今日も元気にメゼポルタ広場からお届けします。【完結】   作:沙希斗

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キャラ誕生物語第二弾。
といっても前回の「ベナトール物語」で述べた通り私の中には「ベナトール」と「アレクトロ」しかいませんので、これでこの話は終わりになります。
 
という事で「アレクトロ物語」をお楽しみください。



アレクトロ物語

   

 

 

 

【ココット村】のある家庭に、褐色の肌と鮮やかな青い髪を持つ男の子が生まれた。

 

 彼は幼少期まで、なんと【リオレイア】に育てられたという。

 

 なぜなら母親が病弱で乳の出が悪く、不憫に思った父親が、身籠った【リオレイア】を捕獲したからである。

 以降母親と【リオレイア】との半保育で育った彼は、一緒に育った【リオス科】の幼体との遊びを通じ、【モンスター】(取り分け【飛竜種】)の扱いを学んだようだ。

 【リオレイア】は、同じ巣にいる弱々しいものを護ろうとする性質があるようで、従って【彼女】にとっては異形のものである彼に、危害を加える事はなかった。

 

 その【リオレイア】は、彼の足取りがしっかりしてきて野山を一人で走り回れるようになるまでは【モンスター闘技大会】に出すペット扱いになっていたのだが、ある日敵と見なした父親を噛み殺してしまった。

 

 それは【彼女】にとっては彼を護ろうとした行為なのだが、【ハンターズギルド】はそれを許さず、【彼女】は処分されてしまう。

 残った【リオス科】の幼体には罪は無いとの事で野に放たれたが、成長した彼らも、やがてハンター達に狩られてしまう。

 

 彼ははじめ【モンスター】を狩猟の対象とは見なしてなかったようなのだが、ハンターに憧れるようになってからは、【モンスター】は生活のために狩るものだと思うようになったらしい。

 ただそれは、彼にとってはあくまでも生きる糧を得るためだけの行為であって、それ以上の無駄な殺生は必要ないと今でも考えているようだ。

 

 

 少年期の前半に、それまで病弱な体を酷使して彼を育てていた母親が死んでしまう。

 死ぬ間際にお守りとして渡された、彼女がいつもしていた羽根の髪飾りを形見とし、以降彼はそれを手放さずに自分の髪に付けるようになったため、彼の左のもみあげには常にその羽根飾りが揺れるようになった。

 

【挿絵表示】

 

 彼は半分【モンスター】に育てられたという特殊な環境のせいなのか、【人間】に対してあまり興味を示さず、幼少期でも一人で野山を駆け回る事が多かった。

 一応同じ年の子供らに求められれば一緒に遊んだりはしたのだが、自分からその遊びの輪の中に加わる事はしない子供だった。

 村の大人達はまだ幼い彼を不憫に思って色々尽くしてはくれたのだが、彼自身はそれら全てを煩わしいと思っており、独りで生活する事を良しとしていたため、いつしか彼は【アレクトロ(独り者)】と呼ばれるようになった。

 

 それまでは本名があったはずで、その本名で呼ばれていたはずなのだが、自分自身も忘れてしまったらしく、従って、彼の本名は誰も知らない。

 

 幼年期後半あたりでカイと出会い、以降なぜかカイがどこにでも付いて来るようになったのがうっとうしくて堪らなかった彼なのだが、放っといて付いて来るに任せる内に、カイにだけは普段話さないような事も話すようになったようである。

 

 

 正式にハンターになるためには【訓練場】に通う必要があるとの事で嫌々ながら通っていたが、その中で無理矢理【大剣】を使わされた事で【大剣】を使う事に目覚め、それ以降は【大剣使い】として名を馳せるようになった。

 

 成人した彼は主に【街(ドンドルマ)】に拠点を移し、基本的にはソロ活動をしていたが、同じ頃にハンターになったカイが【金魚のフン】のように付いて来るので二人で狩る事も多くなった。

 彼は難しい【クエスト】を好むために必然的にカイと死線を潜り抜ける事になり、そのために独りでは死んでいた状況でも、カイによって助けられた事が何度もあるようだ。

 

 

 

 そんな中、たまたま里帰りしていた【ココット村】にやって来た、奇妙な組み合わせの二人組と出会う。

 

 それは傍目から見ればどう見ても【獰猛な野獣を従えたお嬢さん】という風にしか見えず、その【お嬢さん】の方がカイの知り合いとの事だったので(ガキ扱いして)からかっていたのだが、【野獣】の方がカイにちょっかいをかけてカイが嫌がっていたのを見て食って掛かったのを機にそっちの方とも付き合うようになり、以降、求められるままに、あるいは自分からも誘ったりして彼らと行動を共にするようになった。

 




この話を書いて初めて「アレクトロ」が実は本名ではない事を知りました(笑)

本編で分かる通りに彼は特殊な育ち方をしております。
「リオレイア」が子育てをする際に顎の器官が授乳器の役割をするという事を知っており、それを思い出して彼の話に取り入れました。
一般的にあの気管は「幼体の歯が生えそろっていない時期に咀嚼した肉を与えるため」と考えられているのですが、【彼女(リオス科)】の歯の構造的に細かく噛み砕くという事は出来ない(ほぼ丸呑みに近い食べ方をするはず)と考えていますので、私の勝手な自己解釈として狼のように一度胃に入れた未消化のものを吐き戻して与えているのではと考えています。

しかしそれでも孵化間もない時期は液体に近いようなドロドロの「ミルク」のようなものを与えていると考え、それを授乳期のアレクトロには与えていたと考えました。


アレクトロの髪飾りは装備ではなく、あの髪型にすると勝手に着けるようになるのです。
なので肌身離さず着けているなら形見なのだろうと思いました。
ただの羽根に見えますけども、「テオ・テスカトル」の上位ブレスですら燃えないので特殊な素材なのかもしれません(笑)

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