気力を使い果たして喘いでいるだけだと分かり、安堵した。

 

「よぉ、やったなぁ!」

 声を掛けると倒れたままアルバストゥルを見上げ、親指を立てた。

 

「大丈夫か?」

 カイが心配するとゆるゆると上半身だけ起こし、兜を外しながら頷いた。

 

 汗と血でまみれてはいたが、とても清々しい笑顔だった。

 

 

 

 

 




今回は「フォスタ」と呼ばれているお助けNPCに登場してもらいました。
同行設定をONにすると他の仲間やNPCなどで空きが無い限り勝手について来る連中で、ソロでも勝手に参加して来るので四人でクエストをしている状態になれます。
「パートナー(今回はカイ)」を育てるとそちらの方が強くなるため普段はOFFにしているのですが、見送る場面が撮れるなと思って参加させました。
黒グラの狩猟の時は参加して来られると困るので二人参加設定にして撮影しております。
(つまり、撮影のために参加設定を変えて二回クエに行ってます)

「フォスタ」は四人の内ランダムで選ばれて参加して来るのですが、今回は「イグニール」というキャラが参加して来たようです。
装備もランダムなんですが、今回は「グラビド」シリーズに「狩猟笛」で来たようです。

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