退屈な日々を忘れたい俺がなぜバンドの手伝いをしているんだ......   作:haru亜

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今回はいつもよりちょっと短めにしました。
えっ?
理由?
ありゃせんよ

オ・マ・ケ
ゆく旅、みんな見ようね!


第12話 大丈夫

今日からミニライブに向けての合同練習が始まる。

…本当にやって行けるんだろうか。

今日はRoseliaとAfterglowだけどあった瞬間に衝突しそうになってるからなぁ。

そんな事を考えて扉を開けると

 

「だから、実力主義もたいがいにしろって言ってるんですけど」

 

「……私はあなた達の演奏を否定したいわけじゃないと何度も言ってるでしょう」

 

その言い争いが勃発している中

 

「…リサとモカ、何分経った?後あの2人何回目くらいやってる?」

 

「…それがまだ、始まって10分も経ってないよ」

 

「もうあのケンカ、3ラウンド目くらいいってますね〜」

 

「はぁ、ぶつかるとは思ったけど幾ら何でも早すぎる……」

 

そう言っているとつぐみと巴が

 

「ど、どうしよう〜、と、止めないと…」

 

「2人ともちょっと落ち着けって。今日は合同練習何だから…」

 

すると紗夜が

 

「こちらは落ち着いているわよ。あなたのところのボーカルがもっと冷静に話を聞いてくれてたらこんな事には……」

 

ちょ、紗夜さん?

煽ってどうするんですか…

 

「……うちの蘭が悪いって事ですか?」

 

するとひまりとモカ、あこそして燐子が

 

「あちゃー…」

 

「トモちん、煽られると弱いからな〜」

 

「ねぇ、りんりん、これ大丈夫かなぁ…」

 

「…わ、わから…ない……それに、4人とも……ケンカ、してる…から……」

 

はぁ、本当に大丈夫か、これ…

でも、とりあえず止めないとな。

 

「…他のみんなは耳を塞いどいてくれ…」

 

「?陽菜さん〜、何をするんですか〜?」

 

「4人を止めるだけだ、みんなはとりあえず耳を塞いどいてくれ。モカもな」

 

「は〜い」

 

「…みんな塞いだな…それじゃ」

 

まぁ、特にあの2人は聞いてないみたいだけど…

それに直会ではないけど

そう思いつつ

 

「よっ」

 

パァァァァァァァァァァァン!!!

 

「「「「「!!!!!」」」」」

 

俺は柏手を一回した。

スタジオの中だから、かなりの音で鳴り響き、スタジオは静まり返った。

 

「…みんな、今日は合同練習だ。

それぞれ相手の方向性は全然違う、だからそれをいつまで歪みあってても練習時間を無駄にするだけだ」

 

すると蘭が

 

「でも、元はと言えば…」

 

「はい蘭、そこまで。

どっちが言い出したとか、言ってたらキリがない」

 

「………」

 

あれ?そういえば

 

「リサ、Roseliaの演奏聴かせたか?」

 

「ううん、まだだよ。……あっ!」

 

リサも察したらしく

 

「まぁ、そういうことだ」

 

「うん!わかった」

 

するとモカが

 

「リサさん、どういうことですか〜?」

 

「えっとね、アタシ達、まだみんなに演奏を聴かせたことなかったでしょ?つまり、演奏での自己紹介がまだってこと」

 

「……確かに、私たちの音楽を聴いてもらうのが、一番早いわね」

 

紗夜が言い、そのままRoseliaの演奏をする事になって、俺は自分の手を休めていた。

そして演奏が始まった。

…日々練習しているとは言え、前の練習の時より上手くなって、演奏技術も全体が最初の頃に比べて確実に上がっている。

しばらくして演奏が終わると

 

「すごい……」

 

「うん……すごいとしか、言えない……」

 

すると友希那が

 

「どうだったかしら。私たちの演奏は」

 

「……まぁ、悪くはない、かな…」

 

そして、それを聞いたモカは

 

「蘭は、『サイコーでした!私、感動して泣いちゃいそうです!』……っていってまーす」

 

「ちょっと!そんなこと言ってないし」

 

その会話を見て思わず笑ってしまい、蘭が

 

「なに?」

 

「あはは、いや〜案外、ここにいるみんな似た者同士だなって」

 

「別に、全然似てないし…」

 

そう言ってるところが、誰かと似てるんだよな。

そう思っていると友希那が

 

「私たちは、音楽の頂点を目指してる。その為にはどんな手段も…」

 

それを聞いた蘭が

 

「だから、何度も言ってますけど、私たちの音楽が一番ですから」

 

するとモカが

 

「も〜、蘭ってば〜、Roseliaの音楽はめっちゃかっこよかったじゃん。

それに、うちはうち、よそはよそでしょ〜」

 

「そうだけど…」

 

やっぱり似てるなぁ、Roseliaとアフロって。

そう思っているとリサが

 

「あはは、やっぱりアタシ達のバンドって似てるね☆」

 

それを聞いてひまりが

 

「そうですか?」

 

「自分達の音楽が一番だって誇りとそれは誰にも譲れないものって言う信念を持って、音楽をやってる所は一緒じゃない?」

 

すると巴が

 

「そうですね、お互い譲れない信念があるから、つい言い合ってしまうのかも知れませんね」

 

おっ?これは仲良くなれるチャンスかな?

まぁ、そんな簡単にいくわけ……万が一あるかもな。

それにしても前回の時よりやっぱりRoseliaの演奏技術は上がったな。

そう思っていると

 

「……あの……陽菜、さん…」

 

「?どうした燐子」

 

「……その、手…真っ赤に…なってる、から……大丈夫、かなぁ……って……」

 

あれ?気づかれたか。

燐子はリサと同じくらいに周りを見てるからバレて仕方ないか…

そう考えて

 

「大丈夫だよ。

心配かけてごめんな、燐子」

 

「……そう、ですか……なら…良かった、です……」

 

するとリサがそのやり取りを見ていたらしく

 

「?陽菜って、いつもこういう時謝ってたっけ?」

 

「?どういうこと?」

 

「ほら、いつもならこういう時、『心配してくれてありがとう』って言ってた様な気がしてさ〜」

 

「いやいや、気のせいだろ」

 

まずいな。みんなに嘘ついてる状態だから自然と謝ってるんだろうな。

気をつけないと…

そしてRoseliaとアフロの合同練習が始まり、衝突は出来るだけ避ける様にし、その日はそんな感じで終わった。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

次の日には、パスパレとポピパ、また別の日は、パスパレとハロハピの合同練習

そしてまた別の日は、アフロとハロハピ、そしてRoseliaとポピパという組み合わせで合同練習が進んでいった。

全ての合同練習に俺がいるのはおかしい気がするが、色んなバンドの音を聴けて良かったと思ってる。

そして、ミニライブ当日

リハも済んでみんなでライブをする為の準備をしていた。

そして

 

「よし、じゃあ開場してもいいかな?」

 

「まりなさん準備早いな…他のみんなは?」

 

「他のみんななら、楽屋にいると思うよ」

 

「……そうか」

 

「それじゃ、準備も終わった事だし、開場しちゃうねっ!」

 

「はい」

 

そう言って俺は一番後ろの観客席で見ることにした。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

そして、演奏が終わり、スタッフの人数が何人か足りなかったらしく清掃を任された。

俺ってここのスタッフだっけ?

そんなことを思っているとまりなさんが来て

 

「あっ、陽菜くん。清掃ありがとねっ!それと今からみんなに集まってもらうから、ついてきて」

 

「…わかりました」

 

そう言って清掃を終えて、まりなさんについていった。

すると

 

「あっ、陽菜さん〜、遅いですよ〜」

 

「ごめん、清掃やってたら遅れた」

 

すると蘭が

 

「清掃って?」

 

「なんかここのスタッフさんが足りなかったらしくて…まぁ、さっき終わったけど」

 

そういえばスタッフさん何人いなかったんだろ…

そう思っていると

 

「手伝わせちゃってごめんね。

でも、陽菜くん結構頑張ってやってくれてたからこっちも助かっちゃったよ」

 

「どうせ暇だったからいいですよ」

 

「そんな君と今日ライブを頑張ってくれたみんなの為に、簡単だけどジュースとお菓子を用意しました!

今日は打ち上げといきましょうー!」

 

するとリサが

 

「おっ、いいねー!楽しそうじゃん♪……もちろん友希那と紗夜も参加するよね?」

 

「「……わかったわよ」」

 

そして、まりなさんが

 

「それじゃみんな、グラスは持ったかな〜?ではでは」

 

本当にあの子達が楽しめるならそれでいいか…

そう思いながらまりなさんの言葉を聞いていた。

 

「…ライブの成功をお祝いして…かんぱーい!」

 

『かんぱーい!』

 

そして、賑やかな雰囲気でみんなが話し出した。

すると

 

「陽菜さん、この前の合同練習の時はありがとうございました」

 

「ええと、その姿の時は、美咲…って呼び方でいいか?」

 

「はい、出来ればそう呼んでください」

 

「それで、合同練習って俺なんかやったっけ?」

 

「ほら、パスパレとアフロの皆さんとの合同練習した時ですよ。

正直言って、こころを抑える時は、あの姿にならないと抑えられないんですよ…本当に、うん」

 

「あ〜、…確かに大変だったなあれは……」

 

「でも、陽菜さん結構手慣れてましたね、こころの扱い方とか」

 

「それは多分、香澄のせいだろ」

 

「あ〜、確かにあの2人、似てますもんね〜」

 

「……あの2人が組んだら、めっちゃ面倒な事になりそうだな…」

 

「……それ、私も思いました…」

 

そんな事を話していると

 

「ハルナさんっ!」

 

そう言ってイヴに抱きつかれそうになり、美咲の後ろに隠れた。

 

「ちょ、陽菜さん、なんで隠れるんですか…」

 

「いや、練習の時の事思い出して…」

 

するとイヴが

 

「やっぱり、まだ練習の時の事、許してくれてませんか…」

 

「待て、そんな涙目で見るな。

練習の事ならもう許してるから」

 

「本当ですか?」

 

「ああ、本当だ」

 

「ハルナさんっ!」

 

「だーかーらー!そういうのは男子にするなって!」

 

「?どうしてですか?」

 

「どうしてって、もしその人が危険な人だったらイヴが危ない目に合うから言ってるんだよ…」

 

するとイブは笑顔になり

 

「ハルナさんなら大丈夫です!」

 

なんだその根拠のない言いようは…

 

「そういう事じゃなくてだな…」

 

ちゃんと言おうと思ったがイヴの純粋さに負け

 

「…いや、なんでもない。

でも、知らない人にしちゃダメだからな」

 

「はいっ!」

 

そしてその甘さに美咲が

 

「陽菜さんって、意外と純粋な子に弱いんですね」

 

「…ほっといてくれ」

 

「?」

 

イヴに不思議そうに見られているとつぐみが来て

 

「陽菜さん、今日はお疲れ様でした」

 

「それを言うなら、つぐみの方こそおつかれ。

…それで用でもあったか?」

 

「はいっ!

あの、最初の合同練習の時はケンカを止めてくれて、ありがとうございました」

 

それを聞いた美咲とイヴは

 

「「ケンカ?」」

 

「あ〜、まぁ色々あって止めたんだ」

 

「そうなんですか!?」

 

「うん、痛かったけど…」

 

「痛かったって…本当に何があったんですか?」

 

「いや、それは……」

 

言葉に詰まっているとつぐみが

 

「陽菜さん、止め方が凄かったんだ。

こう、手を合わせてパァン!って、しかも一回だけなのに一瞬で静かになったんだよっ!」

 

それにイヴが反応して

 

「おおっ!それは『柏手』ですね!」

 

「?柏手ってあの神社とかでする?」

 

「はいっ!

でも、一回だけで周りが静かになるって中々難しいんです!」

 

「へー、すごいですね」

 

「さすがハルナさんですっ!」

 

「いやいや、あれ結構手がヒリヒリするから、出来れば使いたくなかったんだ」

 

それを聞いてつぐみは

 

「ご、ごめんなさい…」

 

「いいよ。

ミニライブは成功したんだから。

それとつぐみは楽しかったか?」

 

「はいっ!多分今まで以上に楽しかったですっ!」

 

「それなら良かった」

 

すると

 

「やっほ〜陽菜☆楽しくやってる?」

 

「リサこそ楽しんでるか?」

 

「うんっ、こうやって色とりどりのバンドメンバーと話すのって結構楽しいから♪陽菜も可愛い女の子に囲まれて楽しそうだね☆」

 

「やめろ、誤解され」

 

電話が鳴った。

マナーモードにしてたからいいが、タイミングが最悪だ。

とりあえず外に出ようか。

 

「……ごめん、ちょっと電話出てくる」

 

「誰からの電話?」

 

「……ただの知り合いだよ」

 

そう言って外に出て、電話に出た。

すると

 

「陽菜、今いいか?」

 

「…ああ、いいよ」

 

「今度、海外に行く時の日にちなんだが、10月29日になった」

 

本番のライブイベントの次の日か…

 

「…まぁ、11月の初め頃って言ってたしな」

 

「ああ、それでお前の手伝ってるバンドについてだが…」

 

「?あの子達がどうかしたか?」

 

「いや、具体的にはお前があのバンドの手伝いを辞めて、お前は大丈夫なのか?」

 

「…大丈夫だ。

俺がRoseliaの手伝いをするのはもう辞める…。

それに、どうせ海外に行くんだから、Roseliaの手伝いはその日までだ」

 

「お前、本当にいいのか?もしかしたら日本に帰る事も出来なくなるぞ」

 

「そんな事、重々承知してる。

もう会えないかも知れないけど、この前の練習で俺がいなくてもRoseliaはちゃんとやっていける事がわかったからな。

まぁ、そうでないとこっちが困る…」

 

「……そうか、ならお前は親父に合う覚悟があるんだな」

 

「ああ、大丈夫だ。

もう逃げない、それに…」

 

「?それに、なんだ?」

 

「あの子達には色々と教えてもらったからな。

『ぶつからないと伝わらない事もある』って」

 

「…ま、頑張ってくれ」

 

「もちろん、頑張るよ。じゃあな」

 

そう言って通話を切り、スタジオの中に戻って行った。




次回予告

ありがとう

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