退屈な日々を忘れたい俺がなぜバンドの手伝いをしているんだ......   作:haru亜

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第2話 記憶

今日はとても天気が良い。

こんな日こそ平和であるべきだ。

何も驚かされる事なく、ゆっくりと過ごしたい

 

「…まぁ、この学校いる時点で無理だけど…」

 

通学中1人でため息混じりに呟くと

 

「ぷはっ…!

…はぁ……はぁ…」

 

なんと家と家の間から燐子が出てきた。

 

「……何してんだ…」

 

「えっ!?は、陽菜さん……おはよう…ございます…!」

 

「おはよう。

で、何してんだ?」

 

「えっと……通学路を…歩いてると……人混みに流されちゃうので…」

 

「だからって路地裏から出てくる事…」

 

すると

 

「あれ?陽菜さん、燐子先輩。

おはようございます」

 

名前を呼ばれ、横を見ると美咲と花音がいた。

 

「おはよう。

2人とも同じ学校だけど、久しぶりに会ったな」

 

「そういえばそうですね。

ていうか…今燐子先輩が家と家の間から出てきたように見えたんですけど…」

 

「安心しろ、美咲の目は正常だ。

それより、ガルパの件って」

 

すると隣を歩いている美咲は少し苦笑いで

 

「もちろん、こころ達がオーケー出しましたよ。

また、制御頑張りましょう」

 

「えっ、俺もするのか」

 

「陽菜さんがいないと、あの3人が集まった時に収集つきませんよ…」

 

「う〜ん…合わせないようにしたいけど、今回は3バンドずつやるつもりだからなぁ…。

いずれは…」

 

「ポピパとパスパレ、ハロハピが集まりますね…」

 

「「……はぁ…」」

 

今後の事を考えただけで披露していると

 

「だ、大丈夫!

今度は私達も手伝う。

ねっ、燐子ちゃん」

 

「そ…そうですね…!

陽菜さん、出来る事があれば何でも言ってください…!」

 

「…2人の優しさが唯一の癒しですね」

 

「本当にそうだな」

 

「あ…」

 

学校に着き、隣にいた美咲がそう発するのを聞き逃さなかった。

 

「?どうした?」

 

「いえ…あの向こうから走って来るのって日菜さんじゃ…」

 

「…3人とも、俺の前に立って隠してくれないか?」

 

「「「嫌です…」」」

 

「酷い。

これから酷い目に合うというのに酷い」

 

「陽菜くん。

が、頑張って…!」

 

花音に笑顔で応援された。

 

「…はぁ」

 

そして、駆けつけた日菜は、副生徒会長になれた、と笑いながら話した。

もちろんその間も首はキマりかけている。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

休み時間になり、次の授業の準備をしてから寝ようとすると

 

「まーた寝ようとしてるなー?」

 

ピアスをしたリサが笑顔で言ってきた。

ピアスに関してはノンホールピアスらしい。

 

「どうしたリサ」

 

そう聞くとリサは何か隠すように

 

「え、えーっとね〜。

最近、陽菜の様子がおかしいなぁって思ったんだけど、あってる?」

 

「なんで?」

 

「なんで、って言われたらよくわかんないんだけど…。

でも…今まで、陽菜が目の下にクマなんて作った事なかったから、ちょっと心配でさっ…」

 

今、リサに言われて目の下にクマが出来ている事に初めて気がついた。

無意識に目の下を手で確認する動作を行なった後。

 

「…そうか、俺は大丈夫だから。

心配しなくていいぞ、ごめんな」

 

するとリサは何か確信を得たように

 

「…本当は大丈夫じゃないんでしょ?

陽菜、こういう時謝らないもんね☆

陽菜が謝るのって、何かみんなに隠してる時くらいだよっ♪」

 

「っ…」

 

油断してた…

 

「それでー?

目にクマを作ってでも隠したかった事は何かな〜?」

 

「…クマを作ってたのは、5バンドのセットリストを考えてたからだ」

 

「次のガルパは前回より派手にやりたいってオーナーさんがまりなさんに伝えてたんだよねっ♪」

 

「ああ。

まぁ、それはそれとして。

リサ…これは俺の家族の問題だ。

でも、すぐに終わらせる」

 

「…また…いなくなったりしないよね?」

 

「……まぁ、最悪の事態は避けるよ」

 

「うんっ♪

あっ、それと、次の授業は第1実験室だよ?」

 

「なん……だと……!?」

 

「やばっ!あと2分で授業始まるじゃん!」

 

「あっ、化学のノート忘れた…」

 

「いいから早くっ!」

 

リサに引っ張られて行った。

どうやら、苦手科目は何かしら忘れるらしい。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

放課後の教室

終礼が終わり、帰ろうとすると

 

「陽菜くーんっ♪」

 

日菜に笑顔で呼びかけられ、少し怖かった。

なぜなら、日菜の顔が、何か企んでいる時の顔だったからだ。

 

「…なんでしょうか」

 

「今日はパスパレの練習だよねー?」

 

「いや…知らん…」

 

「陽菜くん一緒に練習行こっ!

るんっ♪って来たから、千聖ちゃんに話しちゃったんだ!」

 

「おいこら、何勝手に決めてんだ」

 

「ええー!?だめー?」

 

「ダメっていうか、今日はRoseliaの練習」

 

なかったわ…

 

「おねーちゃんが今日の練習は別の日に変更されたって言ってたもんっ♪

それじゃあ!れっつごー!!」

 

「行くってどこにだよ」

 

「事務所♪」

 

「は…い?」

 

腕をガシッと掴まれ、そのまま事務所へ直行された。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

事務所という場所はこんなにもピリピリしているのか、廊下を歩いてるだけで通りすがる人の視線が痛い。

それも俺が逃げないように、日菜がしっかりと両手で俺の左腕にくっついている。

 

「なぁ、日菜。

ちょっとくらい離れてくれないか?」

 

「いーや☆

こうでもしないと陽菜くん逃げるからっ」

 

「いや本当に危ないんだって」

 

さっきから動くたびに日菜の胸が当たりそうで怖いんだよ…

 

などと本人に言っては、俺が社会的に殺されかけない。

それはなんとしてでも防がねばならない事だ。

だから本人には、それがバレないよう、離れてくれるように言わないといけなくなった。

そして、幸いな事に、その最終手段を俺は編み出していた。

 

「…日菜。

今度、日菜の頼みを聞いてやるから離れてくれ…」

 

秘技、今度頼みを聞いてやるから、作戦

向こうで制御が効かない問題児達に有効であると判断した、俺が編み出した戦法である…

 

すると日菜は

 

「それ前にも聞いたから禁止!」

 

「なっ……」

 

秘技が一度しか使えない…だと……

 

秘技終了のお知らせ。

 

「…じゃあ、くっついてもいいから…ちょっとだけ離れてくれ」

 

「?なんで陽菜くん顔ちょっと赤いの?」

 

「日菜がくっつき過ぎなんだよ」

 

「んー?いつも通りだと思うんだけどなー。

…あっ!そろそろ着くよ陽菜くんっ♪」

 

そう言いながら廊下の角を曲がると、すぐ目の前に茶色い横開閉式の扉があった。

 

「みんなー!連れてきたよっ♪」

 

日菜が扉を開けると、広い空間にある壁の一面が鏡ばりになっており、そこには4人の顔見知りがいた。

 

「あれ!?陽菜くん!?」

 

「本当に連れてきたのね。

日菜ちゃん、言われた通り、ちゃんと周りに気をつけた?」

 

「うんっ♪」

 

いいえ、してませんよこの子は

ここまで走ってきたんですから…それはそれは目立ちました…

 

「ちゃーんと、千聖ちゃんに言われた通り『カメラマン』に気をつけたよ☆」

 

そっちですか…

 

「なら良かったわ」

 

「…なんで俺が呼ばれたのか知らないけど、何をすれば?」

 

「次はバンドの練習があるから、それに付き合ってもらおうかしら?」

 

「わかった」

 

久しぶりだな、こっちで聴くのは…

 

そう思っていると千聖と目が合った。

すると千聖が少し微笑んでから

 

「それで、どうだったかしら?

腕にアイドルがくっつくのは」

 

「!…気づいてたなら止めろよ」

 

「別に、あなたが正直に言えば良かったじゃない。

それが社会的に死んでしまうとしても」

 

俺が言えない事を見越して言ってるな…

 

「…早く行くぞ」

 

「ふふ、そうね。

早く行きましょうか」

 

千聖の満足気な笑顔を見せられながらも、スタジオへ案内された。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「…無駄に広いな…」

 

CiRCLEのスタジオ2倍程だろう。

その中で1人、白髪の女性が立っていた。

するとその女性は俺を睨みつけて

 

「あなた誰?

ここは関係者以外立ち入り禁止よ」

 

当然叱られるが千聖が

 

「すみません。

彼は私達のただの付き添いです。

練習の邪魔はしないので気にしないでください」

 

…まぁ…この場が収まればいいや

 

そう思っていると千聖が小声で

 

「あの人は、私達のバンド練習のコーチをしてくれている佐々木さんよ。

あんまり、目立つ事はしないで」

 

「…へいへい」

 

「何をグダグダしているの!

早く位置について一曲やりなさい!」

 

『はい!』

 

みんなすぐさま用意に入り、取り残された俺は壁の端に体育座りでいた。

そして佐々木さんの合図があると同時に、演奏が始まり聴いていた。

 

「……うん」

 

やっぱり…パスパレとRoseliaじゃ、感じるモノがそれぞれ違うから、聴いてて飽きない…

……あっ、イブちょっとミスしたな…

 

そう思って聴いていると佐々木さんと目が合った。

ので、すぐに目を逸らした。

しばらくして…

 

「サビの音程を外さない!

声をもっと出しなさい!」

 

「「すみません!」」

 

それからもそんな感じの練習が続き、最後まで体育座りで見ていると

 

「それじゃあ今日はここまで!

各、今日間違えた所を次までに直しなさい!」

 

『お疲れ様でした!』

 

帰ろうとしていると

 

「付き添いから見て、今の演奏どうだい?」

 

「……えっ、俺ですか?」

 

「あなた以外に誰がいるの。

付き添い、何でもいいから第三者としての感想を述べて」

 

「…はぁ…。

まず、千聖はサビのところが自分で弾いて気づかない程度遅れたな。

麻弥もちょっと力み過ぎて最初の方ミスしてた。

…と思う。

パスパレに関しては譜面を見た事ないからよく知ら…知りません」

 

『!!!』

 

すると何か考えていた佐々木さんが

 

「!あんた…もしかして…!

あの第3回FUTURE WORLD FES,に出た、あの如月陽菜かい!?」

 

あの、って…

 

「いいえ、違います気のせいです。

例え、外見と名前が一致しても違います」

 

「…イブ、この子は誰だい?」

 

えっ…イブさん、お願いし

 

「はいっ!

そこにいるのは、キサラギ ハルナさんです!」

 

「心が純粋なイブは嘘つけないか…!」

 

などと嘆いていると

 

「…やっぱり…。

あんた達、いい人材を確保したじゃない」

 

『えっ?』

 

「あー…佐々木さん俺のこと知ってるんですか…」

 

そう聞くと佐々木さんは『ファンだからね』と言い頷いた。

 

「そうですか。

…そろそろ時間ないので帰ります。

じゃあな、また今度」

 

そう言ってスタジオを出た。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

休日

今日はゆっくり過ごしてRoseliaの練習が無いので、町をブラブラと歩いていたその道中

 

「綺麗だな…」

 

夕陽を見て一言感想を述べた瞬間

 

「…何黄昏てるんですか陽菜さん」

 

「っ!?」

 

急いで振り向くとそこには、片手に不思議な蕾の植木鉢を持った蘭がいた。

 

「な、なんだ蘭か…」

 

「どうしたんですか?

1人で夕陽に向かって『綺麗だな』って、頭でも打ったの?」

 

「俺は蘭に何かしたのか…。

普通に感想述べただけなのに」

 

蘭はクスッと笑ってから

 

「冗談ですよ。

それより、用事帰りなんですか?」

 

「俺は散歩だ。

蘭は華道か?」

 

「うん。

ちょうど華道用に買ってきた帰り」

 

「その花。

名前は確か…ワレモコウだったっけ?」

 

「!陽菜さん、これわかるんですか?」

 

「まぁな。

俺の大事な趣味だったから」

 

「華道が、ですか?」

 

「いや、花の名前、由来とか。

それより、早く帰ろう。

蘭の親も心配するだろうから」

 

「ほっといてくれてもいいんだけど…」

 

「早く行くぞー」

 

そして蘭をついでに家へと帰そうとした。

 

「…ありがとう送ってくれて」

 

「いいよ。

あっ、それと」

 

「ガルパの件でしょ。

つぐみから聞いたよ。

あたし達も参加する」

 

「そうか…わかった。

じゃあな」

 

これで本当のセットリスト、みんなに渡せるな。

 

すると大きな門が開き、中から誰か出てきたらしく、蘭が何か言っていたが気にせずに帰ろうとすると

 

「待ちなさい!」

 

男の声で呼び止められ、まさかと思い、恐る恐る振り向くとそこには蘭の父さんと思わしき人物が立っていた。

 

「!!…そうか…」

 

するとその男性は俺を見て驚いた後、何か納得したように、男は蘭に何か話した後、蘭は怒って中に入ってしまった。

そして

 

「…君、ちょっとうちに入ってくれるかな?」

 

怖い…とてつもなく怖いぞ…

何されるんだ俺…

 

そんな不安しかなかったが、威圧で押し切られ蘭の家へ入って行った。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「…かけてくれて構わないよ」

 

そう言われてソファーに座った。

蘭にお茶を出され、飲もうとしたが熱くて飲めず、机に戻した。

すると目の前に座る蘭の父さんが

 

「蘭。

お前はあっちに行っていなさい」

 

そう言うと蘭は予想通り

 

「なんで?

父さんが陽菜さんに何を話すのかくらい、別に聞いてもいいじゃん」

 

すると蘭の父さんは先程と同じような威圧で強く

 

「ダメだ。

これは、彼の大事な話だ。

お前は聞くな」

 

「今日あったばっかなのに、大事な話って何?」

 

「…いいから。

自分の部屋に戻りなさい」

 

「っ…意味わかんない」

 

そう言って蘭は自分の部屋に入って行った。

そして前から視線がジリジリと伝わってくる。

 

「…あの、なんで俺は呼ばれたんですか…?」

 

「まず、蘭をあのゲームから連れ戻してくれて、本当にありがとう」

 

座りながらお礼を言われた。

 

「ゲームの中で約束しましたから」

 

「…次に少し、聞きたい事がある」

 

「?なんでしょうか?」

 

「君は、如月一馬の息子、だね?」

 

「!!!」

 

それを聞いた瞬間、色んな感情が溢れてきた。

喜び、戸惑い、焦り、パニックに近い症状が出た。

しかし、それをなんとか抑え込み

 

「っ……父を知ってるんですか?」

 

「やはり、一馬の息子さんか。

…私と一馬は親友だった。

他にも1人いて、中学時代からいつもその3人で遊んでいたものだよ」

 

蘭の父さんからは全くそんな気はしなかった。

しかし、この人が言うと何故か信用できる。

そして胸が締め付けられるような感覚の中

 

「あの……父は…どんな人でしたか…?」

 

すると蘭の父さんは

 

「…君の父さんは、花が好きだったよ。

それも、華道家の私よりも花の事を知りつくしていた。

そこらにある花を見せても、何の花で、その由来もすぐに答えた」

 

「……他には…」

 

図々しいと思ったが、この人は本当に父を知っているようだったので、そのまま聞き続けた。

 

「誰にでも優しく、時には厳しく、ぶつかり合った事もある。

それでも、必ず誰かを救う道を選び、自分の信念を貫く強さもあった。

…まさに理想の人物だ。

あの日も…アイツは君が産まれると聞いて、慌てながらも急いで病院に向かってしまった…」

 

「……最後に…一つ……聞いてもいいですか…?」

 

「ああ、出来る範囲でだが。

私には君に答える義務がある」

 

そう言われて可能性がゼロになった事を理解した瞬間、俯きながらも胸を強く握り

 

「父がどうして俺に…『陽菜』…という名前を付けてくれたか…わかりますか…?」

 

すると小さな物音が大きく聞こえる程の部屋で少し間を空けてから

 

「…すまない…。

それは…一馬が死ぬ間際に言い残した遺言でもある君の名前だ…。

私は親友が死ぬ場面には居合わせなかった…。

本当にすまない…」

 

謝られたが、充分過ぎる程の父さんの事を知れた。

そして時間も時間だろうと思い

 

「……ありがとうございます。

…父の事を知れて……良かったです…」

 

「……また、いつでも来るといい」

 

「…はい」

 

一礼をしてそのまま家を出るともう夜になっていた。

 

「……」

 

父さんの記憶…それは何一つとして残っていない。

そんな父さんへ、ほんの近づいた気がした。

 

「っ…」

 

……名前の由来はわからないのか…

 

視界がボヤけながらも街灯を頼りに家へと帰った。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

蘭パパ side

 

彼が出て行き、お茶を少し含んだ後

 

「……聞くなと言っただろう」

 

そう言うと少し開いていた扉が開き、娘が出てきた。

 

「今の…どういう事?

陽菜さんの父さん、死んだ…って事?」

 

「…ああ。

あの日、信号を無視した子供を助けてな。

トラックに轢かれ、約1分後に亡くなった」

 

「っ!!」

 

「…これ以上、彼に関わるな。

彼を余計に苦しめるだけだ」

 

「そんなのまだわかんないじゃん…」

 

「…蘭。

お前は…あの子の傷がどれだけ深いものか解ってるのか?」

 

「…知らないよ…。

でも!だからって見捨てるなんて」

 

「あの子は自分の父親と…今こうやって私とお前が話すように、喧嘩はもちろん、ただの一言すら聞いた事がない。

父親に触れられた事もなく、姿を見られた事も見た事もなく、どうやって死んだのかも知らない。

そんな彼を生半可な気持ちで助けようとするな」

 

「っ…」

 

「……」

 

思わず親友の口癖を借りてしまったな…

 

そう思っていると蘭は自分の部屋に戻っていった。

 

 

 

 

蘭パパ side out

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

俺はガルパに向けて、機材などの手伝いを麻弥とスタッフさん達とやり、みんなの練習にも毎日、休みの日も付き合った。

そんなある日、今日のセッションをする為の、セットリストをまとめた物を渡そうとし、1年の所へ向かっていると

 

「お!如月、ちょっと来い」

 

先生に呼び出され、この前あったらしい朝の小テストをやらされた。

少し経ち

 

「…終わりました……」

 

自分でも聞き取りにくい掠れた声と共に、テストを渡した。

 

「おお!もう終わったのか。

簿記は得意か?って、おい顔色悪いぞ!大丈夫か?」

 

「問題ありませんよ。

ただ身体の調子が悪いだけで…」

 

「気をつけろよ。

それに、一応身体にちょっとした異常があったら保健室に行くんだぞ?」

 

頷いてその場を去った。

 

「……」

 

廊下を歩き、階段を登っていると周りから視線を集めていた。

 

頭が痛い…体が怠い…めまいもする…

周りからの音がちゃんと入って来ない…

でも…脳は動く、ちゃんと小テストもすぐに終わらせたし…

さっきの先生に言われた通りしたいけど…保健室遠いな……

あれ…セットリスト…って誰に渡す………

 

突如、視界が大きく歪み出した。

その瞬間、階段を登っていたはずが天井を見上げて、後ろに落下していた。

大きな衝撃が小さく頭の中で鳴り響き、周りが騒がしい中、俺は静かに目を閉じた。




お気に入りありがとうございます!( ͡° ͜ʖ ͡°)

通行人K様 田中誠司様 護衛しかしない様
クソワロ太鼓様
シュガー8901様 寝眠様
怪盗N様 カナヘビ様
エロ本様 ダイキ・リハヴァイン提督様
十六夜ユウスケ様

皆さん!
台風頑張りましょうね…_:(´ཀ`」 ∠):

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