今日も元気にメゼポルタ広場からお届けします。【完結】 作:沙希斗
ですが、ベナトール自身が徹底的にハナには正体を隠し、「仕事」としての殺人を見せたくないと考えているせいで、えらく悲惨な事になってしまいました。
途中まで同じ内容なので前半部分はまったく文が同じです。
ベナトールが撃たれるシーンあたりから変わっていきます。
※少し長め及び、今回は文中にかなりグロい表現が入っていますのでご注意ください。
各部屋を覗いたハナは、【召使アイルー】から男三人がそれぞれに【仕事】と【クエスト】に出発してしまったという事を聞いたので、暇を持て余して【メゼポルタ広場】にあるベンチに座ってぼ~~っとしていた。
と、突如後ろから口と鼻を布で塞がれて、ハナはくたりとなった。
【ネムリ草】から抽出した催眠液を押し付けた大男は、ハナを抱えて何処かへ去って行った。
大男は【アカムト】シリーズを身に付けていたため、傍から見れば、いつものようにベナトールがハナを連れて行ったとしか思えなかったろう。
【仕事】から帰ったベナトールは、【召使アイルー】から「旦那様に渡せと言われましたにゃ」と、畳まれた羊皮紙を受け取った。
そこに書いてあるものを読んだ途端、ベナトールは【殺気】を湧き出たせて【召使アイルー】を大いに怯えさせた。
そこにはこう書かれてあったからである。
『お前がこのガキの【守護者】だという事は分かっている。ガキの命を護りたいならばここに書いてある場所に丸腰で来い。もちろん防具も無しだ』
他の者に知られたくなかったので、気配を消してその場所に行く。
そこは地下であり、どうやら昔拷問部屋に使われていた跡のようだった。
入り口はこの分厚い扉一ヶ所のみのようなのだが、中の様子が分からないのでいきなり踏み込みたくない。
だが踏み込まないとハナを救えないしと扉に耳を付けたりしていると、いきなり後頭部を殴られた。
既に気配を読んでいたベナトールは、良い機会だから気絶するふりをして中に入れてもらう。
物凄い力だったのが少し頭にきたが。
投げ込まれるように落とされると、ハナの悲鳴が聞こえた。
無事を確認して取り敢えず安堵する。
うかつに動けないので気配だけを窺っていると、後ろ手に縛られた。
「おい、起きろ!」
今度こそ本当に気絶するんじゃないのかと思うような勢いで蹴られる。
目を開けると、黒い大きなグリーヴがあったので転がったまま見上げる。
そこには【アカムト】シリーズを着た大男がいた。
他にも数人、ハンターらしき輩がいる。
「立て!」
「……。お前ら、密猟者か?」
立ち上がりながら聞くと、「……それをやったせいで親や仲間が殺された者の集まりだよ。貴様にな!」と言われた。
「成程、復讐って奴か?」
「そうだ。調べるのに随分苦労したがな。そのためにハンターになった者もいる」
「それはご苦労な事だ。しかしわざわざこんな手の込んだ事をして呼び出さずとも、俺から出向いてやるのに」
苦笑するベナトール。
「ただ呼び出しただけなら貴様に敵わんからな」
「クックッ、弱さは認めていると見える」
「笑うな!!」
大男が拳を鳩尾にめり込ませた。
やはり先程から物凄い力で殴ったり蹴ったりしていたのはこいつか。
「……。先に言って置くが、俺を殺したとしても貴様らの寿命がほんの少し伸びるだけだぞ? 【ギルドナイト】は何も俺だけではないのだからな」
「分かっている。だが一番多く人を屠れるのは貴様だろう。ならば少しでも長く逃げ果せるように出来るではないか? その分生き延びられる者も増えるかもしれん」
「――無駄な事を。【ギルド】はどんなに逃げ延びようが違反者を探し出すぞ? それこそ何年経とうがな」
「……。それでも、少しでも長く生き延びたいだけだ」
部屋の壁際で磔に縛られていたハナは、彼らの言っている事が理解出来なかった。
いや理解するのを放棄していたと言っていい。
【ギルドナイト】についてどうやら話している、というのは分かった。
でもベナが『一番多く人を屠れる』とはどういう意味なんだろう?
【ギルドナイト】という言葉はハンターの間にも上がっていたから何度か聞いた事はある。
そういえば彼らは言ってたっけ。『違反すれば【ギルドナイト】に消される』って。
『消される』って、もしかして『殺される』って事?
じ、じゃあベナが【ギルドナイト】で、ここにいる人たちの親や仲間を殺したって事?
そんな彼女の混乱を、激しい殴打の音が掻き消した。
ハッとした彼女が見たものは、そこにいる全員がベナトールを殴り蹴る姿。
それは倒れても続けられていた。
「やめて! やめてよおぉ!!」
いくら泣き叫ぼうが、止むはずはない。
無抵抗なまま受けているのは、自分に危害が及ぶのを避けるためなのだとハナは理解した。
だが、やがて彼らが息を荒げて静まった頃、それまで呻き声すら上げずに黙って成すがままにされていたベナトールが口を開いた。
「……。気は済んだか?」
その言葉で更に激高して続ける彼ら。
が、体力が続かなくなったらしく、とうとう【ライトボウガン】を持ち出した。
「すぐには殺さない。じわじわと嬲り殺してやる……!」
そしてふら付きもせずに立ち上がったベナトールに、向けられた。
発射されたいくつもの弾丸が、彼の体に食い込む。
彼ならば避けられたのだが、ベナトールは避けなかった。
なぜなら、軌道上にハナがいたからである。
「ククク……。避けられねぇよなぁ? 大事な奴に当たるもんなぁ?」
彼らは、ベナトールが身を挺してハナを護るだろう事を見越してわざわざハナを誘拐したのだ。
だからベナトールは、【ヘビィボウガン】と比べて威力の低い【ライトボウガン】を構えられた時点で、弾が貫通しないであろう事を見抜いていた。
そうやって致命傷を与えずに、じわじわと殺すつもりであろうという事も。
なので彼はそんな状況になっても口の端を持ち上げたまま、黙って彼らを見詰めて成すがままになっている。
彼の背中越しに見るあまりにもの惨劇に、ハナはもう声すら出せずに戦慄に震えながら、ただ涙を流し続けていた。
「クックク、そろそろ限界のようだな」
それからどのくらい経ったのか、ベナトールが一瞬ぐらりと身体を傾けたのを見たリーダー格と思われる一人が、さも嬉し気に言った。
「…………」
彼の呼吸が、心なしか荒くなっている。
貫通しない【通常弾(威力からしてレベル1だと思われる)】がわざと使われているとはいえ、そしてわざと急所を外されているとはいえ、ハナを庇い続けて軌道上の弾を全て身に受けている彼の体内には無数の弾丸が入り込んでいた。
自身の筋肉が衝撃を吸収して内臓、もしくは少なくとも内臓の重要器官には弾が届いていない事を確信していた彼ではあったが、そろそろ血が足りなくなってきた事を感じ始めていた。
潮時か。
出来ればハナには【仕事】を見られたくはなかったのだが……。
気絶してくれれば良かったのだがなどと考えていると、こんな事を言われた。
「そろそろ、止めを刺してやろう」
リーダー格が違う弾を装填したのを見たベナトールは、「出来れば、あいつに別れを告げる時間をくれると有難いのだがな」と言ってみた。
「……。良いだろう」
含みを持たせたその言い方に、裏があるのを見抜いていたベナトールではあったが、「感謝するよ」とハナの方へ振り向いた。
体の前面が見えた事で彼の惨状を知り、驚愕の表情で目を見開いている彼女の元へ、一歩を踏み出す。
が、その後ろで引き攣る様に不気味に口角を釣り上げたリーダー格が見え、ハナはハッとなりつつ叫んだ。
「ベナ! うし――」
その声が終らぬ内に一つの銃声が響いた。
背中に弾を受けたベナトールは、直後にそれが爆発するように弾けたのを感じた。
「うがっ!?」
衝撃に声を上げつつ仰け反った彼は、前のめりになりつつ大量の血を吐いた。
一瞬何が起こったのか分からなかったハナは、ベナトールが数歩こちらによろめいた後、血飛沫と共に蹲った事で背中が見え、全てを理解した。
その惨たらしい状態を見て悲鳴を上げているハナの声を聞きながら、彼は自分の背後で狂ったように笑う声を耳にした。
「ぎゃははは! 貴様に別れを告げる時間なんぞ与えるわけねぇだろ! それすら出来ずに一方的に殺されたオレらの親や仲間の悔しさを、そしてオレらの恨みを受け、大事な奴の目の前で無様に死ぬが良い!!」
彼には、予測が付いていた。
だからこそ別れを告げるふりをしてハナを気絶させ、その間に【任務】をこなす魂胆だったのだ。
だがまさか【徹甲榴弾】を使われるとは思いもよらなかった。
……クソッタレ。やはり甘かったか……。
彼は自分が死ぬかもしれないという事よりも、このまま違反者を逃がさねばならなくなる事を悔しがった。
「いやぁっ! ベナっ! ベナあぁっ!!」
ハナは泣き叫びつつ必死で縄を抜けようとしている。
だがそんな事は今までに何度も行って叶わなかった事であり、なのでいくら暴れようが手首や足首に食い込んだロープで自分が傷付くだけであった。
「クックク、良い声で鳴くな」
彼らは嬉し気に顔を歪めると、「もっと鳴かせてやろう」とベナトールの背中に足を踏み下ろした。
肉が爆ぜ、筋肉組織がぐちゃぐちゃになっている背中の傷にぐりぐりと捻じ込まれ、ベナトールは苦悶の表情で大量喀血する。
「これ程肺を損傷すれば、もう助かるまいよ」
「だろうなぁ。だが、ただ死ぬまで放って置くのは物足りん」
「同感だ。もう少し苦しみ抜いて死んでもらわねぇとなぁ」
苦し気に何度も血を吐いている彼を見ても、容赦などする気は無いようだ。
せめて……。せめてハナだけでも助けてやりたかった……。
いたぶられながらも、ベナトールは顔だけはしっかりとハナに向けている。
「……ハ……」
咳込みながら起き上がろうとして足蹴にされ、転がりつつもハナに向けて体を引き寄せていたベナトール。
しかし、途中で力尽きた。
「……ハ……ナ……」
最期に彼女の名を呼んで、彼は動かなくなった。
「嫌ぁあぁ~~~!!!」
ハナの絶叫を聞きながら、呼吸を止めた彼の頸動脈に触れ、「――ふん。とうとうくたばったか」と一人が呟く。
「意外にしぶとかったな」
「まぁ【ギルドナイト】だからなぁ、相応の生命力があるんだろうぜ」
「この筋肉と図体だからっつうのもあるんじゃねぇの?」
「かもな。だが、その分充分いたぶれたがな」
「オレはまだ足りねぇぐれぇだけどな」
「おめぇ、よっぽどコイツに恨みがあったんだな」
「いやマゾなんじゃねぇの?」
ぎゃはははは!!! と全員で下卑た笑いを響かせた所で、「さて……」と彼らはハナに近付いて行った。
「目的は達成された。おめぇにはもう用がねぇ。と言いたい所だが……」
ロープを外したリーダー格は、そう言いながら不敵に口の端を釣り上げた。
「顔を見ているおめぇを、むざむざと逃がすわきゃねぇだろ」
恐怖に駆られて逃げようと(というよりはベナトールの元へと駆け寄ろうと)するハナを引き寄せ、彼は首に手を添えた。
「大人しくしてな。じゃねぇと傷ものになっちまうだろうが」
そしてもう片方で乱暴に胸を鷲掴み、無理矢理唇を押し付ける。
「うぐっ!」
抵抗しようとして押し倒されると、周りの仲間もにやけながら彼女の太腿を広げたり、服を破いたりしはじめた。
「おめぇもただでは殺さんよ。オレらの気が済むまで慰み物にしてから殺してやる」
ぴくり。
その時、ベナトールの体が僅かに動いた。
そして、徐々に起き上がり始めた。
その引き摺るような音に気付いて振り向いた一人が、「馬鹿な……!」と驚愕しながら呟いた。
たじろいで下がった者に気付いた一人が、震えながら見詰めている視線の先を追って、腰を抜かす。
ベナトールが、立ち上がっていたからである。
「な、なな何で……!?」
「う、嘘だ……。心臓は、止まっていた……はず……!」
「間違い、ねぇよな……?」
「あぁ間違いねぇ……。オレも確認した……」
のしりと一歩が踏み出され、「ひいぃっ!?」と戦慄に怯えて一斉に下がる。
「なな、何で死んでんのに動いてんだよ!?」
「オレが聞きてぇよっ!!」
そんな言い合いをしている連中を尻目に、ハナは勇気を振り絞るようにして叫んだ。
「ベナっ! 来ちゃだめぇっ!!」
直後、ゆらりと立っていた彼の全身から、凄まじいまでの【殺気】が沸き上がった。
それは彼を中心としてその場にいる全てを吹き飛ばす嵐が訪れたかと錯覚させる程だった。
彼の双眸には光は無く、とても意識があるとは思えない。
その虚ろな、まるでただ穴が空いているだけかのような黒い目が、奈落の底に連れ込まれるような悍ましさを生む。
しかし絶望に苛まれながらもリーダー格は叫んだ。
「撃てえぇっ!!」
恐怖を押し殺して一斉に引き金を引いた彼らは、それに当たりながらも一気にロープを引き千切り、ありえない速度で向かって来たベナトールに次々と首の骨を折られた。
死体の散乱する只中で立ち尽くす彼を、ハナは震えながら見上げた。
ヒューヒューという、微かな音が聞こえている。
恐らく呼吸音なのだろうが、ハナにはそれが彼の発するものではなく、息を殺した自分の喉から出ているように聞こえていた。
やがて再び力尽きたようにベナトールが倒れた事で我に返り、ハナは慌てて彼にすがり付いた。
が、分からない程のその呼吸はすぐに途切れ途切れになり、彼は意識が戻る事無くそのまま動かなくなった。
「かえ……らなきゃ……」
ハナは、あまりのショックで意識が虚ろになりながらも、そう呟いた。
「帰らなきゃ……。じゃないと、ベナが護ってくれた意味が無いから……」
立ち上がり、ふらふらと彷徨うようにその場を後にしたハナは、【マイハウス】に辿り着く前に誰かにぶつかった。
「おっと。気を付けろぃ」
「おーおー、悲惨そうな顔しちゃってぇ。悩み事があるならお兄さん聞くから向こうへ行こうか」
「そうそう。これからじっくりと慰めてやっからよぉ」
ハナが今どんな気でいるのか微塵も考えない連中が、新たに出現して誘う。
が、もう抗う気力は彼女には残っていない。
そのままふらふらと引かれるままに路地裏に入ろうとして、その内の一人が苛つくような声を上げた。
「なんだぁ? おめぇ」
向き直った彼らは、男が仲間の一人の肩を掴んでいるのを見る。
「いやなに、服を破いて泣き腫らした顔をしてるような女をよ、更に貶めるような奴をどうも見過ごせねぇもんでな」
「おめぇにゃ関係ねぇだろが! すっこんでろてめぇっ!」
「威勢だけは良いなおい。力もねぇくせによ」
「んだとコラァッ!!」
ハナを突き飛ばし、一斉に殴りかかったのを余裕の表情で男はひょいひょいと躱していく。
「おいハナ、こんな弱っちぃのに捕まったのか? どうしたんだよおめぇらしくもねぇ」
攻撃を全て躱しながら呆れたように言うその声に、ハナは突き飛ばされた事でぺたんと座り込んていた格好のまま、ようやく我に返った様に見上げた。
「……。アレクうぅ」
途端に悲愴な顔になって再び泣き始めたハナを見て、彼は動揺した。
「おい、何があった!?」
慌てた様子で彼女に近付こうとして、一人に立ちはだかられて「邪魔だ!」と突き飛ばす。
たったそれだけで吹っ飛び、思い切り地面に叩き付けられて気絶した者を見て、後の者は敵わないと覚ったのか早々に逃げて行った。
そんな輩や騒めく周りを完全に無視し、彼は「とにかく帰ろう!」と促して彼女の【マイハウス】まで帰って行った。
「そ……んな……! オッサンが……!?」
話を聞いたアレクトロは、泣きじゃくり続けているハナを見ながら、ショックを隠し切れないでいる。
「嘘だ……。そんな、事……」
「嘘じゃ、ないのぉ……」
だが、彼はすぐにハナの両肩を引っ掴んだ。
「案内しろハナ!」
「え……?」
「今すぐにそこへ案内しろ! まだ間に合うかもしんねぇ!」
そして「後で返す!」と彼女の【アイテムボックス】からあるだけの回復系をかき集め、「ほら早く!」と腕を引いて立ち上がらせた。
「い、痛いっ! 分かったから引っ張らないでっ!」
急ぐ彼を宥めつつ、先程の場所へ連れて行く。
開いたままになっていた重々しいドアの向こうで散乱した死体を見て目を見開いた彼ではあったが、すぐに俯せで倒れているベナトールを見付けて駆け寄った。
筋肉組織がぐちゃぐちゃになっている惨たらしい背中の傷を見て、胃の中のものが逆流しそうになるのを堪える。
「オッサン!」
揺さ振り、声を掛けたがやはり反応は無い。
頸動脈に触れても、鼓動は確認出来なかった。
「畜生がっ!」
吐き捨てたアレクトロは、彼の死を無視して治療し始めた。
「そんな事……しても――」
「黙ってろ!」
叫んだ彼の目には涙が光っている。
それを見たハナは、もう何も言えずに彼の好きなようにさせた。
「ぜってぇ死なせねぇっ! ぜってぇ助けてやるっ!」
彼は自分に言い聞かせるようにそう言いながら、大穴の空いた背中の傷に回復系を塗りたくり、布で縛った。
続いて仰向けにひっくり返し、「ハナ手伝えっ!」と心臓マッサージを始めた。
ハナは頷いて、人工呼吸を担当した。
どれぐらい経ったのか、二人がへとへとになった頃、ベナトールは遂に息を吹き返した。
「ベナっ! ベナ分かるっ!?」
弱々しく咳込んでいる彼に呼び掛けたハナは、彼の指が動いたのを確認してへたった。
そして、その手はゆっくりと持ち上げられ――。
ポンポン。
目を閉じたままではあったが、ベナトールはいつものようにハナの頭を軽く叩くと疲れたように手を下ろし、そのまま眠ったようだった。
アレクトロは、そこでようやく安堵の長い溜息を付いてへたり込んだ。
その後、衰弱しているせいか中々目を覚まさないベナトールに対し、アレクトロは取り敢えずハナだけ残して【ギルドマスター】に報告に行った。
「後の事は【ギルド】に任せるように」と言われたのでハナにそれを言いに帰り、二人は後ろ髪を引かれながらも【ギルド職員】の到着を待って交代した。
アレクトロはベナトールが誘拐者を全滅させた理由を知っていたが、ハナには「正当防衛って知ってるか?」と説明した。
ハナ自身も彼らが話していた【ギルドナイト】について疑問を持ちつつ、あの時は意識が無かったんだしと自己解釈してベナトールの殺人を正当化した。
【ギルドナイツ】専用の医務室に運ばれた彼は、意識が戻ってからは驚異の回復力で僅か数日で出て来た。
【徹甲榴弾】の傷はともかく【通常弾】の摘出手術の際は、無数に体内に食い込んでいたせいで時間はかかったもののほぼ全てが内臓に達していなかったのを見た執刀係が、その脅威に戦慄すら覚えたという。
今回は私は彼の執念で「オッサン怖ぇ((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル」となっておりました(笑)
心臓止まってるのにハナの危機を感知して動くとか、ありえん。
ちなみにこれを読んだ友人には「これはこれで良い。面白い」と言われましたが、私的には「ギルドナイトのくせに甘いな」とか「間抜けだな」とか思っておりました。
「こんな輩が別れを告げる暇を与える訳がない」と。
ハナがぶつかった奴らは恐らく一般人だと思われるので、アレクトロはかなり手加減をして(殆ど力を入れずに優しく)突き飛ばしています。
何故なら「ハンター」の筋力で本気を出せば、一般人は骨折どころか内臓破裂まで起こし兼ねないからです。
つまりそれだけ「一般人」と「ハンター」とは遥かな筋力差があるのです。
というか、私の中ではそういう設定にしております。
なので、彼らがHR上位どころかSR上位のアレクトロに喧嘩を売る事自体が間違っていたのです。