今日も元気にメゼポルタ広場からお届けします。【完結】   作:沙希斗

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「モンスターハンターフロンティアZ(MHFZ)」は、とうとうサービス終了の最終週に入っています。
その最後のイベントとしてこんなものが配信されていましたので、参加して書きました。

話に出て来る「ミズキ」と「エフィー」の会話(文末のやり取り以外)は、全部公式サイト及びゲーム内で話しているものを使っています。


ミズキの足のヒミツ

 

 

 

「ハナさん、ちょっと相談があるんですが……」

 

 【メゼポルタ広場】で呼び止められたハナは、【ガイド娘】の一人【エフィー】からこんな事を持ち掛けられた。

 

「最近、ミズキちゃんがずっと『げきおこ』なんです」

「あらら、何をそんなに怒ってるの?」

 

 【シリーズクエスト】や特別アイテムの交換などを受け持っている【ミズキ】はとても感情表現の豊かな人物である。

 

【挿絵表示】

 

 なので怒っている時も物凄く分かりやすくはあるのだが……。

 

「どうしたのか聞いてみても『別に……』と、そっけない態度ばっかりで。こんな大事な時期に様子がおかしいのは心配なので、ハナさんからも話しかけてみてもらえませんか?」

 

 ギルド職員の中でガイド業務を務めている【ガイド娘】にはそれぞれの担当があり、【エフィー】は広場入り口のカウンターで、主にイベントの案内や駆け出しハンターへのシステム案内などを受け持っている。

 

【挿絵表示】

 

 だから広場中央カウンターにいる【ミズキ】が、業務中に支障をきたしても自分では対処出来ないので、心配なのだろう。

 

「分かった。今度話し掛けてみる」

 

 ハナがそう言うと、「よろしくお願いいたします」と丁寧に頭を下げた。

 

 

 後日、何気なさを装って話し掛けたハナは、「な、なんですか、ハナさん。特に新しい依頼は届いていませんよ」と誤魔化した態度が怪しくて、更に突っ込んだ。

 

「えーっ、わたしが何か言いたそうにしているように見えるですって? な、なんでバレたんですか!」

「いや態度で丸分りだし」

「確かに最近、靴下を履いてないとか、足がクサイとか、そんな風に言われていると耳にして、げきおこでしたけど……」

「あはは、それで怒ってたの?」

 

 なんだそんな事かと思っていると、「でも、そんなのありえない話なんです!」と言い始めた。

 

「どうしてそう言い切れるのか、知りたいですか~~?」

 

 いかにも言いたげな顔で「うふふ」と笑っている彼女に、「うん知りたいっ! 教えて!」と食い付くと……。

 

「もし、どぉ~しても知りたいのでしたら……」

「うんうん」

「ポルタチケット桜100個の情報料で手を打ちましょう。それでも、本当に聞きたいですか?」

 

 【ポルタチケット】というのは【ハンターズギルド】が発行している、いわばハンター施設でのみ通用する金券のようなものである。

 特別なクエストを受けて手に入れた物を貯めておき、課金して使う。

 色々な種類があって、その中で一番価値のあるチケットが【桜(一枚五万ゼニー)】である。

 

【挿絵表示】

 

 つまり、ミズキは「五百万ゼニー払ってくれればその情報を提供する」と言っているのだ。

 

 ハナは随分大きく出たなと思った。

 だが、それくらいは貯まっていたので多少引きつつも「い、いいよ」と答えた。

 

「ハナさん、やっぱりわたしの足のヒミツ、気になりますか?」

 

 その返事の代わりに【ポルタチケット桜】を百枚渡す(何故かミズキは「枚」ではなく「個」と言うのだが)と、「そんなに知りたいですかー。仕方ないなぁ~」と散々思わせ振りな態度を取った後、こう切り出した。

 

「実は……、このわたしミズキは……」

「うんうん」

「なんと! パンプス用の靴下を履いているのです!」

 

 ミズキの制服は甲と足首を固定するストラップの付いたパンプスが支給されている。

 それを素足で履いているように見え、どうも「靴下を履いてないから足がクサイ」という噂が立ったようなのだ。

 

「たしかにパンプス用の靴下って、薄いし目立たないようになってるし、一見履いてないようにも見えますよね」

「なるほどぉ、そういう事だったのね~」

「でも安心してください! ちゃんと履いてますよ!」

 

 見せようとしたのか「ほらほら~~」と言いながら脱ごうとしたミズキがバランスを崩してひっくり返りそうになったので、「いいから、分かったからっ!」とハナは止めた。

 

「というわけで、わたしの足に関する秘密でした!」

 

 あっけらかんと言った彼女は、「もしどこかで『ミズキ靴下履いてない』『足がクサイ』って言っているハンターさんがいたら、それは誤解だよと教えてあげて下さいね! それでは、さようなら~」とにこやかに手を振った。

 

「……ミズキぃ」

「なんですか?」

「あんた、それだけのために【ポルタチケット桜】百枚要求したのぉ?」

「そうですけど、なにか?」

「殴っていい?」

 

 逆にげきおこ状態になったハナであった。

 

 

 

 

 

 




マジふざけんな! と思いました。
しかもクエストを依頼されるような事も一切なく、会話だけで終わった上に報酬も何も無かったんですよ。
これはどうも、「ミズキ」ではなく彼女に対してハンターを「げきおこ」にするイベントだったようです。

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