退屈な日々を忘れたい俺がなぜバンドの手伝いをしているんだ......   作:haru亜

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Rも神曲(説明下手。
だか伝わっていると願う)


第7話 再開 前編

ボスの腕を斬り落とすと後ろから

 

「…如月っ…!」

 

懐かしい友希那の声が聞こえた。

そして

 

「約一年ぶりだな、友希那。

とりあえず、安全圏まで下がっててくれ」

 

「わかったわ」

 

そう言って友希那は下がってくれた。

そして前を向いてボスと真正面から向き合った。

すると

 

[ボォォォォォォォォン!!!]

 

「うっわぁ…うるさい」

 

そう呟くとそれに反応してくるように、パンチを繰り出してきた。

それを右に避けたが敵は複数の腕を持っているので一気に殴りにきた。

ほとんど、かすめて避けて攻撃を入れてたが、最後の一撃をまともにくらってしまい、安全圏まで飛ばされた。

 

「っ!!」

 

空中で一回転しなんとか着地出来た。

周りを見てみるとキリト、アスナ、そして初めてみる赤い甲冑をしたプレイヤーが前線を支えていた。

そして前に出ようとすると

 

「陽菜っ!」

 

後ろからリサに抱きつかれた。

 

「ちょ、危ないから!

リサに剣刺さったどうすんだ!」

 

「剣の刃は前にあるから大丈夫だよ!

そんな事より、生きてて良かった!!」

 

「いやいや、フレンド欄見れば…」

 

あっ、そういえば俺ブロックしてたんだった。

なんでしたんだろ…

そんな事を考えたが

 

「…リサ、今からちょっと頑張ってくるから『演奏スキル』頼んだぞ」

 

「それが、みんなにバフ無効がついてるから、使っても意味が…」

 

リサの落ち込む姿を見て

 

「俺は大丈夫だから、今回だけ、俺のために演奏してくれ」

 

「!…うん!わかった!」

 

「よしっ!じゃあ、みんながどれだけ成長したか見せてもらうぞ!」

 

そう言うと友希那が

 

「私達がどれだけあなたに近づいたか見せてあげる」

 

「ああ、援護頼む!」

 

そう言うと同時に演奏が始まり、攻撃力アップと敏捷度アップ、回復継続効果がついた。

そして剣を抜くと同時にボスに向かって行き、アスナとキリトにボスのヘイトが溜まっていたので敵のクリティカルポイントをソードスキル『バーチカルスクエア』を放ち、正方形の光ラインを周囲に強く描いた。

するとボスのヘイトが俺に溜まり、こちらを向いて目を赤く光らせて、真紅に輝く光線を放ってきた。

 

「危ないっ!!」

 

キリトの叫ぶ声が聞こえたが、光線の当たる範囲の真ん中に立ち、防御ソードスキル『スピニングシールド』で光線の軌道を天井に曲げた。

 

「っ!」

 

すぐにボスは連続パンチを何発か打ち込んできたが、ボスの一撃目の腕を避けて登り、懐に入ってからソードスキル『サベージフルクラム』を発動させ、ボスの横から心臓まで斬り込み、奥に押し込みながら刀身を回転させ真上に引き抜いた。

 

[キュアアアアアアアアアアアアア!!!]

 

断末魔のような音を立ててボスのHPバーが3本目の赤色まで減った。

するとボスの背後からキリトとアスナが自らの剣を青と緑に輝かせ、ボスの背中を深く斬りつけ、HPバーが残り2本となった。

そして、振り向こうとするボスに横から赤い甲冑に身を包んだプレイヤーが剣を赤色に発光させてボスの腹を斬り裂いた。

すると

 

「ボスのHPバーは後2本だ!!

このまま押し込む!!」

 

『おうっ!!!』

 

ボスの腹を斬り裂いたプレイヤーがそう言うと、他のプレイヤー全員がやる気が出てきたように返事をした。

そして少し経つとボスのHPバーはラスト1本になった。

すると

 

[ゴオオオオオオオオオン!!!]

 

その咆哮とともにボスの身体が赤くなっていった。

するとボスが地面を殴ると

 

「っ!?」

 

ボスの近くにいたプレイヤー達はスタンをくらってしまった。

これは、第二層にいた牛男の『ナミング』に似ていた。

これを見てすぐに前に出て

 

「そこのアンタとアスナはボスの攻撃を弾いてくれ!!

来いキリト!!」

 

「「「ああ(うん)!!」」」

 

走っている隣にキリトが来て、アスナと赤色の甲冑を着た男がこちらに向かって放つボスの連続攻撃を防いだ。

そして俺はキリトに、覚えているか?と聞き、ああ!と返ってきたので

 

「「せーの!」」

 

言うと同時に

ダンッ!!

勢いよく飛び、剣をオレンジ色に発光させ、体術とソードスキルを合わせた最大7回攻撃の『メテオブレイク』を撃ち込んだ。

ボスの心臓部分を2人で集中的に狙い、互いのソードスキルと体術が互いをかすめ傷つけHPを減少させていたが、ボスのHPバーは瞬く間に黄色、赤色になっていき、最後の攻撃水平斬りをクリティカルポイントの心臓に撃ち込んだ。

そして

 

[ボォォォォォォォォ……!!!]

 

最後の雄叫びを上げ、着地すると同時にボスは部屋全体に澄み渡る結晶のかけらとなり、消えていった。

そして空中に白く光る文字で『Congratulations』と表示された。

 

『よっしゃーーーー!!!!』

 

「はぁ……はぁ……」

 

疲れているキリトに対し

 

「おつかれ、キリト」

 

「陽菜こそ、お疲れ様。

急に出てきてビックリしたけどな」

 

「まぁ、色々あって戻ってこれたんだよ」

 

「そうか、ならこれからもよろしく頼むよ」

 

「ああ」

 

そう言って握手をし、ボスの戦利品を見ていると

 

「「おお!!」」

 

そこには左に剣のマークがあるボスのLAだった。

そして

 

「久しぶりだな、ラストアタックボーナス」

 

「じゃあ、早速装備してみるか」

 

「そうだな」

 

そう言ってウィンドウを操作してアイテム装備を押すと

 

「ん?ん?」

 

「あ、あれ、反応しないぞ…」

 

キリトの方も反応しなかったらしい。

そして、剣の詳細を見てみると

 

「「な、何ぃ!!?」」

 

そこに書いてあったのは

 

装備可能片手剣スキル熟練度 950

 

………えっ

 

「な、なぁキリト」

 

「ど、どうしたんだ?」

 

「これ…なんて書いてある?」

 

「…えっと片手剣スキル熟練度が950ないと装備……不可能」

 

「……」

 

「………」

 

「「今片手剣スキル熟練度いくつ?」」

 

「俺は今、897」

 

「俺の方は892」

 

「「………」」

 

「「今から上げてくる!!」」

 

そう言って急いで51層に登ろうとすると

 

「「待ちなさい」」

 

「「うっ…!」」

 

ギクリとしながら、キリトと後ろを恐る恐る振り返ってみると、そこには友希那とアスナが立っていた。

 

「如月?そんなに急いでどうしたの?」

 

「お、俺は用事が……」

 

「キリト君、どこに行くつもり?」

 

「い、いやぁ…俺もちょっと用事が……」

 

「今解放されたばかりなのに…用事?」

 

「どうしてフレンドをブロックしていたのかしら?」

 

「「うっ…!いや、これはだな……」」

 

「「問答無用」」

 

そして、5分ほど正座させられ説教を受けた。

すると

 

「確かに2人はソロプレイヤーだけど…陽菜君?」

 

「は、はい…」

 

「友希那ちゃんがこんなに寂しがってるのにどうして側にいて上げないの!!」

 

「!そんな事は…」

 

友希那が何か言いかけるとそれを遮り

 

「いいえ!あります!

友希那ちゃんたまに夜空を見上げて考え事してるでしょっ!

大体久しぶりに会えたのに、どうして真っ先に思い浮かぶ事が片手剣スキル熟練度を上げる事なのよ!」

 

グサッ!

 

「陽菜君はどれだけ鈍感なの!?」

 

グサッ!

 

「全く、本当にキリト君そっくり!」

 

グサッ!!!

 

「…おい陽菜、お前今グサッときたろ。

顔に出てるぞ」

 

「いやいや、ソンナコト」

 

すると

 

「ふーたーりーとーもー?」

 

「「ヒッ…!」」

 

「人の話は最後まで聞きなさい!!」

 

「「す、すみませんでした!!」」

 

そしてまた、説教が始まった。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

説教が終わり、みんなの所に戻ると

 

「あっ……陽菜さん…!……良かった……」

 

「陽兄ぃっ!!」

 

あこが飛びついてきた。

 

「ありがとう燐子。

あこは相変わらず元気だな」

 

すると

 

「如月さん、久しぶりですね」

 

「紗夜、久しぶりだな。

ゲームの中とは言え、ギター上手くなってたぞ」

 

「そうですか、ありがとうございます。

如月さんも前より段違いに強くなりましたね」

 

「まぁな」

 

そんな懐かしい会話をしていると

 

「ちょっといいかな?」

 

振り返ってみるとそこには赤色の騎士が立っていた。

そして

 

「俺…?」

 

「ああ、陽菜君、だったかな?

彼女達の言ってた通り、凄まじい強さだったよ」

 

「はぁ…」

 

「それはそうとして……どうかな?

彼女達と一緒に私のギルドに入ってみないか?

君の強さなら、これからのボス戦もぜひ来てくれ」

 

「お誘いは嬉しいけど、俺はギルドには入らないって決めてるんだ。それとボス戦はしばらく休むよ。

もうこの子達を置いて行く訳には行かないからな」

 

さっき置いて行こうとしたけどな……はは

そう思いながらあこの頭を撫でた。

すると

 

「そうか…では、最前線は私たちに任せたまえ。

君が来る事を待っているよ。

では」

 

そう言ってどこかに行ってしまった。

すると

 

「陽菜、おかえり♪」

 

「ただいま、みんな」

 

そして、いつも行ってた第二層のカフェへ向かった。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

第二層 カフェ店内

もう真夜中で閉店前だったが、ひまりが、わたし達も加えてくれるならいい、と言って入れてくれた。

そして

 

「へぇ…そんな事があったんだ」

 

「陽菜も大変だなぁ…」

 

巴にそう言われ

 

「そうなんだよ、本当に大変だった。

約1年も演奏が聴けないのがあんなに辛いとは思わなかった…」

 

するとモカが

 

「そういえば陽菜さんって〜、今のレベルっていくつぐらい何ですか〜?」

 

「あっ!それアタシも気になった!

ねぇ、陽菜っていくつなの?」

 

モカはなんでそんな事を…

てか、リサのただ年齢を聞いただけに聞こえる。

そんな考えをやめ

 

「えっとな……さっきボス倒したから81だ」

 

「おお〜じゃあ、また今度陽菜さんに何かお願いしよ〜っと」

 

「今度な今度、俺にも休日は必要だからな」

 

「ていうか陽菜、ま〜た1人で迷宮区に潜ってたね?」

 

「あ、ああ。

でも、おかげでボス倒せたし、ラストアタックボーナスもゲット出来たし、武器の心配はしなくて済んだな」

 

「そういえば、ボスのLAってなんだったの?」

 

「えっとな…」

 

慣れた手つきでウィンドウを開き、黒く重い剣を出現させた。

みんなから、おおっ!と聞こえた。

そして

 

「『エリュシデータ』…魔剣クラスに入るらしいんだけど…」

 

「だけど?」

 

「片手剣スキル熟練度が950ないと装備不可なんだ」

 

「950って…ほぼMAXじゃんっ!

出来るの?」

 

「まぁ、頑張れば無理ではない。

でも、今はもうちょっと休みたいから」

 

「そっか……でも、嬉しいなっ♪陽菜がそう言ってくれるなんて」

 

「?」

 

「ほら、前の陽菜だったら、黙って勝手に1人で先に行って休まないからさ☆

陽菜が自分から休みたいって言うのが、つい嬉しくって」

 

「や、やめてくれ…」

 

すると

 

「確かに〜、陽菜さんがこうやってくつろいでる姿ってあんまり見た事ないかも〜」

 

「いや、あるだろ!」

 

そう言うと蘭が少し笑いながら

 

「ないよ、ていうか、陽菜さんが休まないって言うのが簡単に想像出来る」

 

「いや、それこそ…」

 

待てよ、思い返してみたら結構……

しかし、そんな考えをやめて

 

「…やっぱり何でもない」

 

そしてしばらく話をしてから、外に出ると

 

「…っ!……陽菜……くん?」

 

そこにいたのは

 

「彩、それにみんなも?」

 

「やっぱり!!」

 

物凄い勢いで飛びついてきた。

 

………………

 

日菜が

 

「ちょっ!苦しい!苦しいから!」

 

そう言っても日菜が力を抜く事はなく更に締め付け

 

「陽菜くんっ!!」

 

「いや…耳元で……叫ばれても…まっ…て……く、びが……しまって………る……か、ら…」

 

すると

 

「陽菜くんっ!!」

 

「っ……彩、も………ちょっとは………気づ…いて……くれ……」

 

2人の腕が首をキメかけている事に気づいてくれ

意識が飛びかけた瞬間

 

「ちょっと日菜ちゃん、彩ちゃん、陽菜が苦しそうにしているわよ」

 

「「あっ!」」

 

ギリギリの所で離してもらい。

 

「はぁ…はぁ…し、死ぬかと思った」

 

「でも、良かった、陽菜くんが生きてて本当に…」

 

その質問に息を整えてから

 

「ごめんな彩、心配かけて。

それと千聖、あの時気づいてくれて助かった」

 

すると千聖は

 

「ふふ、陽菜はもう少し演技力を上げたほうがいいわね。

アレじゃ三流とも呼べないわよ」

 

「そ、そうか。

でも、あの時みんなを連れて行ってくれて本当に助かったよ」

 

「そう」

 

「ていうか…もう夜も遅いから早く帰って寝よう。

迷宮区突破しながらボスに挑んだから、眠い疲れた」

 

「うんっ!それじゃあみんなで一緒の宿に泊まろっ♪」

 

するとイブが

 

「おおっ!イイですねリサさん!」

 

とりあえず俺はゆっくり眠れそうだ。

そう思い

 

「じゃあ、せっかくだし第51層の新しい宿に行くか」

 

『うんっ!』

 

そして向かって行った。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

翌日

 

普通は朝の日差しかアラームで起きるのだろう。

だが、どうして今日に限って…

 

「陽菜さん……あの……起きて……ください…!」

 

燐子の小さな力で一定の間隔で揺らされ

 

「ハルナさん!早く起きてください!もう12時過ぎてますよ!」

 

イブに何回か強く叩かれて

 

「……眠い」

 

そう言うとイブが

 

「リンコさん!今こそアレを!」

 

「うぅ……」

 

すると燐子が赤面にしながら

 

「……は、はは、陽菜さん……だ、抱きついて……あげますから……」

 

抱きつこうとする燐子を手で止め

 

「ちょ!ちょっと待て!誰にそんな事を教わった」

 

「え、えっと……モカちゃんから……教わりました……」

 

「…燐子、それはすぐに忘れろ」

 

「…はい…」

 

そして起きた後に扉を開けると

 

「あ〜、陽菜さん、起きたんで」

 

無言で近づきモカの頭に何回かチョップをくらわせた。

 

「あうっ…あうっ…あうっ…!」

 

「モカ、あんな事を燐子に教えるな」

 

「ひどいな〜モカちゃんはただ囁いただけなのに〜」

 

「それは小悪魔の囁きと言う。

……それで、そこまでして俺を起こした理由は?」

 

するとイブが

 

「それは今から、みんなで一緒にアフロの皆さんのレベリングをする為です!」

 

「やっぱり寝るわ」

 

「ま、待ってください……!陽菜さんがいないと……何かあった時……わたし達だけで対処できないかも……知れないので…」

 

「……わかった」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

その後、第10層で1時間ほどレベリングをして蘭達のレベルが50になった所で終わり、いつものカフェに行くと

 

「モカちゃんはもうヘトヘトだよ〜」

 

そう言いながらモカはテーブルにうつ伏せになった。

 

「うん…あたしも」

 

「あはは☆やっぱり陽菜のレベリング、もうちょっと気をつけた方がいいよ〜?」

 

「ま、まぁ、俺は片手剣スキル熟練度931まで上がったからいいか」

 

そう言いながら紅茶を一口飲んでコップを置いた。

そこで

 

「…ていうか、931ならもうちょい上げに行っても」

 

「ダメよ」

 

友希那に止められた。

 

「えぇ…じゃあ第三層に行こうかな」

 

「どうしてそうなるのよ…」

 

「唐突だけど、あそこって景色がかなり綺麗だから、もう一回行きたいなぁって…」

 

すると蘭達が

 

「そういえば、あたし達って第三層から上に行った事なかったよね」

 

「確かにっ!陽菜さん、第三層ってどんな所ですか?」

 

ひまりが興味津々に身体をテーブルに乗せて聞いてきた。

 

「お、落ち着けひまり。

第三層の主街区はでっかい木の中で、その中に宿があって、そこから見る森の景色が綺麗なんだ」

 

そう言うと

 

「よしっ!じゃあ今からみんなで行こう!」

 

「じゃあ、行くか」

 

『ええ!?』

 

「「早くしないと置いてくぞ(よ)!」」

 

そして第三層に行くため転移門に向かった。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

転移門前

 

「全員いるよな」

 

「あたし達は小学生じゃないんだから…」

 

蘭にそう言われ

それもそうだな

なんて思っていると

 

「「いやっほー!!!」」

 

「えっ?」

 

背後から声が聞こえたが後ろを振り返る余裕もなく、転移門から何か飛んできた。

そして

 

「うぐっ!!?」

 

そのまま前に押し倒され、地面の石畳と誰か知らない2人に挟まれた。

すると、どこからか聞いたような声が聞こえた。

 

「ちょ、こころ!戸山さん!踏んでる踏んでる!!」

 

「あら?これは…陽菜じゃないっ!どうしたの?そんな所で寝そべって…。

もしかして地面で寝る事ってそんなに気持ちいいのかしら!

ねぇ香澄、私達もやってみましょう!」

 

「いいね!」

 

「よくねぇーよ!」

 

有咲のツッコミが飛んだ。

 

「お前らな、転移した後はすぐに飛び出すなっていつも言ってんだろ!

大体、お前らいつまで陽菜を踏んでるつもりだ!!」

 

「あっ!ごめん陽菜!」

 

「あら、ごめんなさい。

でも、こんな所でみんなに会うなんてラッキーだわ!」

 

そう言ってやっとどいてくれた。

そして立ち上がり、コートをはたきながら

 

「…なんか朝からついてないな。

とりあえず、こころ達は何を?」

 

するとこころが何か閃いたように

 

「そうだわっ!陽菜達に手伝ってもらいましょう!」

 

「手伝う、って何を?」

 

俺が聞こうと思ったが蘭が聞いて

 

「あなた達に、第三層のダンジョンをクリアするの手伝って欲しいの!」

 

普通に予想外だ…。

すると美咲が

 

「こころ、ちゃんと目的言わないと何もわからないから…!」

 

「それもそうね!私達の目的はそこの宝箱を開けたいの!」

 

「宝箱って?」

 

そう聞くとたえと有咲が

 

「第三層のダンジョン奥にね、スッゴイ光ってる宝箱があるの」

 

「それを開けようとして宝箱に近づこうとしたら、なんか木の敵がうじゃうじゃ出てきて、取れないんだよ」

 

状況はわかったけど……

 

「10人もいて取れないのか?」

 

すると香澄が

 

「うん!だから手伝ってください!お願いします!」

 

手を合わせてお辞儀する香澄を見て

 

「まぁ…いいか」

 

そう呟くと

 

「如月、身体は大丈夫?」

 

友希那が心配そうに聞いてきた。

 

「…大丈夫だ。

俺はただ歩くだけだから、何もしない」

 

「歩くだけ…って陽菜さん、剣くらいは抜いた方が…」

 

「第三層だから蘭達もHPは減らないと思う。

それに減ったとしても1くらいだろ」

 

「ハルナさん!ユダンタイテキです!」

 

「う〜ん……じゃあこうしよう。

まず、ダンジョンに行ってレベル的にも問題がなさそうだったら俺は前線をみんなに任せて手を出さない。

もし予想外の事が起きたら、俺は手を出す。

それでいいか?」

 

そう言うと

 

「…まぁ、如月がそう言うなら…。

私はいいわよ」

 

ありがとう友希那

心の中でそう思ってから

 

「じゃあ、みんなはそれでいいか?」

 

『うん!』

 

「…それじゃ行くか」

 

そう言って第三層のダンジョンに向かった。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

第三層 ダンジョン第二通路

 

ここまでは問題ないけど……

そう思っていると

 

「陽ちゃん!危ない!」

 

「ん?」

 

はぐみの声に反応して見てみるとトレントの攻撃をくらってしまい、HPバーを見たが何も問題はなかった。

そして、なおトレントの攻撃を受けながら

 

「おーい!コイツら弱いから簡単に倒せるぞー!」

 

そう言うと

 

「ちょ、陽菜さん攻撃されてるされてる!」

 

「いや、全然平気なんだよ」

 

すると有咲とイブが

 

「いやいや!見てるこっちがおかしくなるから!」

 

「早く倒しちゃってくださいハルナさん!」

 

面白いのに……

そう思いながら、未だに攻撃してくるトレントに向かって『体術スキル』の基本『閃打』をトレントの急所に撃ち込むと一瞬でトレントのHPバーは消し飛んだ。

 

「!すげぇ…!」

 

「一瞬…だったね」

 

「ハルナさん!今のどうやったんですか?」

 

「それは奥に進みながら説明するか」

 

そして、ダンジョン奥地

 

やはり、何も問題はなかった。

すると

 

「陽菜さんあったよ、宝箱」

 

蘭にそう言われて前を見ると、そこには金色に輝く宝箱があった。

 

「確かに光ってる。

…入ってみるか」

 

そう言って中に入ろうとすると

 

「!」

 

木のモンスター、トレントが複数出てきた。

 

「うわっ!出やがった!」

 

「陽菜さん、コイツらです。

やっちゃいましょう」

 

「おたえのキャラはどこに行ったよ…」

 

そう言ってから最初に中に入るとボスの雄叫びかと思うほどの警報が鳴り響き、後ろにいたみんなとの間に檻が出現した。

 

「あっ」

 

これトラップか…

そう理解した瞬間に目の前にいたトレントが全て光の粒子となって消え、新たに苔の生えたゴーレムがホップした。

すると後ろから

 

「陽菜さん!早く転移結晶を!」

 

そう言われてポーチから転移結晶取り出して使おうとすると

 

「…ダメだ使えない。

多分、クリスタル無効化エリアだろうな。

本当に今日はついてない…」

 

「ちょっ!落ち込んでる場合っすか!?

早く逃げてください!」

 

「逃げろって言われてもなぁ…ほら、檻がついてるんじゃ逃げれない」

 

そう言って檻を掴んだ。

すると

 

「ゴオオオ!!」

 

ゴーレムは声を上げて攻撃してきたのでそれを避けると檻にあたり、ゴーレムの腕は跳ね返った。

そしてゴーレムのレベルを見てみるとレベルはなんと60だった。

それを友希那達も見たようで

 

「如月、無理はしないで」

 

そう友希那に呼ばれて少し聞きそうになったが

 

「…ごめん友希那、ちょっとだけ無理するけど許してくれ」

 

そう言って最大強化された『クイーンズナイトソード』を手に取り、『レイジスパイク』が最大速度が出るように身体にひねりを入れ、奥まで一気に斬り駆け抜けた。

5体ほど倒したが、片手剣スキル熟練度は1ほどしか上がらなかった。

やっぱりソードスキルじゃダメだな…

そう思い、ソードスキル無しで敵を倒していると、ゴーレムの数がかなり減って、残り2体となった。

すると2体の動きが止まって、地面に吸い込まれるように消えていき、しばらくすると何か出てきた。

 

「えっ…」

 

そして、出てきたのは光沢があり体長は3メートルほどでレベル79のゴーレムだった。

 

「こ、コイツはちょっと面倒かな?」

 

そう言った瞬間にゴーレムのパンチが飛んできた。

速いし、重そうな一撃だな…

そう思っていると

 

「うわっ!!?」

 

敵の第二撃目をモロに受けてしまい、後ろに飛ばされて檻に衝突した。

 

「…地味に面倒だな。

どうするか………あっ」

 

そこである事を思い出し、見ていると

 

「陽菜!前見て前!」

 

そして前を向くとゴーレムが近づいて来ていた。

だが

 

「よしっ!やーっと終わったぁ…。

これ終わったら帰るか」

 

そう呟き、ウィンドウを操作した。

 

「は、陽菜?何してるの?もう敵すぐそこだよっ!」

 

「大丈夫だよ。

『コイツ』を装備すれば」

 

そう言って第9層ボスから愛用して使い続けていた『クイーンズナイトソード』をしまい、新たに黒い刀身で光沢がある剣を装備した。

 

「頼んだぞ『エリュシデータ』」

 

剣にそう呟いてから、一歩進んで二歩でゴーレムの懐まで一瞬で距離を詰め、斬り上げてから後ろに回り込みソードスキル『ホリゾンタルスクエア』で四肢を斬り周囲に青色に光るの正方形を描いた。

最後に剣を黄色に輝かせ、放つと同時にジェットエンジンのような音を立てて、ゴーレムの身体を貫いた。

そして、ゴーレムが結晶のかけらとなった瞬間に檻が開き、剣を直すと

 

「ハルナさんっ!」

 

「イブ!急に抱きつくのやめてくれっ!」

 

「陽菜すごーい!あんなの倒しちゃうなんて!

敵のHP見えなかったのに!」

 

「それは多分、敵のレベルが高すぎて見えなかったんだろうな。

……それはそうとして、なんで第三層にあんなゴーレムが…」

 

後でアルゴに注意喚起しといてもらうか。

そんな考えを

 

「ああっ!宝箱を開けに来たんだった!」

 

「そうねっ!私達は宝箱を開けるために来たのよ!」

 

香澄とこころの会話で中断された。

そして、香澄とこころが開けに行くと

 

『わあっ!!』

 

そんな声が聞こえて中身が気になり

 

「何があったんだ?」

 

そう聞くと

 

「これ見て!」

 

そう言って香澄に見せつけられたのは

 

「指輪?」

 

すると

 

「わぁー…綺麗…!」

 

「これって、何の宝石なんだ?」

 

巴がそう言い、俺も考えてみたが、全くわからなかった。

 

「うーん…ダイヤモンドにしてはやけに透明感がない気が…」

 

「でも…他の宝石とも違うような感じですよね…」

 

『う〜ん…』

 

全員が悩んでいると

 

「あっ!そんなに悩まなくても詳細を見ればわかるじゃんっ♪」

 

「確かに」

 

「じゃあ早速見てみようよ」

 

蘭がそう言い、詳細ボタンを押すと

 

『ジュエリーボックスの指輪』

 

とだけ書かれていた。

それを見て

 

「ん?なんか効果付きとかじゃないのか?」

 

そう言うと

 

『はぁ〜』

 

一部に批判を受けた。

するとつぐみやイブ達に

 

「もー!陽菜さんってば、いつもそういう事ばかり!」

 

「全くです!ハルナさんは乙女心という物をわかっていません!」

 

「はは、陽菜はまだまだ、だね。

この指輪はこんなに儚いというのに」

 

「あはは、陽菜さんって、本当にそういうのは弱いですよね〜」

 

「陽菜〜?今のはダメだよ?」

 

……確かに、効果付きを最初から期待してるなんてのはダメだな。

 

「……すみません」

 

そう言うと

 

「ふっふーん、わかればよろしい」

 

「なんで、得意げなの?」

 

モカと蘭のやり取りを見ていると

 

「それじゃあ!陽菜にこの指輪をプレゼントするわ!」

 

こころの考えがわからず

 

「欲しかったんじゃないのか?」

 

「私はこの宝箱の中身が気になっただけよ!

それに今回1番頑張ってくれたのは陽菜だから、これをプレゼントするわ!」

 

そう言って指輪を手のひらに置かれた。

 

「あ、ありがとう…」

 

そう言うと

 

「そうだっ!この指輪、私が陽菜につけましょうっ!」

 

『ええ!?』

 

「気持ちだけで結構です」

 

「そう?それは残念ね。

でも、まぁいいわ!みんなで大きな木の中に泊まりに行きましょう!」

 

「おおー!」

 

香澄が返事をして、そのまま第三層の主街区に向かった。




お気に入りを見た時の反応はすごいよ…
反応→アババババババババババババ!?
さてやりまっせ

黒夜様 関飛様
taihou01様 黒野舞亜様 lunar913様
夜刀神超燃え萌え隊様 テスアクエリポカ様 岬サナ様
ヒロキチ様 ブラジロ様 月季様
ー咲良様 勇気ブレイブ様 メルヘム@様
田中さん様 貧弱様 ユダキ様
天駆けるほっしー様 たうそ きさまや様 プリン大福様

ついに…ついに…
20人突破しましたー!!
ありがとうございます!
それと今後のお気に入り表示は上の2名以外、書かない事とします。
実は、最初は10人でくぎろうと思ってたのですが、やっぱり期間が短い気がしたので、20人に伸ばしました。
本当に勝手ですが、ご了承の程よろしくお願いします。

では、また後編で

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