今日も元気にメゼポルタ広場からお届けします。【完結】   作:沙希斗

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私は弓は苦手です。
【弓】という武器自体は好きなんですけどねぇ……。


二人、【ガンナー】に挑戦す(弓編)

 

 

 

「ねぇアレク。おいら【弓】に挑戦してみたいんだけど」

 ある麗らかな昼下がり、アレクトロが【メゼポルタ広場】にある椅子に座って、たまには【クエスト】に行かずにのんびり酒でもかっ食らって過ごそうかな~などと考えていると、そんな日に限ってカイがのたまった。

「【弓】だぁ!?」

「うん。【ガンナー】になるには【弓】か【ボウガン】を扱えなきゃいけないんだろ? 【ボウガン】って弾を考えなくちゃいけないから難しそうじゃん? だから【弓】にしようと思って」

「またなんで【ガンナー】になりたいなんぞ考えたんだよ?」

「だって、今まで【剣士】ばっかだったじゃん? だから【ガンナー】の方もやってみたいなって。 ねぇアレクもやろうよ」

「【弓】みてぇなクソ軽い武器なんざ、俺に合うかよ」

「んじゃアレクだけ【大剣】担いで来ればいいじゃない。おいらだけ【弓】の練習するからさ」

「あのなぁ、【弓】を触った事がねぇ奴の【クエスト】になんざ、危なっかしくて【剣士】で付き合えるかよ」

 

 【街】の中ではどんなに広場にスペースがあっても武器の使用は禁止されているため、武器の練習をするにも何某かの【クエスト】に出向かなければならないのだ。

「んじゃアレクが教えてよ。なんだかんだ言って、【弓】で【クエスト】行ってるの、おいら知ってんだからね?」

 そう。実はこっそり一人で【弓】の練習をしているのをカイは知っていたのだ。

 しかも何度か【クエスト成功】して帰って来ている姿も。

「おめぇにゃほんっと隠し事出来ねぇな!」

 呆れてしまうアレクトロ。

 まあ隠すつもりもなかったのだが、もう少し上手くなってからコイツを誘いたかったなと思う。

「分かったよ! 付き合えば良いんだろ付き合えば!」

「わ~~い。流石アレク♪」

 嬉しそうにはしゃぐカイをしょうがねぇ奴だと思いながら眺める。

 

 こういうガキみてぇなとこはちっとも変わらんな……。

 

 眺めつつ、苦笑したアレクトロであった。

 

 

 さて。

 【採集クエスト】などで肩慣らしをしても良かったのだが、どうせ【狩猟】に使うのだからと、適度に的になる【ドスファンゴ】の狩猟を受けてみる。

 だが初めて【弓】を触るカイを、いきなり【ドスファンゴ】の前に放り出すわけにはいかなかったので、まず【ベースキャンプ】の広場で空射ちして教える事にした。

 (まあいきなり放り出すのも面白いとアレクトロは思ってはいたのだが)

 

「ほれ、射てみな」

 アレクトロが促すと、案の定【溜め1】と呼ばれる、【弓】を引いてろくすっぽ溜めずに直後に放つやり方をしている。

「あぁ違う違う。こうやんだよ」

 アレクトロが【弓】を構え、最後の【溜め3】まで溜めてから放って見せる。

 カイも真似してはみるものの、最後まで溜め切る前に、どうしても放してしまう。

「相変わらず腕力ねぇなぁ」

 アレクトロは呆れて言った。

 

 何度か練習させてみて、「まぁこんなもんで良いだろ」と、【ドスファンゴ】の前へ。

 カイは「まだ早いんじゃないの?」と不安がっていたが、他の武器同様実戦で覚えた方が早いため、半ば無理やり放り出してやった。

 始めは引き絞ったまま走る事も出来なかった様子だったが、徐々に慣れてきている様子。

 【ドスファンゴ】の動きは早いので、やはりろくすっぽ溜める前に攻撃チャンスが来て放ってしまっている。

 

【挿絵表示】

 

 

 まあ、しゃあねっか。

 

 アレクトロは苦笑しながら溜息をついた。

 体力が低い相手なので一応討伐まで持っていかせ、次は【リオレイア】へ。

 的が大きい方が逆に当てやすいし、【リオレイア】ならばカイも闘い慣れているので実戦向きだと思ったからである。

 

【挿絵表示】

 

 

 苦戦しつつ闘っているカイを尻目に、アレクトロは尻尾に陣取って尾先を直に鏃で切っていた。

「さっきから何やってんの?」

 少しは手伝ってよと言いたげに、カイが言う。

「まあ見てな」

 何度かそれを繰り返すと、なんと尻尾が切断された。

「アレクすげぇな!!」

 カイは心底感心したように言った。

「まあ、慣れればこんな芸当も出来るんだよ」

 得意気に言って見せるが、実は先輩ハンターに教えてもらった事である。

「さて。尻尾も切れたし、そろそろ止めを刺そうかね」

 偉そうにつぶやいたアレクトロは、弓を構えて引き絞った。

 

 ビシュンッ!

 

 気持ちの良い音を立てて真っ直ぐに飛んで行った矢は、【弓】攻撃で弱点になる、尻尾の付け根付近に吸い込まれた。

 しかもそれだけに止まらず、貫通して背中辺りで抜けてしまった。

 腕力のあるアレクトロは、柔らかい相手である【リオレイア】を射れば、最大溜めだと貫通してしまう。

 が、アオゥと悲痛な声を出して怯みはしたものの、絶命には至っていない。

「やっぱ一発では無理か……」

 チッと舌を鳴らしながらつぶやく。

 なぜかというと、本当の弱点は尻尾の付け根の下辺りであるからだ。

 まだ完全に狙い切れていないアレクトロは、尻尾の付け根の上を射てしまったのだ。

「まだ練習が必要だな……」

 貫通して行った矢を唖然として見送っているカイを見ながら、アレクトロは独りごちた。

 

 

「やっぱ【大剣】担いでた方が俺の性に合ってるわ……」

 下位の【リオレイア】だったのもあって、危なげなく【クエスト成功】して帰って来た二人は、再び広場の椅子に座っていた。

「まぁそう言わないで。けっこう面白かったよ?」

「それは下位の【ドスファンゴ】と【リオレイア】だからだっつの! 上位になってみろ、とてもこんなもんじゃねぇぞ」

 アレクトロは上位で練習しては何度か【クエスト失敗】しているのだ。  

「じゃあ上位でやれるように頑張るから、一緒にやろう」

「断る」

「なんでだよ」

「おめぇだけに付き合ってられねぇの! やり方教えたんだから練習すんなら勝手に一人でやれ」

「なんだよケチ~~。一緒にやろうよぉ」

「金魚のフンかおめぇは! つうか【弓】で上位に付いて来てぇなら、条件クリアしやがれ」

「なに?」

 アレクトロは人差し指を、カイの鼻先に突き付けて言った。

「最後の【溜め3】まで、きっちり溜められるようにする事! じゃねぇと上位どころか下位クエにも行ってやんねぇかんな」

「分かったよ……」

 カイは渋々引き下がった。

 あんな状態では危なっかしくて、とても上位には連れて行けないとアレクトロは考えていた。

 それに、一人で納得するまで上位で練習したかったのだ。

 

 口では「【大剣】担いでた方が良い」と言いながら、【弓】も面白ぇかもなと思い始めたアレクトロであった。




腕力の違いを出すために、アレクが射ると貫通してしまうような書き方をしましたが、実際は「貫通弓」じゃないと貫通しません(笑)
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