今日も元気にメゼポルタ広場からお届けします。【完結】   作:沙希斗

46 / 262
アレクトロが、ベナトールの想いに気付いたようです。


ミスの先に見えたもの

   

 

 

 

「アレクぅ、【ねじれた角】が必要なの。手伝って♪」

「あのなぁ、俺は便利屋じゃねぇぞ。オッサンはどうしたよ?」

「どうしても連れて行けない仕事があるんだって。カイは?」

「あいつは【モノブロス】狩りだ。【一角竜の背甲】が必要なんだと」

「へぇ、じゃあ二人で行く事になるね♪」

「誰が行くっつったよ」

「下位の【ディアブロス】なんだからいいじゃ~~ん。あ、もしかして狩る自信無いんでしょ」

「おめぇが足手纏いになるのが嫌なんだっつの! んなもんオッサンが帰って来るまで待ちゃあ良い話だろうが!」

「だって、いつ帰って来るか分かんないんだもん。……じゃあ一人で行くよ」

「だ~もぉっ! 行きゃあ良いんだろ行きゃあ!!」

 いかに下位であったとしても、【ディアブロス】となれば手強いので、一人で行かせる訳にはいかないのだ。

 

 

 案の定、(主にハナが)苦戦した。

 【ディアブロス】の甲殻は硬く、中々攻撃が通らないからである。

 それでも麻痺や【音爆弾】などの束縛によって、(アレクトロが)一本目の角を折る事に成功する。

 尻尾が切れ、二本目の角に差し掛かった頃、相手が怒った。

 

 ギオォ~~~ン!

 

 甲高い咆哮に硬直し、思い切り耳を塞ぐハナ。

 その硬直が解けるか解けないかぐらいの時に、体当たりされた。

「きゃあっ!!」

 ハナはギリギリでガードしたものの、そのまま吹っ飛ばされた。

 

 起き上がる前に突進が来る。

 駆け寄るアレクトロは、間に合わないと思った。

 

「ハナあぁ~~~!!!」

 アレクトロの絶叫と、彼女の肉体を貫く音が同時に聞こえた。

 

【挿絵表示】

 

「くそがあぁ~~~!!!」

 彼は叫びつつ怒りを込め、相手の頭を思い切り横から切り付けた。

 悲鳴を上げながら頭を振った相手は、その勢いでハナを振り落とした。

 角が抜かれた事で大出血したハナは、血飛沫と共に遠くに転がって行く。

 

 そこで気付いた。

 気付いてしまった。

 

 ベナトールが、過保護な程に身を挺して彼女を護ろうとしていた訳を。

 

 そして、ハナと離れたがらない訳を。

 

 彼女の代わりに彼が受ける事で、彼女を死なせないようにしていたのだ。

 彼女では死んでしまうような傷さえも、彼ならば耐えられると分かっていてあえて受けていたのだ。

 いや、むしろ自分は死んでも良いと思っているのだ。彼女を護れるならば。

 

 全てはハナを護るため。

 ハナを死なせないようにするため。

 

 その一つの理由だけで、ベナトールはハナに付いているのだ。

 それはもう、【教官】だからという言い訳を超えたものなのだろう。

 

 ただハナを護りたい。

 それだけの理由なのだろう。

 

 だから彼はきっと、最期の瞬間までハナを護ろうとするだろう。

「ハナ!!」

 【閃光玉】で相手が怯んだ隙に、ハナを抱き上げる。

 尋常じゃない出血。ハナはぐったりとして喘いでいる。

 

死なせるわけにはいかない!

 

 アレクトロは強く思った。

 ハナのためではない。オッサンのために、死なせるわけにはいかない! と。

 

 【ベースキャンプ】まで運び、【生命の粉塵】やら【秘薬】やら、とにかくあらゆる方法で回復手段を行いながら、「ハナ! 頑張れ!!」と呼び続ける。

 【クエストリタイア】を選択し、帰るまでの道中も、【竜車】の幌の中で意識の無いハナを抱き、励まし続けた。

 

 

「……すまない……!」

 【街】に着くや否や医務室にハナを放り込み、その足でベナトールの部屋に行ったアレクトロは、いきさつを話して彼の前で土下座をし、苦し気に声を絞り出した。

 

【挿絵表示】

 

 

 ベナトールは、黙っている。

 

「間に合わなかった、というのは言い訳に過ぎない。俺が受けるべきだった」

 

「……。ミスは、誰にでもある……」

 呻くように絞り出す声。

 

「なぜだ、なぜそうまでして感情を押し殺す!? 俺を殴れよオッサン! なんなら殺してくれたっていい。あの恐ろしい程の【殺気】はどこに行ったよ!?」

「……。ハナは、死んでない。それに、お前の責任でもない。防ぎ切れなかったあいつが悪い」   

「いいや! オッサンなら間に合っていた。ハナを護れなかった俺が悪い。俺は――!?」

 

 最後まで言わせず、右腕を回して彼はアレクトロを抱き寄せた。

 

【挿絵表示】

 

「辛い思いをさせて、すまんかったな」

「……っ」

 それだけで、彼の感情が痛い程伝わって来る。

 

 それに耐え切れず、アレクトロは彼に抱かれたまま声を殺して泣いた。 




私のプレイキャラの中には「ハナ」はいませんので、女キャラにハナイメージの「リオハートシリーズ&デスパライズ」を装備させて挿絵を撮影しました。
丁度このキャラの「パートナー」が「アレクトロ」だったので、この二人のクエストを再現出来ました。
挿絵では「ディアブロス」が止まって見えますが、突進中なんです。
なので上手い位置で調節して撮るのが難しかったです。

ベナトールとのシーンは「ベナトール」を「パートナー」にしているキャラで撮影しています。
抱き寄せるシーンではシステム上同じ背丈になっていますが、実際のベナトールのイメージはハンターの平均170cmを遥かに上回って200近い体躯をしています。
ので、平均身長のアレクトロと並ぶと飛び抜けています。
ガタイも筋肉量ももっと大きいはずなので、そのつもりで脳内再生して下さい(^^;)

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。