退屈な日々を忘れたい俺がなぜバンドの手伝いをしているんだ......   作:haru亜

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いやもうホントーにすいません!!
お気に入り登録してくださってるのに、気づかなくて本当すいません!!言い訳になるかもしれませんが、
誰が見てるのかわかる表の見方がわからなくて
気づけませんでした
本当にすいませんでした。
後、今回かなり長く書いちゃいましたので、読みに飽きたらそれはそれでしかたのない事だと自分自身そう思ってます。

オマケ
私の人格が変わっても不定期更新は変わりません
おk?


第2話 音と才能と俺の過去

時はさかのぼり約5年前

 

俺は昔からいろいろ習って見たがどれも興味を持てず、日々が退屈に感じられた。

 

そんな俺の中学1年の夏休みに入り始めた頃、誰かわからないクラスの人からとある連絡がきた。

 

「なぁ、バンドをしないか?、お前確か音楽の授業の時、歌声かなり良かったよな、才能あるからさ、一緒にやろうぜ」

 

俺の番号どうやって知ったんだ。そう聞くと学校の先生に、と返ってきた。多分仲が良かった先生に聞いたのだろうと思って話を聞いた。

 

どうやら話を聞くと、FUTURE WORLD FES.に出る為のバンドメンバーを集めていたようだ。

 

もちろん最初は断っていたのだが趣味で音楽を聴いていたことからいつしか「こんな曲を歌ってみたい」と思うようになっていた。

 

だから、俺は趣味の音楽を実際にするようになり、そのバンドメンバーにも入った。

 

ちょうどボーカルがいなかったらしく俺はその担当に当てられ、俺を入れた5人のメンバーを集め終わってから活動が始まった。

 

俺を入れたボーカル、ギター、ベース、キーボード、ドラムの5人メンバーだった。

 

みんなで、練習が終わったら反省会などをしてその間違えた部分をひたすら練習をした。

 

時間があれば練習、その時俺はその時間をかなり充実していた。

そしてある日、練習をしている時に、

 

「「「「「!!」」」」」

 

「お、おい!今の、すごいかなり良い音しなかったか!!」

 

1人のドラマーが興奮気味でそういった。

 

「あ、ああ。

今のはおそらく俺たちの技術やコンディションではない。

その瞬間にしか揃い得ない条件下で奏でられる『個々の音』だな」

 

するとキーボードをしているメンバーが

 

「『個々の音』?まぁいいや!とりあえず、その『個々の音』を極めればFUTURE WORLD FESに出られるんじゃねぇか?」

 

「その前に、俺らがそれに出るためのコンテストに受かってからだ、

それに落ちたら、元も子もないだろ?」

 

そう言うと自身満々にキーボードをしている奴から元気な返事が返ってきた。

 

「俺たちにはお前の歌声があるし、俺たちも相当な腕前だからな!大丈夫だ!!」

 

「それ自分で言うのかよ、後そう言う恥ずかしい事言うのヤメロ」

 

すると、ギターを弾いているバンドリーダーがからかうように

 

「お〜?珍しく照れてんじゃねぇか、そんなんで本番大丈夫か〜?」

 

「ほっとけ」

 

そして、ベースをしているメンバーが仕切り直しに

 

「まぁ、何はともあれ、さっきのあの『音』いつでも弾けるように頑張ろうぜ」

 

「「「「おう!」」」」

 

しかしその『個々の音』は俺たち自身弾けてはいたが、その根本的な解明にはいたらなかった。

そして、ある日バンド仲間のベーシストから連絡がきた。

 

「おい如月!いい話だ!この前やったコンテストに受かったから、

今度はあのFUTURE WORLD FESに出場する事になったぞ!!」

 

その連絡を受けた時に嬉しさが心の底から込み上げて来た。

FUTURE WORLD FES.に俺たちで出場出来るまでに成長した事、みんなで何か出来るようになったことが、いつも独りだった俺にはこの上なく嬉しい事だった。

 

「マジか!やったな!!それで時間は?」

 

「ええと、日曜日の14時35分からが俺たちのライブだ、しっかり準備しとけよ如月!」

 

「ああ、お前もな」

 

こんな他愛のない会話をしてその日に向け、練習と準備をした。

俺たちはその大会に向けて完璧に備えた。

 

そして当日俺たちのライブは....

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「クソッ!!なんであの『音』が出たのに優勝できなかったんだ!!」

 

一人のドラムをしているメンバーがそう叫んだ。

するとキーボードをやっていたメンバーが

 

「でも、ギリギリまで頑張ったじゃないか、それに観客も盛り上がってくれたと思うし」

 

そう答えたメンバーに八つ当たりをするように激しい返答が返ってきた。

 

「俺たちの音楽は人を惹きつけるように頑張ったのに誰も真剣に聴いてくれてなかった!!」

 

それを聞いた俺は「何か」が違うと思い言い返した。

 

「でも、観客や審査員達は俺たちが何を頑張ったとか、俺たちの苦労を知らないし、それを伝えきれなかったのは俺たちの力不足だろ」

 

すると1人のベースをしているメンバーが皮肉めいた事を言ってきた。

 

「……お前は歌うの才能があって神童とも呼ばれてるからそういうことを言えんだよ。

俺たちがいくら頑張ってもお前は俺たちを簡単に追い抜いていく、どうやっても追いつけない。

それにあいつの言う通り、俺らが練習で出せたあの『音』もこの大会じゃ意味がなかったしな」

 

「意味がないわけないだろ!?そうだ、もう一度ここに出て、あの『音』を奏でれば次こそは」

 

次こそはいける。そう言いかけた時、被せ気味で答えを返してきた。

 

「そんな確証どこにある、もし次にあったところで、同じ結果なのは目に見える」

 

「っ!」

 

「いいか、みんながみんなお前みたいに才能がある訳じゃないんだ。

あの『音』もお前が出してるんじゃない、みんなで出してるんだ。

……お前は周りを見てきたつもりで、本当は何も見えてなかったんだよ」

 

そしてそのやり取りに絶望したのか、ギターを弾いていたリーダーが

 

「……もういい……こんなんじゃ続けられない…。

…このバンドは解散だ……。

これからはお互い、干渉しないようにしよう。

そしてもう会いに来るな…それでいいよな

陽菜…」

 

「っ!」

 

それから俺は楽屋から出てそのまま家に帰った。

いろんな事を考えながらゆっくりと歩いて、そして何よりも辛かった。

 

何も言い返せなかった事や、ライブが失敗した事ではない。

なによりも辛かったのは

 

初めて出来た仲間を、友達という存在を一瞬で失った事だ。

解散して、これからは干渉しないとも言われたからもう会えない。

 

あんなに楽しく音楽をし、これからも一緒に音楽活動が出来ると思っていた。

 

だが、あいつが言った「お前は周りを見てきたつもりで、何も見えてなかったんだよ」と言う言葉が脳裏から離れない。

 

「.....どこで間違えたんやろな俺.....」

 

こんな思いをするぐらいならもう友達なんてバンドなんて要らない…と思うと同時に

 

もう二度と個々のバンドが流せるあの『音』を聞けないことも悟り、

また独り言と独りの退屈な日々が始まった。

 

すると、どこからか光が入ってきた。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「......久しぶりにこの夢を見たな」

 

自分の頰に涙がつたっていた。

今思えば、あんなものは所詮中学の自分勝手な意地を張った喧嘩だった。

俺は、あの時「何か」が違うと感じた。

 

あれはなんだったろうか、そんな思考とともに涙を拭っていたら1本の着信がきた。

 

「ーーーー♪」

 

びっくりした、朝からこの音楽を聴く事になるとは

と考えながら電話に出た。

すると

 

『もしもし?私よ。

CiRCLEに今から集合出来るかしら?』

 

電話の相手は昨日バンドの手伝いをすると言った湊 友希那だった。

 

「できるけど」

 

「そう、なら13時30分に集合でいいわね」

 

「はぁ、わかった」

 

気の抜けた返事をすると通話が切られた。

マズかったかな、そう思いつつ俺は時計の針が13時ちょうどを指しているのを見てから急いで準備をし、CiRCLEへ向かった。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

俺は急いだので一足先に着き、時間を持て余していた。

するとそこへ参加すると思われるグループが来た。

 

みんな仲良く話しているが、1人だけ孤立していた。

髪が水色に似た色をしており、手にはギターケースを持っていた。

 

それを見ていると、その子と目が合い、一瞬だけだったがなぜか気まずく感じた。

 

それからしばらくして、友希那がきた。

 

「意外と早く来たのね」

 

「まぁ、そういえば友希那。

なんでここで待ち合わせなんだ?」

 

気になって質問した。

 

「今日ここのライブハウスでライブをするの」

 

そういうと、チケットを渡された。

これはいつぞやに渡されたライブのチケットに似たものだった

 

「今日もライブがあるのか」

 

「ここのライブハウスではこうした連続でのライブがあるのよ」

 

「.....そうか」

 

「? どうかした?入るわよ」

 

「....ああ」

 

そう言ってライブハウスの中に入った。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

やはりこの光景を見ると昔を思い出す事が多い。

だからあまり来ないようにしてたのだが、まさか最近になって2度も来ることになるとは思わなかった。

 

でも、今は関係のない事だ。

と思いながらライブの演奏を聴いていた。

 

しかし.....あのバンド、ギターだけ上手くて後はパフォーマンスで誤魔化しているだけか.......

 

隣にいる友希那もそれに気づいたようだ。

すると観客席から名前を叫ぶ声が聞こえてきた。

 

紗夜、サイコーーー!!

 

あの子紗夜って言うのか、そう考えていると、どこからか話し声が聞こえてきた。

 

…!ねぇ、あれってもしかして友希那じゃない?

 

え?あっ!ホント!友希那さんだ。

 

ねぇ!どうする?声かける?

 

やめときなよ、友希那は気難しいって有名なんだから。

 

それに知らないの?友希那は『レベルの合わない人とは話さない』って

 

えっ、なにそれ、たしかに歌がかなり上手いけど、ちょっと酷すぎない?

 

なんだよそれ

そう思い、言い返そうとした。

 

しかし、言い返せなかった。

言い返す言葉が出てこなかった。

 

俺はこの子の何を知ってんだか、ついこの間知り合ったばっかりなのに知ったかをするのは、よそう。

 

そう思い、ライブの演奏に再度目を向けた。

少し隣が気になったが見ないでおいた。

 

この子がどんな反応をして落ち込んでいたとしても、そこに声をかけたとしても、なんの慰めにもならない事ぐらいわかっていたから....

 

そして、少し外に出ると、どこからかバンドメンバー同士で言い争っているのが聞こえた。

 

 

「そうね、私が抜けるから、その方がお互いのためになるわ。

今までありがとう」

 

そう言い終わると彼女はこちらの存在に気づいたらしく、

 

「! ごめんなさい。周りに人がいるのに気がつけませんでした」

 

「バンド解散したの?」

 

友希那さん?突然すぎやしませんかね?

 

「いいえ、私が抜けただけです。

それより、あなた方は?」

 

「ごめんなさい。

私は湊 友希那、それでこっちの彼は如月陽菜よ。

さっきの演奏聴かせてもらったわ」

 

あ、自己紹介するタイミング失った

 

「…そうですか。

ラストの曲 アウトロで油断してしまいコードチェンジが遅れてしまいました。

あんな演奏を聴かせてしまって申し訳ありません」

 

「確かに、ほんの一瞬気にならない程度だが、遅れてたな」

 

口を挟んでから少し考え、続けて話した。

 

「………なぁ、友希那。

この子をバンドに引き入れよう」

 

「「えっ!?」」

 

「いやだって、彼女。

あの気にならない程度の遅れを「ミス」と言った、だとしたらこの子の理想はかなり高いと思う。

それに彼女とならFUTURE WORLD FES.に出れるかもしれないだろ?」

 

「確かに...それもそうね。

この子とならFUTURE WORLD FES.にも出れる」

 

「待ってください。

私はあなた方の実力を知りませんし、音楽に対する思いもどこまで本気なのか音楽に対する覚悟もわかりません。

それにFUTURE WORLD FES.は私も出たいと思っていましたが、それに出場する為のコンテストでさえ、プロ落選が当たり前のものです。

それに出場する為の実力があなた方にあるかどうかもわかりません」

 

「分かっているわ、私はフェスに出る為なら何を捨ててもいいと思ってる。

あなたの音楽に対する覚悟と目指している理想に、自分が負けているとは少しも感じていないわ。

音楽に対する思いが知りたいなら、私は次の次だから、それを聴いてもらえればわかるわ」

 

あれ?あの友希那さん?なんかスイッチ入ってません?

とは聞けなかった。

すると

 

「わかりました。

まずは1度、聴くだけです」

 

「いいわ。

それで十分よ」

 

これは完全にスイッチ入ってんな、そう思いつつ、俺は再びライブハウスの中へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「昨日も見たけど、すごい熱気だな....」

 

「あなたは…あのライブに出ないんですか?」

 

そんな質問をするのは先程の女の子、紗夜と呼ばれてた子だ。

 

「…俺は、あの子の手伝いをしてるだけだからな

ライブにはもう出ない」

 

「もう、ってどういう」

 

何か質問されそうになったが、向こうにいた二人組の女の子達に気づいた。

その2人組は、片方は黒髪ロングで隣の子は少し紫がかったツインテールの髪をしていた。

片方は顔が真っ青になり、もう片方は心配はしているようだが、声が大きいな。

そう思っていると紗夜が

 

「ちょっと、あなた達少し静かに」

 

すると会場の電気が消えてステージが明るくなった。

さっき「りんりん!死んじゃダメだよ〜」と聞こえた気がしたが...

 

そう考えていると、観客席から「わぁ」と聞こえた。

友希那の番のようだ。そして

 

「ーーー♪」

 

「……」

 

......やっぱりすごい、彼女の歌声がこの会場全体に色となって香りとなって広がり、会場がすぐさまに包まれていく。

 

隣の紗夜も目を見開いて驚いていた。

すると、かすかに彼女から声が聞こえてきた。

 

「…本物だわ……やっと、やっと見つけた…」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ライブ後、友希那がきて、

 

「…どうだった?私の歌」

 

「何も...何も言う事はないわ。

あなたの歌は、私が出会ってきたどのボーカリストよりも良かったわ。

……あなた方と組ませてほしい。

そして、FUTURE WORLD FES.に出たい。

それにあなた方となら、私の理想を目指せる」

 

「そう、ならもう、スタジオの予約入れていいかしら?

時間を無駄にしたくないの」

 

「えぇ、同感だわ。

この3人でFUTURE WORLD FES.に万全の状態で挑みましょう」

 

「!?」

 

えっ?今なんて?3人?いやいやいや、冗談じゃない!

 

「いや待て待て!

俺が協力するのはバンド結成までだったよな?

だから俺はFUTURE WORLD FES.には出ない」

 

「そうよ、彼はFUTURE WORLD FES.には出ない。

でも如月、あなたが協力するのはバンド結成までじゃなくて、バンドを結成した後もよ?」

 

「えっマジかよ」

 

「えぇ、本当よ」

 

オー、それは聞いてなかった

すると、紗夜が

 

「……それでは湊さん、ほかに決まっているメンバーは?」

 

「まだよ。

ベースとドラムのリズム隊、そして、このジャンルにおいて重要なキーボード。

これらが集まってから、最高の曲を創り、最高のコンディションで、コンテストに挑む」

 

バンドにとって基本だが、俺にとっては嫌な5つだ。

そう思っていると、紗夜が少し微笑みながら

 

「……本当にあなたとは、いい音楽が作れそう」

 

すると友希那も微笑み

 

「……そうね。

メロディはあなたがさっき聴いたのを私の方で詰めてみるわ」

 

「わかりました、では私は...」

 

そういう会話を聞いているだけで、昔を思い出し、懐かしく感じられる。

すると向こうに2人組の人影が見えた。

 

「?あれは確か ライブが始まる前に騒いでた子じゃ...」

 

「えっ?」

 

「あれは……白金さん?

どうしてここに、あの人もファンなの?

…それより隣にいるあの子…」

 

すると、髪が少し紫がかった子が興奮した様子で

 

「ゆ、ゆ、友希那さんだ!

ど、どうしようりんりん!

ここで待ってたらホントに会えたよ!」

 

「!……あ、あこちゃん………わ、私………もう、家に………か、帰る………!」

 

片方はかなり怯えてるが、大丈夫か?

しかし、それを気にしながらあこと呼ばれてた女の子が話をしてきた。

 

「あ、あの!

友希那さん、バンドを組むってホントですか?」

 

「そうね、その予定よ」

 

「!、あ、あの、あこっ!

ずっと友希那さんのファンでしたっ!

だからお願い、あこもメンバーに入れてっ!」

 

「「えっ!?」」

 

隣の黒髪ロングの子と声が被った、そのせいか、その子はこちらを怯えた目で見てきた。

 

俺なんかしたっけ?

いやそれは置いといて、まずはこっちが優先だな

 

「あこ、世界で2番目に上手いドラマーですっ!

だから…もしも、一緒に組めたら!」

 

「遊びはよそでやって。

私は2番である事を自慢するような人とは組まない。

この後、メロディを詰めるから、行くわよ紗夜」

 

「えぇ」

 

そう言うと2人は行ってしまった。

止める間も無く。

 

そして取り残された俺はジッとこちらを怯えた目で見られているので、早々に立ち去ろうとした。

 

けれど、怯えている子の手が垣間見えた。

少し気になって

 

「なぁ」

 

そう声をかけると「ひゃうっ!」と悲鳴をあげて小さな子の後ろへ隠れてしまった。

 

「あ〜えっと、驚かせてごめん。その手の爪が気になって」

 

そう言うと、怯えていた子がさらに小さくなってしまったが、質問に答えてくれた。

 

「………つ、爪って……こ、この、傷のこと、ですか?……」

 

「ああ、それってピアノか何かしてるときに失敗して、できる怪我の一つだから、ピアノか何か習ってたのか?」

 

「……え、えっと…はい……前に少しだけ……習って、ました」

 

「……そうか、ありがとう」

 

向こうも話すのが苦手っぽかったし、限界だろうからな

お礼を言いついで暗いから危ないと思い家に送って帰った。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

数週間の間にあの子は何度か入れて欲しいと言いに来たが、

友希那と紗夜に帰らされているようだ。

 

学校の帰りに校門前で友希那とあこ、それとこの前一緒だった。

リサと呼ばれていた女の子がいた。

 

「なんであの3人が一緒なんだ?」

 

独り言を言い、3人の所へ行くと、話し声が聞こえてきた。

 

「お願い!お願いお願いお願いします。

絶対いいドラム叩きますから!

入らせてくださいお願いします!」

 

今あの子お願いって何回言った?などと思考を巡らせてる場合じゃない。

とりあえず話を聞くことにした。

 

「おーい、なにやってんだ?」

 

するとリサという子が気づいた。

 

「あれ?友希那、この人って確か友希那がバンドを結成するのに手伝ってもらってるって言う...」

 

「えぇそうよ、そういえばリサにはちゃんと紹介してなかったわね」

 

「如月陽菜です……よろしく」

 

今度はちゃんとタイミングを掴めたな。

 

「アタシは今井リサだよ。

よろしく☆

後敬語はいいよ。

陽菜は友希那の友達なんだからね?」

 

友…達?まぁいい、意外と優しそうだった事に安心し、本題に戻った。

 

「それで、また来たのか…」

 

「あ!昨日のお兄さん!!

昨日は送ってくれてありがとう!」

 

「あー別にいいよ」

 

すると友希那とリサが

 

「…あなた昨日そんな事してたの?」

 

「まぁ、暗かったしな」

 

「へー、意外と優しいんだ☆」

 

「………そんな事よりもまだ入りたいって言ってるのか?」

 

まぁ、見た感じわかるけど一応聞くか、友希那呆れてたように答えを返して来た。

 

「えぇ、そうよ…私は遊びでバンドをするつもりはないと言っているのだけど...」

 

「あこだって遊びじゃないもんっ!

どうして伝わらないのかなぁ」

 

少しこの子のスコアが見えた。

 

「ちょっと待て友希那...一度だけこの子のドラム、聞いてみたらどうだ?」

 

「「ええ!」」

 

リサとあこがびっくりした様子で見てくる。

そんな驚くことか?どんだけ断られてんだ…

 

「何を言っているの?私は時間を無駄にはしたくないの。

そんな事に時間を割きたくないわ」

 

「…あのn」

 

この子の使ってるスコアのことを話そうとしたら、リサが

 

「待って友希那!

………ほら……この子の使ってるスコア見て、こんなにボロボロになるまでいっぱい練習してるってことでしょ?

一回くらい一緒に練習してあげたら?」

 

「「リサ姉...

リサ...」」

 

久しぶりに遮られたな...しかし

流石に幼馴染にここまで言われ友希那は

 

「……はぁ、わかったわ。

………一回セッションするだけよ」

 

すると少し涙ぐみながら

 

「!本当ですか!!

やったぁっ!!リサ姉、ありがとう!」

 

「やったー☆

よしっ、ねぇ友希那!アタシもそのセッション参加していい?

私ベース弾いた事あるから」

 

「……」

 

友希那は少し迷っているようだった。

一体何を迷っているのか分からないから話を進めた。

 

「別にいいんじゃないか、五分でセッション終わらせたら」

 

「!ちょっと、勝手に決めないでくれるかしら」

 

「あこのついでにリサのセッションをやっても五分で終わらせたらいい。

それに、友希那のバンド結成に協力するって約束だし、バンドにはベーシストが必要なんだろ?」

 

「……はぁ、好きにしたら。

でも、どうしたの急に。リサ、あなたスタジオなんて中学辺りから来てないのに」

 

友希那がそう聞くと、リサは少し動揺した様子で

 

「べ、別に〜?ライブ以外で歌ってる友希那、気になるし、それに紗夜って子も気になるしさ〜」

 

「…そう」

 

あことリサのセッションが決まり、ライブへと向かった。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ライブハウスに着き、先に来ていた紗夜に説明し終わり、あことリサの五分だけセッションをした。

 

すると演奏を始めると不思議な感覚になっていった。

この不思議な感覚をもう一度聞けることができるとは...でもまだ足りない。

 

この音はまだ完全じゃない。

あと一人キーボーディストがいたら...

 

いや、それは置いておこう。

それよりも2人とも技術的な面ではまだまだでも、まだ伸びしろがあると思い

 

 

「……おーい、みんなー、さっきから黙ってるけど、この子達は合格なのか?」

 

「そ……うだったわね、ごめんなさい。

あなたは合格よ。紗夜、あなたの意見はある?」

 

「いえ、私も同意見です。

ただ……その……」

 

何か言いかけたようだが、次の声でかき消された

 

「いやったぁーーーーーーーっ!!!!!」

 

「良かったな、あこ」

 

「うんっ!ありがとう、陽兄ぃ!!」

 

陽兄ぃって…そう思ったが、リサの事もリサ姉と呼んでるから、

それに似せたんだろうな

 

「あこっ、おめでとう!!」

 

「ありがとうっ!リサ姉もね!」

 

そう言って喜ぶ2人の姿を見て、なぜか安心した。

すると友希那が話し出した

 

「これでリズム隊は揃ったわ、後はキーボードだけど...」

 

さてと、どうしよっかなぁ、今から『あの子』の事言ったとしても

『あの子』自身人が苦手だからなぁ。

 

そんな事を考えていると使用時間がもうすぐ終わりそうだったのでスタジオを出た。

 

そのまま友希那が次の予約を入れようとした時、受付の人が

 

「毎度ありがとね、友希那さん。

急で悪いんだけど来月のこの日の土曜日なんだけど、もう予定入れちゃってる?」

 

「いえ、私達はまだ…」

 

友希那がそう答えると

 

「あそっか、友希那さん最近バンド組んだらしいね。

実は急遽、この日のイベントに穴が空いちゃって、ほかに頼めそうな人いないし、ちょっと頼めるかな?」

 

突然のライブ出場でびっくりしたが、みんな賛成してくれたから良かったんだと思う。それとあこに頼んでおかないとな...

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

一週間後

 

みんないつも通りCiRCLEに来ていた。

しかし、あこはまだ来ていない。

 

「……もう一週間経っちゃったけど、キーボードの人、全然見つからないね」

 

「ええ、早く見つけないと、あの曲はキーボードありきで作ったものだから」

 

「それもそうですが、宇田川さんの姿が先程から見えませんが…」

 

「あこなら大丈夫だ。

多分もうすぐ連れて来るはずだ」

 

「連れて来るって、一体誰を...」

 

すると思い「遅れてすいません!!」と大きな声であこと『あの子』が息を少し切らしながら入ってきた。

 

「!白金さん?どうしてここに......まさか...!」

 

「この子は確かあの時あこと一緒にいた」

 

「俺があこに頼んで、ピアノを弾ける人を連れて来てもらったんだ。

お疲れ様だったな、あこ」

 

そしてあこは息を整えてから、自身満々に

 

「ふふんっ!なんのこれしき、妾にとってお安い御用だ!」

 

すると、少し緊張した様子で

 

「あ、あの……私…白金、燐子と、いい……ます…

き、今日は……その…ピアノの……オーディションを…受けに、来ました…」

 

それから何も説明していない友希那たちに事情を説明した。

 

「…と言うことで、彼女には一回だけセッションをしてもらう」

 

「……わかったわ。でも一曲だけよ。

それがダメなら帰ってもらう」

 

「よしっ、じゃあやるか」

 

「うんっ!りんりん、いっぱい練習したから頑張ろうねっ!」

 

「うん……!…あこちゃん、ありがとう………」

 

そして俺たちは白金燐子のオーディションをする為にスタジオへ向かい、早速セッションをしてもらった。

 

すると始まってすぐにスタジオが不思議な感覚になり、キーボードはこの演奏と妙に一体感があった。

 

やっぱり、あの子はキーボーディストとして妥当だな…これならいけるかもしれない。

そんな事を考えていると演奏が終わった。

 

「……それで、この子、燐子は合格か?」

 

「…問題ないと思います。

ただ………いえ、それよりも湊さんは?」

 

「え、ええ。

表現力と技術も合格よ」

 

友希那は何か考えながら話していた。

まだこの子達はあの『個々の音』を聴いたことがなかったのか…

そう思い説明せずにはいられなかった。

 

「……じゃあ必要なメンバーが揃ったところで、さっきみんなが奏でたあの『音』について少し話すか…」

 

すると友希那がすぐに反応した。

 

「!あなたにはあの音が何かわかるの?」

 

「ああ、あの『音』はその時、その瞬間にしか揃い得ない条件下で奏でられる『個々の音』だ」

 

「「「「「……『個々の音』」」」」」

 

「そう、この五人メンバーであの『音』を奏でられれば、そこら辺の並のライブ大会は、ほとんど優勝するだろうな。

それにフェスに出る為のコンテストにも受かる可能性が多少ある」

 

そう言うと、あことリサが

 

「それって、すごいっ!!あこ達もうそこまで来てるんだっ!」

 

「やったね☆あこっ!」

 

流石にこの二人を調子に乗らせるのはマズイな。そう思い

 

「受かる可能性は多少と言ったろ?慢心は絶対にしないでくれ。

それと例えあの『音』が奏でられたとしても、必ずしも成功するとは限らない」

 

すると友希那が

 

「……少し質問したいのだけどその『個々の音』は極められるの?」

 

「……いや、奏でる事は出来るけど極める事は出来ない。

そうしようとするには、かなりの時間がいる。

それにあの『音』は1年かけても極める事は無理だからな」

 

「……そう」

 

「…あれは、極めようとすると逆に迷いが生じて、目指していた『音』の目標が遠のく。

現状では、さっきのあれが今の最高の音だ」

 

そして紗夜が聞いてきた

 

「では、今からあの『音』を目指して練習しても意味がないという事ですか?」

 

「いや、意味がないわけでもない。ただ技術とメンバーとの信頼が上がるだけだ。」

 

「そうですか……では、あなたに質問ですが、あの『音』の事といい、どうしてそんな事をあなたは知っているのですか?

あなたは一体何者なの?」

 

「そんな事どうでもいいだろ」

 

そう言い返すと

使用時間が過ぎていて、スタッフの方が教えてくれ、そのまま外に出る事にした。

そして、はぐらかそうとして

 

「じゃあ使用時間も過ぎてたし、夜も暗いからもう解散して各自家に帰ろうか…」

 

帰ろうとすると紗夜が引き止めるように

 

「ちょっと待ってください!」

 

「……どうかしたか?」

 

「まだ、質問に答えてもらっていません。

私の質問に答えてください」

 

少し昔を思い出しつつその答えを返した。

 

「……俺の事は気にせず、コンテストに向けて頑張ってくれ」

 

「待ちなさい」

 

誰かが引き止めた。

そして俺を引き止めたのは、友希那だった。

めんどくさいが取り敢えず振り返って聞くことにした。

 

「なんだ?」

 

「あなたの事、思い出したわ」

 

するとリサが

 

「友希那…思い出したって何を?」

 

そして友希那は話始めた。

 

「約5年前のFUTURE WORLD FES.にあるバンドが出場していたの。

そのバンドは私たちと全く同じ5つの楽器で演奏していた。

だけど…技術といいコンディションといい。

文句の付け所がないほど素晴らしいバンドだったわ」

 

「!……友希那さんにそこまで言わせるなんて………」

 

「リサ姉はこの話知ってた?」

 

「う、ううん始めて聞いた…」

 

「驚くところはそこじゃないわ燐子。

それで話を戻すけれど、その時バンドを組んでいた彼らは全員中学1年生だったの。

周りからは天才の集まりだ、と言われていたわ」

 

「……」

 

「確かに凄い集まりだった。

あの中のほとんどは努力をしている人達がいた。

けれど…」

 

「……」

 

「たった一人だけは別次元だった。

歌の才能があり、100年に一度の神童と謳われ、フェスの優勝候補とも言われていたわ」

 

「中学生って事は…」

 

「ええ。

今は私達とちょうど同い年よ」

 

「…ですが湊さん。

どうして、今その話をしたんですか?」

 

「それはそこにいる彼が、100年に一度の神童と言われた人。

如月 陽菜、本人だからよ」

 

「「「「!!!」」」」

 

「……」

 




眠い
最近とてつもなく眠いです
授業中にも突然睡魔に襲われたりしているのでしんどいです。
この前机でうたたねしてたら机に頭ぶつけましたもん。
ていうか、早く10月になってほしいです。
SAO楽しみにしてるんです。
そういえばこの前小説を読んでいたら思わず吹いてしまったセリフをよく覚えてます。
あの時の周りの目も今でもよく覚えてます。
あーうん、恥ずかしかったよ、うん

オマケ
ジャパ○ットですの(←思わず吹いてしまったセリフ

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