今日も元気にメゼポルタ広場からお届けします。【完結】 作:沙希斗
それから数日後、彼は再び伝令に呼び出された。
「アジトの場所が分かったぞ。【街】から【火山】に至るまでの、【北エルデ地方】にある使われなくなった坑道の一つじゃそうじゃ。どうやらそこを中心として、今の所は主に【火山】の【モンスター】を密猟しているとの事じゃ」
「……。今の所という事は、移動拠点なんですよね?」
「んむ。
「なるほど、行商団を装うというのも、理に適っているという訳ですな」
「素材を売るためだけに装っている訳じゃなさそうじゃな」
「ならば、たまたま今は【街】のある【ドンドルマ】の近くにアジトがあるために判明した。という訳ですかな?」
「そのようじゃな」
「今まで、他の【村】などでの報告は無かったんですかい?」
「【ハンターズギルド】の創設が間もない大昔ならいざ知らず、今現在は余程の事が無い限りは【村】に【ギルドナイト】を派遣する事はないからのぉ。【ギルドナイト】が所属する【ギルドナイツ】の施設も、【街】にしか無いしの。じゃから仮に密猟団が現れていたとしても、こやつらのような巧妙な集団は情報不足だったようじゃ」
「――で、人数は?」
「入れ替わりが激しいようじゃから、概ね二十五人という所かの。じゃがお主の言う【頭】を潰したいなら、リーダーとその取り巻きを征伐するだけで良い。後は烏合の衆に等しい連中じゃそうじゃ」
「……。それで、その烏合の衆とやらが再び結成しませんかね?」
「その可能性は薄かろう。統率の取れているのが取り巻きの五人だけじゃそうじゃから」
「リーダーの特徴は?」
「それがの……」
【ギルドマスター】は、何故か言い淀んだ。
「お主、グリードという名前を聞いた事はないか?」
「……。同僚に同名の者がいたのは知っております。重症を負った後遺症が元で引退した、と聞きましたが――?」
「そやつがの、リーダーらしいのじゃよ」
【ギルドマスター】は、苦虫を噛み潰したように言った。
「――。なんですと?」
「つまりの、敵のリーダーは、元【ギルドナイト】なのじゃ」
二人の間に、沈黙が下りる。
「……。【古龍種】のレア素材を売る程揃えられるのなら、かなり詳しく生態を知っている者がいるだろうとは思ってましたが……」
「【ギルドナイト】だった頃の知識を利用して、儲けていようとはの……」
「【古龍】を狩るのは、取り巻きなんでしょうかね?」
「まあ烏合の衆に指示を出すのはそいつらじゃろうな。直接手を下す事もあるのじゃろうて」
「そいつらが【ギルドナイト】の可能性は?」
「それは無いじゃろう。元々【ギルドナイト】の数自体が少ないのじゃ。この【街】も含め、各地で登録されているメンバーにも変動が無い事を考えると、ありえんじゃろうな。登録を抹消されずにそこにいられる可能性もなかろう。違反者が出れば即処刑出来るように、メンバー同士で見張っているのはお主も知っていようが? ただし、かなり手練れの【上位】ハンターじゃという事は間違いなかろうて」
「……。分かりました。そいつらを含め、グリードは、俺が直接引導を渡します」
「良かろう。では、三人を援護に付ける」
「いりません」
「なんじゃと!?」
「必要ありません。俺一人で充分です」
「馬鹿な事を申すな。この前は『数名で行く』と言うておったではないか」
「それはもっと大規模な人数がいるものだと思ったからです。高々二十五人、しかも全滅させる気が無いというならば、わざわざ貴重な精鋭を裂く必要もないでしょう」
「せめて援護として一人は付けたらどうかの?」
「……。俺の性格はお判りでしょう。同僚を巻き添えで殺したくはありません。なにより、集中力を削がれて自分が死ぬのは嫌です」
「烏合の衆といえど、【上位】ハンターの集まりなのじゃぞ? しかも、【古龍種】を乱獲出来る程の腕前じゃ。そんな輩共に、一人で対抗するというのか?」
「【モンスター】狩りを専門とするハンターは、【人間】に対する戦闘には慣れておりません。対して俺はご存知のように、暗殺を専門とする【ギルドナイト】です。対人戦においては俺の方が上でしょう」
「……。失敗は許されん。が、死ぬ事も許さん。分かっておろうな?」
「――肝に銘じておきます」
「ギルドナイツ」に入れるのは、各ギルドにつき12人までだそうです。
ですが必ずしも12人揃えなければならないという訳では無いようで、例えば「ハンターズギルド」の発祥地である「ミナガルデギルド」に配属されている「ギルドナイツ」は全員入れても9人なんだそうです。