退屈な日々を忘れたい俺がなぜバンドの手伝いをしているんだ......   作:haru亜

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第20話 全てを賭ける覚悟

駆けると同時に、ボスはすぐさま反応して槍を地面に突き刺し、木の触手を伸ばしてきたが、その鋭い先端を斬り落としながら、ボスに近づいていった。

 

「っ!」

 

ボスに到達すると思うと、足場の地面が巨大な円盤状に切断され、急速に浮上した。

 

「くっ…!」

 

それに反応して、地面から離れた後、修正したソードスキルを使いボスに斬りつけると、見えない壁に阻まれた。

 

「なっ!?」

 

防御壁か…!

 

そして、剣を逆手に持ち、青色に発光させてからボスの肩に狙いを定めて8回斬り裂くと、そのうち5発は見えない壁に阻まれたが、残りの3発が入った後、体術スキル『エンブレイサー』で傷ついた部分を突いた。

 

「!よし…」

 

その一撃でボスのHPは2割程削れるとヴゥン…という音と共に、ボスの背後から白い大樹が出現した。

そして緑の葉から雫が零れ落ち、ボスの頭部にかかると

 

『っ!?』

 

一度、全員が絶望感で攻撃を中断させられた。

 

HP全回復…

 

地面に降り、そう思った次の瞬間

 

「モカ!巴!合わせて!」

 

「は〜い」「ああっ!」

 

3つの人影が、ボスの腕を弾き飛ばした。

するとその中の1人が振り向いて

 

「陽菜さん、あたし達がいるの忘れないでよね」

 

「忘れるわけないだろ。

それより…ボスの攻撃、頼めるか?」

 

「はい、その間に早く倒してくださいよ」

 

「任せろ」

 

そう言い返し、さっきダメージを与えたのは確かだが、おそらくHPが高すぎるのだろう、と考えてクリティカルポイントに設定されている心臓部への、連続攻撃を試みた。

 

「…攻撃当たったら死ぬな」

 

そう判断した瞬間、飛んできたボスの槍を、修正した『スピニングシールド』で弾くと同時に両手で剣を持ち、紫に発光させた。

 

ドゴッ!

 

地を蹴ると地面をえぐる音が聞こえた。

しかし、そんな事は気にせずボスの懐に閃光のような速さで入った。

 

「…せぁ…っ!!」

 

ボスの足元から心臓部まで斬り上げ、剣の刀身を一回転させて、そのまま押し込むと同時に、ボスの内部から光を放つ剣が突き出た。

そして、剣を手放し体術スキルを放ちながら離れた。

 

「スイッチ!」

 

そう叫び落ちていく中、両隣から白と黒の影がボスの顔めがけて紫と青白い光を撃ち込んだ。

するとボスが右目を失い、血を流しているのが見えた。

 

「今!」

 

着地してボスから離れた場所で、その声が聞こえ『クイックチェンジ』を使ってから、剣を青白く発光させ構えた。

 

「避けろよキリト!アスナ!」

 

「ああ!」「うん!」

 

そして、青白く光る剣をボスめがけて、突き出した。

すると青白い光線がボスの身体に向けて一直線に伸びていき、横腹を貫いた。

 

[キュアアアアアアアアアアアアア!!!]

 

初めて雄叫びを上げると同時に、ボスは剣を突き立て黒い大樹を出現させた。

そして、先程と同じように黒い葉から雫が地面に落ちた。

刹那、ボスの周りが見えない何かで吹き飛んだ。

すると赤い装備を見にまとった人影が煙から出てきた。

 

「っ!何アレ、反則でしょ!」

 

「あはは…怒っても仕方ないぞ」

 

「ていうか、陽菜さん。

後何秒くらい動けるの?」

 

「…後1分半ってとこだな。

50秒攻撃してその間に下がるって感じだ」

 

「わかった。

陽菜さんが回復するまで、あたし達で抑えておくから、早く来てよ」

 

「ああ。

でも、抑える必要はないぞ。

ボスのHP残り5本だけど、油断しないようにな」

 

「はい!」

 

半分まで減らせたが、さっきの全方位攻撃は危険だ

蘭のHPを見る限り、蘭達は平気そうだが、他の攻略組が危ない…

 

「…4本まで削る」

 

これを後の約50秒にかける目標にするか…

 

「届くかなぁ…」

 

そう呟くと共にボスの顔へと敏捷値MAXで飛んだ。

ただ地を駆けた程度だが、そのくらいなら飛ぶ事くらいは問題ない。

すると予想通りボスはこちらに攻撃を仕掛けてきたが

 

「任せて陽菜っ!」

 

その声と共にボスの体勢が崩れた。

流石に、ポピパのスピードにはボスも付いて行かなかったようだ。

そして体勢が崩れた所で、ソードスキル修正で『スターバースト・ストリーム』を圧縮に修正し、一線を引くと乱撃がボスの顔を斬り刻んだ。

すると

 

「「おりゃあ!!」」

 

キリトとクラインの声が聞こえるとボスの額に大きなバツ印が刻まれた。

それと同時にボスの体力が残り4本となった。

 

…そろそろ時間が足りなくなってきたか…

 

撤退をしようとするとボスは後ろに距離を取り、白い大樹を出現させた。

 

「陽菜くん!!」

 

彩の声が聞こえると同時に修正したソードスキルを発動させた。

 

「ああ!!」

 

地を駆けると同時に、オリジナルソードスキルをボスの頭部の上に青白く輝く光線を振り放ち、雫を爆発させた。

 

[ギュアアアアアァァァァ…!!]

 

「…間に合った…。

っ…!」

 

安心したのも、つかの間。

『敗者』の効果が切れて、スタンと全パラメータ0の効果が付与された。

 

「っ…しまった…」

 

剣が手から滑り落ち、その場に倒れ込んでしまった。

すると

 

「回収隊!」

 

そんな声が聞こえたと思うと、次の瞬間にはイヴに運ばれていた。

 

「ハルナさんっ!

無理は禁物ですっ」

 

「…わかって」

 

「ませんっ!

…でも…今度はちゃんと守れましたっ」

 

「!…そうだな。

とりあえず…俺は少し休むよ…」

 

「はいっ!」

 

そしてイヴは俺を演奏隊の隣に下ろして、ボスへと立ち向かっていった。

 

「……っはぁ……はぁ……疲れた…」

 

使い終わりはやっぱり慣れないな…

でも、もうちょっとで帰れる…

 

そう思って視界の端に付与された効果の時間を見ると5分だった。

 

「……長いな…」

 

ため息混じりに呟くと

 

「如月、これを」

 

そう言って友希那が差し出したのは解毒ポーションだった。

 

「ありがとう…」

 

そう言って飲んでスタンを解除した。

すると

 

「次、私が歌うから、あなたはすぐに動けるわ」

 

「?……まだ、5分もあるから動けないぞ」

 

「ユニークスキルを使うと言っているの」

 

「!ああ…全ブースト『能力』を付与するのか」

 

ていう事は…99層の時と同じ感じになるか…

 

「……私は…この世界に何も残さずに、全部抱えてあの世界に帰るわ」

 

「?」

 

「だから、誰かに自己犠牲をされてまで、帰りたくなんかないわよ」

 

「…なんでわかるんだ…」

 

「前から言ってるでしょう?

あなたは顔に出やすいって」

 

「あはは…」

 

「…あなたの物語、楽しみにしているわ。

これから、私達を手伝ってくれるのでしょう?」

 

「ああ。

俺も、友希那達の物語を楽しみにしてるよ。

…ていうか、この話は向こうに帰ってからでも良かったんじゃないのか?」

 

「先に言っておきたかったのよ。

それより、早く倒して帰りましょう」

 

「ああ。

まぁ、バックアップ頼んだよ『女神の歌姫』さん」

 

「その呼び方やめて」

 

そして歌姫の演奏が聞こえると同時に全パラメータMAXアップが付いて、前線に向かって敏捷度MAXで地を駆けた。

ボスの大地切断攻撃を利用して、宙に浮かぶ大地を滑りながらボスの6つある宝石の1つを破壊し、ボスはその一撃で残りのHPバーは1本となった。

 

「『敗者』発動」

 

青白い光が身に纏うとボスは目から赤黒い光線を放ち、それに反応して避けるとボスは同じモーションを起こした。

それと同時に剣を発光させ、オリジナルソードスキルを放った。

 

「っ…!!」

 

青い光線と赤黒い光線がぶつかり合い相殺した。

 

「キリト!!」

 

「ああ!!」

 

ボスが揺らいだ所を見逃さなかった。

同時に地を駆けて、ソードスキルを発動させた。

 

ソードスキル修正

『ノヴァ・アセンション』『ジ・イクリプス』連結修正

全斬撃ノヴァ・アセンション、威力修正

修正完了

 

「「せぁ…っ!!」」

 

互いの剣でボスの額に垂直の線を2つ描き、続けて連撃を叩き込んでいった。

ボスのHPバーがぐんぐんと減少していく。

 

「陽菜!終わらせるぞ!!」

 

「ああ!!」

 

そして25、26撃目を降下しながら入れ、地に足が着いた瞬間ボスの顔まで地を蹴り最後27撃目がボスの顔を同時に斬りつけ、4つに割れた。

 

[ギュアアアアアアアアアアアアア…!!!」

 

最後の断末魔が紅玉宮に鳴り響き、膨大な量の結晶のかけらが部屋全体にゆっくりと降り注いだ。

 

「……勝った……のか?」

 

空中に《Congratulations》と表示されているのにも関わらず、キリトの口から漏れるその言葉に

 

「ああ、勝ったんだ。

このデスゲームも、もう終わりだ」

 

「っ…よっしゃあ!!」

 

「ゲーム…クリアだな」

 

そして、剣をしまい、倒れ込みそうな時に

 

「陽菜くんっ!!」

 

「うぐっ…!

日菜…急に抱きつくな、っていつも言ってるだろ」

 

「だってだって!

このゲームクリアしたんだよ!!」

 

「…そうだな。

そろそろ帰れるだろうから」

 

そう言って日菜にログアウトカウントが表示されるウィンドウを見せた。

 

「後15秒で帰れるんだっ!

みんなに話してくるね♪」

 

そう言って日菜はみんなの方に走っていった。

そしてみんなが喜びながら話している姿を見て

 

「……良かった…」

 

シュワァァァ…

 

その音と共に全てが消滅した。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ピッ……ピッ……

 

一定の電子音が小さく聴こえ、目を開ける。

見知らぬ天井、病院の独特な匂い。

 

帰ってきた…

 

そう思ってから起き上がり、違和感であるナーヴギアを頭から取ると、目の前にいた看護師が気づき、慌てた様子で出ていった。

 

「っ…あ……」

 

その言葉を発するだけで喉に痛みが走る。

そして看護師が連れてきた医者に色々聞かれて頷いたりしながら、答えていった。

その後に国務省の人間が来て、その男に色々と聞かれ、長いリハビリ生活が始まった。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

数ヶ月後

 

「ふわぁ…。

あっ…日本史忘れた…」

 

「また忘れたの?

あなた、昨日も科学を忘れていたでしょう」

 

長いリハビリ生活が終わり、俺達はまた普通の生活に戻ろうとしていた。

そして友希那と新しい学校に向かっている最中

 

「…なんか苦手科目だけ、忘れるみたいなんだ…」

 

「それ、無意識にやっているんじゃないかしら…」

 

「あはは、そうかもなぁ」

 

「はぁ…全くあなたという人は…」

 

「そういえば、今日の放課後。

香澄達に呼び出されてるんだよなぁ…」

 

「?どうして、戸山さん達に?」

 

「いや、なんか超緊急事態とかいうメールが届いてさ。

それで、放課後絶対に教室にいてくれ、だと」

 

「そう。

なら、今日の練習には遅れてくるのね?」

 

「そうなるな。

早速Roseliaを手伝おうとしているのに、理想の平穏な日々には程遠い」

 

「……その事で聞きたい事があるのだけれどいいかしら」

 

「?」

 

「あなたに、Roseliaに全てを賭ける覚悟はある?」

 

そう言う彼女の目は、夢を見る真っ直ぐで純粋な目だった。

 

俺はそれに応えたい、その一心で手伝えれば…それだけで

 

「ある。

俺は自分の全てを賭けてRoseliaを手伝おう。

友希那達が夢を叶えるその日まで。

俺はRoseliaを肯定し続ける」

 

「そう。

じゃあ、放課後の集まりは早く終わらす事ね。

如月」

 

「か、香澄達を相手に簡単な事言うなよ…」

 

「それと、私達の夢が叶った後でも手伝ってちょうだい」

 

「…そうだな。

さっきのは言い方が悪かったか。

とりあえず、今日の授業どうやって乗り切るか…」

 

「?どうして?」

 

「いや、日本史の先生、怒ると怖そうだし…」

 

「あなたにも怖いものがあるのね。

知らなかったわ」

 

「人を怖いもの知らずみたいに言うなよ…。

でもなぁ…他の人に借りようにも…」

 

「今日から日本史の授業が開始するもの、無理よ」

 

「……こういう時、他のクラスの人に借りるのが良い選択なんだろうけど…」

 

「如月は誰とも話してないでしょう?」

 

「…話してないというか、俺が話しかけられないだけだ」

 

「それはあなたの目つきの問題ね。

如月の目、警戒し過ぎて周りから恐れられてるわよ…」

 

「そ、そんな事言われてもなぁ…。

俺も周りの奴の目が怖ぇよ

ていうか…学校着いたぞ」

 

大きな門が開かれており、既に数人の生徒が校門を通っていた。

その学校を見上げていると

 

「…前の学校と同じくらいデカイわね」

 

「まぁ、また合併しちゃったからな…」

 

「どうして残念そうなの?」

 

「いや…合併したとなると面倒事が増えたって事だよ…」

 

「?よくわからないわね」

 

「まぁ、今にわかる」

 

そう言ったのは向こうから何かやって来るのが見えたからだ。

そしてそれは、こちらに気づくと綺麗な三つ編みを振りながら走ってきた。

 

「ハルナさーーんっ!!」

 

「そこの現役アイドル止ま」

 

容赦なくイヴに抱きつかれた。

 

「おはようございますっ!

元気にしてましたか?」

 

「してたよ…。

でも、ここは向こうとは違うから、そういう抱きつきは控えてくれ。アイドルなんだから」

 

「すみません…。

でもっ!今日から一緒の学校ですねっ!」

 

「そうだな」

 

そう返すと友希那が

 

「若宮さん、おはよう」

 

「はいっ!おはようございますユキナさん!」

 

友希那が自分から挨拶なんて珍しい…

なんて言ったら怒られそうなので呑み込んだ。

 

「とりあえず、学校入ろう。

今の抱きつきで周りの目が痛い」

 

「ふふっ、ハルナさんは照れ屋ですねっ」

 

「誰のせいだ誰の」

 

「早く行くわよ」

 

そうして新たな物語の幕は上がった。




第2章終了のお知らせです( ͡° ͜ʖ ͡°)
お気に入りありがとうございます♪( ´▽`)

クソワロ太鼓様
シュガー8901様 寝眠様
怪盗N様 カナヘビ様
エロ本様 ダイキ・リハヴァイン提督様
十六夜ユウスケ様

では└(՞ةڼ◔)」
また3章で…
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