退屈な日々を忘れたい俺がなぜバンドの手伝いをしているんだ......   作:haru亜

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第24話 如月 陽菜の用事は絶えないらしい

あれから時間も過ぎていき、特に大きな出来事も無く入った12月中旬。

 

 

体育館

 

 

『それでは、新しい校長先生をご紹介します』

 

「ふわぁ…」

 

いつになっても、朝の体育館の集まりはとても苦手だ。

眠い。

 

しかし、その眠気は次の瞬間に覚めた。

 

『新しく就任した。

九重(ここのえ) (かなえ)です!

はいっ!どーも叶先生だよ!みんなよろしく!』

 

会場は、少し湧き上がった。

 

「はっ…?」

 

驚くあまり、現状を把握するのに時間がかかった。

 

そう。

彼女は2年前、直接会話した事もある。

あの、元担任の叶先生であった。

 

「嘘…だろ…?」

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

〜数時間後〜 昼休み 校舎裏

 

 

いつも通りの場所で食べようとした。

すると

 

「あれ〜?陽菜さんじゃないですか〜」

 

「!モカ?」

 

そこに居たのは、両手に大量のパンを持ったモカがだった。

すると

 

「お隣良いですか〜?」

 

「良い…けど。

珍しいなモカが1人なんて」

 

「そうなんですよね〜。

あたしも、なんで屋上に行かなかったのか。

不思議なんですよ〜。

はむっ…」

 

モカはそう言って座りながら幸せそうにパンにかじりついた。

本当に幸せそうに食べている。

 

「もぐもぐ…」

 

(まぁ…蘭達が心配してなきゃ良いが…)

 

そう思いながら、母親が作ったサンドウィッチを食べていると

 

「じぃ〜〜…」

 

「…声で効果音を付けるな」

 

「そのパン。

美味しいですか〜?」

 

サンドウィッチを見つめるモカ。

 

「まぁ…美味しいな」

 

「お〜、それじゃあー」

 

そう言ってモカは目を閉じて口を開けた。

 

「あ〜」

 

「何してんだ…」

 

「え〜?そのパンくれるんじゃないんですか?」

 

「今の会話のどこにそんな要素が…」

 

「とほほ…。

モカちゃんのエネルギー源が…」

 

「じゃあ、なんだその大量にあるパンは」

 

「これですか?

やだなぁ〜、これはおやつですよ〜」

 

「おやつと昼ご飯の量が絶対に逆だと思うんだけどなぁ…」

 

「次の時間は体育で、お昼をたくさん食べたら眠くなっちゃいますから〜。

だから、陽菜さんのパンで我慢するんですよー」

 

また目を閉じて口を開けた。

 

「あ〜」

 

「いや、やらねぇから」

 

そう言って、サンドウィッチを口に運ぼうとすると

 

「ぱくっ」

 

「あっ!」

 

モカが幸せそうに緩んだ顔でもぐもぐと食べている。

すると

 

「ああっ!」「なっ…!」

 

リサと千聖が出てきた。

 

「あれ〜?リサさんと千聖先輩じゃないですか〜」

 

「ちょ、モカってば!

なんで食べかけの方を食べたの!?」

 

リサの唐突な質問にモカはゆっくりと

 

「だって、陽菜さんが良いって言いましたから〜」

 

「言った覚えがございません」

 

と言ったはずなのだが

 

「言ったのね。

まさかあなたが年下好きとは思わなかったわ…」

 

「やめて!?

そんな(さげす)んだ目で見ないでくれるか!?

てか、割とどうでも良いが……年下好きの何が…!

いや、ゲフンゲフン…」

 

「そうだよっ!叶先生だって、年下好きなんだから!」

 

『えっ?』

 

横の窓を見ると、髪は三つ編み。

そしてメガネをかけ、見た目は美人である女性がいた。

 

それも、とても見覚えのある。

そして

 

「とうっ!」

 

仮面ライダ○のような掛け声で飛び出してきたのは、紛れもなく現校長であった。

 

「じゃーん!叶先生登☆場!」

 

『……』

 

「…お久しぶりですね…。

叶先生…」

 

驚きと残念感が混ざる中、そう発した。

 

「やーやー!お久だね如月くんっ!

それに、青葉さんと今井さんもっ!

そっちの綺麗なあなたに会うのは、これが初めてだね!」

 

「え、ええ…そうですね」

 

千聖が珍しく対応に困っていた。

そして

 

「なんで校長なんかになってるんですか…?」

 

「んー。

それはね、私が結婚したからなんだよ!」

 

堂々と言った。

 

「…いや…え?結婚?」

 

「うんっ!

去年の夏頃かな?

まぁ、彼も今はこの学校で剣道部の顧問をやってるよ」

 

「説明になっとらんぞ先生」

 

「まぁまぁ、話はこれからだよワトソン君。

それでね、本当は私の旦那さんが時期校長を任されたんだけど、彼に「代わりにやってくれ」って頼まれちゃって〜!」

 

「デレデレだな…。

それで校長の仕事とか、ちゃんと全うできるの?」

 

「うん。

なんか、初めて見たらヨユーのよっちゃんだった」

 

こう見えても、なんだかんだで仕事を上手くこなすのが叶先生だ。

すると

 

「ああっ!」

 

「今度はなんですか…」

 

「彼に頼まれてた仕事があったんだった!

それじゃあね!see you!」

 

無駄に上手い発音で窓から戻っていった。

 

「はむっ…」

 

止まっていた空気が、モカの食べる効果音で動くと

 

「…なんだか…すごい方だったわね」

 

「あはは…。

アタシも久しぶりに見たけど、なんか前より凄みが増してたね…」

 

「……ん?」

 

(俺のサンドウィッチどこいった?)

 

そう思った瞬間に頭の中で、先程のモカの食べる効果音が頭の中でエコーがかかった。

 

はむっ…はむっ……はむっ………

 

「って耳元でエコー囁くんじゃねぇ!」

 

「わー陽菜さんが怒った〜」

 

モカはとても嬉しそうに微笑んでいる。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

放課後 CiRCLEに向かう途中

 

 

「まったく…寒いな」

 

夜に連れて寒くなる季節は本当に困る。

寒すぎて眠い。

 

「だ、大丈夫ですか…?」

 

そう言ったのは、燐子だった。

NFOと描かれた実に暖かそうなマフラーを巻いている。

 

「大丈夫だ…。

まだ我慢できる範囲内…のはず…」

 

「よ、良かったら…マフラーを…貸しましょうか…?」

 

「いや、燐子が風邪引くのはマズイ。

しかも、来年の1月にはフェスのコンテストだ。

それは燐子が巻いておけ」

 

そうは言っているが、本当は寒い。

すると

 

「あ、あの……その……」

 

何か言おうとしながら、手をもじもじさせて、顔が赤くなっている。

 

「?どうした?」

 

そう聞いただけなのに、燐子が慌てて

 

「!あ、えと…そ、その…えっと…。

あぅ…こ、このマフラーを…」

 

「いや…それは風邪を」

 

「そ、そうじゃなくて…!

い、一緒に………使いません…か…?」

 

「ん?」

 

「このマフラー…とても暖かくて…長いですから……」

 

「それは燐子が良いなら良いけど…」

 

(燐子も寒くて顔が赤くなってるな…)

 

なんて変な勘違いをしながら、2人はマフラーを共有した。

そして歩いていると向こうから男女のカップルがやってきて

 

「マフラー。

一緒に付けた方があったかいね♪」

 

「そうだな♪」

 

と頭をくっ付けてイチャイチャしながら横を通り過ぎて行った。

 

(リア充…)

 

なんて思っていると燐子から湯気が出ていた。

 

「おわっ!?」

 

「はぅぅ…」

 

(なんていう可愛い声出してんだよ…)

 

「り、燐子?」

 

「ひゃあ…!?」

 

燐子は顔を紅く染め上げ、恥ずかしそうに俯いている。

 

「だ、大丈夫か?」

 

と聞くと、小さくコクンと頷いた。

すると

 

「その……わ、わたし達も……周りから見たら……そ、そういう感じに……見られたり……するんでしょうか…?」

 

照れ過ぎて目を回しながら話す燐子。

それに対して

 

「?まぁ…燐子だから見えるんじゃないか?」

 

「……そうですか…。

…それなら…良かった…

 

ニット帽を深くかぶって照れた顔を隠す燐子。

それに気づかない男は

 

「あ、見えたぞ」

 

そう言ってCiRCLEの中に入った。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

中に入って早々

 

 

「如月?

フェスがあるのだから、恋愛は禁止よ?」

 

「お、おう…どうした急に…。

恋愛とか俺に縁の無い事を…」

 

「じゃあ、それは何かしら?

私には恋人同士がマフラーを共有しているようにしか見えないけど」

 

友希那がそう言うと燐子からまた湯気が上がった。

 

「ああ、なんだそんな事か。

ただ単にマフラーを貸してもらっただけだ。

俺だけじゃ燐子が風邪引くかも知れないだろ?」

 

「……そう、わかったわ」

 

と言いつつも友希那が、じぃ〜…っと見てくる。

そして

 

「とにかく、練習を始めましょう」

 

「は、はい…!」「そうだな」

 

そしていつも通り練習を行った。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

練習中

 

 

(成長してるな…。

この前のライブ祭の時よりも、格段に向上した)

 

今では、ミスを見る事なんてほぼ無い。

ある方が極稀になってきた。

 

友希那の人の心を突き動かす歌声。

紗夜の極められた精密さ。

リサの全体に与える密かな安心感。

あこの完璧なリズム感で奏でる音。

燐子の綺麗で落ち着いた音色。

 

(…この音は本番になると、その本領を発揮する。

まぁ、この事には本人達気づいてないみたいだが…)

 

そう思っていると演奏が終わった。

そしてリサが

 

「よーしっ!

ちょっと休憩挟もっか♪」

 

 

〜〜休憩中〜〜

 

 

みんな、疲れを癒すためにリサの手作りクッキーを食べている。

そして

 

「友希那。

もし、コンテストで優勝して、フェスに出たとして。

今の音で優勝出来るか?」

 

クッキーを食べながら友希那に聞くと

 

「…今の音が頂点に届くかはわからない。

けど、絶対に届かない距離じゃないわ」

 

「そうか。

まぁ、まずはコンテストの結果楽しみにしてる」

 

「ええ。

楽しみにしててちょうだい」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

練習後 CiRCLE

 

 

「あっ!陽菜くん」

 

「?まりなさん?」

 

「突然で悪いんだけど、バイトする気ない?」

 

「無いですね」

 

「そっかぁ…」

 

露骨に落ち込むまりなさん。

 

「?なんでバイト?」

 

「実は、今バイトをやってくれてる子が、今年中には辞めるらしいんだ…」

 

「あぁ…なるほど。

バイトは来年からなら大丈夫そうかな」

 

「ホントっ!?」

 

「本当」

 

そう返すと後ろから

 

カランカラン

 

店の扉を開ける音がすると

 

「もー!陽兄ぃ、置いてっちゃうよー?」

 

「すまんな。

今から行く。

じゃあまりなさん、そういう事で」

 

「うんっ!ありがとう!」

 

するとあこに手を引かれて

 

「早く早くっ!あこね!

りんりんにまたカッコイイセリフ教えてもらったんだー!」

 

「それは帰りながら聞くとしよう」

 

そう言って帰って行った。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

翌日

 

目を覚ました。

 

時計を見る。

 

12月14日 9時46分

 

(あ、はい、遅刻ですねわかりました)

 

そう理解して、服を着替えてから下に降りる。

するとテーブルの上に置き手紙が置いてあった。

 

「?えーっと…」

 

『年末年始は、会社が忙しくなるから弁当は自分で作ってね♪

可愛い可愛いあなたの母よ』

 

グシャッ

 

丸めた紙くずをゴミ箱に投げ入れた。

 

「…まぁ…時間も無いしコンビニで買うか」

 

そしてコンビニに寄ってから学校へ向かった。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

学校に着いて教室の扉を開け、先生に遅れた理由を言ってから、席に着くと

 

「陽菜くんやっと来たー…。

暇すぎて死んじゃうかと思ったじゃんっ」

 

「俺は日菜の何なんだよ…」

 

「んー…未来の旦那さん?」

 

「断る」

 

「ひどいっ!」

 

「あのなぁ…。

冗談言ってる暇があったら、そのプリントやったらどうだ?」

 

日菜の机の上には、日本史のプリントが置かれていた。

すると

 

「う〜…わかんないよー。

このコマみたいな奴ってなんだっけ?」

 

そう言って日菜が指したのは、ひし形の上下に1本線を書いたような地図記号だった。

 

(あれ…?

確かコレって紗夜と勉強した時に出てきた…)

 

「それは税務署だな」

 

「そっか!陽菜くんありがとっ♪」

 

「どういたしまして」

 

と返すと同時にチャイムが鳴り、4時間目の授業が終わった。

すると

 

「そーだっ☆

陽菜くん、今日イヴちゃんが…。

って、やっぱり良いやっ♪」

 

「?イヴがどうした?」

 

「なんでもなーいっ♪」

 

「…?」

 

疑問に思ったが気にもせずに校舎裏へ向かった。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

俺はいつも通り、校舎裏に来た。

が、どうやら先客が居たようだ。

 

「…!如月。

遅かったわね」

 

「ちょっと歩くのが遅かっただけだ」

 

そう言って座り、静かな空間で食べ終わった。

すると

 

「そういえば、あなたに聞きたいことがあったわ」

 

「聞きたいこと?」

 

「ええ。

あの四宮 凛音という人。

彼と、昔何があったのか。

説明してちょうだい」

 

「…なんで今更そんな事を?別に良」

 

「良くないわよ。

あの時の彼の態度、明らかにあなたの事を嫌っていたわ。

でも…!アレはいくらなんでも」

 

「はいはい、そこまでな」

 

「…っ!」

 

珍しい事に、ほんの少し感情的になってた友希那を止めた。

そして

 

「教えるから、そんなに怒んなって…。

だいたい、俺の事なんだから、ほっとけばいいものを…」

 

「それじゃあ、またあなたが独りになるでしょう…」

 

「……そうか」

 

「……」

 

「まぁ……遡れば、7年前のフェス…だな」

 

「…フェス?

その時に何があったの?」

 

「まぁ…それは、出会った頃の話から、だな」

 

 

そして友希那に出会った頃の事を話した。

 

 

「……そう。

なら、あの四宮という人はあなたが約束を守らなかったから、あんな態度をとったの?」

 

「…まぁ、それが正解に近いだろうな。

…話はここからだ。

その後、俺と四宮は会っても互いに一言も交わさなかった。

それにお互い力も付けていった。

だが、フェス当日…事件が起こった」

 

「事件…?」

 

「ああ。

…これは、友希那のおと」

 

すると会話は次の声で途切れた。

 

「ハルナさーーん!」

 

「イヴ!?」「若宮さん!?」

 

物凄い勢いで走って来る。

 

「ハグハグーー♪」

 

イヴは大の字になって、これまた嬉しそう抱きついてきた。

 

「ハルナさんっ♪ハルナさんっ♪」

 

なぜか、この前のライブ祭からずっとこんな調子のイヴ。

そして

 

「う、うん…。

どうしたんだイヴ…?」

 

と聞くとイヴはガバッと離れて

 

「はいっ!

実は、今週の土曜日。

剣道部の最後の練習があるんですっ!」

 

「?最後ってどういう事だ?」

 

するとイヴはシュンッ…と落ち込んで

 

「実は…この前から3年生が受験生なので、練習に参加出来なくなってたんです…。

でもっ、今週の土曜日には、皆さんと顔を合わせられる最後の日なんですっ!」

 

「…うむ…まぁ、だいたいわかった。

でも、それと俺が行く理由が無いんだが…」

 

そして今度は、ハッ!と何か思い出したように

 

「そうでした!

ハルナさんに会いたいと顧問の先生がおっしゃってました!」

 

「えぇ…なんで俺が…」

 

「だめ……ですか…?」

 

うるうると目を潤わせ、上目遣いで見てくる。

 

「っ……いや、別にダメじゃないけど…」

 

と言った瞬間に、イヴはパァっと明るくなって最上級の明るい笑顔で

 

「9時から体育館で練習が始まりますので、見に来てください!」

 

「あ、ああ…」

 

「それでは、また会いましょう!」

 

そう言ってイヴは去っていった。

すると

 

「…如月。

あなた、本当に年下の頼み事に弱いわね…」

 

「男が逆らえないのは、女の笑顔と涙。

そのどちらかの頼み事って相場が決まってるらしい…。

…まぁ、そんな事より友希那」

 

「何かしら?」

 

「いつか、友希那の父親と会えるか?」

 

「えっ!?」

 

「実はな、さっき話そうとした事件には、あの人にも関係がある話だ」

 

「そ、そういう事ね…。

一応、会える日を聞いておくわ」

 

「?ああ」

 

友希那は、ほんの少し照れる仕草で髪を触り、少しだけ残念そうにしていた。




テリヤキよりフィレオフィッシュ様
のップ様 yuuto627様

お気に入りありがとうございます!
♪( ´▽`)


↑この顔文字、結構お気に入りだったりする。


先に言っておくと今回の章は、結構長くなります。
シリアス?が多いとも思います。

では!また今度!
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