今日も元気にメゼポルタ広場からお届けします。【完結】 作:沙希斗
「アレクぅ、【ねじれた角】が必要なの。手伝って♪」
「あのなぁ、俺は便利屋じゃねぇぞ。オッサンはどうしたよ?」
「どうしても連れて行けない仕事があるんだって。カイは?」
「あいつは【モノブロス】狩りだ。【一角竜の背甲】が必要なんだと」
「へぇ、じゃあ二人で行く事になるね♪」
「誰が行くっつったよ」
「下位の【ディアブロス】なんだからいいじゃ~~ん。あ、もしかして狩る自信無いんでしょ」
「おめぇが足手纏いになるのが嫌なんだっつの! んなもんオッサンが帰って来るまで待ちゃあ良い話だろうが!」
「だって、いつ帰って来るか分かんないんだもん。……じゃあ一人で行くよ」
「だ~もぉっ! 行きゃあ良いんだろ行きゃあ!!」
いかに下位であったとしても、【ディアブロス】となれば手強いので、一人で行かせる訳にはいかないのだ。
案の定、(主にハナが)苦戦した。
【ディアブロス】の甲殻は硬く、中々攻撃が通らないからである。
それでも麻痺や【音爆弾】などの束縛によって、(アレクトロが)一本目の角を折る事に成功する。
尻尾が切れ、二本目の角に差し掛かった頃、相手が怒った。
ギオォ~~~ン!
甲高い咆哮に硬直し、思い切り耳を塞ぐハナ。
その硬直が解けるか解けないかぐらいの時に、体当たりされた。
「きゃあっ!!」
ハナはギリギリでガードしたものの、そのまま吹っ飛ばされた。
起き上がる前に突進が来る。
駆け寄るアレクトロは、間に合わないと思った。
「ハナあぁ~~~!!!」
アレクトロの絶叫と、彼女の肉体を貫く音が同時に聞こえた。
「くそがあぁ~~~!!!」
彼は叫びつつ怒りを込め、相手の頭を思い切り横から切り付けた。
悲鳴を上げながら頭を振った相手は、その勢いでハナを振り落とした。
角が抜かれた事で大出血したハナは、血飛沫と共に遠くに転がって行く。
そこで気付いた。
気付いてしまった。
ベナトールが、過保護な程に身を挺して彼女を護ろうとしていた訳を。
そして、ハナと離れたがらない訳を。
彼女の代わりに彼が受ける事で、彼女を死なせないようにしていたのだ。
彼女では死んでしまうような傷さえも、彼ならば耐えられると分かっていてあえて受けていたのだ。
いや、むしろ自分は死んでも良いと思っているのだ。彼女を護れるならば。
全てはハナを護るため。
ハナを死なせないようにするため。
その一つの理由だけで、ベナトールはハナに付いているのだ。
それはもう、【教官】だからという言い訳を超えたものなのだろう。
ただハナを護りたい。
それだけの理由なのだろう。
だから彼はきっと、最期の瞬間までハナを護ろうとするだろう。
「ハナ!!」
【閃光玉】で相手が怯んだ隙に、ハナを抱き上げる。
尋常じゃない出血。ハナはぐったりとして喘いでいる。
死なせるわけにはいかない!
アレクトロは強く思った。
ハナのためではない。オッサンのために、死なせるわけにはいかない! と。
【ベースキャンプ】まで運び、【生命の粉塵】やら【秘薬】やら、とにかくあらゆる方法で回復手段を行いながら、「ハナ! 頑張れ!!」と呼び続ける。
【クエストリタイア】を選択し、帰るまでの道中も、【竜車】の幌の中で意識の無いハナを抱き、励まし続けた。
「……すまない……!」
【街】に着くや否や医務室にハナを放り込み、その足でベナトールの部屋に行ったアレクトロは、いきさつを話して彼の前で土下座をし、苦し気に声を絞り出した。
ベナトールは、黙っている。
「間に合わなかった、というのは言い訳に過ぎない。俺が受けるべきだった」
「……。ミスは、誰にでもある……」
呻くように絞り出す声。
「なぜだ、なぜそうまでして感情を押し殺す!? 俺を殴れよオッサン! なんなら殺してくれたっていい。あの恐ろしい程の【殺気】はどこに行ったよ!?」
「……。ハナは、死んでない。それに、お前の責任でもない。防ぎ切れなかったあいつが悪い」
「いいや! オッサンなら間に合っていた。ハナを護れなかった俺が悪い。俺は――!?」
最後まで言わせず、右腕を回して彼はアレクトロを抱き寄せた。
「辛い思いをさせて、すまんかったな」
「……っ」
それだけで、彼の感情が痛い程伝わって来る。
それに耐え切れず、アレクトロは彼に抱かれたまま声を殺して泣いた。
私のプレイキャラの中には「ハナ」はいませんので、女キャラにハナイメージの「リオハートシリーズ&デスパライズ」を装備させて挿絵を撮影しました。
丁度このキャラの「パートナー」が「アレクトロ」だったので、この二人のクエストを再現出来ました。
挿絵では「ディアブロス」が止まって見えますが、突進中なんです。
なので上手い位置で調節して撮るのが難しかったです。
ベナトールとのシーンは「ベナトール」を「パートナー」にしているキャラで撮影しています。
抱き寄せるシーンではシステム上同じ背丈になっていますが、実際のベナトールのイメージはハンターの平均170cmを遥かに上回って200近い体躯をしています。
ので、平均身長のアレクトロと並ぶと飛び抜けています。
ガタイも筋肉量ももっと大きいはずなので、そのつもりで脳内再生して下さい(^^;)