退屈な日々を忘れたい俺がなぜバンドの手伝いをしているんだ......   作:haru亜

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第8話 ユニークスキル

第74層 迷宮区

 

「イヴちゃんスイッチ!」

 

「はい!」

 

返事と同時にイヴの刀が薄緑に発光し、上下に素早く斬ってからリザードマンのクリティカルポイントの心臓を的確に貫き、モンスターは雄叫びを上げた後、結晶のかけらになった。

 

「やりました!」

 

「イヴちゃんすごいよ!」

 

「ありがとうございます!アヤさんのタイミングが完璧でした!」

 

あの2人は連携がよく取れてる。

彩は後ろにいるイヴの位置を確認する事もなく把握して、そのイブも確実に敵のクリティカルポイントを仕留めてる。

 

というか、いつの間にイブはエクストラスキルを手に入れたんだ?

 

そう思いながら、もう片方のコンビに目を向けた。

 

「日菜!」

 

「任せて!」

 

日菜の片手剣が青白く輝き、骸骨の騎士モンスターに正方形を鮮やかに描いたが、敵のHPが削りきれず、日菜がしゃがみ込んで硬直した所をモンスターは攻撃しようとした。

しかし、それを紗夜が緑に発光する一つの突きで、敵を結晶のかけらに変えた。

 

「お姉ちゃーん!」

 

「日菜!急に抱きつかないで、敵は後1匹いるのよ」

 

「はーい!」

 

あの2人に関しては完璧すぎる。

スイッチも言わず、意思疎通だけで互いの動きを把握してる。

 

あの姉妹だからこそできる事だな…

 

そんな事を考えていると

 

「ハルナさん後ろ!」

 

「ん?」

 

振り向いて見てみるとそこには先程のリザードマンロードとデモニッシュサーバントがポップしていた。

 

「…あっ、ちょうど試したい事もあったんだ」

 

「何をするんですか?」

 

「まぁまぁ、そこで見ててくれ」

 

そう言うと同時にリザードマンとの距離を4メートル開けた。

するとそれに反応してリザードマンは剣を後ろにし剣をオレンジに発光させて、一瞬で距離を詰めて来た。

 

しかし俺はそれを狙っていたので、手をCの形のまま前に突き出して、敵の武器を指で挟み奪い取った。

体術スキルの一つ『空輪』だ。

 

「…ソードスキル発動してる武器も取れるんだな。

じゃあ、後は頼んだ」

 

確認が終わり、武器を投げ捨ててからみんなに任せようとした。

ところが蘭とモカに

 

「頼んだ、って陽菜さん一回も戦ってないけど…」

 

「それどころか、剣すら抜いてないもんね〜」

 

「いや…戦った事あるから別に戦わなくてもいっかなぁ、って…」

 

「戦ってください」

 

「えっ、だっ」

 

「早く」

 

珍しく蘭が怖い

 

「…わかった、戦うから…」

 

そう言ってからエリュシデータを右手に持ち、先程武器を取ったリザードマンにソードスキル『シャープネイル』を放ち、硬直が起きる前に体術スキル『エンブレイザー』を心臓に撃ち込んだ。

 

[グルあっ!!]

 

その雄叫びとともに空中には獣の爪痕と結晶のかけらを残した。

残りの1匹の骸骨の騎士に目を向けるとすぐ近くに接近しており、剣は青白く輝いていた。

 

そして、1回目の斬撃を左にかわすと流れるように2回目の斬撃がきた。

それをソードスキル『ソニックリープ』で弾き、その反動で体術スキル『弦月』を敵の顔に蹴りを入れてから、一回転し着地した。

 

「…」

 

やっぱり敵の動きが俊敏になってきてるな…

多分、階層を登っていく事にそれは上がっていくんだろう

 

そんな事を考えてから、剣を青白く発光させ、斜めに敵の肩から腹部まで斬り込み、腹の中で剣の刀身を回転させそのまま斬り上げた。

そして、モンスターは結晶のかけらとなり消えていった。

すると目の前にウィンドウが表示され、レベルが91になっていた。

 

「ふぅ……全員片付いたか。

じゃあ、先に進もう」

 

そう言って歩いてからしばらく経った時

 

「!陽菜さん……あれ……!」

 

燐子にそう言われてマップから目を離し前を見ると

 

「あっ、あったなボス部屋」

 

そう呟いてからボス部屋の前まで近づくとマップにボス部屋が表示された。

そして見上げてみて

 

「やっぱり覗くか」

 

「ええ!?陽菜くん危ないし、見ない方が…」

 

「ボスの姿くらい見とかないと攻略法が見つからない。

それに覗くだけだから」

 

「それなら大丈夫だと思うけど……」

 

「まぁ、とりあえず全員転移結晶の用意をしてくれ」

 

そう言ってから扉を開けようとすると

 

「ああっ!」

 

「?どうしたあこ」

 

「転移結晶買うの忘れてた!」

 

「マジか……」

 

覗くだけ、だけどもしもの事があったら大変か…

 

「これあげるから、危なくなったらそれ使って逃げてくれ」

 

「えっ?でも、陽兄ぃの分が…」

 

「大丈夫だって、見るだけだから」

 

「本当?」

 

心配そうに見てくるあこに

 

「本当だから、そんな心配しなくてもいい」

 

「わかった…ありがとう陽兄ぃ!」

 

「ああ」

 

そう短く返した後、灰色で不気味な彫刻が施された大扉に手を添えて、ほんの少し力を入れた。

すると重々しい大扉はギギギと音を立てて開いていき、真っ暗闇の部屋を見つめている中、完全に開いた音でズシンという衝撃とともに止まった。

しかし

 

「何も見えないな…」

 

そう言って奥に進んでいった。

すると

ボボボボ…という連続音を鳴らして真っ暗だった部屋の中が青白い炎によって照らされてよく見えた。

そして、その部屋のボスも

 

「なっ…!?」

 

目の前にそびえ立ち見えたのは、青い眼、青い肌、山羊の頭、筋肉に包まれた体格、これはまるで

 

「…悪魔…」

 

誰かそう呟き、後ろを振り返ると燐子が中に入ってきていた。

 

しまった、外で待っておくように言うのを忘れてた!

 

「!燐子!中に入ってくるな!」

 

しかし、俺が中に入った時点で俺はボスにタゲをとられていた。

その事に気づいてすぐに前を見たがもう遅く、ボスの大剣、斬馬刀が振られていた。

 

「っ!?」

 

ギリギリの所で剣で受け止めたが、ボスの筋力だけでそのままボス部屋の外まで吹き飛ばされて、地に身体を何回かぶつけながらそのまま寝そべってしまった。

HPバーを見ると2割ほど減っていた。

 

「っ……」

 

ゆっくりと身体を起こし、剣を拾って鞘に納めた。

すると

 

「陽菜さん……!……大丈夫ですか…?」

 

ボス部屋から数メートル離れた所に燐子が駆け寄って来た。

 

「大丈夫だ…。

ただあのモンスターは厄介だな…」

 

「ごめんなさい…わたしが勝手に中に入ったから…」

 

「いや、俺が中に入るなって言ってなかったからな。

俺の責任だ。

それより、一旦近くのセーフティーゾーンに戻るか」

 

「はい…」

 

そしてみんなを呼んでからセーフティーゾーンに戻った。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

セーフティーゾーン

 

みんな座りながら、少し休憩をとっていると向こうから誰かが来た。

 

「ん?あれって…」

 

俺が確かめようとするとリサはすぐに気づいたらしく

 

「おーい!

アスナとキリトじゃん♪」

 

「リサ!久しぶり!

50層以来ボス攻略に来てなかったから心配したよー!」

 

「あはは☆ごめんごめん。

でも、次からはちゃんと攻略して行くよ♪

それで、こんな所でどうしたの?」

 

「うん。

今ね、この人と一緒にボス部屋を探してるんだ。

リサ達はどうしたの?」

 

「アタシ達もボス部屋を探してたんだ〜♪」

 

「えっ!?そうなの!?

なんだ〜じゃあリサ達と一緒に行けば良かった…。

それで、どうだった?ボス部屋見つかった?」

 

「うんっ♪さっき見つけて今休憩してる所なんだ」

 

「ホント!?ここって迷宮区の中でも迷いやすいからすごいね!」

 

そんな会話を横目に聞いていると

 

「よっ、元気そうでなによりだな」

 

「キリトも、久しぶりにあったけど相変わらず黒ずくめだな」

 

「そういう陽菜こそ、若干黒ずくめじゃないか」

 

「いやいや、ちゃんと他の色もあるって……多分…」

 

「それより、ボス部屋見つかったんだって?」

 

「ああ、ボスの見た目は、悪魔みたいで武器は斬馬刀?って大剣だけだったけど、多分特殊攻撃あるだろうな」

 

「そうか…。

となると、前衛に堅いタンクを設置してどんどんスイッチして行く感じになるか……盾持ちが10人は欲しいな」

 

「そういえばキリトって盾持ってないけど、やっぱり盾は遮蔽物になるから持ってないのか?」

 

そう聞くとキリトは慌てたような感じで

 

「あ、ああ!そうなんだ!

それに盾持ってたらこのエリュシデータを上手く扱えないからな」

 

「まぁ、見た目より結構重たいからな。

今じゃ、筋力パラメータが足りて前の剣と一緒くらいだけど…。

そうだ、キリトもボス見に行ってきたらどうだ?」

 

「いや…いいよ。

陽菜達が見に行ったのなら、その情報でいいと思うし、足りなかったらたまにボスに何回かちょっかいかけて様子見だろうから」

 

「そう」

 

そうか、と言おうとすると誰かがセーフティーゾーンに入ってきた。

急いで見るとそこには

 

「いや〜疲れた疲れた…ってキリトと陽菜じゃねぇか!」

 

「「なんだ、クラインかよ」」

 

「相変わらず冷てぇな2人とも…って!?」

 

クラインが何かキリトの方を見て驚いていた。

すると

 

「そ、ソロのおめぇがなんで女性プレイヤーと…」

 

そして、どこかで見たような感じで硬直した。

それにキリトが、ラグってんのか?と聞いた瞬間

 

「こ、こんにちは!く、くく、クライン!24歳独」

 

どこかで聞いた事があるセリフを言い終わる前に、キリトは腹に1発入れ後ろに飛ばした。

 

ていうか、クラインいつ誕生日過ぎたんだろ…

 

そんな事を考えていると向こうからかなりの人数が向かってきた。

そして、それは

 

「《軍》…」

 

それはあまりいい評価は聞かない《軍》と呼ばれるギルドだった。

第一層に住みついており、犯罪プレイヤーを取り締まって助かっている面もあるが、狩場を長時間も独占する迷惑行為もしている。

そしてその中に1人見覚えのある顔があった。

 

「ほんならここで休憩や、全員休んどけ」

 

そう言って自分の部下を休憩させるキバオウの姿が見えた。

するとこちらに近づいてきて

 

「覚えてる奴もおると思うが、一応名乗っとくわ。

ワイはキバオウってもんや、アインクラッド解放軍に所属してる」

 

「……」

 

黙って見ているとキバオウはこちらを見て

 

「…どっかの殺人鬼がおるみたいやけど、まぁええわ。

あんたら、この先もマッピングしてんのか?」

 

《殺人鬼》と称される人物はこの中で俺の知る限り俺だけだろう。

そんな事は1年間言われすぎて最近じゃあまり聞かなくなったが、久しぶりに聞いて少し戸惑った俺がいた。

そしてその質問に

 

「…ああ、一応ボス部屋まで」

 

「そうか、ほんならそのマッピングデータこっちに渡してもらおうか」

 

当然だ、と言う風に言ってきた。

この男、キバオウは視野が狭い上に図々しい事ははっきり言う。

すると後ろにいた蘭が

 

「ちょっと待って。

あたし達が苦労して手に入れたマッピングデータをなんで渡さないといけないの」

 

「ワイらがやってんのは、こんクソゲームをクリアする為にやってる事や。

どこの誰かも知らんお前さんが口出すなや」

 

「だからって、人の苦労を無駄にするような事、許」

 

「蘭、落ち着いて」

 

そう言って蘭の前に手を出し止めた。

 

蘭が落ち着かない事になると、この男が面倒だ。

きっと煽ってくる。

 

そう思っていると更に誰か来た。

 

「!あれは…!」

 

「…《聖龍連合》…か」

 

ややこしい事になりそうだ。

 

キバオウと聖龍連合のリーダーはかなり仲が悪いので、そのリーダーがいない事を願った。

しかし、そんな願いは叶わなかった。

 

「全員休めー!!」

 

その声とともにこちらに近づいて来たのは

 

「俺はリンドと言うものだが…ちっ、なんだ?第一層に住みついて離れない奴がこんな所で何してる」

 

リンド…ディアベルの意思を継ぐと言っておきながら、作り上げたギルド《聖龍連合》は命を奪わないがレアアイテムを手に入れる為なら何でもする、という中々最悪な連中だ。

そして先の挑発に

 

「ああん!?そう言うお前らこそ、ちまちまとレアアイテム盗む為にわざわざ人を瀕死状態にしてるやろうが!!

それでディアベルはんの意思を継いでるつもりなんやったらやめたらどうか?」

 

「はぁ!?お前らこそ、ちまちまと狩場を独占してるだろうが!!」

 

面倒くさいなぁ

 

そう思っていると

 

「話を戻すが、おいそこの殺人鬼。

さっきの話を聞く限り、お前らはこの先もマッピングデータを取ってるらしいな」

 

俺が過去に起こした事を知ってるのはこの場にいる5バンドとキリト達、そしてこの仲が悪い2人だけだ。

そしてその質問に

 

「…あんたもそれが欲しい、と?」

 

「ああ、そうだ」

 

「はぁ…」

 

一つため息をついた後

 

「あんたら、いざ最前線に立つと自分達の方が優位に立ってると勘違いしてるんじゃないか?」

 

「!なんや…ワイらに先に攻略されんのがそないにいやか!?」

 

すると後ろにいた友希那が

 

「その前に、どうしてあなた達にマップデータを渡さないといけないのか答えて」

 

「そんなん決まってるやろ!

コイツらよりも早く攻略したいからや!」

 

そう言って隣にいたリンドに指をさした。

すると

 

「俺たちだってこんな奴らに先を越されたくない!」

 

それらを聞いて友希那は

 

「…そんな自分勝手な考えで、仲間の事を考えているの?」

 

「っ……そんなん考えてるに決まってるやろ!」

 

「大体演奏隊のあんたにそんな事を言われる筋合いはない!」

 

「演奏隊かどうかは置いといて。

あなた達じゃ、この先のボスも倒せないわ」

 

「っ!……なんやおんどれ…さっきからえらっそうに…!」

 

そう言うとキバオウとリンドは自分の剣を抜いた。

 

「あんま調子乗った事言ってんちゃうぞ…」

 

そのセリフを聞いて

 

「はぁ……お前ら、第二層の時に起きた事を忘れたのか…。

あの場を収められなかったお前らが協力してボスを倒せるわけがないだろ」

 

「「ああ!!?」」

 

「それに…」

 

2人を少し睨みつけてから

 

「剣先をこちらに向けた、という事はもちろんそれ相応の覚悟があるんだよな?」

 

「っ!…ワイやてオレンジは嫌やからな。

今回は引いたる」

 

「……ちっ」

 

2人が剣を納めたのを確認した。

そして

 

「……今回だけだ」

 

そう言ってマップデータを渡した。

 

「!…どういう風の吹きまわしや…」

 

「気にするな」

 

「…さよか」

 

そう言ってから向かおうしていたが、二つのパーティを見て気づいた。

 

「!待て!演奏隊を連れてないのか!?」

 

「演奏なんか聞いとったらボス戦に集中出来んからな。

ほな、行くぞお前ら!」

 

「俺たちも出発する!アイツらに先を越されるぞ!」

 

そう言ってキバオウとリンドは行ってしまった。

すると

 

「陽菜さん!いくらなんでも優しすぎます!」

 

「いいんだよ。

それに、もしかしたら途中の道でモンスターに足止めくらってるかも知れないから。

とりあえず俺達も行くか」

 

そう言ってキリト達と進んで行った。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

モンスターの集団に数回出会ったが、なんの問題もなく進んでいた。

しかし

 

「うわあぁぁああ!!!!」

 

『!!』

 

確かにそれはモンスターではない、人の悲鳴だった。

そしてそれを聞いてキリトとアスナは一瞬で走り去って行き、それについて行こうとして、すぐにキリト達の後を追った。

しばらくして、キリト達の姿が見え、その奥のボス部屋も見えた。

そしてその中の光景は地獄絵図だった。

 

「何……これ……!」

 

彩がそう呟くとキリトの隣にいたアスナが

 

「ダメよ……もう……」

 

「アスナ…!?」

 

キリトが気づいて名前を呼んだが

 

「ダメーー!!!」

 

しかし、遅かった。

叫び声と同時にアスナは鞘から剣を抜き、ボスに向かっていった。

 

「アスナ!!」

 

キリトがそう叫ぶと同時にクラインが

 

「な、なんだ、これ…おい!早く転移結晶を使え!!」

 

するとHPが赤色に陥っていたキバオウが

 

「あかん!ここはクリスタルが使われへんようになっとる!!」

 

それを聞いたクラインが

 

「!クソっ!どうとでもなりやがれ!」

 

そう言ってクラインも助けに向かって行った。

向こうでは、アスナが剣を薄緑に発光させ、軍の1人を狙っていたボスの背中にソードスキル『カドラプルペイン』を撃ち込んだ。

しかし、ボスのHPバーは4本のうち1本の1割ほどしか削れていなかった。

そして、怒ったかのような表情を見せて、ボスは振り返りざまに斬馬刀をアスナに振り切り、アスナはそれをギリギリの所で避けたが、すぐに次の攻撃でボス部屋近くまで吹き飛ばされた。

そしてキリトが1人でボスと交戦していた。

 

「っ!『演奏スキル』頼んだ!

演奏隊以外は生き残りを安全圏まで、クリスタルが使えない事を忘れるなよ!」

 

「わかった!

陽菜はどうするの?」

 

「引きつける!」

 

そう言い残し、ボスの斬馬刀に捕らえられたキリトの横を走ってボスの横腹を斬り裂き、こちらを向かれる前にソードスキル『ヴォーパルストライク』で背中を削るように放った。

 

「陽菜!下がれ!」

 

「キリトが下がれ!お前のHPバー半分切るぞ!」

 

「っ!」

 

「俺が時間を稼ぐからどうにかしろ!」

 

「!!…わかった!10秒だけ時間を稼いでくれ!!」

 

「ああ!!」

 

そして、ボスのこちらにヘイトが溜まり、ボスとの交戦が始まった。

 

「っ!!」

 

水平斬りを後ろに飛び避け、上段斬りを『ソニックリープ』で弾き、次の殴りの追撃を体術スキル『閃打』をブースト最大で発動させ相殺し、同時によろめいた後、突き刺し攻撃を剣で軌道を逸らし地面に突き立て、相手の斬り上げ攻撃を避けてから次の上段斬りを『レイジスパイク』で弾いた。

そして

 

「スイッチ!!」

 

その声とともに俺とキリトはすれ違いざまにスイッチをした。

するとキリトの背中にもう一つの白い長剣が現れた。

そしてキリトは、もう1本の剣を抜きざまに一撃をボスの胴に入れた。

 

[グオオオオオオ!!!]

 

ボスは叫ぶと同時に、上段斬りを放ってきた。

しかし、それをキリトは剣を交差し確実に受け止めた瞬間、押し返した。

 

「うおおおおおあああ!!」

 

キリトは叫びながら、二本の剣を青白く発光させ、剣撃のラッシュを間を空けずにボスの身体に叩き込んでいった。

その間にも、ボスは怯まず斬馬刀を振ってキリトのHPをジリジリと減らしていっている。

そして…

 

「……ぁぁぁぁああああ!!!!」

 

そんな絶叫とともにキリトは左手に持っている剣をボスの身体の中央を貫いた。

 

[ゴアアアアアアアアアア!!!]

 

ボスは雄叫びを上げて硬直した。

そして、部屋中にキラキラと輝いた結晶のかけらが舞った。

するとキリトは剣をゆっくりと鞘に納めると同時に力が抜けたように倒れ込んだ。

 

「!キリト君!!」

 

そう言ってアスナはキリトに駆け寄って行った。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

数分後

 

「キリト君!キリト君ってば!!」

 

アスナが呼びかけてしばらく経つと

 

「いててて……」

 

そう言って起き上がるキリトにアスナが回復瓶のハイ・ポーションを口に入れ込み、飲み干したと同時に抱きついた。

そしてその2人を見ながら、報告をした。

 

「キリト、軍が生き残ったのは1人、聖龍連合は全滅。

おそらく過去最悪の死亡人数だ」

 

「……そうか。

ボス攻略で犠牲者が出たのは、確か67層以来だな…」

 

するとクラインが

 

「こんなのが攻略って言えるかよ……キバオウとリンドの馬鹿野郎が……死んじまったら何にもなんねぇだろうが……」

 

苦しそうに言ってから首を左右に振って、気分を切り替えるようにキリトに質問した。

 

「そりゃそうと、オメェ何だよさっきのは!?」

 

すると口ごもるようにしてからキリトが

 

「……言わなきゃダメか?」

 

「ったりめぇだ!見たことねぇぞあんなの!」

 

「……そこにいる君や団長と一緒だ。

ユニークスキル『二刀流』だよ」

 

友希那はピクッと反応した。

そして

 

「友希那ってユニークスキル持ってたのか!?」

 

『ええ!?』

 

「えっ…」

 

「あっ!そういえば、陽兄ぃがいない時に友希那さんがユニークスキルの『歌姫』使ったんだっけ?」

 

「待てあこ!それいつの話だ!?」

 

「えーっと50層で陽兄ぃが来る前だよっ!

それに最近その話をしたのは…昨日の女子会の時!」

 

「じょ、女子会はせこいだろ!!」

 

「せこくないよっ!」

 

「陽菜さんはユニークスキル持ってないんすか?」

 

「持ってないよ。

てか、なんでキリトはそれを隠してたんだ?」

 

するとその質問にクラインが

 

「そりゃあ…この世界でそんな事を言ったら嫉妬するネットゲーマーが多いからなぁ」

 

「なるほどな……」

 

「まぁ、そこにいる友希那さんはピッタリだから何も言われないと思うけどな」

 

「そうだな…」

 

『歌姫』か……確かにピッタリだな。

 

「…とりあえず、キリトは少しここで休んどけ。

上のアクティベートはクラインに任せる」

 

「……陽菜は行かないのか?」

 

「ああ、俺はな。

この子達は先に上がってもらうけど」

 

「そうか…じゃあ、休ませてもらうよ。

倦怠感がすごいからな」

 

「ああ」

 

そう言ってからみんなとボス部屋の外に出た。

何かクラインが言っているみたいだったが気にせず進んで行った。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ボス部屋前

 

「それで陽菜さん。

どうして私達だけが先に行かないとダメなんですか?」

 

その沙綾の質問に

 

「ああ、ちょっと用事がな。

別にここで済ましてもいいんだけど…」

 

そう言うと蘭が

 

「ならここで済ませてください」

 

「……じゃあ、気をつけてくれよ」

 

『?』

 

そう言ってから剣を抜いた。

 

「は、陽菜!?」

 

「どうしたんですか!?」

 

薫と美咲が驚いていたが気にせず、青白い光に照らされてる一見何もない道の端を斬りつけた。

するとそこには

 

「はワワ……」

 

アルゴの姿があった。

 

「なんだアルゴだったのか」

 

「い、いきなり斬りつけるなヨ!

死ぬかと思ったゾ…」

 

「いや、2ヶ月も尾行されてたらそれは斬るだろ。

レッドやオレンジだったら大変だし」

 

「気づいてたのカ」

 

「まぁ、気づいたのは湖にいた時だけどな。

それで?なんで尾行してた」

 

「陽坊、ちょっと来てくレ」

 

「?」

 

するとみんなから数メートル離れた所で

 

「これはオレっちの予想なんだけド、友希っちが持ってるあのユニークスキル『歌姫』は何かデメリットがあるんじゃないのカ?」

 

「えっ?」

 

「さっきキー坊の二刀流、あれは攻撃をしている時に防御力がほとんどなくなる超攻撃型ダ。

それがあれの弱点とも言えるだろウ。

そこデ、友希っちのユニークスキルはどうダ?」

 

「どうだ…と言われてもな。

見た事ないからわからない」

 

「おそらくそれもなんらかの間接的なデメリットかシステム的デメリットがあるはずダ。

探しておいてくレ」

 

「…わかった。

でも、なんで尾行してたんだ?」

 

するとアルゴにニヤッと反応されてから

 

「いヤ〜、たまに陽坊、友希っちを目で追ってるかラ。

陽坊は友希っちの事好きなんじゃないのかナ〜って」

 

その質問に少し考えてから

 

「好き、というより、心配なんだろうな」

 

「心配?」

 

「ああ、あの子にはどっか心配させられるから。

1人で空回りして、周りと離れて行ってしまう。

だから、心配なんだよ」

 

「…ふ〜ン。

ま、いい情報どうモ」

 

「上に行くのか?」

 

「あア、上に行って早く新しい情報を集めたいからナ。

先に上がるヨ」

 

「そうか…じゃあな」

 

そしてアルゴは手だけを振って先に進んで行った。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

第75層 主街区

 

あれから3日後。

いざ平和な生活に戻れると思っていた。

ところが

 

「陽菜くーん!!」

 

名前を呼ばれて振り返ると彩が駆け寄って来た。

 

「どうした?」

 

息切れしてる彩にそう聞くと

 

「た、大変だよ!!こ、この前ボス戦にいた黒ずくめの男の人が最強って言われてるギルドのボスと戦うんだって!!」

 

ボスって……

 

内心そう思いながら平和に暮らしたい俺は

 

「そうか」

 

ただ一言だけ返した。

すると

 

「そうか、じゃないよっ!!

早くこっちに来て!」

 

「あっ、ちょっ!!」

 

彩は俺の服を掴んで走った。

 

普通は手を引っ張って行くんじゃないんですか?

 

とはとても言えなかった。

そして進み続ける彩が止まると

 

「おお…でかいな」

 

コロシアムを見上げて安い感想を言った後に彩が

 

「こっちだよ!」

 

そう言ってまた引っ張って行った。

すると裏ルートみたいな所を通り始めた。

 

「お、おい!ここ入って大丈夫か?」

 

「大丈夫だよ、アスナさんに許可もらってるから」

 

「…なら大丈夫か。

にしても結構暗いなここ」

 

そう言うとそれに反応したかのように彩が立ち止まり

 

「そ、そうだね…」

 

「?」

 

「……陽菜くん、ちょっと前に行ってもらっていい?」

 

「えっ?いや俺道知らないけ」

 

「い、いいから!

後ろから教えてあげるから!」

 

「…何も遮らなくてもいいだろ…」

 

そしてしばらく歩いていると光が見えた。

すると彩は

 

「外だ!」

 

ダッシュで光の方へと向かって行った。

 

「置いてかれた……」

 

そう呟きながら、外に出た。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「で、なんだこれは」

 

コロシアムの中央では2人のユニークスキル持ちが立っていた。

そして観客の声がうるさい中聞いた。

 

「んー…アタシもよくわかんないんだけど。

キリトが血盟騎士団の団長と何か約束をして、それの為に戦うんだってさ」

 

リサが答えてくれた。

 

「へぇ…まぁ、面白そうだし、見て行くか」

 

そして、表示されているデュエルのカウントがゼロになった。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

数分後

 

両者HPが黄色に陥る寸前にもかかわらず、一歩も譲らない戦いだった。

戦いは長く続くと思ったが、団長の反撃が少なくなった時、キリトがこの前のボス戦の時に見せたソードスキルを発動させ、団長に猛攻撃を撃ち込んでいく。

 

そして、団長の体勢が崩れ、キリトがそのまま団長に上段斬りでの一撃を入れた。

いや、入れるはずだった。

 

「っ!!」

 

団長の盾は確かに体勢が崩れた時にはキリトの剣と自分自身の身体の間にはなく、防御範囲外の右にあった。

しかし、盾はまるで瞬間移動をしたかのように、キリトと団長の間に移動した。

 

そして、上段斬りを弾いた団長はソードスキル発動後の硬直を狙い、的確にクリティカルポイントを刺した。

キリトのHPバーは5割を切り、デュエルは団長の勝利となった。

すると

 

「今のすごい速かったわね!どうやって動いたのかしら?」

 

「いやいや…あれは速すぎるでしょ…」

 

「確かに〜、めっちゃ速かったね〜」

 

「あれって、両方人間なの?」

 

「速すぎて見えなかったな…。

…ユニークスキルの補正、とはいかないか」

 

そう言うと千聖が

 

「ええ。

あんなに速かったら、今頃75層なんかいない…と思うわ」

 

「……そうだな」

 

そして、疑問を抱きながらもそのままコロシアムを出た。




では!張り切って行きましょう!

アーペ様 Bacon0112様 瑠璃ぃぃぃ様
黒夜様 関飛様

またまたお気に入りありがとうございます!
では、前回言ったこちらの方も

夜刀様超燃え萌え隊様
テスアクエリポカ様
岬サナ様
月季様
勇気ブレイブ様
天駆けるほっしー様

この方達の小説を皆さんも是非読んでみてください!

ドラゴンボールやリリカルなのは。
フェイトやバンドリ、アカメが斬る。
緋弾のアリア、ハイスクールD×D
中にはオリジナルがありました。

可愛い物があったり、カッコイイ作品など色々ありました!
本当にありがとうございました!(?


オマケ
なんでそんなに書くの上手いんですか?
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