今日も元気にメゼポルタ広場からお届けします。【完結】 作:沙希斗
質問内容はまったく同じにしております。
「アレク編」は友人が「カイ編」を書いて送ってくれたものを読んでからすぐに思い付いて書いたんですが、この「ベナトール編」は、実はかなり日にちが経ってから書いたものです。
と言いますのも彼の性格上「インタビュー」を受けてもらえそうもなく、インタビュアーが来たとしても邪険に追い返すだけだろうと思っていましたもので。
なので書く事を考えてもいなかったんですが、五か月程経った頃にふと「アレクトロの紹介としてなら受けてくれるのではないか?」と思い付きまして、それで書いたのです。
「オッサン、ちょっと良いか?」
「?」
「あのよ、俺前に《狩りに生きる》からインタビューを受けたんだが……」
「ほぉ」
「なんでも今度『ハンターの素顔を知りたい』っつう特集を組むんだと。んで、あちこちでいろんなハンターにインタビューして回ってるらしいんだわ。――でよ、オッサンにもインタビューしてみたいっつって裏に来てるんだけどよ」
「断ってくれ」
「即断すんなよ。俺からの紹介って事になってんだからよ、俺の顔立ててくんねぇかな?」
「……。なぜ俺を紹介した?」
「『ベテランハンターの声を聞きたい』とか言われたもんでな。俺他に知ってる奴いねぇしよ」
「……。俺はベテランではない」
「謙遜すんな。少なくとも俺ら三人より抜きん出てんだからよ。尊敬してんだぜ? 普段言わねぇけどよ」
「……フン」
「とにかくよ、待たせてあるから受けてくれよ。んじゃなっ!」
「…………」
「まずはインタビューを受けて頂いて有難うございます」
「……。ベナトールだ」(腕を組んだままムスッとしている)
「どど、どうも(^^;;;)」
「…………」
「おお、お聞きしてもよろしいでしょうか?」(若干ビビっている)
「……。構わん」
(覚悟を決めたように)「で、ではお聞きします。ハンターになったきっかけは?」
「成り行きだ」
「はい!?」(ちゃんとした理由があると思っていたので素っ頓狂な声になる)
「……。親がどちらもハンターだったものでな。ハンターの家系だというのもある」
「な、なるほど……」
「物心付いた頃から、親父からハンターになるべく育てられた。だからハンターになる事は当たり前だと思っていた」
「では否応なく、という感じでしょうか?」
「そうかもな。親父の訓練はかなり厳しかったが、取り分けハンターという職業が嫌だと思った事は無かったよ」
「それは今でも?」
「そうだな……。他に生き方を知らんからなぁ。恐らく俺は、自分で引退を決める前に、フィールドで力尽きるタイプだろうよ」
「羨ましいような、そうでないような……」
(ベナトールは複雑そうに口の端を持ち上げている)
「特技はありますか?」
「痩せ我慢だな」(ニヤリ)
「それは特技とは言わないのでは……(^^;)」
「まあ忍耐力には自信がある」
「タフそうですもんね。筋肉もかなりあるし」
「……。特に意識して鍛えた訳ではないがな。勝手に付いただけだ」
「これ程の筋肉が付くとなると、さぞや武器も重い物を扱ってらっしゃるんでしょうね。得意な武器は何ですか?」
「【ハンマー】だな……」
「ではかなり長い間使ってらっしゃるのでは?」
「だな。ガキの頃に誰もがそこから始めるように、親父に【片手剣】を持たされたんだがな、それを振るうより先に体を使った力技に持ち込む方が早くてな、それで【片手剣】をマスターする前に【ハンマー】を持たされたんだわ。それ以来ずっと【ハンマー】を使ってるんだが、その頃から相手がスタンするのがたまらなく面白くてなぁ。他の武器も使えん事はねぇんだが、やはりこの武器が俺にとっては一番馴染むようだ」
「なるほど……。大体分かりました。これでインタビューは終了です。本日は有難うございました」
「ふむ」
「これはあくまでも個人的な質問なんですが……」
「まだ、何かあるのか?」
「あなたは【ギルドナイツ】の一人ではないかという噂があるのですが、それは本当でしょうか?」
「…………」(鋭い目で睨んでいる)
「ごご、ごめんなさいっ! 殺さないで下さいっ!!」(チビりそうになっている)
「……。どこから聞いて来たか知らんが、貴様【ギルドナイツ】という存在が、どういうものだか分かっているのか?」(呆れたような顔をしている)
「あ、あくまで噂ですが、【ハンターズギルド】直属の、国などの交渉や密猟者の取り締まり、未知の【モンスター】を調査する人物の集まりだと……」
「そう、噂だ。その【噂】でしか知り得ないような朧げな存在なのだよ。まさに都市伝説級のな。そんな輩が身近にいる訳がなかろう? ――しかも俺がその人物の一人だと? 片腹痛いわ」(機嫌悪そう)
「では、噂はデタラメだと?」
「当たり前だろう。むしろそんな噂を信じて質問する方が間違っている。そんな噂は早々に忘れる事だ」
「そうですか……。失礼いたしました」
「……フン」
無口なベナトールが武器の質問の時だけ急に饒舌になるのが可愛いと思いました(まる)
いくらアレクトロの紹介だとしても無視するか無言を貫くかもと思ったんですが、ちゃんと仲間の顔は立ててくれるようです。
彼が「ギルトナイツ」の一人だという噂を聞き付けるあたり、流石マスコミだと言わざるを得ませんね。
恐ろしや……。
友人の人格である「ハナ」へのインタビューは友人にしか書けないので友人待ちなんですが、いくらせっついても書いてくれないので彼女へのインタビューはありません。
友人的に、何故か「カイ」に対してだけ筆が進んだようです。
でもハナがハンターになったエピソードはサブタイトルの「朝ごはんはココット村で(特に一話参照)」で書いていますので、それを参考にしてもらうしかないようです。