退屈な日々を忘れたい俺がなぜバンドの手伝いをしているんだ......   作:haru亜

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友希那、誕生日おめでとう!!!
今回、悩んだ結果この曲を使わせていただきました!!

それではどうぞ



第8話 一夜を統べる神童

葉一 side

 

行ってくる。

そう言ってアイツは出て行った。

 

「……」

 

無言で電話をかけると

 

『はぁーい!!

あなたの弟のお嫁さんです♪

やぁやぁ!珍しいね!』

 

「…はぁぁぁ…」

 

その声を聞くだけで全身のエネルギーが奪われるような感じがする。

 

「…私とお前の予想通りだ。

お前とアイツの息子は、自分で理想の道を選んだ」

 

『そう…。

それはこれからが大変ねぇ…心配だわぁ』

 

「…認める訳にはいかなかったんだがな……」

 

『マー君に似てるから、でしょ?』

 

「……確かに、重ねているのかも知れない。

しかし、アイツの理想は失敗する可能性がある」

 

『あら?

チー君は陽君の事、信じてないの?』

 

「…お見通しか」

 

『ふっふっふ〜☆

高校時代は私があなた達を見て仕切ってたんだからねっ♪

それに、陽君は同じ失敗は繰り返さないの♪』

 

「……」

 

『まぁ……それよりも、陽君のバックアップ頼めるかしら?』

 

「無理だ。

前回、お前の息子に頼まれて1つの事件を抹消した。

あんなくだらん事件ごときで借りを返すとはな」

 

『ああ!あのスキャンダルね♪

スクショしておいて良かったぁ☆

チー君がその気になれば、人の1人や2人、存在ごと抹消出来るからね〜♪

おー怖い怖い、怖いわぁ』

 

全く怖がっていない様子で言ってるのが、電話の先から伝わってきた。

 

「…はぁ…」

 

『またため息?

まーた無理ばっかりしてるんじゃないの?』

 

(…誰のせいだと思ってるんだ…)

 

「とにかく、バックアップは無理だ。

これから忙しくなるからな。

私達の出番はここまでだ」

 

『う〜ん…そっか♪

じゃあ仕方ない☆仕方なくないけど無い!』

 

「……それより、名前の事。

どうして教えてやらなかった」

 

『だって〜…マー君が決めた意味がわかんなかったもん…。

それに私が教えたら、確かに陽君の苦しみは晴れるよ?

でも、それだけじゃダメなの。

陽君が自分の名前を教えてもらってその後どうやって生きていくのか、自分で決める必要があった。

私じゃ、陽君を甘やかしちゃう自信があったもの♪

だから、『この役』はあなたに頼んだのよ』

 

(この役…)

 

「フンッ…なるほど…。

全て一馬の予測通りという訳か…」

 

『ピンポーン♪大正解!!

まぁ、後で陽君にはちゃんとこの事話すけどね♪』

 

「全く、お前ら夫婦には面倒をかけられる。

一馬も心配のし過ぎだ。

自分が死んだ時の事も予想した、という事だろうな」

 

『でっしょー☆

マー君は頭良いんだから♪』

 

「…とにかく、我々の出番はここまでだ。

それがわかったら」

 

『ああっ!!』

 

「……」

 

『も、もしかして…今まで黙ってた事話したら怒られちゃうんじゃ…』

 

「知らん」

 

『ええー!?

私、この前の金曜日にも陽君に怒られたんだよ!?』

 

「はぁ…何をした…?」

 

『え、えーっと……。

陽君のお見舞いに来た少女達がこれまたあんまりにも可愛かったから…つい…』

 

「その流れから行くと…結婚の話を持ち込んだか。

…それは怒られるだろう」

 

『お、お願いチー君!!

話したくないけど、話さないといけないの!!

だから、チー君お得意の』

 

ブツ

 

「はぁ……」

 

ため息を吐いた後、秘書に電話をかけ、そろそろ下についていると推測されるアイツの所に車を出させた。

 

 

 

 

葉一 side out

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

下に降りるとベストタイミングで車を出してもらって、しばらくするとSPACEに着き、中に入った。

すると観客席が人で埋め尽くされており、あの集団の中に入るのは無理と判断した俺は全体が見える1番後ろにある非常口の扉にもたれかかり、立ちながら見ていると暗かったステージが照らされ、そこに立っていたのは

 

「さぁ!楽しいステージにしましょうミッシェル!!」

 

「ちょ、こころマイクはそっちだから!」

 

(おお…初っ端からハロハピか)

 

そして演奏が始まった。

 

(聴いたことないな…。

後で何の曲か聞いてみるか)

 

しばらく演奏を聴いて、あの曲はぜひ自分の存在する意味を探している人に聴いて欲しいと思った。

 

「……練習より上手くなってるな。

こころは相変わらずだったけど…」

 

1人でそう呟き、しばらくしてから、飛び入り参加の知らない女子バンドだったが、どんな音を出すのか気になり聴いていった。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

花音 side 楽屋 数分後

 

(や、やっぱり…さっきのって…)

 

ガチャ

 

考え事をしているとさっきまで演奏していた千聖ちゃんが楽屋に戻ってきた。

 

「あら、花音。

今日の新曲、良かったわ」

 

「千聖ちゃん…!

ありがとう。

さっきの新曲聴かせてあげられて良かったな」

 

「今日はお疲れ様」

 

「千聖ちゃんの方こそお疲れ様。

演奏、どうだった?」

 

「ええ。

とても良いステージになったわ。

…観客席に1人だけ見間違いと思いたい人がいたけれど…」

 

「?……あっ!

もしかして…陽菜くんのこと?」

 

「やっぱり、あれは陽菜だったのね…」

 

嫌がる感じで言う千聖ちゃんの表情を見て

 

(?…千聖ちゃん、ちょっと嫌がってそうだけど…。

少しだけ喜んでる風にも見える…?)

 

「?どうしたの花音?」

 

「!な、何でもないよ」

 

首を振って否定した。

そして

 

「そ、そういえば、今日はポピパのみんながどこかのバンドとセッションするって聞いたんだけど、どこと演るの?」

 

「わからないわ。

私も香澄ちゃんに聞いてみたけど、教えてくれなかったわね」

 

「そっか。

…でも、楽しみだね、香澄ちゃん達の演奏」

 

「ふふ、そうね」

 

その後も千聖ちゃんとしばらく話して、そのまま次のバンドの人達を見る事にした。

 

 

 

 

花音 side out

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

数分後

 

(イブが言ってたのはさっきの新曲の事か。

音が綺麗だったからノーミスかな?)

 

そう思っていると、観客席から盛り上がりの大声が聞こえて次ステージに現れたのは

 

「あ、Roselia」

 

聞かねば、という使命感で聞こうとすると燐子と目が合った。

とりあえず手をヒラヒラと振り、演奏を聴いた。

 

「ーー♪」

 

(Neo,Aspect。

好きだなぁ…)

 

そう思いながら、ライブを聴くことに専念した。

すると数分後に曲が終わり、あことも目が合った。

 

(これ完全にバレたな…)

 

そう思って、次のバンドが出てくるのを待った。

しかし、次の飛び入り参加のバンドが出てくるのに少しの間があった。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

リサ side

 

Roseliaの演奏が終わり、楽屋に戻ろうとしていると

 

「こりゃあ…時間が足りないね」

 

『えっ!?』

 

オーナーの一言で、そこにいた4つのバンドのみんなが驚きの声を漏らしていた。

何事かと思い、近づいて話を聞く事にした。

 

「…あの、どうかしたんですか?」

 

その2人のオーナーに聞くと

 

「今日参加するはずだったグリグリが、今電車が人身事故で遅れて来れない状況なんだよね〜。

その上、残りの開催時間と演奏するバンドを考えても、時間が足りない」

 

「えっ!?」

 

「それに、アンタらとグリグリのセッション。

これで最後をしめるなら、最低でも後2曲は必要だよ」

 

「オーナー。

それは、私達がもう一度演奏をすれば解決するのでは?」

 

紗夜が聞くとオーナーは首を振りながら

 

「そんな事をしたら、アンタらだけ2回もでて、他は出ない。

なんて状況になる。

それはお客様の中に不愉快な思いをする方がいるかもしれない。

だから、却下だ」

 

オーナーがハッキリと言うと、その隣にいたもう1人の女性が

 

「あれ?あの子どこ?」

 

『?』

 

「何を言ってるんだい…あんた…」

 

「いやほら、あの子、如月陽菜。

まりなからイベントを見に来るって聞いてたんだけど、ガセ?」

 

「陽菜さんなら……さっきライブ会場の……非常口辺りにいました…」

 

「えっ!?陽菜来てるの!?」

 

思わずそう聞くと燐子はコクンと頷いた。

 

(という事は…さっきの演奏、聴いてくれたんだ♪)

 

内心喜んでいると

 

「あ、それじゃあ呼ぼっか☆

そしてみんなで聴いてやろうじゃない!」

 

『はい!?』

 

アタシ達が全員驚くとオーナー同士が何か話し合い。

 

「はぁ……やっぱり、そうするしかないかい」

 

「まぁ、今の状況を冷めさせない為にも、まだ出てないAfterglowのみんなに頑張ってもらって、その間に覚えさせよう!!」

 

「それで、曲はどうするんだい?

アイツには時間稼ぎのつもりで歌ってもらう。

それは伝えるとして、アイツのオリジナル曲は置いてないよ」

 

「ま、大丈夫大丈夫!

アタシが曲、適当に選んでやんよ!

あっ!携帯忘れた!

取ってくるわ!

て事で後はよろ〜♪」

 

そう言って片方のオーナーは何処かに行ってしまった。

 

「…はぁ……今すぐ如月陽菜を呼んでおくれ」

 

「わ、わかりました!」

 

 

 

 

リサ side out

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

リサから呼び出しのメールが来て、裏方に回った。

すると白髪に紫が若干入ってる婆さんに

 

「あんたのオリジナルはここには無いから、アレンジカバーでいいね?」

 

「?アレンジ……カバー…?」

 

「それはねぇ…」

 

そしてオーナーの説明を受けた。

 

「……理解した。

それで?曲は何にするんだ?」

 

「今、アイツ…CiRCLEのオーナーが取りに行ってるよ。

もうじき戻ってくる。

そしたら、アフロにステージに立ってもらい、アンタにはその曲を覚えてもらってから、もう一曲稼いでもらうよ。

それでもいいかい?」

 

(…アフロの曲聴けないのか…)

 

「…一曲…。

まぁ、それくらいは出来るか…」

 

すると向こうから見た目年寄りだが、年寄りとは思えないスピードで走ってきた。

 

「持ってきてやったぞ如月 陽菜!」

 

その声が聞こえるといつの間にか、アフロのみんながステージに立っており、演奏が始まった。

 

「さてと…それじゃあ、アンタに覚えてもらうよ」

 

「わかった」

 

そしてチャラオーナーが曲を選び、ヘッドホンを被り、集中した。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

数分後

 

「……いける」

 

そう言って音楽を切り、趣味の悪いサングラスを頭にかけたオーナーに返した。

すると

 

「どうだった?

アタシのボカロの選曲センスは?

良かっただろう?」

 

その質問にイヤイヤながら黙って頷き、1人、マイクスタンドの前に立った。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ステージに立ち、マイクを取ると同時に飛んできたのは、観客からの罵声や批判の声などなどだった。

 

(まぁ…第2回からタイトル詐欺だ。

突然って言えば突然だな…)

 

そう納得し、裏方に合図を送った。

そして…

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

『コンコン 優しくノックして

乗り込め ココロの奪還戦

妄想ばかりが フラッシュして

加速するパルス 答えはどこだろう

 

さあさあ弱音はミュートして

くだらないことで躊躇して

冗談ばかりね?あっはっは

壊せない壁が キスを迫るでしょう

 

嗚呼、厭 「そんなわけないや」

嗚呼、厭 「わかってくれるでしょ」

その頭を撃ち抜いて

 

終わんない愛を抱いてたくないの

もっとちゃんと不安にしてよ

いないいないばぁで演じて欲しいの

もっとちゃんと応えてよ

 

nanana

「未完成」だって何度でも言うんだ

nanana

NOを空振った愛の中で

 

 

トントン これで御相子って

埋まらない時に篭っちゃって

完全主義はスモーキーに

孤黙する声に目眩とモノトニー

 

Knock knock! Let me go in and get the ace

You'll paint your face with tears that don't feel the same

Now Heart Reinforce's up to end this game

You'd better give up and throw your MP5 away

 

嗚呼、厭 どっちも選んで

嗚呼、厭 どっちも壊して

心の根を引き抜いて

 

不甲斐ない 愛を愛したくないの

もっとちゃんと痛くしてよ

笑えないくらいが きっと樂しいの

もっとちゃんと溶かしてよ

 

nanana

「未完成」だって何度でも言うんだ

nanana

NOを空振った愛の中で

 

 

嗚呼、厭 「そんなわけないや」

嗚呼、厭 「わかってくれるでしょ」

その頭を撃ち抜いて 撃ち抜いて

 

終わんない愛を抱いてたくないの

もっとちゃんと不安にしてよ

いないいないばぁで演じて欲しいの

もっとちゃんと応えてよ

 

nanana

「未完成」だって何度でも言うんだ

nanana

NOを空振った愛の中で

 

不甲斐ない 愛を愛したくないの

もっとちゃんと痛くしてよ

笑えないくらいが きっと樂しいの

もっとちゃんと溶かしてよ

 

nanana

「未完成」だって何度でも言うんだ

nanana

NOを空振った愛の中で

nanana

「未完成」だって何度でも言うんだ

nanana

NOを空振った愛の中で』

 

 

 

 

会場全体を覆い尽くし、観客の心と身体を震わせた歌声でこの一夜は終わる。

しかし、その迷いの無い気持ちとボーカルとしての誇りを乗せた神童の歌声は、この会場にいる人々の心を確実に動かした。

そして盛大な拍手とアンコールが響く中、神童は少し頭を下げてから、最後の演奏を終え、戻っていった。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

各メンバー side 裏方

 

歌を聴き終わり、みんな愕然としていた。

陽菜が歌える事に、ではなく。

たった1分程経っただけで、さっきまで批判や罵倒などで騒がしかった観客席の心を、如月陽菜という人物は簡単に惹き寄せた。

 

何故ならそれは、如月 陽菜というボーカルが圧倒的な才能を躊躇なく発揮したからである。

Aメロの部分で観客の約7割を黙らせ、Bメロの時点でほぼ全ての観客を完全に黙らせた。

 

そして観客はサビの部分で今までに無いくらいに盛り上がり、観客の声よりも神童は、ここにいる全員の心にその歌声を刻み付けた。

 

「すごい…」

 

燐子がそう呟くと、裏方にいる全員がピクッと反応し、夢中になり過ぎていた意識を戻した。

すると

 

「…声域…広過ぎるでしょ…」

 

「…アレは高音と低音の切り替えが速過ぎますよ…」

 

「英語の所、すごいペラペラでしたね…」

 

「その上、あんな大勢の観客の声が、陽菜さんの歌声で掻き消されちゃった…」

 

「陽兄ぃ…すっごいすっごいカッコ良かった!!!」

 

そしてステージから、そのボーカルは戻ってきた。

 

 

 

 

各メンバー side out

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「…あとは任せたぞ」

 

俺は裏方で準備していた香澄ともう1人にそう言った。

 

「うんっ!!

絶対にライブ、成功させるからね!」

 

香澄が満面の笑みを浮かべながらそう言った。

すると

 

「ごめんね。

陽菜くんに歌わせちゃって」

 

声をかけてきた子には見覚えがあった。

どうやら、俺が歌っている間に到着したようだ。

 

「気にしなくていいですよ。

そんな事より、頑張ってくださいゆりさん」

 

「ありがと!

それじゃ、頑張ってくるね」

 

俺は頷き、2組のバンドがステージに立つの見送った。




双海様 猫太様 十字界様
ユーリ@夜桜様 済美平成様
世界の社長様 Tuzura様
まいるど改二様 通行人K様 田中誠司様
護衛しかしない様 クソワロ太鼓様 シュガー8901様
寝眠様 怪盗N様 カナヘビ様
エロ本様 ダイキ・リハヴァイン提督様 十六夜ユウスケ様

お気に入りをしてくださりありがとうございます。
٩(๑❛ᴗ❛๑)۶

では、また次回!
誕生日おめでとう!!!

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