退屈な日々を忘れたい俺がなぜバンドの手伝いをしているんだ......   作:haru亜

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第11話 Roseliaと夏の風物詩

1人、駅前の広場で荷物を持ちながら、日陰に入りゲームをしている。

 

「…また……爆死……」

 

(俺の所に星5鯖は来てくれない…。

何故だ…?

やはり、深夜2時に引かないと…)

 

そんな誰しも一度がこのゲームをやっていて疑問に思った事を真剣に考えていると

 

「おはようございます如月さん」

 

急に声をかけられてビックリしたが、そこには俺とは少し多い量の荷物を持っている紗夜がいた。

 

「!…紗夜か、おはよう。

って言ってももうすぐ昼過ぎるけどな」

 

「そうですね。

…それより、それはゲームですか?」

 

紗夜は俺のスマホの画面を指差した。

 

「ん?ああ、ゲームだ。

1月辺りからちょっとやり始めてな」

 

「赤、青、緑…。

いろんな色のカードが5つ並んでいますが…これはどういったゲームなんですか?」

 

「!!」

 

驚きを隠せなかった。

あの紗夜がゲームなんかに興味を持つとは思っていなかったから。

そして少し紗夜に説明した。

 

説明中……

 

説明中……

 

「…という感じのゲームだ。

まぁ…今は周回してる」

 

「やはり、如月さんもゲームをするんですね」

 

「退屈しのぎにはなる。

でも、紗夜がゲームに興味持つなんて珍しいな。

何かあったのか?」

 

「少し…いえ、かなり前の事ですがゲームをする時がありまして…」

 

「?なんかあったっけ?」

 

紗夜が言っているのはあのデスゲームの事では無いとすぐにわかった。

すると紗夜は少し微笑んでから

 

「ええ。

如月さんが海外に行っていた間に、宇田川さんと白金さんの提案…お願いで、みんなとゲームをする事になったんです」

 

(なにそれ楽しそう)

 

そう思いながらも頷き、話を聞いていった。

少しの間、紗夜はかいつまんで話してくれた。

そして

 

「へぇ、なるほど。

それであの歌詞か。

ていうか、紗夜がゲームなんて思ってもみなかったな」

 

「まったくです。

私もまさかRoseliaのメンバーでゲームをするなんて思いませんでしたから…。

話は変わりますが、少し意外でした」

 

「?何が?」

 

「いえ、こんな事を言っては失礼だと思うのですが…。

正直、如月さんがこんなにも早く来るとは思いませんでした」

 

「…そういう紗夜の気を遣ってたまに優しくなる所、嫌いじゃない」

 

「た、たまに、とはなんですか!」

 

サッと目を逸らした。

すると目を逸らした先に、見覚えのある2人組がこちらに来ていた。

 

「あ、ちょ、ちょうど2人も来たみたいだな」

 

若干横からの視線が気になったが、次の瞬間

 

「陽兄ぃー!」

 

「その荷物でタックルはやめッグァ!」

 

止める前に腹へと一撃。

 

「今日はいっぱい楽しもうね!」

 

悪意は無い。

今の行動を起こしたあこの心に悪気なんてモノが無いことは理解している。

なので下から覗き込み、満面の笑みでいるあこに

 

「おう……そうだな……」

 

と、弱々しい声で返すしか無かった。

すると向こうから燐子が駆けてきた。

 

「はぁ……はぁ……。

ま、待って……あこちゃん……」

 

「ああっ!ごめんりんりん!」

 

そう言ってあこは離れて燐子に寄り添った。

 

(あの距離でバテてるけど大丈夫か……)

 

そう思いながら、少し汗をかいている燐子を見て

 

「夏だからあんまり走らない方がいいぞ。

ほれ、水」

 

「そ、そんな……!

だ、大丈夫です……自分の水筒を持ってきましたから……」

 

そう言って燐子は自分のカバンの中を漁った。

 

「ん?そうか」

 

納得して水をカバンに直すと

 

「あっ…」

 

「?どうしたの?りんりん」

 

「水筒……置いてきちゃった……」

 

「ほれ」

 

再度カバンから水を取り出した。

 

「これ……いただいてもいいんですか……?」

 

「別に構わん。

それより燐子が倒れたら困る」

 

「あ…ありがとうございます…」

 

そして水を燐子に渡すと紗夜が

 

「あなたも優しくなるじゃないですか」

 

「…お互い様ってことで」

 

そして少ししてから友希那とリサも来たので、そのまま駅のホームに向かい、しばらく電車に揺られた。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ついに」

 

「やってきた」

 

「トコナッツパーク♪♪」

 

中に入った直後、楽しそうにしているリサとあこ。

そして歩いていくとトコナッツパークにある大きなアトラクションや広いプールが見えてきた。

 

「へぇ…広いなぁ……。

とりあえず、更衣室向かうか」

 

すると

 

「……もしかして、水着が必要なの?」

 

『えっ!?』

 

「…もしかして友希那。

水着持ってきてないの?」

 

「…ええ。

トコナッツパークがどんな所なのか知らなかったもの」

 

「ウォーターアトラクションがいっぱいあるって言ったと思うんですけど…」

 

「よく聞いていなかったわ…」

 

「でも友希那どうするの?

水着が無かったらココほとんど楽しめないよ?」

 

「気にしないで。

元々水着になるのは苦手だから、私は濡れない所にでもいるわ」

 

と友希那は言うので

 

「紗夜」

 

「ここから少し歩いた所にショップがあります」

 

「じゃあ行くか」

 

「はい。

私もそのつもりです」

 

そして紗夜との会話を終えると友希那は察したようで

 

「ちょ、ちょっと2人とも。

私は水着になるのは苦手だって…」

 

「いいから、独りの奴を見るのは俺が嫌なんだよ」

 

「!ちょ、ちょっと待って…!

それを如月が言うのは」

 

そして紗夜の案内通りショップに向かった。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ショップ

 

来て店の中を歩き回ると良い物を見つけた。

 

「あっ…これいいな…」

 

そう言って手に取り、すぐさま会計を済ましてみんなの所に戻ると

 

「これにするわ。

ありがとう燐子」

 

「いえ……お役に立てたなら……良かったです……」

 

すると水着が決まったらしく、友希那は会計を済ませに行った。

 

「もう決まったのか」

 

「あっ!陽菜。

どこに行ってたの?」

 

「ちょっと店の中を歩き回って、買い物を済ませた所だ。

それより、友希那の水着は決まったんだな」

 

「?うん、燐子が選んでくれたみたいでね。

それに、その水着がすっごく友希那に似合いそうでさ♪」

 

「へぇ、燐子が選んだなら大丈夫だな」

 

すると本人には聞こえてたらしく

 

「そ、そんな……わたしなんて……」

 

燐子は少し赤くなりながらそう言った。

すると

 

「買って来たわ」

 

友希那が戻ってきたので、プールサイドに戻って行った。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

更衣室に向かっていると、アトラクションなどが載っている案内板があり、それをみんなで見ていると

 

「この真ん中にあるのは湖…かしら?」

 

そう言って友希那は地図の真ん中を指差した。

するとあこが

 

「これは夜しかやらない水上ショーですっ!

去年はあこ見られなかったんですけど、遠くから観てもすごく綺麗になんかこう…すごくピカピカって光ってました!」

 

「そうなのね。

この…温泉プールは、燐子が好きそうね」

 

友希那がそう言うと燐子は

 

「は、はい……他の場所より静かな感じがして……気になっています……」

 

「そうだと思ったわ。

あこが好きそうなのは…このウォータースライダーかしら?」

 

「はいっ!

この前行った時は混んでて乗れなかったから、今年こそは絶対に乗りたいですっ!」

 

「そうなると…どこから回ったらいいのかしら?

時間的に空いている方?

それとも、人気のあるアトラクションから?」

 

そう言われて少し悩んでいると

 

「では、今からアトラクションの優先パスを取ってからレストランの予約をしましょう。

因みに、レストランエリア南には高校生にも手頃な価格のレストランがありますし、パーク内を見渡せるテラス席があり、楽しめそうなのでレストランはそこでよろしいですか?」

 

「…ああ。

俺はいいぞ」

 

「あ、あこも賛成!」

 

「わかりました。

それと、このあと乗るアトラクションの順番ですが、この時間帯はウォータースライダーかウェーブプールが空いているはずなので、パスを取ったら先に回りましょう。

白金さん希望の温泉プールは合間の休憩がてら疲れたら行くのがいいと思います。

白金さんはそれでも構わないかしら?」

 

「は、はい……」

 

「異論が無ければこのまま進めますが、よろしいでしょうか?」

 

そして誰もが思った事を聞いてみた。

 

「ええと……紗夜はここに来た事があるのか?」

 

「?ありません。

パーク自体初めて来ます。

ですから、ここに来る準備をする際に、先に押さえておきたい所と人の空いている時間帯などを少し調べました」

 

「それをちょっと調べただけで覚えたのか…」

 

「?重要な事は覚えておくでしょう?

とりあえず、今からパスを取りに行きましょう」

 

見事な計画が紗夜の中では出来ているらしい。

そして、紗夜が改めてスゴイとわかった。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

更衣室

 

優先パスは人数分取れて、そのまま更衣室で別れた。

着替え終わり、荷物を物色していた。

 

「…確か空気入れは外にあったよな…」

 

独り言を言った後、外に出た。

着くとどうやら紗夜とあこ以外はまだらしく

 

「如月さん。

…水着まで黒色にする必要はあったんですか?」

 

「?黒は目立たないイメージがあるから選んでる」

 

「陽兄ぃ、いっつも暗い色の組み合わせが多い気が…」

 

「たまたま俺の目に映ったのがコレだったんだよ。

ていうか、水着を言うなら2人も…いや、なんでもない」

 

「えっ!?

陽兄ぃ、水着の感想無いの〜!?」

 

露骨にがっかりするあこ。

そしてその横で何も言わずに視線をこちらに向けている紗夜。

 

(何故……水着の感想など……)

 

すると紗夜が

 

「まぁ、水着に感想を述べるのは、作ってくれたデザイナーの方々にお礼を言っているようなものですから、私は水着の感想をどう言われようが何も思いません」

 

「うむ…。

紗夜はなんだかんだ言ってその水着似合ってるし、可愛いから特に問題は無いだろ」

 

「っ…か、かわいい……?」

 

ハッ!

 

となった頃にはもう遅く、一瞬にして紗夜の顔は真っ赤になった。

 

(やばい…怒らせたかな…?)

 

そう思っていると、少し薄く赤面している紗夜が

 

「あ、あまり人前でそういう事は言わないでください」

 

「あっ、なるほど。

人前じゃなかったらいいんだな?」

 

「怒りますよ?」

 

「す、すまん…」

 

するとあこが俺の左腕を掴んで

 

「ねぇねぇ陽兄ぃ、あこは〜?」

 

「あこは紫とか似合うからな。

そういう白と紫の水着は良いと思う。

それに、その紫リボンもあこに似合ってるぞ」

 

「えへへっ♪

ありがと陽兄ぃ!」

 

「どういたしまして」

 

「あっそうだっ!

あこと一緒にアトラクションの先頭に座ってよっ!」

 

「えっ…」

 

そしてそのままあこに連れられ、休憩する暇も無く、アトラクションに乗っていった。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

大きなプール

 

「はぁぁ……どっと疲れた……」

 

(あこがすごい…。

あれだけアトラクションで遊んだのに、まだ体力があるとは…)

 

先程、燐子と紗夜はアトラクションに疲れたらしく、向こうで休んでいる。

そして俺は浮き輪に乗って雲1つない青空を見上げていると何か浮き輪にぶつかった。

 

「「?」」

 

横を向くと、可愛い猫の顔がまばらに描かれた浮き輪に乗りながら、くつろいでいる友希那がいた。

すると

 

「…こういう時間も、思ったよりは良いわね…」

 

「そうだな…」

 

「寝てはダメよ、如月」

 

「…ああ……わかって……る…」

 

「!ちょっと如月。

起きなさい」

 

「……こんな日向で寝れるなら……本望だ…」

 

そう言うと、浮き輪が左右に揺れて段々と大きくなっていった。

 

「って、揺らすな揺らすな…」

 

「?私は揺らして無いわよ?」

 

「えっ?」

 

目を開けてみるとそこには、あことリサがいたずら顔で浮き輪の端を掴んでいた。

そしてこの後何をされるか悟った俺は

 

「ちょまっ」

 

「「そーれっ!」」

 

「てっ!」

 

ザバァン!!

 

容赦なく浮き輪から落とされた。

 

「ぶはぁ!?」

 

海面から飛び出した。

そしてニヤニヤしている2人に向かって

 

「人がゆっくりしてるというのに……」

 

「だってこのままだと陽兄ぃ。

本当に寝ちゃいそうだったもん!」

 

「てことで、陽菜もビーチボールで遊ぼうよっ♪」

 

「てことで、の意味がわからん…」

 

「ほーら!早く早く!」

 

(まったく…子どもみたいだな…)

 

「へいへい。

じゃあ3人でやるか」

 

すると

 

「ちょっと、どうして私を誘わないの?」

 

「なん……だと……!?」

 

思わず驚きの声を漏らした。

何故なら、先程まで可愛い猫の顔がまばらに描かれた浮き輪でぷかぷかと浮いていた友希那がやる気を出していたからだ。

 

「ど、どうした友希那…」

 

「何故そんな驚いた顔をしているのかしら…」

 

「友希那ってこういうのはあんまり好きじゃなさそうだったから、意外だった」

 

「普段は興味無いけれど、今はあるの」

 

「そうか…」

 

(何が目的なんだ…。

……もしかして友希那は……)

 

そこで考えをやめて、とりあえずビーチボールに友希那も参加する事になった。

 

「?如月、どうしたの?」

 

「…なんでもない。

それよりリサ達が向こう行ったから、そのまま運ぶぞ」

 

「えっ、えっ!?

ちょっと如月!?」

 

「行くぞー」

 

そう言って友希那を浮き輪に乗せたままリサ達の所に向かった。

 

「あれ?友希那もやるの!?」

 

「本人がやりたいんだと。

それと燐子と紗夜は向こうで休んでる」

 

驚くリサにそう言うと、リサは更に驚き

 

「えっ!?

友希那ってこういうのは興味無いんじゃ…」

 

「別に、私も参加して構わないでしょう?」

 

「う、うん!もちろんだよっ!

じゃあ専攻はあこからね♪」

 

リサがそう言うと、あこは待っていたかのように、いや、待っていたようで

 

「ふっふっふ、見るがいい。

暗黒の力をまといし我が魔球を…!

必殺!スーパーダーク……えっと、ウルトラミラクルボールっ!」

 

(そういえばアレって燐子が考えてるんだよな…。

なんだろう……不思議と違和感が無い…)

 

そして投げられた球……魔球は友希那の元に飛んで行った。

次は俺の番なので準備していると

 

「このボールを如月の方に……それっ!」

 

「「あ!?」」「おっ」

 

盛大に空振った。

友希那は、自分の手がボールに届く前には、もう既に振り切っていた。

 

(うむ……なんて言えばいいのだろうか……)

 

そう思っていると

 

「思いっきり空ぶった……」

 

「ビックリするぐらいタイミングあってなかった……」

 

(おお……俺が敢えて言わなかった事を……。

さすがです…)

 

すると友希那がボールを持って

 

「……狙いは良かったのだけれど、水の中で動きが鈍ってしまったわね」

 

「……」

 

ボールをジッと見ながら言う姿に、何も言わずにそっとしておいた。

 

「今度は私から投げるわ。

如月、しっかり構えなさい」

 

「へいへい」

 

「……それっ!」

 

ポチャン

 

ボールは友希那の手前から少し進んだ所に落ちた。

 

「……陽兄ぃのとこまで全然届いてない」

 

「あこ、それ以上はやめとこう…」

 

右隣にいるあこにそう言ってから友希那の方を見ると、友希那はボールを拾ってから

 

「ごめんなさい。

手が滑ってしまったみたい…」

 

「あ、ああ。

そうだな」

 

「も、もう一度やらせてちょうだい。

次はしっかり投げるから…!」

 

そう言って友希那はボールを上に上げた。

 

「ん?」

 

「…それっ!」

 

「ちょっ!?」

 

俺が止める前に、友希那はボールを打った。

そう、打ったのだ。

そしてそのボールは俺の顔へとクリーンヒットした。

 

(……誰が殺人スパイクを打てと……)

 

そんな思考と共に、再びプールへ後ろ向きに倒れた。

 

「ああっ!陽兄ぃ!」

 

「如月っ!?」

 

そして少し時間が経ち、リサがみんなの分、飲み物を買ってくると言って、紗夜はそれについて行った。

それからしばらくして

 

「…リサ達遅いわね」

 

「…確かに…」

 

「何かあったのかしら…?」

 

「いやいや、まさかそんな事あるわけ…」

 

「そう言いながら、探す準備をしているのは誰かしらね」

 

「うっ……」

 

コッソリとプールサイドに近づいていたのがバレた。

そして

 

「とりあえず、友希那は燐子とあこを見ててくれ。

気になるから行ってくる」

 

「ええ」

 

そしてリサと紗夜を探しに行った。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

リサ side

 

紗夜と一緒に頼まれたジュースを買ってきた。

すると前から

 

「おっ!ねぇねぇ!

そこのジュース持ってるお嬢さん方、暇なら俺達と遊ばない?」

 

「えっ…!?」

 

男2人組が前への道を塞いでいる。

 

「なぁ、いいだろ?

ちょっとくらい俺達と遊ぼうぜ」

 

(あちゃー、これナンパだ…。

どうしよう…)

 

そう思っていると紗夜が

 

「すみません。

先を急いでいるので」

 

そう言って紗夜は通り過ぎて行こうとした。

けれど

 

「おっと。

まぁまぁ、いいじゃんちょっとくらいさ〜」

 

そう言って痩せた男は紗夜の行く手を阻んだ。

すると先程の店の店員さんが来て

 

「あの…他のお客様にも迷惑なのでそういうのは…」

 

「うるせぇ!!

部外者は引っ込んでろ!」

 

厳つい男と痩せた男の2人のうち厳つい男が店員に叫んだ。

そして痩せている男はこっちを見て

 

「で?どーなの?

俺達と遊ぶの遊ばないのどっち?

俺待たされんの嫌いなんだけど」

 

男はそう言うとアタシの手首を強く掴んだ。

 

「いたっ…!?」

 

手から飲み物が落ちたその瞬間

 

「奇遇だな。

俺も友人が邪魔されて、そのせいで待たされるのは嫌いなんだ」

 

刹那、痩せた男は地面に叩きつけられた。

 

「えっ…あ、あれ?」

 

いつの間にか、気づくと手首から男の手は引きはがされていた。

 

「はぁ…まったく……見に来たらこれだ…。

リサ、紗夜大丈夫か?」

 

その声を聞いて心の底から安心出来たと同時に驚きもあった。

 

「陽菜!?」「如月さん!?」

 

紗夜と同時に驚くと陽菜は男を押さつけたまま

 

「リサ。

ちょっと手首見せてみろ」

 

「えっ、うん…」

 

男に掴まれた方の手首を見せた。

それを見て陽菜は

 

「…何も痕は無いな。

痛く無いか?」

 

「う、うん…」

 

(あっ…陽菜、心配してくれてる)

 

「そうか…」

 

陽菜はそう言うと男の手を離した。

それと同時に男は立ち上がって

 

「お前…さっきの俺達が言った事忘れたのか?ああ!?

部外者は引っ込んでろって言ったよなぁ!?」

 

「お前こそ、今の会話聞いてなかったのか?

どう考えても身内だろ」

 

「知るかよ!!」

 

厳つい男がそう言うと2人の男は陽菜に殴りかかろうとした。

しかし、陽菜は動じる事もなく

 

「襲いかかるなら、場所を考えた方がいいぞ。

だって…」

 

襲いかかる2人。

そして陽菜がほぼ同時に

 

「ここ…プールサイドだから」

 

「「ぐわっ!?」」

 

男達は滑ってこけた。

そして男達は立ち上がると共に男女2人組の警察が来た。

 

「警察の者です。

タチの悪い男達が暴れていると通報がありましたので。

あなた達は大丈夫でしたか?」

 

そう言って女性の警察官は聞いてきたので頷いた。

 

「良かったです。

それで、男達とはこの人達の事ですか?」

 

そう言って男達の方を指差した。

 

「は、はい」

 

「わかりました。

すぐに連れて行きますのでご安心を」

 

すると男女2人組の警官が手錠を取り出して

 

ガチャ

 

ガチャ

 

ガチャ

 

3人分の手錠をかけられる音がした。

 

(あ……れ……?)

 

すると

 

「ん?え?ちょっ!」

 

「こらこら暴れない。

君も一緒に来るんだよ」

 

「なんでや工藤…」

 

「私は工藤では無い」

 

「違うそうじゃない!

俺は暴れてない!」

 

「?でも、通報にあったのは厳つい男と痩せた男、それと目つきの悪い男だったよ?」

 

「俺をカウントしてどうする!?」

 

陽菜と警官のやり取りを見てアタシは

 

「す、すみません!

その人は、アタシ達の友達です!」

 

「えっ?この人が?」

 

「はい!」

 

「なんだ、そういうこと。

悪かったね」

 

警官はそう言うと陽菜の手錠を外した。

そして警官2人は男2人を連れて行った。

すると

 

「これは酷い……」

 

「あはは…」

 

「まぁいいや。

そろそろ友希那達も心配するだろうから零した飲み物の分も買って戻るか」

 

陽菜はそう言うと紗夜が持っていた飲み物を1つ取った後、ドリンクショップで飲み物を買い、そのまま一緒に友希那達の所へと戻って行った。

 

 

 

 

リサ side out

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

(まったく……酷い目にあった……)

 

そう思っているとリサが

 

「ありがとねっ♪

陽菜、心配して来てくれたんでしょ?」

 

「……ちょっとくらい手伝わないと、って思っただけだ」

 

「あはは☆

陽菜は素直じゃないよね〜」

 

「…ほっとけ。

元からこんな性格だ」

 

「ふ〜ん…。

あっ!そうだっ♪

今更だけど、どう?この水着似合ってる?」

 

「今更な上、唐突だな」

 

本当に唐突だったので、つい口から出ていた。

すると

 

「いいじゃんっ♪

ほ〜ら〜、どう?」

 

「はぁ…」

 

(これは引き下がりそうもないな…)

 

そう思った俺は少し迷ったが

 

「まぁ、ナンパされるくらい可愛い」

 

「へっ……?」

 

そんな声が聞こえると共に、見る見るリサの顔は赤へと変わっていき、最終的にはボンッとなった。

すると完全に赤くなったリサは

 

「あ、えっと…その……なんていうか……予想の範囲外だったよ…」

 

「あー……えと…因みに答えはあるのか?」

 

「答えは無いけど…。

予想じゃ、陽菜ははぐらかすかなぁ〜って…あはは☆」

 

(そっちが答えじゃないか…!!!)

 

地に伏して後悔していると

 

「陽菜さん……?

ど、どうしたんですか…?」

 

燐子が左手で髪を耳にかける仕草をしながら、覗き込んでいた。

 

「…いや、ちょっと疲れただけだ」

 

「?」

 

燐子が不思議そうな顔をしていると、またしてもリサが

 

「そ、そうだっ!

せっかくだし、燐子も陽菜に水着の感想、言ってもらおうっ!」

 

リサはまだ少し顔が赤い。

 

「えっ…!?

み、水着……ですか…?」

 

「うんっ♪」

 

「それは俺の言葉のセンスが試されてるんだけど?」

 

「陽菜なら、大丈夫大丈夫♪

燐子もそう思うでしょ?」

 

「えっ…!?

は、はい……陽菜さんになら大丈夫だと……思います……」

 

2人にそう言われて少し悩んだ後

 

「…わかった…。

でも、俺が言った事は大体スルーしてくれ」

 

「はい…」「うんっ♪」

 

スルーする気が無い、明るい表情をしていた。

 

「…そうだな。

燐子は見た目と性格からして優美さを感じる。

燐子の水着は控えめな部分もちゃんと出てる。

それに、淑やかさもあって、まぁ、言ってしまえば日本女性の見本になって欲しい」

 

すると

 

「…………」

 

「あれ?燐子?」

 

近づいてみると小さな声で

 

「あわぁ…わわ……わわ…」

 

燐子の赤くなった顔からは湯気が出ている。

 

(スルーしてくれと頼んだはずだが……)

 

そう思っているとリサが

 

「ねぇ陽菜?

アタシの時は感想、そんなに長くなかったな〜」

 

「うぐっ…まぁ、そこは気にしない、って事で」

 

「あはは☆

そういう事にしておいてあげる♪」

 

「そうか」

 

と返して向こうを見るとスライダーのアトラクションで何か大きな円盤のようなモノが落ちて行った。

すると

 

「陽兄ぃ陽兄ぃ!

次は待ちに待ったウォータースライダーだよっ!

早く行こっ!」

 

「あ、ああ」

 

そしてあこに連れられて、ウォータースライダーの所まで来たのは良かったが

 

「うむ……5人乗りか…」

 

「これじゃあみんなで乗れないよ〜…」

 

がっかりするあこを見て

 

「…燐子は乗ってみる気はあるか?」

 

「えっ…!?」

 

「俺ちょっと疲れたから、乗れたら代わりに乗ってくれ」

 

そう言うと燐子は何か悩んだ後

 

「は、はい…!

乗ってみたいです…!」

 

「それじゃあ決まりだな。

5人で楽しんで来い。

俺は下で見てるから」

 

そうして5人を送り出した。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

そしてしばらくして聞き覚えのある声で悲鳴が聞こえた。

するとみんなは帰ってきて

 

「こ、怖かった〜…!!」

 

リサがそう言うと紗夜が

 

「あんな危険なアトラクション……ちゃんと認可は下りてるのかしら!?」

 

珍しく紗夜はお怒りの様子。

そして

 

「燐子はどうだった?」

 

「えっと……今は……頭が真っ白で……」

 

「よく頑張った。

友希那とあこは…平気そうだな」

 

「なかなか刺激的で面白かったわ」

 

「あこもあこもっ!

後で一緒に陽兄ぃも乗ろうねっ!」

 

「わかった」

 

そしてしばらくみんな自由に遊んで行き、夜になると紗夜オススメのレストランで食事をした。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

中央の湖 夜

 

水上ショーが始まるまでほんの少し時間があった。

そして一足先に着いた俺は辺りが暗い中ベンチに座っている。

 

(やっぱり、今日の出来事はRoseliaにとって、良い影響だっただろうな)

 

そう思いながら、真っ暗な湖を見つめていると頰がヒヤッとした。

 

「っ!」

 

「これ、あなたにあげるわ」

 

気づくとそこにはジュースを持った友希那がいた。

 

「…ベタな事を…」

 

「隣、いいかしら?」

 

「どうぞ」

 

「ありがとう」

 

そう言って友希那はベンチに座ると

 

「あなた、今日は大変だったようね」

 

一瞬、何のことかわからなかったが、今日あった事を思い出し

 

「リサ達のナンパの事か。

まぁ、確かにあれは酷かった…」

 

「水着まで黒色にしているからじゃないかしら?」

 

「そ、そこは関係ないだろ…。

ていうか、それ言ったら友希那だって黒い水着じゃねぇか」

 

「私は別に警察に捕まるような事はしてないもの」

 

「俺だってしてねぇよ…」

 

そんな会話をしていると

 

「そういえば、リサ達の事なのだけど。

あなた、水着の感想を言っては照れさせているみたいね。

それも4回も。

一体どういうつもりかしら?」

 

「聞いてくれ。

別に他意はなかったんだ。

俺は思った事を伝える、という事を実現しただけだ…。

そしたら何故か…」

 

「何故か?」

 

「みんなが照れて…イタダ!?

痛い、それ地味に痛い!」

 

俺の二の腕をギュッとつまむ友希那。

すると友希那は手を離し

 

「如月はそういう所があるから、油断も隙もあったものじゃないわね」

 

「ほっとけ…。

それより、今日はずっとRoseliaの事を考えてたみたいだけど、何か見つかったのか?」

 

「っ!」

 

何故それを知っているのか、という顔をしている友希那。

 

(やっぱり考えてたか…)

 

そう思っていると

 

「ええ。

わかった事はとても些細な事だったけれど、知った気にはなりたくないの。

…同じ過ちを2度も起こす訳にはいかない」

 

「…あんまり焦るなよ」

 

「わかってるわ。

それに、あなたに心配される程、私は弱くないわよ」

 

「はは…そうか。

友希那はちゃんと自分の意思で動いてるからな。

…でも、気をつけろ」

 

「?」

 

「いつか、周りに与えられた影響でやってる事が自分の意思じゃなく、他人へと向けられたモノになる時がある。

その時は」

 

すると

 

『レディースアンドジェントルメン!

トコナッツパークへようこそ!』

 

どうやら、水上ショーが始まるようだ。

そして浮き出てきた船がライトアップされ、その上で数人のダンサーが踊っている。

すると

 

「おーい!2人ともー!」

 

南レストランがある方角からリサの声が聞こえ、見てみるとリサ達がこちらに来ていた。

 

「もー、2人とも勝手にどっか行かないでよー!」

 

リサにそう言われて『ごめん』と返した後、水上ショーをよく観れる場所へと移動した。

そしてその景色を眺めていると

 

「如月。

さっきの続き、聞かせてもらえるかしら」

 

「?…ああ、あれか」

 

「周りの影響で自分が変わってしまった時はどうすればいいの?」

 

「…変わった事にすら、本人は気づかないかもしれないけど…。

とりあえず、もし変わってしまった時にどうすればいいか。

それはまず、自分は何をしたかったか、自分は何者なのか。

まぁ、要するに、原点を見つけるんだ」

 

「原点…」

 

「ああ。

基礎は大事、って言うだろ?」

 

「…そうね」

 

「うむ」

 

「そういえば如月。

私の水着、まだ感想を聞いていなかったわ」

 

「えっ?」

 

「だってあなた、他のメンバーには感想を言ってるのに、私にだけ言わないのは不公平よ」

 

「えぇ…。

ん?確かに筋は通ってるけど、感想って聞く必要無いよな…。

ていうか、なんで友希那はわざわざ俺に」

 

「そ、それに!

第三者の視点からも意見を聞きたいと思っていたの」

 

「うむ…」

 

なんか取ってつけたような感じもしたのだが、そんな事を気にしても仕方ないので

 

「じゃあ、言うけど友希那は」

 

するとまたしても神のいたずらか

 

ドーンッ!!

 

盛大な花火の音で声が掻き消された。

すると花火の光で辺りが照らされた。

 

「綺麗だな…」

 

「ええ…。

夏の風物詩ね」

 

「…やっぱり綺麗だな」

 

「?なぜ、同じ事を2回も言うの?」

 

「えっ!?

いや、なんでもない。

気にするな」

 

「?」

 

友希那は不思議そうな顔をした後、『あっ』と小さな声を漏らすと

 

「〜〜〜〜っ!」

 

すると友希那の顔は一瞬にして熟したトマトのようになった。

 

「はは…」

 

(気づいたか…)

 

そう思いながらも友希那の顔はそれ以上見ずにパレードの方へと目を向けた。




オジマンディアス様 リュウティス王子様
kyosyou様 Earl grey様 連夢様

sans様 きカイ様 双海様
猫太様 十字界様 ユーリ@夜桜様
済美平成様 世界の社長様 Tuzura様
まいるど改二様 通行人K様 田中誠司様
護衛しかしない様 クソワロ太鼓様 シュガー8901様
寝眠様 怪盗N様 カナヘビ様
エロ本様 ダイキ・リハヴァイン提督様 十六夜ユウスケ様

ご、5人も増えた…!?∑(゚Д゚)
毎度言ってますが、本当に嬉しいですありがとうございます!!

では♪( ´▽`)
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