退屈な日々を忘れたい俺がなぜバンドの手伝いをしているんだ......   作:haru亜

19 / 107
第2話 ボス攻略会議

次の村『トールバーナ』を目指している道中でモカが

 

「陽菜さん〜、回復ポーション切れちゃいました〜」

 

「あの植物みたいなモンスターに攻撃受けすぎたな。

これ、飲んでおけ」

 

そう言ってポーチから回復ポーションを渡した。

 

「一応みんなもHPが緑か確認してくれ。

それとトールバーナに着いたら、みんなそこで解散しようか」

 

「「「「「ええっ!?」」」」」

 

するとリサが

 

「陽菜……やっぱりアタシ達は圏内にいた方が安全だから?」

 

「そうじゃない…みんな結構戦い慣れるのが早いから、もう俺がいなくても大丈夫。

もしボスに挑むつもりならトールバーナでそれぞれのバンドでレイドを組んだら、この世界で生きる事はできる」

 

「レイド?」

 

「まぁ、パーティみたいなもんだ。

それとさっきスキルウィンドウ見たら、こんなのが追加されてたんだ」

 

そう言って、ウィンドウをスライドしてみんなにスキルを見せた。

 

「?『歌スキル』と『演奏スキル』?」

 

「そうだ、多分これが茅場晶彦が言ってた、もう1つのプレゼントだな」

 

そう言うと蘭とひまり、モカが

 

「へぇ、結構すごいじゃん、これ」

 

「でもこれ『歌スキル』は使うと周りに回復継続効果と攻撃力アップの効果があるけど、『演奏スキル』は最低5人必要で付与される効果がランダムなんだって」

 

「超あたし達向け〜」

 

「そういう事だ。

だから、『演奏スキル』は使えなくても『歌スキル』は使えるだろう」

 

すると

 

「あっ!あれ、次の村じゃない?」

 

「ホントだっ!」

 

「やっと……着きましたね……」

 

すると

 

「それにしても、斧って結構邪魔ですね。

少し歩きにくいです」

 

「じゃあ、トールバーナで武器を変えたらどうだ?

紗夜なら槍とか…」

 

「槍…ですか。

扱ったことがないですが、斧よりはマシかも知れませんね」

 

「…とりあえず、トールバーナに入ったら、解散するって事で」

 

「……」

 

そしてトールバーナに入った。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

そして、解散してから俺は町で色んな武器屋を見ていた。

すると

 

「あら!陽菜じゃない!」

 

「ん?ってこころ!?こころも入っちゃったのか」

 

「ええ!でも、ここで陽菜に会うなんてラッキーね!」

 

「?どういう事だ?」

 

「あたしの武器を選んでほしいの!」

 

「えっ、やだよ。

てか武器無しでどうやってここまで来たんだ?」

 

「?普通に来たわよ?」

 

「いや、そうじゃなくて」

 

「そんな事よりも、早くあたしの武器を決めてちょうだい!」

 

「はぁ…わかったよ、それでどんな武器がいい?」

 

「そうね…ミッシェルみたいなのがいいわ!」

 

「そんなカラフルでフワフワした物はないっ!」

 

そんなやり取りが繰り返されながらもなんとか武器を決めれた。

 

「これは…海賊の剣ねっ!」

 

この子に説明するのは大変だからそれでいいか。

 

「ああ、そうだ。海賊の剣だ」

 

すると

 

「あっ、こころやっと見つけた……って、陽菜さん!?」

 

「…やっぱり美咲達もいたか。

じゃあ、こころの事頼んだぞ」

 

「は、はい……っ!」

 

そして、珍しく何も言われずに立ち去れた。

にしても、ここに3バンドいるとか他のバンドもいるんじゃ……

そんな事を考えていると

 

「あっ」

 

「あっ、友希那どうしたんだ?こんな所で」

 

「いえ、ちょっと散歩してただけよ。

……如月、少しいいかしら」

 

「?いいけど…」

 

「……それじゃあ、こっちへ来て」

 

そう言われついて行くと路地裏のレンガで囲まれた花壇のような場所に連れていかれた。

そして、友希那はレンガに座ったので俺もそこに座ると

 

「如月は本当に帰って来たの?」

 

俺はその言葉の意味をすぐに理解できた。

すごいな、なんだかんだ友希那もちゃんと見てるんだな…

 

「……悪い、実はまだなんだ。

って言っても、これが最後の課題だったんだけどな」

 

「最後の…課題?」

 

「ああ、そうだ。

…少しだけ話すか……」

 

そして、友希那に親父さんの事、なぜこのゲームに来たのか、などを全て話した。

 

「まぁ、とりあえずこの世界を生き抜かないとな」

 

「そうね……私も『歌スキル』をどうにかしないと……」

 

「そういえば友希那って、音楽以外には興味ないのに随分とゲームに慣れてるな。

スキルの事とか」

 

「その辺はあこと燐子に教え込まれたわ……。

最初は本当に何もわからなかったけど、ゲーム用語?だったかしら、それは生き抜く為に必要な事だから、さっきまで覚えていたの」

 

「そうだな、ゲームの中じゃ仲間との会話にはゲーム用語が入る事があるからそういう努力は大切だな」

 

「それに、私は戦えないから私は、私にできる事をしたい」

 

「……友希那、大分変わったな」

 

「えっ?」

 

「最初にあった頃の友希那だったら、そもそもゲームなんかしないだろうからな」

 

「…そうね。

でも、これも全部、如月やみんなのおかげよ」

 

「……友希那はこの前の演奏を心の底から楽しめたか?」

 

「…ええ、未熟でも歌っていいと許されたあの日の演奏は……少しだけ、楽しかったわ」

 

「それは良かった。

……そういえば、俺が海外に行くって言ってみんなと別れた後、友希那が俺の事を『陽菜』って呼んでた気がしたんだけどな……」

 

すると友希那は顔を赤く染めて

 

「っ!そ、そんな事より、あなたはこれからどうするの?」

 

「う〜ん、これからクエスト受けて、武器を強くしたい」

 

「あなた1人で?」

 

「そうだな」

 

すると友希那は少し厳しめに

 

「ダメよ!あなた1人で行くのは危険すぎる。

私も手伝うわ」

 

「お、おう。

でも、他のみんなはどうするんだ?」

 

「みんなそれぞれ自由時間だから問題ないわ。

それに私は戦えないけど『歌スキル』には自信があるわ」

 

「友希那が歌ってくれるのなら安心だな。

それと前みたいに俺の事『陽菜』って呼んでもいいぞ」

 

「…!嫌よ」

 

「えぇ…」

 

そう言ってクエストが掲示されているところへ来た。

そこで俺は良いものを見つけた。

 

「お、おお!」

 

「どうしたの、如月?」

 

「こ、これ、クエストクリアでこんな良い剣がもらえるなんて……」

 

「だったら、それを受けましょう」

 

「わかった。

でも、本当にいいのか?もしかしたら死ぬかも知れないぞ」

 

「もし何かあったとしても、如月が私を守ってくれるでしょう?」

 

「っ、わかったよ。

ただ、危なくなったら、ちゃんと逃げてくれよ」

 

そう言いながら俺はセンチネル3体の撃破するクエストを受注し、クエスト場所のダンジョンへ向かった。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

そして、しばらくしてダンジョンについてから中を歩き回り、やっとその場所についた。

すると目の前で3体のセンチネルという初見のモンスターが現れた。

 

「じゃあ友希那、援護よろしく」

 

「わかったわ」

 

すると背後から友希那の歌声が聞こえてきた。

ただ、システムが追いついていないのか、友希那の歌声がちゃんと反映されていなかった。

そして、俺は腰にぶら下げた剣を手に取った。

この剣は初期武器より強い武器を買い、それを強化できるまで強化した物だった。

そして、情報通り『歌スキル』には攻撃力アップと回復継続が付いたので、早速向かおうとすると

3体のうち一体のセンチネルが友希那に向かって飛んできた。

 

「っ!」

 

素早く剣を青白く発光させ上に向かって『レイジスパイク』を発動させるとセンチネルの横腹を刺し、センチネルは吹っ飛んで天井にぶつかった。

すると他のセンチネルもこちらに向かってきた。

そして、俺は『歌スキル』を使えば使用者にヘイトが溜まる事がわかった。

そして、少し経ち…

 

「友希那の歌声が持つまで後2分もないか……まぁ、敵のHPも黄色が二体で赤が一体か」

 

すると赤色が手に持ったハンマーを赤色に発光させた。

敵もソードスキル使えんのか…だったらソードスキルにはソードスキルだな。

そう思い、剣を青白く発光させ、ハンマーを狙って『レイジスパイク』をぶつけると

 

「おっ?」

 

弾かれた。

どうやら、互いのソードスキルがぶつかると弾かれて隙だらけになるらしい。

その隙を見てか、奥にいた二体のセンチネルが飛びかかってきた。

が、すでにソードスキルの硬直時間が過ぎていたので、隙だらけの腹に水平に斬る『ホリゾンタル』を放った。

二体まとめて斬れ、空中で弾けて結晶のかけらとなって消えた。

 

「よし、後1体っ!」

 

すると

 

「如月、『歌スキル』が一時的に使えなくなったわ」

 

「……まぁ、後1体だけだから、大丈夫だ」

 

ていうか、『歌スキル』は硬直時間なく、後30秒ほどは効果が残ってるんだな。

ただ一時的に使えなくなるだけか…

 

「とりあえず早く片付けるから、友希那は周りを見渡して警戒しといてくれ」

 

「わかったわ」

 

するとセンチネルはハンマーを今度は緑色に発光させソードスキルを発動させたので、俺も青白く発光させ、敵のハンマーに向かって。

 

「っ!」

 

キィィィィィン

と、かん高い音が鳴り、互いのソードスキルがぶつかり、弾けたかと思ったが、敵のハンマーが壊れ、結晶のかけらになり消えた。

だが、こちらの剣はまだ青白く発光したままだった。

そして、その勢いのまま右斜め上に剣を振り払った。

するとセンチネルの腕を斬り、ハンマーと同じように結晶のかけらとなり、消えていった。

 

「はぁ、やっと終わった」

 

「……如月、さっきのソードスキルはどうして2回目もあったの?」

 

「ああ、あれは敵をV字型に斬る、二回攻撃のスキルだからだよ」

 

「あなた、いつの間にそんな物を……」

 

「いや、片手剣の練度高めてたら増えたんだって。

とりあえずクエスト報告するか」

 

「そうね」

 

そして、町に戻り、クエスト報告を終え、剣を手に入れた俺は早速装備し、そこで友希那と別れた。

 

「手伝ってくれてありがとう、じゃあな」

 

「ええ、また今度、会いましょう」

 

「ああ、またな」

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

そしてそれから、1ヶ月後、その間にプレイヤーの約2000人が死んだ。

未だにアインクラッド第一層はクリアされずにいたが、今日、アインクラッド第一層のボス攻略会議が始まるのを聞いた。

なので、武器強化をしに行こうとすると

 

「あれ?燐子?」

 

「陽菜さん……!ちょうどいい所に……今すぐついてきてもらえますか……?」

 

「えっ、でも今から武器強化を…」

 

「ご、ごめんなさい……!時間がないんです……!」

 

そう言われ、燐子にどこかへ連れていかれた。

そして、飲食店に入った。

 

「燐子、ここで何を……」

 

すると

 

「あれっ、陽菜じゃん♪」

 

「如月さん?」

 

「みんな?

……なんで俺連れて来られた……」

 

「あなたにはこのパーティに入ってもらうからよ」

 

それを聞いて少し考え

 

「……もしかしてボス戦に参加するのか?」

 

「はい……わたし達のレベルも最初より……結構上がってレベル13になりました……から……」

 

「そうか、なら別に敵を倒せるし、俺がいなくていいんじゃ……」

 

「いいえ……わたし達は今回……『演奏スキル』を使って援護してくれ……と頼まれたので……」

 

「頼まれた?」

 

「はい……今日のボス攻略会議を開いた、ディアベルさんという方から……ぜひ、お願いしたいと……」

 

「なるほど、それで『演奏スキル』を使ってる時は無防備になるから、護衛も付けてほしい、という事か……」

 

「はい……だから、陽菜さんを見つけれてよかったです……」

 

「陽兄ぃ、お願いっ!!」

 

「はぁ…俺も参加するつもりだったからいいか」

 

「それじゃあ……会議をする場所に……向かいましょうか……」

 

「そうだな」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「はーい!それじゃ、そろそろ始めさせてもらいます!」

 

なんとかギリギリ間に合ったようだ。

 

「オレはディアベル、職業は気持ち的にナイトやってます!」

 

あいつがディアベルか……

そんなことを思っていると誰かが

 

「ははは!SAOにジョブシステムなんてねーだろ!」

 

すると

 

「今日、オレ達のパーティが、あの塔の最上階でボス部屋を発見した!

オレ達はボスを倒し、第2層に到達して、このデスゲームもいつかクリアできるってことを、みんなに伝えなきゃならない!

それが、今、この場所にいるオレ達の義務なんだ。

そうだろ、みんな!」

 

それを聞いた攻略組一同

 

『おう!』

 

「…結構まとまってるな」

 

そう呟くと

 

「それと今回のボス攻略は新しく実装された『演奏スキル』を使って攻略する事になる!

その演奏をしてくれるのがあそこにいる彼女達だ!」

 

そう言ってディアベルはこちらを指したので、俺は即座に彼女達から離れ、第三者になった。

だから、みんなはこちらをじっと見ていた。

やめてみんな、そんな目で見ないでくれ……

そう思っていると

 

「それじゃ、まずは6人のパーティを組んでみてくれ!」

 

ディアベルがそう言うとみんな即座に反応し、パーティを作り出した。

ただ、その中でも向こうの男女が俺は気になる、1人はフードをかぶって見えないがもう1人は……

 

「あっ…」

 

もう1人の人物はキリトであった。

俺は勝手に1人で気まずさを感じて目を逸らした。

 

「よーし、そろそろ組み終わったかな。

じゃあ……」

 

ディアベルが何か言おうとしだが

 

「ちょお待ってんか!!」

 

「ん?」

 

その男は俺達の斜め後ろにいたので結構響いた。

すると

 

「ワイはキバオウってもんや。

ボス攻略する前に言わしてもらいたい事がある」

 

懐かしいバリバリの関西弁だな……

そんな事を思っていると

 

「元ベータテスターの卑怯者ども!出てこい!!」

 

「………」

 

それを黙って聞いていると

 

「……こん中にもあるはずやで、ベータ上がりの奴が。

そいつらに今まで死んでいった2000人に土下座さして、貯め込んだ金やアイテムを吐き出してもらわな。

パーティメンバーとして命は預けられんし、預かれん!」

 

「発言、いいか」

 

そう言って出てきたのは俺達の1番前に座っていた両手斧の巨漢な男だった。

 

「オレの名前はエギルだ。

キバオウさんあんたもガイドブックを買っただろう。

こいつを道具屋で無料配布してたのは元ベータテスター達だ」

 

「……っ」

 

「情報は誰でも手に入れられたのに、沢山のプレイヤーが死んだ。

この失敗を踏まえて、オレ達はどうボスに挑むべきか…。

それがこの場で議論されるとオレは思っているんだがな」

 

「……ふん」

 

そして男2人は石階段に座って、ディアベルは話を進めた。

 

「よし、攻略会議を再開しよう。

ボスの情報だが、実は先ほど例のガイドブックの最新版が配布された」

 

先ほど……早い上にタイミングが良すぎるだろ。

 

「ボスの名前は<イルファング・ザ・コボルトロード>それと取り巻きの<ルイン・コボルト・センチネル>がいる。

ボスの武器は斧と盾、HPが減ると、サブのタルワールに持ち帰る」

 

タルワールってなんだっけな……

そんな事を考えていると

 

「……攻略会議は以上だ、明後日の朝10時に出発だ。

明日は各自自由、そして、この後のA隊の練習に参加したい者は残って相談しよう!

では、解散!」

 

 

朝の10時からなら大丈夫だな。

俺の睡眠時間は減るがまぁ、いいか。

そんな事を思いながら帰ろうとすると

 

「如月さん、帰るんですか?」

 

「ああ、あいつらと上手くやっていける気がしない。

それに俺は護衛だからな、合同練習に参加してもほとんど意味ない」

 

「……そうですか。では、私達も」

 

「いやいや、みんなは行ったほうがいい。

『演奏スキル』の効果はランダムなんだから、ちゃんと練習で何が出るか確かめておいた方がいい」

 

「…わかりました」

 

すると下の方から

 

「君が彼女達を守る騎士か」

 

そこにいたのはディアベルだった。

 

「……まぁ、一応。

それも大事な事だけど……1つ聞いてもいいか?」

 

「オレの答えられる範囲でなら」

 

「さっきのガイドブックに載っているのと異なる状況になった場合、その時はリーダーから撤退の指示が出るという事でいいか?」

 

「ああ、人命が最優先だから、この後の練習にも、それは加えるつもりだよ」

 

「……ならいい。

この子達の事は練習でちゃんと見てくれ」

 

「わかった、約束する」

 

「……」

 

するとディアベルは近づいてきて

 

「それにしても、お姫様達の護衛とは騎士としても羨ましい限りだね」

 

「…本当に最悪の場合になったら、俺はこの子達を助ける事を最優先する。

これだけは、許してもらうぞ」

 

「ああ。でも、護衛はちゃんと果たしてもらうよ」

 

「わかってるよ。それじゃ」

 

そう言ってそのまま、武器強化をしに行った。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

強化が終わった次の日、レベルを1つでも上げようとしてフィールドに出て狩りをしていた。

すると向こうで金髪ショートの女の子が戦っているのが見えた。

 

「1人……か」

 

危ないと思い目の前のオオカミを倒し、女の子の方へ向かった。

 

「なっ…!3体同時に相手はキツイだろ……」

 

見た感じ結構押されてるのがわかる。

……助けられるんだったら助けた方がいいな。

そう思い、剣を抜いた。

 

「そこの女の子、一旦下がって!」

 

「は、はいっ!?」

 

驚きながらも下がってくれて助かった。

やはり近くにきてわかったが、この子のHPはすでにレッドになっていた。

 

「とりあえず俺が時間稼ぐから、回復ポーション飲んどいて」

 

「はいっ!あ、でも、町から出る時に回復ポーションを買うの忘れました!」

 

「だったら、これ飲んどいて」

 

そう言ってポーチに入っていた俺の最後の回復ポーション2つを渡した。

この子に忘れるなよ…と言いたかったがこれだから言えなかった。

そして、しばらくしてオオカミ3体のHPがほんの数センチ程度になったので

 

「やるなら今だぞ」

 

「えっ!いいんですか…?」

 

「レベリングしに来たんじゃないのか?」

 

「そ、そうですけど……」

 

この子が何か迷っている最中にもオオカミ達は襲いかかろうとしていた。

 

「はぁ…せっかくここまで削ってくれたのに自分だけレベルアップしてもいいのかな、なんて思うなよ。

俺がいいって言ってるんだから」

 

「…!あ、ありがとうございます!」

 

「いいよ、はい」

 

そう言って俺はオオカミを避けた。

すると

 

「やぁ!」

 

彼女が持っていたレイピアが薄紫に発光し、オオカミ3体を一瞬で片付けた。

 

「お疲れ様、ええと……」

 

名前聞いてねぇ

そう思っていると

 

「わたし、エルって言いますっ!」

 

この子はエスパーかな?

 

「……そうか、エルは町に戻って回復ポーションを買っておけ。

じゃないと死ぬぞ、じゃあな」

 

「ま、待ってくださいっ!」

 

後ろの服を引っ張られ、帰るのを止められた。

 

「な、何かようか?」

 

「あの……す、少しだけお話ししませんか?」

 

その話を聞くかどうか、少し迷い

 

「……歩きながらでもいいか?」

 

するとエルは喜びに満ちた顔で

 

「はいっ!!」

 

そしてトールバーナに向かいながら色々エルの話を聞いた。

 

「なるほどな、日本のゲームが大好きでこのゲームをしたいが為に日本に来たと…」

 

「はいっ!…でもまさか閉じ込められるとは思っていませんでした。

ちょっとだけ嬉しいですけど……」

 

「嬉しい?」

 

「大好きなゲームの中でわたしの………まさかこん……好きなひ……を見………」

 

最後ら辺が途切れてよく聞こえなかったが、聞き返すのはやめよう。

なぜなら、この子の顔が真っ赤になってるから

 

「…町についたぞ」

 

「はい、ここまで護衛してくれてありがとうございます!

じゃあ、また会いましょうっ!」

 

「ああ」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

そしてボス攻略当日

いよいよボス部屋までたどり着き、ディアベルが色々事前説明を終えた。

 

「俺からは以上だ。何か質問は?」

 

俺は手を挙げた。

 

「そこの君」

 

「もし、ボスのHP、武器、取り巻きなどが情報と違ったらどうする?」

 

「その時は隙を見て撤退の指示を出す」

 

すると一昨日の会議にいたキバオウが

 

「フンッ、相手にせんでええでディアベルはん。

こいつは合同練習に参加せずにあんさんの指揮ぶりを知らんから、そないな事が言えんねん。

練習にも参加してない、ましてや護衛なんぞ任されてるヤツが偉そうに口出すなや」

 

「……」

 

すると

 

「信頼ありがとう、でも俺だってこの全メンバーじゃなかったら不安だった。

…みんなで勝とうぜ。

じゃあ、行こう…!」

 

そう言ってディアベルはボス部屋の扉を開けた。

入ると奥にボスと取り巻きのセンチネルがいた。

すると

 

「主武装は骨斧、副武装はタルワール!センチネルが3体!

全て情報通りだ!俺に続け!!」

 

『おう!!!』

 

そしてボス攻略が始まった。




ではでは、お気に入りしてくださった方々を紹介します。

プリン大福様 テスアクエリポカ様 夜刀様超燃え萌え隊様 ヒロキチ様 月季様 たうそ きさまや様 ー咲良様 勇気ブレイブ様 貧弱様 ユダキ様 天駆けるほっしー様 田中さん様

ありがとうございます。
2人ほど増えていたので嬉しかったです

次回予告

温もり



▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。