退屈な日々を忘れたい俺がなぜバンドの手伝いをしているんだ...... 作:haru亜
リサ side
「友ー希那っ☆」
病室に入ると中で、知り合いが1人横たわりながら衰弱しきっている。
目を閉じて、ゆっくりと呼吸をしていた。
そしてその隣にアタシの幼馴染でもある友希那が座っていた。
「…リサ」
「もー、置いてかないでよっ」
元気がない友希那にいつもと同じように話しかけると
「…紗夜達は?」
友希那はちょっと元気が無さそうに返した。
「ちょっと遅れて来るってさ…」
「そう…」
「「……」」
「お医者さんから聞いたんだけど…。
陽菜が倒れたの、かなりのストレスと疲労が溜まってたからなんだって…」
「……そう」
「で、でも大丈夫だよっ!
お医者さんが、体調が良くなっていけば、すぐに退院出来るって言ってたし!
それにほら、陽菜っていっつもみんなに心配かけてるけど、最後はちゃんと戻って来るじゃん♪」
「…そうね…」
「っ……」
どうしよう…友希那、ずっと落ち込んでるなぁ…
でも…アタシ達、陽菜に何も言われてないもんね…
そう思っていると友希那が
「…実は、ずっと前から如月の様子がおかしい事には気づいていたわ。
…リサも気づいていたでしょう?」
「うん…」
「ここ最近は、各バンドのセッションで疲れていたとは思うわ。
でも、練習量は前に比べてそんなに大差無いはずよ…」
「!」
もしかして、ストレスになってるのって、この前陽菜が言ってた"家庭の事情"ってやつかな?
でも…最悪な事態にはならないって…陽菜が言ってたから大丈夫だと思うけど…
そう思いながら、再度ベッドに横たわる陽菜を確認した。
顔色が悪く、どこか苦しそうに息をしている。
すると
「陽兄ぃ!」
「!あこ!?」
あこが息を切らし、後ろにいる燐子もかなり疲れていた。
そしてその後ろには紗夜がいた。
「リサ姉、陽兄ぃは!?」
あこに聞かれて少し安心させるように
「うん…。
今、ちょっと横になって安静にしてるから大丈夫だよ。
まだちょっと眠いみたいだけど…」
大丈夫、その場しのぎでもそう言った方が良いと思った。
すると紗夜が
「今井さん、如月さんはどうして倒れたんですか?」
「疲労とストレスだって…。
陽菜ってば…アタシ達が知らない間にストレス溜めてたんだね…」
『……』
「あら?可愛いお客さんが5人もっ♪
さてさて、陽君は誰を選ぶのかな〜☆」
『っ!!』
そこには、まだちょっと早い季節感の白いワンピースを着た若そうな女性と私服姿の、ちょうど中学生くらいと思われる女の子が立っていた。
「驚かせちゃダメじゃん、母さん」
「ああっ!友希那ちゃんっ♪
本物だっ!!すごいすごい!」
「母さん…。
落ち着いて、ここ病室だからね?」
「はーい…」
こ、この特殊な感じの雰囲気は…
「も、もしかして、陽菜のお姉…お母さん…ですか?」
お姉さんという雰囲気はかなりしたのだけど、違うと思い言い換えた。
「大正解っ♪
てことで、はいチョコレート」
そう言ってポーチから一口サイズのチョコレートを貰った。
「えっ!?
あ、ありがとうございます…」
すると紗夜が
「あの、如月さんのお母様。
1つ聞きたい事があります」
「陽君との結婚?」
「違います!
私が聞きたいのは、どうして自分の息子が倒れているのに、そんな平然としていられるんですか?」
「ちょ、紗夜…!」
しかし、如月のお母さんは怒るどころか困ったように
「実はね。
陽君が倒れたのは、これが最初じゃないのよ」
「…えっ!?」
「前にも、同じような事があったわ。
その時もきっと…」
少し話しにくい様子が見えた時、その隣にいた子が
「どうせまた、父さんの事で倒れたんじゃない?
前もそうだったし…」
「咲織ちゃん。
あえて言わなかった事を言わないで〜」
「あたしの名前は母さんが付けたけど、お兄ちゃんは父さんに付けてもらったんでしょ?
その上、お兄ちゃんもオッサンで苦労してるし、てかなんか知らないけど、オッサン来るし…」
最後に溜め息をつく妹を見て
な、なんか…すごい陽菜に似てるな〜…
溜め息とかすっごい似てた…
って!そうじゃない!
「あの!陽菜が倒れたのストレスが原因でもあるんです!
何か知ってたら教えてくれませんか?」
「別にいいわよ?」
「!」
意外とサラッと言われ、サラッと聞けた。
「そうね…どこから話しましょうか♪」
「母さん…。
話をするなら、まずはお兄ちゃんの事話したら?
この人達、何も知らされてないみたいだし…」
「そうね!そうしましょうか♪
じゃあ、生い立ちから」
「母さん!
そんなの話してどうするの!
もういい…あたしが説明する…」
「ええ〜…」
妹は自分の母さんを椅子に座らせて黙らせた。
「はぁ…。
お兄ちゃんがなんでこんなにストレスが溜まるのか、なんですけど。
父さんは双子で、そのもう片方が今、日本のほぼトップの仕事をやってるんです。
本当は父さんが2人でやろう、って言ってましたが、父さんが死んでから、双子の葉一?だっけかな。
そのオッサンが、お兄ちゃんと自分の息子に次の代を継がせる為、色々と課題ってのを出してるんです」
「!!し、死ん…だ…?」
説明の途中に『陽菜の父親はもう死んでいる』という似た言葉が聞こえた。
すると妹は頷いた。
そして
「あたしも父さんが交通事故に遭って死んだ、って事くらいしか知りません」
これ以上は聞いてはいけないと思って
「…その課題って…ストレスが溜まる程、辛い課題なの?」
「場合によると思います。
でも、今回はそれが繋がった事と、名前…でしょう」
「名前?」
妹が言ったことがよくわからず、聞いてみると
「名前の由来…。
あたしの『咲織』っていう名前は、[笑顔をどこでも咲かせる]って意味で母さんが付けたんですけど。
お兄ちゃんの名前は父さんしか知らないので…」
「!それって…」
「はい。
母さんもどうして父さんが『陽菜』っていう名前を付けたのか、わからない。
もうお兄ちゃんが知る事は出来ないんです…」
「そんな…」
「でも…あのオッサンは、名前の由来を知っている、と言ったんです。
…あの人の事は全く知らない、その上、いつ教えてくれるのかもわからない。
それでも、お兄ちゃんは極小の可能性を信じてオッサンについて行ってます」
「っ!!…」
だから…こんなになるまで頑張ってるんだ…
そう思っていると椅子に座っているお母さんが
「ごめんなさいね。
…私も、マー君がどういう気持ちでわからなくて…。
マー君が考えたんだから、そんなに深い意味は無いと思うんだけど…」
「…どうして……陽菜さんは…そこまでして……自分の名前の由来を…知りたいんですか……?」
燐子が聞くと母さんは『う〜ん…』と唸ってから
「極端に言えば、生きる証みたいなのが欲しいのよ。
陽君って、父親がいない事で、小中学校全般は、人間関係で苦労してね。
いつからだったかなぁ…陽君、人を信じなくなったのよ。
一時期は私と妹の事も信じなくなったけど、あの人の言葉だけは信じていたわ」
『……』
「だからこそ、きっと…嬉しかったんだと思うわ。
陽君ね、家に帰った時すっごい生き生きしてたの!
あんなに学校を楽しそうにしてる陽君、見た事なかったもの☆
それに、あなた達みたいに寄り添ってくれる人、初めてよっ♪
本当にありがとうね♪」
その言葉はとても重たく感じた。
でも、お母さんの何か吹っ切れたような顔を見ていると、不思議と心が軽くなった気がした。
すると
「いえ。
私個人も、如月さんには本当にお世話になりました。
お礼を言いたいのはこちらも同じです」
「わ、私も……陽菜さんに…『すぐに変わらなくてもいいんだ』って……教えてもらいました……」
「あ、アタシも!
陽菜に、改めて幼馴染として支えるには、どうしたらいいか教えてもらった」
「ふふ。
本当にいい友達が出来て良かった♪」
お母さんはそう言ってニッコリと笑った後、ハッと何か閃いたようにした。
それを見て隣の妹は、すごくメンドくさそうな顔をしていた。
「そうだっ!陽君をバンドに誘ってくれたのはどの子かしら?」
「?私だけれど…」
友希那がそう答えると
「はい!お嫁さん決定!!」
『はい!?』
するとお母さんはすごい目をキラキラさせて、手を合わせながら早口で
「あっ!でも、他の子も捨てがたいわっ♪
あこちゃんは年齢的にもうちょっと先になるかな?
燐子ちゃんも内気だけど、やる時はやってくれそうね!
紗夜ちゃんはとっても可愛くて頑張り屋さんね♪
リサちゃんも頼れるお姉ちゃんって感じするわっ!
あーもうっ!なんで日本は一夫多妻制じゃないのかし」
「落ち着け母さんっ!」
そう言いながら陽菜の妹が母親の頭にミニバッグをぶつけた。
「うぅ…痛いよ咲織ちゃん!」
「漫才をしてるわけじゃないから!
大体お兄ちゃんに彼女が出来たら、それこそ問題だよっ!」
今陽菜が起きてたら、そこにツッコミ入りそうだなぁ…
そう思っていると
「湊さん。
そろそろ練習の時間ですが、どうしますか?」
「……いつも通りよ」
「では、今から行きましょうか。
如月さんが予約してくれていますから」
「ふふ、これも青春ねっ♪
陽君は私達で見てるから、あなた達は真剣に前を見なさい♪
それと、これは夫の言葉の一部よ」
「?」
「『1.誰かを助けるなら生半可な覚悟で助けない事。
2.何かしら信念を持つ事』
きゃー!マー君カッコイイ!!」
「練習に遅れたらダメだから、無視して行っていいですよ」
「あはは…行ってくるね☆」
あの言葉を、いつか陽菜に聞かせてあげたいな…
そう考えながらもCiRCLEに向かった。
リサ side out
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蘭 side 〜〜〜また別の日〜〜〜
「お見舞い遅くなっちゃったね〜」
「そうだね」
アフロのみんなで陽菜さんがいる病室を開けると
「あら?またまた可愛らしい子達が来たわね♪
さぁさ、どうぞ〜」
季節感の外れた黒のワンピースを着た女性が、椅子を用意してくれた。
「ありがとうこざいます〜」
マイペースなモカは普通に椅子に座った。
すると
「あらあら☆
もしかして、Afterglowの子達かしら?」
「私達の事、知ってるんですか!?」
つぐみが驚いて聞き返すと
「もちろんよ♪
私、Roseliaのファンだけど、アフロのみんなの事も知ってるのよ〜」
「あ、ありがとうございます!」
「……」
なんか……悔しい…
そう思いながら、用意された椅子にみんなで座り、1つのお見舞い品が先に置かれて、その隣にお見舞いの品を置くと後ろの扉が開き
「あっ!また失礼な事してないよね!?」
『!!』
「早いよ咲織ちゃん!
注意するのが早いよ!」
そして、咲織と呼ばれる子と目が合った。
その瞬間
「ああ!
蘭さんだ!!」
「えっ?」
「握手してください!」
そう言って前に手を出された。
「まぁ、別にいいけど」
そして握手をすると
「お母さん!本物だよ本物!
Afterglowの曲、本当に大好きです!
ありがとうございます!」
「ど、どうも…」
そう言うとその子は満足したようで、女性の隣に座った。
そこで
「あの、陽菜さんのお姉さんと妹さんですか?」
一応聞いてみるとその女性は
「私がお姉さんに見える!?」
「えっ、違うんですか?」
「残念ながら、私は陽君の母親です!
でも!嬉しかったので、クッキーをあげます♪」
そう言って5人分のクッキーを渡された。
するとお母さんは満足気に
「嬉しいなぁ…私がお姉さん、か…」
「蘭さんすみません。
この人すぐに付け上がるので、褒めるような事は言わないでくれると本当に助かります」
「えっ…わかった」
なんか……すごい独特な雰囲気…
「あっ!陽君について知りたいなら、教えてあげるっ♪」
「!ホントですか?」
ひまりが聞くと陽菜さんの母親は頷いて陽菜さんの事を話し出した。
どうしてあの時海外に行ったのか、亡くなった父親の事、小中学校の時の事。
その全てを聞いて、父さんの言っていた事を思い出し、理解した。
「っ…」
あたし…自分だけでなんとか出来るって勘違いしてた
悔しさと無力感が来ると同時に
「……蘭〜。
あたし達に何か隠してるでしょ〜?」
「えっ…?」
「だってさ〜。
蘭、陽菜さんが倒れてからなーんか変だよね〜。
ねー、つぐー?」
「う、うん。
私も最近の蘭ちゃん、変だと思う」
「つ、つぐみまで…。
別に…隠してる事なんて無いし…」
するとお母さんがこちらの会話を見て
「ふふ。
仲がいいのね☆
蘭ちゃん♪この際全部話した方が楽になるわよ〜?」
「えっ!?いや、でも」
「ほーら!早く早く♪」
この人……本当に陽菜さんのお母さんなの!?
「はぁ……わかりました…」
そして、この前父さんから聞いた事を話した。
「…って、あたしは父さんから聞いた」
「…あっ!なるほどそういう事ね♪
蘭ちゃんの苗字は美竹さん、で合ってるかしら?」
唐突な質問に頷いて返すと
「じゃあ、うーちゃんのとこの娘さんね♪
なるほどなるほど!」
「う、うーちゃん!?」
思わず声に出してしまった。
「まぁまぁ!
これも何かの縁ね♪
今度うーちゃんの所にでも行ってみようかしら☆」
「母さんは迷惑しかかけないからダメに決まってるでしょ。
それに、蘭さんの家に入ろうだなんて、図々しいにも程があるよ」
それを聞いて巴に小声で
「ねぇ、なんか、あたしへの評価すごい気がするんだけど…」
「それほど、蘭に対する想いもバンドに対する想いも強いって事だよ。
ちゃんと蘭の事、見てくれてるって事だよ」
「!…そうだね」
「それで、あなた達は陽君と結婚してくれるかしら?」
『えっ!?』
「母さん!
失礼な事言わないでよ!
アフロの誰かが、お兄ちゃんのお嫁とか、お嫁さんが可哀想!
絶対無理だよっ!!」
陽菜さん……
「でーも〜。
陽君のお嫁さんに蘭ちゃんが来たら、いつでも会えるよ?」
「えっ!?あたし!?」
「ふふ。
どうする?」
「うっ……蘭さんがお嫁さんになってくれたら…。
いやいや!やっぱり、お兄ちゃんのお嫁さんはいくらなんでも可哀想だよっ!!」
やっぱり可哀想……
「冗談よ♪」
な、なんだ……冗談か…
するとつぐみが
「あっ!今日のセッションって何時からだっけ…?」
「えっと…昼の3時からだな!」
「今2時50分…」
『えっ』
病院の時計を見て、時間がない事を理解した瞬間、追い討ちをかけるように
「あっ、あの時計5分遅れてるわよ?」
『えっ』
「い、急がなくちゃ!」
ひまりの声と共に急いで用意をしてスタジオに向かった。
蘭 side out
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彩 side 〜〜〜また別の日〜〜〜
「あーあ…陽菜くんが倒れてからもう1週間かー。
授業中とか退屈なんだよねー」
「今日は陽菜くんのお見舞いに来ただけだから、それで我慢しよう?」
「んー…。
あっ!そうだっ!
起きてたら、急に抱きついてビックリする顔見よ!
うん!るんっ♪って来た!」
すると
「日菜ちゃん彩ちゃん、病院の中では静かにしないとダメよ。
変装がバレるわ。
それと陽菜が起きてても、決していつもと同じように抱きついちゃダメよ」
「ええー!?なんでー?」
「陽菜はアレからずっと寝たきりよ。
すぐには、日菜ちゃんの相手は出来ないわ」
「むぅ……。
せっかく、るんっ♪って来たのになー。
陽菜くんが寝てから、なんか物足りないんだよねー…。
なんでだろ?」
日菜ちゃんが何か考えていると
「着いたわ。
多分、ここね」
そう言って千聖ちゃんが扉を開けて中に入った。
「陽菜くん、お見舞いに来たよ」
そう言ってカーテンを開けると、そこには衰弱して横たわっている陽菜くんがいた。
「…やっぱり…まだ寝てるよね…」
残念…
そう思って、既に2つ置かれているお見舞いの品の隣に、持ってきたお見舞い品を置いた。
すると
「あらあらあら☆
こんなに女の子が来てくれたのは初めてじゃないかしら♪
それに、今度はアイドルバンドをしているPastel*Palettesのみんなね?」
そこには季節感が外れた黄色のワンピースを着た女の人と女の子がいた。
「えっ!?」
「変装がバレたわね…」
ここまで来る間大丈夫だったのに…
なんだか、嬉しいような残念のような、でも嬉しい気持ちが出て来た。
すると
「立ち話も悪いし♪
座って陽君の話をしましょうか☆」
「は、陽君…?
え、えっと失礼ですが、あなたは…」
「私?誰だと思う?
当てたら美味しいガムをプレゼントするわ♪」
な、なんかすごい人だ…
それで…この感じは……
考えていると日菜ちゃんが何か閃いたように
「あっ!わかった!
陽菜くんのおねーちゃんだ!」
「惜しい!」
お母さんが喜びながらそう言うと隣にいた子が
「惜しくないよ。
ごめんなさい、この人はそこで寝てる如月陽菜とあたしの母さんです」
「お、お母さん!?」
見た目感じ、ちょっと年上のお姉さんに見えるくらいの女性だった。
「こんな夜中に来てくれてありがとうね♪
嬉しいから、はいどうぞ☆」
そう言ってガムを渡された。
「あ、ありがとうございます…」
「やったぁ!これって何味かな?」
「ふふ。
それは食べてからのお楽しみよ☆」
すると日菜ちゃんはすぐに食べた。
「はむ……んー!
やっぱりガムって美味しい♪」
「これは…レモン、かしら?」
「私はイチゴだったよ」
「ジブンは、メロンでした。
イブさんはどうでした?」
「私は……ブドウですねっ」
「あたしはブルーハワイ♪」
ぶ、ブルーハワイ!?
そう思ったけど、次のお母さんの言葉で遮られた。
「日菜ちゃんは紗夜ちゃんの妹よね?」
「うん、そだよー♪」
「なるほど……姉妹で結婚…悪くないわね!」
「いや悪い事だらけだよ!」
お母さんの突然の閃きに妹がツッコミを入れた。
「それ来る人全員に聞くつもり!?
母さんはこの国が一夫多妻制じゃない事くらい知ってるでしょ!」
「だ、だって〜…」
「だってじゃない!」
その会話を見ていると千聖ちゃんが
「あの、陽菜の話とは一体何ですか?」
「あっ!ちょっと待ってね♪
えーっと確かここに…」
そう言ってカバンから手帳を取り出した。
すると
「咲織ちゃん、今回は私にも話させてね♪」
「はぁ…これがあのトップか…」
「まぁまぁまぁ♪
コホンッ、では!」
な、なんか今気になる事言ってた…
そう思ったけど、先に話を聞いた。
「そっか……だから、陽菜くんの様子がおかしかったんだ…」
「はい…。
そういえば、ハルナさんが楽しそうにしてる所は見た事ありますが、笑ってる所…あまり見た事無い…です…」
「それだけじゃないわ。
きっと、陽菜は自分の由来がわかるまで、探し続けるでしょうね」
「問題はそれをどうやって止めるのか…ですね」
『う〜ん…』
すると
「そうだっ!その葉一って人に直接聞けばいいんだよっ!」
日菜ちゃんがそう言って陽菜くんのカバンを漁って携帯を取り出した。
すると座っていたお母さんが
「あっ、言い忘れていたけど。
今は、陽君とチー君の貸し借りは平等だから、こっちからかけたら、陽君が借りを作った事になっちゃうわ」
「ええー!」
「だーかーら♪
あなた達はあなた達に出来る事をしなさい」
「出来る事?」
「あの人が日本に来たのは、きっと陽君を次の後継者として発表するためね。
そうすれば、陽君はもう二度と日本には戻らない。
そしてチー君が、どうして日本に来たのかと言うと……。
んー…そうね、あの人の事だから、陽君に希望を持たせた子でも探しているんじゃないかしら?」
「どうして…そんな事を?」
「簡単に言えば、その希望を潰す為ね」
『!!!』
平然とそう言うお母さんは何も動じてはいなかった。
すると
「か、可能性の話よ!?
そ、そんな顔しないで。
大丈夫、陽君、相手が手加減してたのもあるけど、それにずっと耐え抜いたんだから♪」
か、可能性の話か…良かったぁ……
安心したのも、つかの間。
「どうして…ハルナさんにそんな酷い事をするんですか?」
するとお母さんは唸ってから
「…あの人は…夫と違って、現実と向き合ったのよ。
夫は理想を追いかけ、あの人は現実を追いかけた。
自分の理想で死んだ、そんな夫を許せなかったんだと思うわ。
だから、あの人は、夫に似てる陽君にあまりそちら側に行って欲しく無いのよ…。
一応、あの人も一向に悪い人じゃないのよ♪」
それを聞いて、どうすればいいか迷っていると
「うっ……」
『!!!』
声がした。
それは確かに男の人の声。
そしてそれは、1人を指す。
「陽菜くん!?」
日菜ちゃんが呼ぶと
「っ…」
横たわっていた人はゆっくり目を覚ました。
ゆっくりと体を起こし、自分の腕に付いている点滴を外した。
そして、朧な目で周りを見ていた。
「陽菜くんっ♪」「ハルナさんっ!」
千聖ちゃんに注意されたにも関わらず、抱きつく日菜ちゃんとイブちゃんの姿を見て、千聖ちゃんはため息をついた。
「全く……この2人は…」
「いいじゃないですか、千聖さん。
陽菜さんも意識が戻ったみたいですし」
「良かったぁ!陽菜くん、おはよう!」
喜びが込み上げた。
しかし、次の言葉でそれは唐突に崩れ去った。
「……誰?」
「えっ…?」
その言葉が聞こえた瞬間、最悪の可能性が頭に浮かんだ。
彩 side out
毎度言っていますが、気持ちを込めて
お気に入りありがとうございます♪( ´▽`)
まいるど改二様
通行人K様 田中誠司様 護衛しかしない様
クソワロ太鼓様
シュガー8901様 寝眠様
怪盗N様 カナヘビ様
エロ本様 ダイキ・リハヴァイン提督様
十六夜ユウスケ様
オマケ
えっ……ゴブリンスレイヤーがアニメ化…
大丈夫かな…最初からアレなのに…