退屈な日々を忘れたい俺がなぜバンドの手伝いをしているんだ......   作:haru亜

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第5話 殺してください

第一層フィールドの約3分の2の広さにいるモンスターを一通り倒し、それからダンジョンを3つのうち2つをクリアし、そして今、最後の1つのボスを倒し終わった。

 

「はい、そこまで!」

 

そう言うとパスパレのみんなは

 

「ハ、ハルナさんのレベル上げ……や、やっと終わりました…」

 

「もう、ジブン、ヘトヘトっす…」

 

「は、陽菜のレベリング……今までで一番疲れたわ」

 

「あはは、確かに……。

でも、レベルは26まで上がったよ、すごいね!」

 

「んー?なんで陽菜くんは疲れてないの?」

 

日菜の質問に

 

「攻略組だからな」

 

すると彩が

 

「それだけで済むの!?」

 

「まぁまぁ、とりあえず休憩したら帰るぞ」

 

『は〜い』

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

そして第二層、主街区

 

「今日はもう暗いから、みんなはもう明日のボス戦に備えてちゃんと寝ろよ」

 

「?陽菜は寝ないの?」

 

「ああ、武器と防具を出来るだけ強化しときたいんだ。

それと、もしかしたら明日のボス戦に行くの遅くなる」

 

「?珍しいね、陽菜が遅くなるなんて…」

 

「まぁ、用事だ用事」

 

「ふ〜ん……わかった☆

じゃあ、遅くならないようにね♪」

 

「リサは俺の母さんか…!」

 

「あはは☆じゃあね、おやすみ♪」

 

「……ああ、おやすみ」

 

そして明日の準備をしに行くついでにアルゴにメッセージを飛ばした。

するとすぐに返信がきた。

その内容は

 

まぁ、そういう事ダ。

黒幕とその周りの護衛を倒したラ、巨大化も止まるシ、もうあの子達が襲われる心配もなイ。

…真っ黒に染まるなヨ。

 

「……」

 

そして、鍛冶屋に行き、コートとブーツの強化と愛剣の強化をして、みんなとは別の宿に泊まった。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

翌日 ボス戦 1時間前

第一層 フィールド

 

「やっぱり、来てくださったんですね…」

 

そう言うのは朝日に照らされているエルであった。

 

「悪いけど、時間がないから早く済ませるぞ」

 

「ええ、わたし達にも時間というものがありますので…」

 

エルがそう言うと目の前に対戦ウィンドウが表示されて、そこには1対複数人による戦いをするというのが映っていた。

 

「…まぁ、こっちの方が手っ取り早いか」

 

そう呟いてから丸ボタンを押した。

すると目の前の空間が歪み

 

「オラァ!!!」

 

振り下ろされた大剣を剣で右に受け流し、体術スキル『弦月』を腹に入れ、ソードスキル『スラント』を放った。

 

「あの時腕斬られたから、そのお返しだ」

 

すると

 

「はあっ!」

 

そんな掛け声とともにソードスキルを発動させている槍に銅を貫かれそうになったが、ディレイが切れなんとか反応して、ギリギリの所で避けた。

そして相手にディレイが発生した所でソードスキル『ホリゾンタル』を打ち込んだ。

 

「くっ…!?」

 

「…大剣を使うオウガ、槍を使うサイン……他にもいるんだろ?」

 

そう言うと

 

「へぇ、よく気づいたね。

あれかな、情報屋って奴から聞いたのかな?」

 

と言いながら、空間が歪み現れたのは

 

「細剣……ドクロか、それと周りにいるのは、マーキュリー、バアル、ムラマサだな。

……あと1人のアーサーはどうした?」

 

その質問に青年の姿をしたバアルが

 

「ああ、アイツなら…」

 

……ザッ

 

「!」

 

即座に前に転がり込んだ。

すると後ろで風を斬る音がした。

 

「む、今のを避けるか……第六感というのかな?」

 

そう言って現れたのは、顔まで鎧に身を包んだアーサーだった。

そしてその答えを返すように

 

「…そんな大したもんじゃない。

ただ踏み込む音が聞こえただけだ」

 

「ははは!そうかそうか、やはり足りなかったか…」

 

「?何言ってん」

 

ヒュンッ!!

風を斬る音とともに、横からくる水平斬りを身体を反らしてかわし、数歩下がった。

 

「…人のセリフは最後まで聞け…っよ!」

 

そう言いながら、すぐさま相手の懐に入った。

 

「むっ!?」

 

昨日の強化で速さを上げたから、おそらく相手には見えない速度であろう。

そして、このまま斜め斬りを入れようとしたが影が見えた。

 

「!!」

 

「よっ…と!!!」

 

ガァァァァァァァン!!

避けると轟音をたて、斧が地面に刺さった。

すると向こうで

 

「危ないなぁ…バアルっていつもこうだよね、マーキュリー」

 

「あたしに聞くな。

てか、アイツすばしっこいな、まだやられてない」

 

「では、この中で一番すばしっこいマーキュリーが行ってはどうだろうか」

 

そんな会話を聞いて

 

「……おい、そこの3人。

早くしろ」

 

そう言うと、名前と一緒でドクロの顔をした細剣使いといかにも武将の格好をしている刀使いが

 

「どうする?彼がああ言ってる事だし、本気出す?」

 

「無論、拙者は本気で行く。

マーキュリーは?」

 

「あたしは行くぞ」

 

そう言うと共にマーキュリーが一瞬で距離を詰めてきた。

反応できない速度ではないが…

 

「…小さいから当てにくいな」

 

そう呟くと、マーキュリーの動きがピタリと止まった。

 

「?」

 

「テメェ……今何つった?」

 

「あ…何にも」

 

「死ね」

 

冷たい一言が飛ぶと同時にさっきとは比べ物にならないほどの速さできた。

 

「!」

 

やはり短剣の方は攻撃手数が多いから一方的な攻撃を受けてHPがほんの少しずつ削られている。

すると隣から

 

「ウオリャァァァァァァァ!!!」

 

「っ!」

 

マーキュリーの隣から大剣が『飛んできた』

俺はギリギリの所で避けたがマーキュリーにかすめたようで

 

「…テメェ…今この場でぶっ殺してやろうか」

 

「はっ!やれるもんならやってみろよ、チビ」

 

そのやり取りを見て

 

「仲間割れか?」

 

煽るように言うと

 

「「ああ?」」

 

2人は武器を取り、瞬時に襲いかかってきた。

 

「隙だらけだぞ」

 

2人が襲いかかると同時に2人の間に入り、確実にクリティカルを出せる心臓の部分に狙いを定め、斬った。

 

「うっ!?」

 

「がはっ!?」

 

そう言って2人は倒れ込み、HPバーが赤色になった時点で頭の上に【Down】と表示された。

 

(この感覚だ…)

 

すると

 

「あーあ、冷静さを失うからやられちゃってるよ。

どうする?ムラマサとサイン」

 

「言ったであろう、本気で行くと、援護を頼むぞ」

 

「僕は中距離をとるから、頼んだよ2人とも」

 

「っ!!」

 

急に悪寒がし、背筋が凍ると思っていると風の如くの勢いで斬りつけてきた。

そして、それを剣で防ぎ鍔迫り合いになり

 

「…すごい殺気だな」

 

「あまり拙者に気を取られすぎては死ぬぞ」

 

そう言うとムラマサはしゃがみこんだと同時に後ろに隠れていたドクロのソードスキルが飛んできた。

 

「っ!?」

 

避けようとしたが、肩をかすめHPが少し減少した。

そして先程しゃがみこんだムラマサもソードスキルを発動させており、それに反応して剣で防ごうとしたが

 

「!しまっ」

 

ソードスキルを発動させていなかったから、剣を後方何メートルか飛ばされ、取りに行こうとするがそこにはアーサーが先回りしていた。

 

「よいしょ……っと!!」

 

その声とともに斧で攻撃され、その攻撃を避ける事はできたが、今度は地面をえぐり、次に槍のソードスキルが飛んできた。

 

「…っ!」

 

顔をかすめてHPが少し減った。

 

「……」

 

…さてと、どうするか。

絶対絶命だな、それにこの4人を一撃で倒す方法は……

そう考えていると

 

「っ!」

 

刀と槍、細剣、斧。

この四つの武器での攻撃が途切れる間も無く迫ってきた。

すると攻撃が止まり

 

「いまだ、アーサー」

 

「!」

 

しまった。

この4人での攻撃でアーサーの存在を忘れていた。

そして振り向こうとしたが、もう遅く。

 

「がっ!!」

 

背中を斬りつけられ、HPバーがグンと減った。

まだ生きているが、次の攻撃をくらえば間違いなくデュエルに負けるであろう。

すると

 

「最後の一撃だ。

受け取れ」

 

そう言い、アーサーは剣を大きく振りかぶった。

 

「!!」

 

その大きな隙を見逃さず『体術スキル』の『弦月』を顔に打ち込んだ。

『弦月』はどんな体勢からでも、蹴れるのがいいところだ。

そして、よろめいた所を見逃さずに隣に刺さっている愛剣を取り、青白く剣を発光させた。

 

「ぐっ!?」

 

アーサーは防ごうとしたが、スキル練度と武器の精度で上がった速さはアーサーの目では捕らえきれない速度だった、剣はアーサーの腹を容赦なく斬り、刺さったまま剣をぐるんと回転させ、そのまま上に斬り上げた。

すると、アーサーのHPバーは赤色になって、ゼロになるギリギリの所で止まり、力が抜けたように倒れ込み【Down】と表示された。

 

「……後4人か」

 

そう言うと同時に槍と刀の攻撃がきた。

 

「っ!」

 

槍と刀は最初に会った時と同じパターンか…

だったら…!

一旦距離を置き、一列になったらそのまま……

投げる!

 

「「!」」

 

さすがの敵も驚いたようだが、そのまま弾かれた。

しかし、弾いた時点で俺の勝利は揺るがなかった。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

剣を投げ敵が弾いた時にできる隙を見逃さず、最大速度で相手にタックルし4人全員をぶつけさせ、手前にいる相手の懐に入って相手の武器を払った。

そして、右手を敵の胸に当てた。

 

「!?」

 

相手が理解できずにいる時、もう片方の手でスキルウィンドウを開きスキルの『クイックチェンジ』を選んだ。

すると

 

「……!?」

 

「なんだ…これは……!?」

 

相手がそう言うのは無理もない。

なぜなら今の彼らの心臓部に刺さっているのは剣だからだ。

いや、『身体の中から剣が出現した』と言うのが正しい。

そして

剣を回転させながらソードスキル『ホリゾンタル』を発動させ横に引き抜いた。

 

「ぐっ…!!?」

 

敵のHPはみるみる減っていき、HPバーが3割をきった。

そして空中に【winner 陽菜】と表示され、デュエルは終わった。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「…あ〜あ、負けちゃったか…」

 

「かぁ〜!!あとちょっとだったのに!!」

 

「まさか『クイックチェンジ』にあんな使い方があるとは…中々機転が利く」

 

「それを言うなら4人の猛攻撃の方がすごかったよ。

……それじゃ、エル、俺の勝ちだ」

 

「……ええ、そのようですね」

 

「これからは、あの子達を狙うのはやめてもらう」

 

「ええ、わかりました……。

陽菜サン、少しお時間いただけますか?」

 

そう言われ、ウィンドウを開き時間を見ると少しばかり時間があったので

 

「……5分だけなら」

 

「そうですか……ありがとうございます。

では、皆さん集まってください」

 

「へいへーい」

 

どことなく、エルの顔は寂しそうに、嬉しそうにしていた。

そして、色々話し合っていると

 

「…という感じで殺気を出して、周りを少しだけ退けられるでござるよ」

 

「なるほど…!ありがとうムラマサ」

 

すると

 

「ねぇねぇ!マーキュリーと戦ってどうだった?」

 

「んー…まぁ、確かにやりにくかった」

 

「だよねー!マーキュリーって小さいから攻撃当てにくいよねー!」

 

「…それを本人の前で言えるドクロはすごいよ」

 

すっかり仲良くなっていた。

全員が全員、根っから悪い奴ではなかった。

そして、マーキュリーはそれを聞いて

 

「テメェら今ここで殺してやろうか?」

 

するとオウガが

 

「あははははは!

た、確かに、マーキュリー小さすぎてオレの大剣当たらないわ!!」

 

「…ほう?」

 

なんかヤバそうな雰囲気だったので

 

「ま、まぁまぁ、マーキュリーも落ち着けって。

悪いのはドクロなんだから」

 

「なんで、敵だった奴に言われなきゃなんねぇんだ…」

 

「ええ!?悪いの僕なの!?」

 

『当たり前だろ』

 

そんな話をしていると

 

「む、エル殿、そろそろ時間が……話されてはどうかな?」

 

「……そうですね。

皆さん、いいですか?」

 

すると全員が黙って頷いた。

『話』それが何の事かわからず黙っていると

 

「…陽菜サン、ここにいる彼ら、彼女はどうして高レベルなのに最前線に出ないんだと思いますか?」

 

その質問の答えがわからず、首を横に振った。

そして次のエルの発言で全てがわかった。

 

「それは、ここにいる者達は全員、不治の病にあるからです。

それにもう長くはありません」

 

「…!……それは、向こうの、現実世界でって事か?」

 

「はい、そうです。

…ここにいる全員はわたしと同じくらいゲームが大好きです。

このゲームが始まってからわたしは、同じ境遇のこの人達と出会い、パーティを組んで、それからギルド、みたいな物も作りました。

そして、わたしはずっとこの人達の死に場所を探していました」

 

「……それは全員が同じ目標だったのか?」

 

するとドクロとアーサーが

 

「もちろん!僕達にとってゲームの中で死ぬのはとても素晴らしい事なんだっ!」

 

「だが、死ぬにふさわしい場所が見つからない。

そんな時に、陽菜殿を見つけたのだよ」

 

「!……最初からそのつもりで……」

 

「すみません、嫌なら断ってもらって構いません。

わたし達は新しい死に場所を探します」

 

それを聞いて

 

「…俺がやれば、最高の死に場所にできる、と……」

 

そして次々と

 

「まぁ、そう言うこった。

ハッキリ言って、オレはオメェにやってもらった方がいい。

なんせ、戦って初めて負けた相手だからな」

 

「僕も、槍を使ったのに勝てなかったのは2人目だよ」

 

「ちなみに1人目は拙者だ。

拙者も死ぬのにはここがいい場所だと思っている」

 

「あたしも、自分より強い奴に殺されるなら本望だね」

 

「俺もマーキュリーと一緒だ。

それに俺も斧を一回も当てられなかったのは初めてだな」

 

それを聞いてエルが

 

「陽菜サン、決断をお願いします」

 

「………」

 

全く……嫌な選択肢だ。

でも…

 

「仕方ない……な」

 

「!陽菜サン…ありがとうございます!」

 

「…ああ、俺がやる。

そうしたら……後悔せずに死ねるんだな…」

 

するとドクロが

 

「本当にいいのかい?

そうしてしまったら君は…」

 

「ああ、この人数じゃ、間違いなく俺のカーソルは緑から赤に変わるだろうな。

それでも俺がやる」

 

「……そうかい、ありがとう」

 

「どういたしまして。

……それで、誰からにする?」

 

そう聞くとドクロが元気に

 

「そうだっ!ジャンケンで決めよう!!」

 

「では、勝った者が先に逝く、と言う事でいいな?」

 

『賛成!』

 

驚きを隠せなかった。

自分達が死ぬというのに、それすら楽しんでいるかのような彼らの姿に。

そして…

 

「やったぁ!僕一番!」

 

「……最初はドクロ…か」

 

するとドクロが座り込み、その隣にジャンケンで勝った者順で並んでいた。

 

「じゃあ!スパッ!スパパンッ!スパンッ!とお願いします!」

 

「……わかったよ」

 

さっきの戦闘からドクロや他のみんなが回復ポーションを飲んでいるのは見た事がなかった。

全てはこの時の為だろう。

そして、剣を振り下ろした。

順番にみんなの最後の言葉を聞いて行って振り下ろしていくと同時に、俺のカーソルは赤に染まっていった。

そして、最後になった。

 

「オウガ……何か言い残すことは?」

 

「オメェにはねぇ…が、エルさんにはある」

 

「…伝えてやれ」

 

そう言うと

 

「エルさん…最高の死に場所を用意してくれてありがとな」

 

「…ええ、こちらこそ、ありがとうございました」

 

そして剣を振り下ろすと

 

「……すまねぇな、ありがとう」

 

その声が聞こえるとともに俺は剣を振り終わっていた。

すると

ドサッ!

 

「…!エル!」

 

エルが倒れ込んでしまった。

仲間を失った辛さからなのか、それはわからなかった。

すぐにエルを抱き支えた。

すると

 

「……ふふ、すみません。

やっぱり…限界のようです…」

 

「限界って、どう言うことだよ…」

 

「……わたしが…あの集団の中で……段違いにレベルが低いのは……向こうの世界で…わたしの身体に……限界が…きてるからなんです。

だから、たまに……こうやって倒れ込んで……しまう時があるんですよ……今日は…少し多い上に…長い……ですけどね……」

 

エルの言葉が聞き取りにくくなってきた。

するとエルは弱々しい声で

 

「…すみません、もう少し……こうしてても……いい、ですか……?」

 

「……少しだけ、な」

 

「……ふふ、いじわる……ですね。

……そんなにあの子の事が……大事、ですか……?」

 

俺は少し考え

 

「……そうだな。

あの子は俺の退屈な日々を、人生を変えてくれた最初の1人だからな」

 

「……そう、ですか…。

……あっ……」

 

「どうした…?」

 

「……すみません、何も見えなくなりました。

……真っ暗です…今は声だけ……聞こえます」

 

「!……全く…エルはさっきから謝ってばかりだな」

 

「……ふふ、そう…ですね。

…やっぱり……陽菜サンは……わたしを…許せませんか……?」

 

「ああ……」

 

「……やっぱり…あの子を攫ったからでしょうか……」

 

「それもあるけど…友希那を傷つけたのがな」

 

「……そうです、か。

……陽菜サン、あの子の事が……好きなんですか…?」

 

「………さぁな」

 

「……ふふ……妬けますね……」

 

「……」

 

「…陽菜サン…わたしの最期のお願い……聞いて、くれませんか?」

 

「…なんだ…?」

 

「わたしを…殺してください」

 

「!!」

 

「わたしは……病気なんかで……死にたくありません……せめて、ゲームの中で……ゲームのシステムで……死にたいです。

だから……お願いします…」

 

「……全く…どんだけゲーム好きなんだよ……」

 

「……ふふ、ゲーム好きだから……日本に来たんですよ……。

……お願い、できますか……?」

 

「……わかった、今更1人殺したところで赤色カーソルが少し黒に染まるだけだからな……」

 

「……ありがとうございます。

では、皆さんに……会って来ますね……」

 

「……ああ、行ってこい…」

 

そう言って副武装の短剣を取り出し、エルの胸に刺した。

そしてエルは涙を流した後に

 

「……さようなら…」

 

ただその一言を言い残し、無数の結晶のかけらとなって弾け、結晶は徐々に消えていった。

 

「……はぁ………良い友達…なれると思ったんだけどなぁ……」

 

そして、第二層のボス部屋へ向かった。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

リサ side

ボス戦前

 

「わあ!すごい人…!」

 

すると燐子が

 

「人が……いっぱい……」

 

「わー!りんりん大丈夫!?顔真っ青だよ!」

 

「燐子、大丈夫?どこかで休む?」

 

「い、いえ……大丈夫、です…。

この前より……多かったからビックリしただけです……」

 

「確かに、白金さんの言う通り第一層の時よりも多いですけど、私達がいつもやっていたライブに比べれば少ないですよ」

 

「!……そう、ですね。

…もう、大丈夫です……氷川さん…ありがとう、ございます」

 

燐子がそう言うと

 

「みんな注目ー!」

 

大きな声を聞き、全員がリンドさんに注目した。

 

「ギルド『ドラゴンナイツ』のリンドだ!

今日の第二層ボス攻略レイドのリーダーを務めることになった!

フルレイドには2人足りないが、第一層より多い47人が集まってくれた事、リーダーとして誇りに思う!

みんな、よろしくな…っ!」

 

2人…陽菜、本当に遅くなるんだ…

そう思っていると

 

「まだギルド結成なんてでけへんやろ…たった3時間早くついたくらいでエラっそうに……」

 

あはは、3時間も早く来てたんだ…でも確か、一番早く来てたのって…

そう思いながら、キリトとアスナの方に目を向けると目が合い、こちらに来た。

 

「リサっ!それにみんなもっ!久しぶり第一層以来ね」

 

「アスナっ!久しぶり♪」

 

するとキリトが

 

「あれ?みんな知り合いだったのか」

 

「うんっ!この前アスナとカフェで会ってから仲良くなったんだよねー☆」

 

「そういえばリサ、この前の陽菜って子はどうしたの?」

 

「うん…なんか用事がある、って言ってて…

あっ、そういえばあの人達って新しい攻略組?」

 

そう言って向こうにいた5人組を指した。

するとキリトが

 

「あ、ああ、レジェンドブレイブスって言う第二層から出てきたパーティなんだ。

でも…」

 

「でも?」

 

「いや、何でもない。

それで、陽菜はボス戦には来るって言ってたか?」

 

「うん、それは大丈夫だよ!

遅れるって言ってただけだから」

 

「そっか、なら助かる。

じゃあ、陽菜が期待してる『演奏スキル』楽しみにしてるよ」

 

「!うん!」

 

陽菜…期待してるんだ♪

なんか嬉しいな、陽菜がそう言ってくれてるなんて

すると

 

「ではっ!今こそ開」

 

リンドさんが何か言おうとすると

 

「待ってくれ」

 

そう言ったのは、斧タンクのエギルさんだった。

 

「…なんだ!」

 

「今回の作戦、攻略本の内容を前提にしすぎてる。

第一層の時は、あの少年と演奏隊、ディアベルのおかげでどうにかなったが、ディアベルはともかく今回、あの少年がいない。

だから、撤退の基準を明確にしておくべきだろう」

 

「…ああ」

 

「初回の挑戦で事前情報と異なるパターンが確認できたら、その時点で一時退却。

戦術を練り直すって事でいいな?」

 

「……それでいい」

 

「ほな、始めよか。

よっこらせ」

 

そう言いながらキバオウさんが扉を開けてしまった。

 

「あっ!何勝手に!?リーダーは俺だぞ。

そ、そそ、それでは行くぞ!

エイ、エイ、オー!」

 

「!リ、リンドさん後ろ!」

 

「後ろ……?

!!で、デカ……ッ」

 

そこには、二体の中ボスとボスがいた。

そして『演奏スキル』を使い、少し経った。

 

「スイッチ!」

 

「うん!」

 

陽菜が言ってた初の『演奏スキル』のスイッチができた。

そして、それを繰り返し、しばらく経った。

でも…

 

「……陽菜、まだ来ないね」

 

「うん、陽兄ぃがこんなに遅れるのって珍しいよね…」

 

「……何か……あったんでしょうか……」

 

「ま、まさか!用事が長引いてるだけだって!」

 

「そ、そう……ですよね…!」

 

「……!

ねぇ…あれ!」

 

指を指した先にはステージの真ん中が凹み、中から細身で二本のツノが生えた巨大な牛男が出てきた。

すると誰かが叫んだ。

 

「あ、アステリオス・ザ・トーラス・キング…!!!?」

 

そして、それを見て燐子とアタシは

 

「しかも…」

 

「HPバーが6個!?」

 

するとボス部屋の扉から1つの影が疾風のごとき速さで、今出てきたボスの方へ向かって行った。

そして、その背中には見覚えがあった。

 

「如月…」

 

友希那がそう呟いた。

 

「ホントだ…!陽兄ぃだよっ!!」

 

すると

 

「!そんな……」

 

燐子が震えた様子でいた。

 

「り、燐子?どうしたの?」

 

「あの……陽菜さんのカーソルが……」

 

燐子にそう言われ見てみると

 

「!!赤黒い……カーソル……!?」

 

 

 

 

 

リサ side out

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

10時30分…か。

結構アイツらと話し込んだな…

そう考えながらボス部屋へと向かっていた。

そして、ボス部屋の扉の間から覗くと中央のステージが凹み、細身のツノが生えた巨大なボスが出てきていた。

 

「!!」

 

剣を抜き、急いでボスに向かった。

あちらのアグロレンジに入る前にジャンプし、空中でソードスキル『レイジスパイク』を発動させ、ボスの腹に刺さり、ボスが一瞬よろめいた。

 

「はぁ…はぁ…」

 

第一層のフィールドから急いできて、少し疲れてるな……

すると周りから

 

お、おいアイツのカーソル…!!

 

な、なんだあの色……!?

 

い、一体、何人殺したんだよ……!

 

…周りから見たらただの人殺しだな……

そんな事を考えているとボスが何か吸っているモーションを起こした。

 

「ブレス!!」

 

ブレスがくる前に、もう一度ソードスキル『レイジスパイク』を放った。

しかし

 

「…っ!!」

 

ブレスをくらった。

当然、避ける手段もなく、数メートルくらい後ろに飛んでいくのがわかった。

HPバーの隣に麻痺状態のマークがついていた。

アルゴが言ってたブレス…先走りすぎ…だな。

そして、今までの疲労感から諦めたその瞬間

 

「……!」

 

「如月!」

 

友希那はその声とともに俺の腕を掴み引っ張って行った。

 

「友希那……?何して…る。

早く…逃げろ」

 

「……ここは出口に近いわ。

それよりも、どうして遅れたのか、そのカーソルの色はなんなのか、ちゃんと説明してもらうわよ」

 

「……それはできない」

 

「…どうして?」

 

「…麻痺がとけたから、前線に行ってくる。

……みんなこれで俺と関わるのは最後にしよう、じゃあな」

 

そう言って前線に戻って、しばらく経った。

『演奏スキル』のおかげで助けられたが、やはり前線を支えているのはキリトとアスナだった。

 

しかし、限界がきた。

ボスがあの2人に向かってブレスをはき、スタン状態になってしまった。

更にボスはもう一度、ブレスを溜めるモーションを起こしていた。

すると

 

「ま、待ってください!!あれはもう助けれません!

馬鹿な真似はやめてください!!」

 

そう言いながら、1人の助けに行こうとしている男を必死に止めていた。

すると止められている男が

 

「馬鹿で何が悪い!戦友や姫君の盾となって斃れるは騎士の本懐…!

真の勇者であるならば!!今征かんでなんとする!!!」

 

「はいっ!!オルランドさん!!!」」

 

その声とともに

カィィィィィンッ!!

 

甲高い音がなり、ボスの頭が揺れ、空中に何か飛んでいた。

すると誰かが

 

「チャクラム!?」

 

そしてチャクラムと呼ばれる武器がボス部屋の扉まで、ある男の手に戻った。

そしてその男には見覚えがあった。

 

「!あれは…!」

 

その男は、愛剣の強化を頼んだ時に、俺の剣を折った鍛冶屋であった。

そして男が入ってきてから更に戦況がよくなった所で、調子に乗って俺はボスに向かい

 

「よっ…と!!」

 

そんな掛け声とともに、ソードスキル『レイジスパイク』を牛男の頭に打ち込み、上を向いたボスの鼻を『体術スキル』の『弦月』で鼻をおって空中でボスの目に狙いを定め体術と片手剣の混合スキル『メテオブレイク』を撃ち込んだ。

しかし、ボスのHPバーは完全に削りきれてはいなかった。

そしてボスはこちらに反撃しようとした所で

 

「スイッチ!!」

 

「オゥッ!

任せて!」

 

そう言いながら、転落していく俺の両隣から2つの薄緑と青白い軌跡を残しながら、俺と同じ方法でボスを攻撃し、ボスの脳天を貫いた。

そしてボスは身体の内側から光を放ち、結晶のかけらとなり消え、空中には白い文字で『Congratulations』と表示された。

 

『いよっしゃーーー!!!』

 

「…死傷者ゼロだな」

 

すると向こうでキリトと鍛冶屋の男、エギル達が集まっていた。

気になり近づくと

 

「Congratulations!

…だけで済ませたかったが…」

 

エギルのそんな声が聞こえ、黙って聞いていると

 

「あんた、少し前まで鍛冶屋やっていたな?」

 

その質問に鍛冶屋は

 

「はい」

 

ただそう答え、エギルは続けて

 

「そんなレア武器を手に入れて、鍛冶屋ってのはそんなに儲かるのか?」

 

するとエギルの後ろにいた男達も

 

「アンタ知らないだろ。

アンタに強化を頼んだ剣が破壊されてから……俺と仲間達が」

 

「やめろ。

別に今更そんな事を言いにきたんじゃない。

ただどうも、みんなオレと同じ懸念を持ってるみたいでな」

 

それを聞いて理解できなかったが、キリトが焦った様子で

 

「ま、待ってくれ!この武器は俺が」

 

「いいんですキリトさん」

 

キリトが何か言おうとしたが鍛冶屋はそれを遮った。

そして土下座をした。

 

「……僕が、皆さんの武器をエンド品とすり替えて…騙し取りました」

 

「それをコルに替えたのか……金での弁償は可能か?」

 

鍛冶屋は土下座をしながら話を続けた。

 

「いえ…もうできません。

お金は全て、高級レストランの飲み食いとか、高級宿とかで残らず使いました」

 

そうか……あの時俺の剣が折られたのは詐欺の一部だったのか。

今更気づいて考えていると

 

「オマエ…オマエエエエエエエエエエエ!!!!

わかってんのか!?

俺たちみんなからどんだけのモンを奪ったのか!!!」

 

その男は怒号を飛ばしながら鍛冶屋の胸ぐらを掴み、そう言い続けた。

 

「挙げ句の果てに、自分はレア武器仕入れて!!

ボス戦でヒーロー気取りかよ!!!

………やっちゃダメだけどよォ……俺ぁ今、アンタを叩っ斬りたくてしょうがねぇんだよォ!!!」

 

すると鍛冶屋は頭を下げたまま

 

「覚悟の上です」

 

ただその一言を言うと男は剣を抜き、首めがけて振り下ろそうとした。

剣を抜いて止めようとしたが

 

「待たれよ!!」

 

その声とともに現れたのはさっき見たパーティのリーダーと思わしき人物だった。

そして、その人物は鍛冶屋に近づくとともに

 

「この者は我らの……いや、コイツは、俺たちの仲間です。

強化詐欺をさせていたのは俺たちです」

 

そう言ってその周りにいた男も武器を置き、土下座をした。

するとエギルが

 

「…じゃあ、アンタらの中で誰か金で弁償できる奴はいるか?」

 

「いや、いない」

 

それを聞いていると周りの人たちの苛立ちが隠しきれなくなっていた。

そこで

 

「ちょっと待て」

 

『!!』

 

今の俺のカーソルは赤黒くなっている事だろう。

全員が同じ顔をして驚いている。

が、そんな事は気にせず

 

「金で弁償できないなら、コイツらの装備を今、この場でオークションにすればいいだろ」

 

するとエギルの後ろにいた男が

 

「そ、そんな事で収まるか!!

ましてや、人殺しのお前に言われて誰がやるんだよ!!」

 

周りも同じ反応のようで

 

そうだそうだ

 

誰が人殺しの言葉を

 

と言うものが現れたが

 

「俺が言う事とコイツらの装備の価値が変わるとでも?」

 

「っ、それは……!」

 

「すぐに言い返せないなら最初から言うな。

それに、コイツらの装備は、言い方は悪いがズルをして強化されたものだ。

だったら、性能もそれ程悪くないだろ?」

 

そう言うと周りからは

 

た、確かに

 

ズルして強化したなら、それなりに強いし…

 

俺、やろうかな…

 

お前やるの!?じゃあ、俺も!

 

抜け駆けすんなよ!俺もだ!

 

という感じでまとまってきたので

 

「鼠、いるんだろ?」

 

そう言うと空間が歪み、フードを被った人物が現れた。

そして

 

「じゃあ、後は頼んだぞ」

 

「わかっタ」

 

するとアルゴは息を吸い

 

「さあさ、お立ち会い!この商品は5万コルの逸品ダ。

それが最大強化の+6!!

デバフ耐性はさっきのボス戦で見た通り!!」

 

それにノッタ、キバオウも

 

「ほならまずは、5万からスタートやな!

5万いるか……」

 

そしてオークションが始まってからハイディングを使いしばらく隠れ、オークションが終わったのを見ると突然

 

「そんな事で許されるわけねぇだろ!?」

 

全員がその叫んだ黒ポンチョの男の方を見た。

そして男は

 

「そいつの言った通り強化しまくったご立派な装備品で金銭的な弁償はできるだろうよ!!

でもなぁ!死んだ人間は帰ってこないんだよ!!」

 

し、死んだ!?

 

死んだって、どういう…

 

そして男が言うと、周りがざわめき始め、更に男は言い続けた。

 

「俺ぁ知ってるんだ!そいつに武器を騙し取られた奴が武器屋で安物を買って今まで倒せてた雑魚モンスターに、殺されちまったんだ!!!」

 

「………」

 

「それが!金だけで償えるわけねぇだろ!!?」

 

すると周りから

 

ひ、人が死んだ……

 

これじゃまるで

 

間接的な……PK…?

 

周りがざわざわした。

そしてついに

 

命で償えよ、詐欺師ども

 

誰かがそう言った。

するとそれを中心に

 

そうだ

 

殺すしかない

 

殺せ

 

殺せ

 

殺せ

 

ずっとそんな声が聞こえ、ついにはその詐欺グループを引っ張り、剣を抜く者が現れた。

すると

 

「ねぇ!やめなよ!!

本当に死んじゃうんだよ!?」

 

「!」

 

リサが止めに入っていき、他のメンバーも止めに入っていった。

 

「……やめろ…」

 

呟いていた。

すると向こうで友希那が男達と対話していた。

そして

 

「うるせぇ!!」

 

1人の男はそう叫びながら剣を青白く発光させ、友希那を斬りつけた。

 

「!友希那!!」

 

風の如く疾駆で友希那にかけ寄り、ポーチから回復ポーション取り出し、急いで飲ませた。

そして男達が注目し始め、俺はムラマサに最後に教わった事をした。

すると

 

『っ!!!?』

 

ムラマサから教えてもらった殺気を出し、周りを少し退けた。

そして赤色になっていた友希那のHPが安全圏の緑に入り、ホッとしたと同時に怒りが込み上げてきた。

 

「おい…」

 

「!な、なんだよ、お、俺達はただ、あのクソ詐欺師の1人を裁こうとしただけだ!!」

 

「裁こうと?なら、お前が斬ったのは誰だ?詐欺師か?」

 

「っ!そ、その女が邪魔したからだ!!な、なぁ!!」

 

「あ、ああ!そもそも、その女が俺達に生意気な口を聞くからだ!!」

 

「生意気?違う、この子が言ったのはただの正論だろ。

それに反論できず、お前らは斬ったんだ」

 

「っ!お前!さっきから何なんだよ!!?

言ってるだろ!?その女が俺達攻略組の邪魔をするからだろ!?」

 

「…今なんて言った…」

 

「ああ!?俺達攻略組の邪魔をするからだろ、って言ったんだよ!!聞こえてねぇのか!!?」

 

「『俺達攻略組』?『邪魔』?

だったら、もうこの子達を攻略にはもう出さない」

 

「ああ!そうしてくれ!

目障りなんだよ!!」

 

「はぁ……もういいだろ…」

 

「はぁ!?何がいいんだよ!!」

 

「そんなに死にたいか?」

 

次の瞬間、拳を自分のHPが減るほど握り『体術スキル』で本気で男の顔面を殴った。

 

「ぐぶっ…!!?」

 

男は後方数メートル吹っ飛んで壁に衝突し、そして残ったもう1人を即座に『体術スキル』の『弦月』を使って肩にかかとを入れ、地面に叩きつけた。

すると

 

「………如月…?」

 

「!友希那!大丈夫か!?」

 

「ええ……少し、ふらふらするけど……」

 

「…わかった。

友希那は少し休んでてくれ。

ちょっと行ってくる」

 

急いで向かおうと前を向くと

詐欺師達を殺そうと必死になっている者、それを止めようとする者がいた。

すると

 

「待て!!!」

 

ボス部屋に大きな声が響いた。

その声の主は

 

「裁定はリーダーの俺が下す!

異存あるまいな!!!?」

 

するとボソっと誰かが

 

「ま、ええんやないか?」

 

そう聞くとリンドは剣をリーダーの前に突き立てた。

そして

 

「リーダーならば、自分の刃でけじめをつけろ」

 

周りがどよめいた。

当たり前だ、我らがリーダーが人が死ぬ事を望んでいるのか、とか言う疑問があるんだろう。

でも、アイツが本当にディアベルの意思を継いでると自称するなら…

そう思ってみていると

 

「オルランドさん!やめてッ!やめてください!!!」

 

するとリーダーのオルランドはすまないと謝っているかのような表情を浮かべ、剣を自分に刺した。

そして、強化された武器では防具なしの彼のHPを容赦なく削っていき、HPがなくなると思った瞬間

 

「!」

 

リンドが自分の剣でオルランドが刺していた剣を抜いた。

そして

 

「もういい、覚悟は伝わった」

 

「お、おい、まさかそれで終わらせる気か?

そんなんじゃ、死んだ奴が浮かばな」

 

「何を言う」

 

その言葉を遮り話を続けた。

 

「詐欺集団の首謀者オルランドは今死んだ!

今からでも、まだ間に合う。

俺達攻略組は待たないが、追いついた時は我らは勇者を歓迎しよう!!」

 

…………

 

「ブハッ……!!」

 

するとキバオウが笑うと周りも徐々に

 

あは

 

ははは

 

などの笑い声が聞こえてきた。

すると

 

「陽坊…随分と無茶をしたじゃないカ。

……そのカーソルが真っ黒になったラ、もう戻らなくなるかラ、気をつけろヨ」

 

「わかってるよ」

 

「……ソウカ」

 

「それとあのギルドはもう無いと思うけどもう一回調べてくれ。

アイツらと戦ってみたが、オレンジ、レッドプレイヤーは一人もいなかった」

 

「!……わかっタ、調べてみル」

 

「ああ、アイツらの為にも頑張ってくれ」

 

「アッ」

 

アルゴが何かを思い出したように呟いた。

 

「?どうした?」

 

「そういえばオレっち、さっきあの子達に陽坊の情報を提供したんだっタ」

 

それを聞いて

 

「えっ……てことは…」

 

すると

 

「如月、来なさい」

 

「陽菜?今回だけはアタシも擁護できないよ」

 

「如月さん、あなたという人はどうしていつも……」

 

「あこも同じだよっ!陽兄ぃ!!」

 

「わたしも…!陽菜さんに……言いたい事が……あります…!」

 

「なん……鼠お前…!」

 

そう言うとアルゴは誤魔化すように

 

「ニャはは、良かったじゃないか。

可愛い女の子に囲まれて」

 

「…良くねぇよ。

…ん?ちょっと待て……あの子達、ってことは……」

 

「モチロン、もう片方のグループにも提供したゾ」

 

「えっ……」

 

「とりあえず話そっか、陽菜くん」

 

「陽菜、ちょっと自分勝手がすぎるわよ?」

 

「陽菜くんっ!洗いざらい全部話してもらうよ!」

 

「ジブンも!今回だけは許せませんよ」

 

「ハルナさんはどうして、いつも一人でしようとするんですか!!」

 

「……鼠、覚えてろよ…」

 

その時にはもうアルゴの姿はなくなっていた。

すると見えないが声が聞こえてきた。

 

「じゃあナ陽坊。

それとお詫びに、タダで教えておく。

強い剣が欲しいなら、森の中にいケ」

 

いや意味がわからん。

てか、逃げたなあの野郎…俺だって逃げたいよ…

そう思っていると

 

「歩きながら話してもらうわよ。

わかってるわね、如月?」

 

「わ、わかったよ」

 

「じゃあ、早く行きましょう。

次の階層へ」

 

「そうだな」

 

「それと、私達が気になってる事、色々話してもらうわよ」

 

「そ、そうだな」

 

そして、第三層に上がって行った。




さぁて……やるか。

lunar913様 夜刀様燃え萌え隊様 テスアクエリポカ様 たうそ きさまや様 ー咲良様 勇気ブレイブ様 貧弱様 ユダキ様 天駆けるほっしー様 田中さん様 ブラジロ様 岬サナ様 プリン大福様 ヒロキチ様 月季様

(早口)

誠にマジで本当におりがとうございます!(語彙力&日本語力)
では、また

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