退屈な日々を忘れたい俺がなぜバンドの手伝いをしているんだ......   作:haru亜

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今回いつもよりすごい短いです






第14話 無限の槍と一の剣 神と敗者

「ユニークスキル…『剣聖』…!!」

 

今、このスキルを発動させた時点で、俺の死へと続く明確なタイムリミットが始まった。

 

制限時間は3分。

この間にこの男を

 

「……倒す……!!」

 

「では、私も全身全霊と言ったからには武器を変えさせてもらおう」

 

そう言うとヒースクリフの持っていた剣と盾が消え、両手には黒い槍に赤い線が入っている2つの長槍が装備されていた。

だが、変わった事を気にしても今更仕方がない。

と考え、ずばんっ!!という地を蹴る音を鳴らし、ヒースクリフの背後に風を斬る音と共に一撃を入れた。

 

「っ!」

 

しかし、ヒースクリフは二つの槍を背中で交差させ防いだ。

それを見て右脇腹に力を込めてソードスキル『ホリゾンタル』に突きの『修正』を行い一撃を放った。

 

ガァァァァン!!!

 

轟音がして、またしても槍で防がれたが、少し留まった後ヒースクリフは吹き飛びレンガの壁に穴を開けた。

するとガラガラ、とレンガをどける音をたてながらヒースクリフは

 

「さすがだ。

最初の一撃、背後に回られた時は君の姿が見えなかったよ」

 

「そうか」

 

一言そう返した。

そして同時に、一瞬で距離を詰め、青と赤のソードスキルがぶつかり合い激しい轟音と火花、小さな衝撃波。

 

「…フン!!!」

 

ヒースクリフの気合の入った声と共に、2つの槍の先が赤く発光して斜め斬りを撃ち込んでくる。

それを少しでも退かないように地面を力強く踏み足を埋め込んだ。

剣の両端を持って黒い刀身の中心部で受けたと同時に後ろに衝撃が身体を伝って飛んだ。

そしてソードスキルを発動させ硬直したヒースクリフに向かって、カウンターのソードスキルを発動させる判断を下した。

 

「っ!ぜぁぁぁ!!!」

 

その声と共に目の前で交差された長槍を上に斬り上げた。

 

ソードスキル『ヴォーパルストライク』修正対象

突きから斬撃に修正

 

「…修正完了!!!」

 

覇気のある声で、ヒースクリフの頭に向かって重一撃を振り下ろした。

それを硬直が解けた身体を動かして槍を上でクロスガードした。

 

「!…せぁああ!!!」

 

そのまま地面にめり込ませるようにして押し込む。

それを防ぐヒースクリフの足元から背後にかけて地面が割れた。

 

「「っ!!」」

 

互いに隙が出来、互いにそれを理解した瞬間、ソードスキルを発動させた。

そしてその発動が俺の方が一歩早かった。

 

修正対象ソードスキル最上位剣技『ノヴァ・アセンション』

全10連撃を突きに修正

修正完了!

 

「っ!!」

 

この動作を約1秒で終わらせて、紫色の閃光と共にヒースクリフに、10回の突きを穿った。

 

「ぐ…!!!」

 

ディレイが来る前に体術スキル『エンブレイサー』を心臓部に向けて穿ったが、ヒースクリフは槍を離し体術スキル『水月』を腕に放ってきた。

体術スキルを受け合い、お互いのHPバーがイエローゾーンに落ちた。

だが、攻撃を止める事はなく、俺は剣を黄色に発光させ、雷のような速さでヒースクリフに向かって放った。

 

「せぁああ!!!」

 

「!!」

 

しかし、槍が発光すると同時に高速で回転し軌道を逸らされた。

10メートルは離れた時点で振り返ると消えていた。

急いで上を見ると

 

「なっ!!?」

 

ヒースクリフは宙に浮いていた。

そして手を上にかざすと、空を埋め尽くす程の無数の槍が出現した。

 

「これが…私の全力だ。

受け取ってくれたまえ」

 

「その全力を撃ち砕けばいい話だろ」

 

「やってみたまえ」

 

そして無慈悲にも腕を振り下ろした。

それと同時に槍全てが高速でこちらに迫ってきた。

 

「っ!!!」

 

数十の槍を避けると同時に右の壁を走りドームの部屋の中心部に浮くヒースクリフに狙いを定めながら槍を避けて行った。

その後ろで爆発音が聞こえているが、そんな事は気にせず走り続けた。

 

「っ!」

 

一本の槍を掴み即座にそれを投げ返すと、投げた先にもう一本の槍が出現し、粉砕した。

 

!槍が空中で形成されてる。

なら、いくら追撃し槍を破壊しようと無駄

…だったら、全て避け、撃ち落とし、奴の懐に入る!

 

そして全ての槍の軌道、発射速度を視界に入るだけ読み取る。

 

見えた!

 

「……抜ける……!!!」

 

ドームを一周した所で、あらん限りの力を込めてヒースクリフに青黒い閃光をまといながら向かって飛んだ。

槍をエリュシデータで撃ち落とし、槍を蹴って踏み台として上に上がっていくと共にヒースクリフにジリジリと近づいていった。

 

自惚れるな…!!!

例え、俺だけのユニークスキルを持っているとしても、それは所詮システムに管理された物に過ぎない…!

俺の力じゃ、本気を出したこの男に勝てない事はわかってる…

この男が俺に直接このスキルを渡したのは、遠回しに死ねと言っているようなものだ…

だけど……それでも……!

 

「お前という『絶対神』を倒して!!

俺はあの子達の止まった物語を前へ進める!!!」

 

上位ソードスキル『ヴォーパルストライク』を修正対象!

突きから斬撃に修正!

修正完了!

 

「うぉぉおあああ!!!」

 

そしてヒースクリフの頭上に落ちていく中、その雄叫びと共に、ヒースクリフは槍を放って来たが、全てを改変ソードスキルで叩き壊した。

そしてヒースクリフの右肩を斬り落として、足から着地し転がり込んだ。

 

「!…」

 

エリュシデータを見ると最初の綺麗な刀身とは別物のようにボロボロになり刃こぼれしていた。

 

……よくここまで頑張ってくれたな…

 

そう思ってからヒースクリフを見上げた。

先の一撃でもう終わったかと思った。

しかし…

 

「!!」

 

見上げてから見えるのは、ヒースクリフの顔の横には色が入っていない空のHPバーだった。

しかし、HPバーが消えていない。

それは、まだ生きている事を指していた。

すると聖騎士らしからぬボロボロの姿でヒースクリフはこちらを見下ろし

 

「…まさか、ここまでの深傷を負わされるとは思わなかったよ。

しかし、君ももう限界だろう?」

 

そう言うとヒースクリフは指を鳴らし、それと同時に約10本の槍を放ってきた。

 

「ぐっ…!!!?」

 

頼む、持ちこたえてくれ…!!

 

意識がギリギリ追いつく程の速さを出しその全てをエリュシデータで弾いた。

すると最後の一撃を叩き落とした所で

 

バキィィィィィン!!!

 

甲高い金属音と共にエリュシデータは結晶のかけらとなって俺の右手から消えた。

 

「っ……ごめんな…」

 

「君が出しているスピードは本来ならば意識が追いつかないはずだ」

 

「……っ」

 

しまったな……さっきので片をつけないといけなかったんだが…もう飛ぶのは無理か……

 

見上げるとそこにはまたもや無数の槍が空中に生成されていた。

それもさっきより数が多い。

 

「っ……ごめん、みんな…」

 

……さすがに……この囲いを抜くのはキツイな……

 

「では…さらばだ、陽菜君」

 

ああ……もう少しだけ……ほんの少し…力があれば……でも……もう遅いか……

 

諦めたその瞬間、数千の槍が降り注いだ。

 

「っ……っ!!!」

 

爆発音、部屋全体が揺れる程の衝撃。

そして数秒後に壁が崩れ落ちる音。

 

「………陽菜君。

君は、私にとって最大の不確定要素だったよ」

 

そう言いながら男は他に足をつけ、去ろうとした。

すると

 

ドゴォォォォン!!!!

 

パラパラとレンガの破片が落ちてくる中、音源の方へ男は目を向けた。

 

「っ!!!」

 

男が振り返ると青白い光をまとい、右手には折れたはずの剣を持っている敗者の姿があった。

その剣もどこか異質で、本来黒いはずの刀身の剣が、青と紫と色が混ざり剣に反映されかけている。

 

「!!……」

 

男は不敵な笑みを浮かべ、その敗者を見た。

すると一歩、また一歩と敗者は前へと進む。

 

「……次…一撃で、決着を……よう」

 

その敗者の声には所々ノイズが入り聞き取りにくかったが、聖騎士はそれを聞いて、剣を装備した。

 

「……いいだろう」

 

「……」

 

「……」

 

「「っ!!!!」」

 

少し静寂の後、青白い光と赤黒い光の2つがぶつかり混ざり合った。

一瞬で周囲に無数の赤と青紫の斬撃による軌跡を撒き散らし、その後のドーム全体が揺らぐ程の衝撃波、そしてノイズを引き起こし、煙を立たせながら周囲を破壊した。

煙が晴れていくとそこには2人の男が立っていた。

 

「…お、れの……ちだ」

 

ノイズの入った声だが、どこか力強く聞こえた。

そして聖騎士は自身の身体に、左肩から斜めに深く刻まれた1つのライトエフェクトを見下ろして

 

「……ああ……君の勝ちだ」

 

そして、シュワァァという音と共に、2人の男は転移した。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

第75層 ボス部屋

 

転移すると目の前に立っていた伝説の聖騎士が、持っていた剣を落とし、そのアバターを形成していたポリゴンが光と共に弾け飛んだ。

俺は意識が朦朧とし倒れると同時に自分の身体が、かすかに光っている事に気付いた。

 

『剣聖』の効果が切れた…か…

 

すると何か駆け寄ってくる音が聞こえた。

 

「如月っ!!」

 

「!友希…那……!?」

 

麻痺状態になっているはずなのに…どうして…

 

そんな疑問を捨て、俺は目を閉じてずっと自分の中にあった迷いを聞いた。

 

「……友希那…。

俺は……友希那達にとってどういう存在だった……?」

 

「えっ…?」

 

「俺さ……ずっと考えてたんだ……。

友希那だけじゃなく……他のみんなは…俺がいなくても……それぞれやっていけるだけの…力がある……。

だったら……俺は必要ないんじゃないのか…って…ずっと考えてた…」

 

そう言うと震えた手で俺の右頬に触れた。

すると友希那は泣き止んだ子供のように

 

「あなたが…如月がいてくれたから、私達はまた前に進めるわ…!

だから…お願い…死なないで…!!」

 

「そうか…でも……悪い、友希那…。

俺は…奥の手使ったから……な…」

 

そう言うと同時に俺の身体はより一層光を強く、そして濃く放った。

 

「!お願い…待って…如月!!」

 

「…俺の自分勝手な物語は…死んでも絶望しても、なお続くだろう…」

 

「っ!お願い……如月……待って……もうやめて……それ以上は…!」

 

「……なぁ……友希那……。

…俺は……みんなの英雄になれたかな……」

 

「っ!!…陽」

 

「じゃあな…友希那」

 

そして男の身体は彼女の腕の中で弾けて無数の結晶のかけらとなり消えていった。




これの下の方に、如月陽菜が使っているユニークスキル『剣聖』の説明があります!
まぁ、『?』ってなる人がいるかも知れませんが、説明下手なんです許してください!
では!

メッセン様 ziozio様 ハクア хорош o様
KIRAMERO様
飛翔翼刃様 霧雨隼人様 赤い龍ポン酢様
藤恭様 黒き太刀風の二刀流霧夜様 反逆の堕天使ルシファー様
kuronosu127様 九澄大牙様 アーペ様
Bacon0112様 黒夜様 関飛様

お気に入りして頂いた方々!
いつも読んでくださっている方々!
そして感想を書いてくださった方々!
本当にありがとうございます!

感想を見ているとすごいモチベ上がります!
♪( ´▽`)

では、また次回( ̄^ ̄)ゞ

オマケ 説明欄

ユニークスキル『剣聖』
効果
メリット・・・全パラメータ限凸、ソードスキル修正、ソードスキル変換、ソードスキルキャンセル無効

デメリット・・・発動から3分間『剣聖』を使えるが発動終了から30秒後にゲーム内で死亡、発動上限回数1回
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