今日も元気にメゼポルタ広場からお届けします。【完結】   作:沙希斗

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やはりただでは帰してくれなかったようです。


密猟団を駆逐せよ!(6)

 

 

 

 

 アジトから少し離れた所で乗って来た【ケルビ】を呼び、鞍を付けて身を押し上げる。

 が、いざ駈け出そうとしたまさにその時、背後に殺気を感じて腰の【銃】を抜いた。

 そのまま振り向かずに脇の下から後ろに銃口を向け、撃つ。

 

 パパンッ!

 

 乾いた破裂音が二つ、ほぼ同時に聞こえた。

 腰の後ろに焼けるような痛みが走る。

 その直後、その場所が爆発するように弾けた。

 

「うがっ!!」

 あまりの衝撃に声を出すベナトール。

 

 落ちそうになるのを堪え、そのまま駆けた。

 相手の呻き声と倒れた音は聞いたのだが、死んだのかどうか確かめる余裕はない。

 

 なぜなら、【徹甲榴弾】を撃ち込まれたのを知ったからである。

 

 弾が貫通しなかったのは己の筋肉がそうしたのかと思っていたが、わざと貫通させないようにしてあった事を理解した。

 着弾後に爆発して致命傷を与えるこの弾は、貫通してしまうと役に立たないからである。

 

 アジトから少し離れたこの場所は、アジトからの焚火が届かず暗闇なのだ。

 しかも今宵は新月で、頼れるとすれば星明りのみ。

 にも関わらず、相手は【ケルビ】に乗った事によりほぼ固定される腰を、避けられないと分かって正確に撃って来た。

 そして、一発でも充分に致命傷を与えうる、【徹甲榴弾】を使って来た。

 これはかなり夜目が利き、尚且つ手練れたハンターの仕業に違いない。

 

 ベナトールは激痛に上半身を折り曲げて耐えつつ、とにかく落ちないようにしながら【街】を目指した。

 傷の状態は触らなくても分かる。大きく抉れて肉が爆ぜ、穴が開いているはずだ。

 下手をすれば腎臓の一つくらいは無くなっているかもしれない。

 

 【秘薬】も持って来るべきだったな……。

 

 時々【回復薬グレート】を呷りつつ、彼はそう思った。

 

 

 

 あともう少しで【街】に辿り着くという直前で、ベナトールは力が抜けて【ケルビ】から落ちてしまった。

 ここはハンター達が使う【マイハウス】の辺りだろうか? それとも食材屋などが使う倉庫の辺りだろうか。

 とにかく街門からは外れた奥まった所の草の上に、ベナトールは俯せに倒れていた。

 心配そうに【ケルビ】が寄って来たが、もうその背に這い上がる力は無い。

 

 そこで、合図を送った。

 

 【ケルビ】は躊躇したが、意を決したように【街】へ駆けて行った。

 【ギルドナイツ】の施設内にある、騎乗用【ケルビ】の飼育場へ帰すためである。

 おそらく鞍には大量の血が付いているはずなので、飼育係の者が気が付けば【ギルドマスター】に知らせるだろうと思ったのだ。

 鞍には彼の物ではない【ギルドナイトセイバー】が括り付けられてある。それには個人の名前が記されているはずで、それでグリードが死んだ事も明らかになるだろう。

 

 なぜなら【ギルドナイト】の誇りとも言える【ギルドナイトセイバー】を手放す事は、彼らにとっては死を意味するからだ。

 

 そういう意味でグリードが手放さなかったのは、誇りを捨て切れなかったとも言えるのである。

 最も、肌身離さずという訳にはいかないベナトールのような暗躍者は、代わりにセイバーを斜め交差させた形の名前入り護符を持っていたりするのだが。

 

 

 少し、眠ろう。

 

 喘ぎつつ、ベナトールはそう思った。

 ハンターの驚異的な回復力は、寝ただけでもかなり改善するからである。

 幸いここはまだ【街】の明かりが届いていないため、一般人や他のハンターらに見付かる可能性は低い。

 かなり血圧が下がっているのはずっと前から分かっている。このまま意識を手放せば、もしかしたら死んでしまうかもしれない。

 

 が、死ぬつもりはまだなかった。

 

 【ケルビ】を先に帰したのは、少しでも早く【ギルドマスター】に知らせたかっただけだ。

 だが、自分が報告出来るようになるまで持つだろうかとも考えていた。

 

 意識は徐々に低下している。

 それに委ねたい気持ち良さに、彼は抗っていた。

 




脇腹を突かれたくらいではビクともしない彼ですが、これは堪えたようです。

弾にはレベルがありますが、ここではレベル1を使ったと思って置いて下さい。


「ギルドナイトセイバー」には「フロンティア」では強化先があるのですが、強化すると「ギルドナイト」の名前が無くなってしまうため、あえて「ツインドクレスソード」や「マスターセイバー」にはしておりません。
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