退屈な日々を忘れたい俺がなぜバンドの手伝いをしているんだ......   作:haru亜

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今回は、ちょっとオマケ含めての回にしてみました。
( ̄▽ ̄)
それではどうぞ

ゴホッゴホッ!






第21話 鈍感男と歌姫 〜文化祭の2日目〜

ピンポーン 〜11時30分〜

 

「へーい…」

 

ガチャ

 

やる気の失った声でドアを開けると冷たい風が通ると共に

 

「あら、起きていたのね」

 

そこには、私服姿で黒いヘアピンをしている友希那がいた。

 

(珍しいな、友希那がヘヤピンなんて…。

まぁ、いいか)

 

すると

 

「如月。

文化祭に行きましょう」

 

「……行かない」

 

すると友希那は何か考えてから

 

「………そう。

なら、家に上がらせてもらっても良いかしら?」

 

さすがに、2度も断れない。

 

「……わかった…」

 

そうして友希那を中に入れた。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

リビング

 

先にはちみつを入れ、紅茶をトポトポと注ぎ、スプーンでかき混ぜて、はちみつティーを作った。

ついでにココアも

 

「ほい」

 

はちみつティーを友希那の前にあるテーブルに置いた。

 

「これ…」

 

「?それ好きじゃなかったっけ?」

 

「…いいえ、ありがとう」

 

「ん」

 

ココアを飲むと身体が温まる。

そして

 

「あー…あったかい…」

 

「そんなに寒いかしら?」

 

「ちょっと寒い。

今年の冬を乗り切れる気がしない」

 

「大げさね。

そんなに寒いなら、何か温かい物でも食べたらどうかしら?」

 

「あー…そうだな。

そろそろ昼か…」

 

友希那は、はちみつティーをひと口含むと

 

「それで、何を作るの?」

 

「んー…」

 

キッチンへ行き、冷蔵庫を開けると

 

「げっ…」

 

「?どうしたの?」

 

「ご飯作れる材料が無い…」

 

「そう。

……なら、文化祭に行きましょうか」

 

「どうしてそうなった」

 

「文化祭にも、色々と食べ物があるでしょうから。

それに、今日は放課後にミーティングがあるのだから、変わらないでしょう」

 

言われてみれば、それもそうだな、と思ったので行く事にした。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

学校 校内

 

 

(にしても…友希那が文化祭に誘うなんてな…)

 

なんて思いながら校内を見て回っていると

 

「そういえば…。

あなたのスマホが鳴っていたようだけれど、どうして出なかったの?」

 

「スマホ?」

 

「ええ。

さっき、少し震えていたわよ」

 

「気づかんかった…」

 

そう言いながら、スマホを見るとかなりのメールが届いていた。

 

「あぁ…」

 

「それだけの量、どうやったら気づかないのかしら…」

 

横から肩をくっつけて覗く友希那。

ふわりと、癒されるような良い香りが漂ってきた。

 

(?シャンプーでも変えたのか…?)

 

そう思ったが、興味無かったので聞かなかった。

 

「?どうしたの?」

 

「いや、なんでもない。

それよりも…送ってきたのは、日菜か」

 

そう言ってメールを開いて内容を見た。

その内容は

 

『今日はお手伝いでメイドやってるから、絶対に来てね♪』

 

すると友希那は

 

「…あなた、メイドが好きなの?」

 

不思議そうな顔をして聞いてきた。

 

「変な誤解をしないでくれ…。

あれだ、俺らのクラスはメイド喫茶だから。

ただ来て欲しいんだろ…」

 

「…そう。

なら、行きましょうか」

 

そう言って友希那は歩き出した。

 

「………行くのか…」

 

そして3階へと向かった。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

2ーB 教室

 

昨日のゲームフロアとは別の場所のように、3階は食べ物屋などに変わっている。

すると

 

「如月は、この中ならこれが好きかしら?」

 

そう言ってメイドカフェのチラシメニューに書いている白玉あんみつを指す。

 

「好きだな」

 

すると友希那は少し嬉しそうにして

 

「…あと、コレとコレも好きかしら?」

 

友希那はココアとコーヒーを指差した。

そして、またしても

 

「正解だ」

 

「ふふ、また当たったわ」

 

(嬉しそうで何よりです)

 

と考えていると

 

「あっ!陽菜くん!」

 

そんな声がして、入り口の方を見た。

 

「ん?」

 

黒いワンピースに、2つのポケットが左右に付いてある白いエプロンを上から身につけ、フリル付きのカチューシャを付けている。

よく聞く『メイド服』を着た日菜であった。

 

「…ちゃんと来たぞ」

 

すると日菜が

 

「うんっ!ありがとっ♪

あれ?リサちーはどうしたの?」

 

「?俺と友希那だけだが…」

 

「友希那ちゃんと……2人っきり…?」

 

「?ああ、そうだけ……どっ!?」

 

日菜が、うるうると涙目で見つめてくる。

 

「陽菜っ…くんっ…?」

 

「え……いや…あの…」

 

すると周りがざわざわし始めた。

これはマズイと思った瞬間

 

「日菜?

何か…誤解していないかしら?」

 

「えっ…?」

 

「私と如月は、ただ文化祭に来ただけよ。

別に…特別な事なんて…何も無いわ」

 

「……ほんと?」

 

「ええ」

 

「ほんとにほんと?」

 

「…ええ」

 

友希那がそう言うと日菜は、パアッと明るくなって弾んだ声で

 

「そうなんだっ!」

 

なんとか、何かの誤解は解けたようなので

 

「それじゃあ、俺らは中に入るぞ」

 

「お客さんなら、こっちだよ〜♪」

 

そう言って案内された。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

広い教室の中には、メイドが5,6人程いた。

白玉の注文はもう済ませてある。

 

テーブルには、コーヒーが2つあり、片方はスティックを何本か入れている。

 

(あのメイド、接客上手いなぁ…)

 

なんて考えながら、ボーっと見ていると

 

ギュウッ

 

「いらいっ…」

 

「如月?

どこを見ているの?」

 

前から友希那に引っ張られた。

 

「すまん…」

 

パッ

 

「目が勝手に」

 

ギュウッ!

 

「痛い…」

 

「他の子ばかり…あまり見ないで」

 

「?なぜ?」

 

ギュウッ

 

「いいから。

ちゃんと前だけ見ていなさい」

 

すると

 

「はいっ☆白玉あんみつだよっ♪」

 

日菜がそう言って3つ分持ってきた。

そう、3人分。

 

「……なんか1個多い気がする」

 

「?あたしも一緒に食べるよ?」

 

日菜はそう言って、左隣に座った。

 

「?料金は?」

 

「?陽菜くん持ち」

 

「予想してたけど、なんでだよっ!」

 

「だって、メイドさんと一緒に食べたかったら、その分のお金も払わないといけないんだもんっ♪」

 

「おいちょっと待て。

メイドと食べたいなんて一言も」

 

ぱくっと一口食べるメイド日菜。

 

「あっ…」

 

「大人しく諦めたらどうかしら?

…はむ」

 

「そーそー♪

何事も諦めが肝心だよ陽菜くん!

…はむ」

 

「美味しそうに食べやがって…」

 

とはいえ、もう食べてしまっている日菜。

 

「はぁ…仕方ないか…」

 

2人に言われた通り、諦めて食べようとすると

 

「……おうおう。

俺の白玉消えてんぞ…」

 

餡子とクリームくらいしか残っていなかった。

そのクリームも、上がえぐり取られたみたいになっている。

 

そして犯人は…

 

「んー?どしたのー?」

 

()()を食べている日菜。

 

「あっ、それ俺の白玉だね、うん」

 

「このお餅、餡子付けたら美味しいね♪」

 

「俺はわかりませんね…」

 

「もー、仕方ないなー。

あたしの分あげるからっ♪」

 

そう言うと日菜はスプーンで白玉を救い、こちらに向けてきた。

 

「はいっ、あ〜ん♪」

 

「「なっ…!?」」

 

「ほーらっ!

早くしないと落ちちゃうよ?」

 

日菜のいたずら顔で究極の選択を迫られる。

 

白玉は食べたい。

しかし、相手はアイドル。

 

さすがにこれを食べたら、さっきから見てる周りの客に、口コミで殺される。

 

(なんという選択…!)

 

すると

 

「如月…!」

 

引っ張られて友希那の方を向くと

 

「えっ?

むぐっ…!?」

 

口の中にスプーンを突っ込まれ、すぐに抜かれた。

 

「!」

 

(これは…)

 

口の中に餅の感触がある。

すると友希那が

 

「こ、これでいいでしょう…」

 

(白玉美味しい…)

 

そして顔が半分紅くなってる友希那に日菜が

 

「ねーねー♪友希那ちゃん」

 

名前を呼ばれて友希那は口に運んでいたスプーンを止めた。

 

「?何かしら?」

 

「そのスプーンで食べたら間接キスだねっ♪」

 

「っ!!」

 

自分でやった事を思い出して

熟したトマトのように、耳まで真紅に染め上げた友希那は

 

「別に…そんな子供みたいな事。

気にするわけないでしょう…」

 

言動に動揺を見せつつ、スプーンを持った手を止める友希那。

で、とうの間接キスされた本人は

 

(甘い物とコーヒーは合うな…)

 

間接キスという言葉すら頭に浮かんでいない。

 

 

〜〜数分後〜〜

 

 

外に出て、グラウンド方面に歩いていると

 

「如月」

 

クイックイッと袖を引っ張られた。

 

「?どうした?」

 

友希那は少し顔を紅くしながら

 

「アレを見てちょうだい」

 

友希那の指の先には、クイズ大会が開催されていた。

そして横には景品が並んでいる。

 

1位は

 

旅行券

 

2位は

 

ゲーム機

 

そして、3位は

 

白猫と黒猫のストラップぬいぐるみセットだった。

 

「……アレに参加してみるか?」

 

「!…如月がやりたいと言うのなら…」

 

どこまでも正直じゃない友希那さん。

そして

 

「じゃあ、やろうかな…」

 

「!…わかったわ」

 

そして参加する事になった。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

大きなモニターの前に、6つの用意された椅子と机があり、机の上にはボタンがある。

すると

 

『では!毎年恒例にしたいクイズ大会を始めます!』

 

司会役がそう言うと、観客からの声が大きくなった。

 

『今から、全部でレベル5まである幅広いクイズを、各3問ずつ解いてもらいます!

優勝者には旅行券を!

2位の方にはPS4を!

3位の方には2つの猫ストラップのぬいぐるみを!』

 

最後の方で隣がピクリと反応した。

 

『では!早速、レベル1の第1問!』

 

そして、モニターに書かれたのは

 

『次の暗号を解きなさい』

 

(?暗号?)

 

『りしかろえれるはいりえおるまのろまなりはおからねーえがりれきへろっれーたれ』

 

それを見た観客席からは

 

レベル1の問題じゃねぇええええ!!!

 

いいえ!レベル1です!!!

 

司会者は言い切った。

すると友希那が

 

「如月は解けた?」

 

「まぁ…やり方はわかった」

 

「どうやったの?」

 

「んー…同じ文字を消すだけ」

 

そしてペンで書いて消していくと次の文字が現れた。

 

『しかいのはらがへった』

 

「知るかあ!」

 

ダンッ!

 

そして解答ボタンを押した。

 

 

〜〜数分後〜〜

 

 

なんだかんだで、レベル5まできた。

ポイント調整をするのが、ちょっと面倒だったが、このまま行けば、4位だろう。

 

『では!レベル5、最終問題!』

 

ゆっくりと前のモニターを見ると

 

『種なしスイカを作る際に用いられる化合物はどれでしょう?』

 

ア ジベレリン

イ ソラニン

ウ コルヒチン

 

 

『わかるかぁあああ!!!』

 

『わかりますとも!!!』

 

観客と司会の言葉が飛び交う中、ボタンを押した。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

校舎裏

 

それから、しばらく経って校舎裏に来ていた。

 

「ふわぁ……眠い…」

 

壁にもたれかかって、黒猫のストラップを指にかける男が1人。

 

「まだ夕方よ。

それに、4時から全体ミーティングがあるわ」

 

そう言って、白猫のストラップを大事そうに持つ少女が1人。

 

「うへぇ…。

疲れそうだなぁ…」

 

と息を吐くように言う。

そして

 

「…ちょっとだけ、寝ても良いか?」

 

「…ええ。

私が隣にいてあげるから、時間になったら起こすわ」

 

「ん……じゃあ、頼んだ…」

 

俺は、芝生に寝転がり、眠りに落ちた。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

友希那 side

 

 

「……」

 

夕日に照らされて、風で揺れる大木と車の走行音、校内の賑やかな声が聞こえる程に静かになっている。

 

そして少女は、隣の芝生で寝ている男に

 

「……」

 

無言でさらさらと髪を撫でた。

 

「リサの言った通り…。

如月は最後まで気づかなかったわね…」

 

あのカフェでの事は、予想外だったけれど。

少し、胸が切なくなる。

 

「……」

 

するとスピーカーから、今日の文化祭の終わりを知らせる放送が聞こえた。

 

(意外と早くに終わったわね…)

 

すると

 

「……?」

 

メールが届いて確認すると、紗夜からだった。

 

『今から体育館でミーティングを行います。

それと、如月さんが携帯に出ないので、申し訳ありませんが、そちらからも連絡を入れてみてください』

 

そして、それを見た後に、子供みたいに寝ている如月の方に目を向けた。

 

「…仕方ないわね」

 

やれやれ顔で微笑を浮かべてから、『少しだけ遅れる』と送った。

 

(ここ最近は、色々あって休めていなかったでしょうから…)

 

「…今はもう少しだけ、ゆっくり寝ていなさい。

鈍感な人」

 

 

 

 

友希那 side out




ラム酒様 B,J様

新たなお気に入りありがとうございます。
(╹◡╹)♡

また、感想 評価 聞きたい事 誤字 脱字
あれば、よろしくお願いします

あ、あと

前書きで説明した通り

一昨日くらいからでしょうか

インフルにかかりましたd(T T)

あのやろう(我が友)

……一体なんの恨みが…
末代まで祟ってやる!

と、その友達に送ったらね

「ザマァ弥勒菩薩!
因みに、何型?」※コピペしています

と返ってきたので

「A型」

と答えたら

「俺かかったのB型ww」※コピペしています

「……」

ふぁ!?(΄◉◞౪◟◉`)

で、さらに驚いた事に

そのやり取りしてる時、10時15分だったんだ。
つまり…


あいつ授業中にスマホ弄ってんな!?
ワシと同じそのiPhone 8をどうしてやろうか…


というわけで、皆さんもお気をつけて
手洗いうがいは忘れずに 食事の前も
かかると喉が痛いから話すの大変です…

え?スマホ?
今度、使ってるの発見したら
容赦なく目の前で先生に報告してやんよ(キ゚皿゚)




オマケ 友希那の前日
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
文化祭1日目 帰り道

友希那とリサは、文化祭が終わって帰っていた。
するとリサが

「そういえばさ♪
友希那って、陽菜の事を知りたがってたよね?」

「!…そうね。
如月の事は、知りたいから」

「どうして?」

「理由は無いわ。
ただ、不思議とそう思うだけよ」

「ふ〜ん…そっか☆
じゃあ、明日は陽菜と2人っきりで行って来なよ♪」

「!と、突然何を言い出すの!?」

「だって、陽菜の事知りたいんでしょ?」

「それは…そうだけれど…」

「じゃあ、明日の文化祭で陽菜と一緒に周れば。
陽菜の事、今よりもっと知れるじゃんっ♪
だから、ね?」

「…わかったわよ…」

「それじゃ、早速ショッピングモールに行こっか♪」

「!どうして?」

「男の子と出かけるなら、それくらいはしないと!
ほーらっ♪早く行こっ!」

友希那の手を掴んで引っ張って行くリサ。


〜〜ショッピングモール〜〜


「あの…リサ?
どうしてヘアピンを選んでいるの?」

「こういう普段と違う所とか、変えてみて。
そこに相手が気づいてくれると、意外と嬉しいもんだよっ♪」

「そう…かしら…」

「よしっ!友希那はこれが1番似合ってるよ☆」

そう言って、黒いヘアピンを渡して来た。

「…」

「次行くよー☆」

「!ま、待ってリサ」


〜〜ショッピングモール2階〜〜


「じゃあ〜次は、これかな?
でも、友希那の髪がもっとサラサラして、良い香りがするのは〜」

リサがシャンプーとコンディショナーを選んでいる。
止めても無駄だとわかっているので、それを友希那は黙って見ていた。
すると

「うんっ!
この香りは陽菜好きそうっ♪」

「!それっ……!」

思わず手が前に出てしまい、それを引っ込めた。

「?どうしたの?」

「いえ……なんでも無いわ…」

「?そう?
だったらコレにするねっ♪」

そう言ってリサは会計に行った。



〜〜帰宅中〜〜


「ちゃんと、今日はこのシャンプーとコンディショナーを使うんだよ?」

「ええ。
せっかくだから、使ってみるわ。
……それじゃあ」

家の前まで来て別れようとすると

「あっ、そうだっ!
友希那に1つ言っておくねっ☆」

「?何かしら?」

「陽菜って、かな〜〜り鈍感だから。
もし、気づいて欲しいのに、気づいてくれなかったりした時は、頬っぺた(つね)ったり、強引に迫って気づかせる事も大事だよっ♪」

「……抓る…強引に…。
わかったわ」

「それじゃあ、またね☆」

「ええ」

そして少女は、ほんの少し胸を躍らせて、明日の準備をした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

読み返したら、友希那がどうしてあんな行動を取ったのかがわかると思いますd( ̄  ̄)

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