退屈な日々を忘れたい俺がなぜバンドの手伝いをしているんだ......   作:haru亜

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今回、ほとんど進んでいないようで、進んでいます。
それと、陽菜の正体が見えてくる回でもあります。





第7話 裏では、美少女達がこんな事をしていました

遡ること3時間ほど前 ショッピングモール

 

そこには友希那とリサが来ていた。

 

「んー…あっ!

これとか…どう?

結構似合いそうだけど」

 

リサが丸い青の石が埋め込まれたネックレスを友希那にかざした。

すると友希那は

 

「ネックレスなら今付けている物で間に合っているわ」

 

そして友希那は大事そうに、首に付けているネックレスのトップを手のひらに乗せながら言った。

 

「そういえば…友希那。

最近…というか、この前から外出する時に、よくその青薔薇のネックレス付けてるよね?

自分で買ったの?」

 

「ええ。

この前、如月に選んでもらったネックレスを買ったの」

 

いつも通りのトーンで平然と言う友希那。

 

「そっかぁ♪陽菜に選んでもらって…。

……って、ええっ!?

陽菜と!?えっ!?いつ!?」

 

普通に受け流しそうになったが、リサはすぐさま質問に移った。

そして、その質問に友希那はまたしても平然と

 

「そうね…。

フェスコンテストの前日に如月とここに来たわ」

 

「えっ!?

てことは…アタシが練習してる間に友希那は…」

 

「それに関しては悪いと思っているわ…。

けれど…その…仕方なかったのよ」

 

「?仕方ないって…どういうこと?」

 

すると友希那は顔を紅く染めながら

 

「だって…その時は如月にしばらく会えてなかったから…。

仕方ないでしょう…」

 

「……ん?」

 

リサはピンと来た。

恋愛フラグが垣間見えたからだ。

そして

 

「それだけ?」

 

「えっ?」

 

「陽菜とアクセサリーショップに来ただけなの?」

 

「?他にも色々と寄ったわよ」

 

「詳しく!それもっと詳しく教えて!」

 

リサが嬉しそうに聞いて来たので、友希那は素直に全部話した。

そのお話終了後

 

「うんうん、なるほどね〜♪

……それってつまり…デート!」

 

リサがちょっと大きめの声で言った。

 

「!…ち、違うわよ」

 

友希那は、ほんの少し顔を赤くして否定したが

 

「そっか〜、友希那がデートかぁ…」

 

リサが聞く耳を持たずにしみじみ言った。

 

「私と如月は恋人同士じゃないのだから、デートじゃないわ」

 

「え〜?

だって友希那。

男女2人で、猫見て、映画観て、ここ寄って、本屋に寄って、カフェにも行って、最後に薔薇も貰ったんだよね?」

 

「え、ええ…そうよ」

 

「デートじゃん♪」

 

「違うわよ」

 

「それで〜?

その白い薔薇はどうしたの?

もしかして捨てちゃった?」

 

「!捨てないわよ…!

ちゃんと部屋に2本とも飾ってるわ。

………あっ」

 

思惑通りにいったリサはニヤッと笑った。

 

「良いなぁ…。

アタシも陽菜を甘やかしたいけど。

陽菜が許してくれないからなー…。

はぁ…」

 

「ちょっと…そんなに落ち込まないでくれるかしら?

それと話の内容がズレてるわよ」

 

「だって〜…。

友希那だけフェス前日に陽菜とデートだなんて…」

 

「何度も言うけど、デートじゃないわ。

ただプレゼントを選ぶのを手伝って貰ってただけよ」

 

「…ホント?」

 

「ええ」

 

友希那が短く返すと、リサは安心したようなため息を吐いた。

すると

 

「!」

 

友希那が何かを発見して歩き出した。

 

「ちょっと待ってよ友希那ー!」

 

リサが追いかけると友希那は

 

「静かにしてちょうだい」

 

そう言いながら物陰に隠れどこか真っ直ぐ見つめていた。

すぐにそれに気付いたリサは、気になったので友希那の視線を追うと

 

「あれって…もしかして、陽菜とイヴ?」

 

「ええ。

2人で何をしているのかしら…」

 

友希那の言葉にリサが反応して

 

「それじゃあ、ちょっとだけ付いて行ってみよっか♪」

 

と言うと

 

「……そうね」

 

友希那が珍しく素直だったので、リサはワクテカしながら尾行した。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ゲームセンター

 

2人が仲良さそうに遊んでいるところを物陰からこっそりと見ている。

 

「なんか……楽しそうだね2人とも」

 

「そうね」

 

「へぇー☆

あの2人って結構仲良かったんだ♪」

 

「そうね」

 

「あの2人が恋人同士に見えて来ちゃったよ♪」

 

そうね

 

(あれ?今ちょっと友希那怒った?)

 

あの2人をずっと見ていたから気がつかなかったが、友希那の方に視線を移すと、むすっとしながら2人を見ていた。

それを見て

 

「おやおや〜?

嫉妬かな〜?」

 

そう言って、友希那の少し膨らんだ頰をぷにっと指で突くと

 

「……私がいつ嫉妬したのよ」

 

「もー、可愛いなぁ☆

もっと素直になれば良いのに♪」

 

「言いたいことは言っているわ」

 

「あははっ☆

そういうことじゃないんだけど…。

ま、いっか♪」

 

すると背後から

 

「2人とも、そこで何をしてるんですか?」

 

「!」「ひゃあっ!?」

 

ビックリして背後を向くと、そこには私服姿の蘭がいた。

 

「な、なんだ蘭か〜…。

もー、ビックリさせないでよっ」

 

「いや、そんな所で良い大人の知り合いが座り込んでたら、誰だって声かけるし…」

 

蘭がそこまでするという事は、相当目立ってたのだろう。

するとリサは蘭を手招きながら

 

「蘭も見たらわかるって♪」

 

「?何をですか?」

 

「ほーらっ☆」

 

リサにつられるまま蘭は友希那の隣にしゃがみ込むと

 

「……」

 

無言になってしまった。

そして蘭がしばらくゲーセンで遊ぶ2人を見て

 

「アレって…デート…ですよね?」

 

「だよね〜☆

だってさ友希那♪」

 

リサは友希那に同意を求めるが友希那は

 

「いいえ、デートじゃないわ」

 

そう言って否定した。

認めてしまっては、()()がデートになってしまうから。

しかし、蘭が続けて突っ込むように

 

「いや、アレはもうデートですよ」

 

「違うわ」

 

「アレ完全にデートですって」

 

「どこがデートなのかしら?」

 

「男女2人で出かけて、周りから恋人同士に見えたら世間的にはもうデートじゃん…」

 

「つまり、私たちがデートと見なさなければ、デートじゃないという事ね」

 

「いや…もう…!」

 

ついに蘭が我慢出来なくなり、リサの方を向いて

 

「ちょっとリサさん…!

湊さん、なんで頑なにデートって認めないんですか?」

 

と聞くとリサは友希那に聞こえるように

 

「だって、友希那もフェスコンテスト前日に、イヴと同じ事してたもん♪

ねー?」

 

「!リサ…!」

 

「湊さん…。

そんな大事な日の前日にそんな事してたんですか?」

 

蘭が問い詰めるように聞いた。

すると友希那は顔を赤くしながら

 

「別に…しばらく如月を練習に呼んでなかったから、ネックレスを買うついでに、気になって如月の家まで行っただけよ。

そうしたら、たまたま如月と行く流れになったの」

 

友希那がコソコソと隠れながら見つめて心配している。

 

「その『たまたま』の部分を説明して欲しいんだけど…。

てか、陽菜さん普通に楽しそうに遊んでるじゃん」

 

「…」

 

すると友希那が不満そうに見つめているのを見たリサは

 

(心配してるのか、嫉妬してるのか。

はっきりしたら良いのにっ♪)

 

こう思った。

それからしばらくして16時を過ぎた頃。

 

リサたちは、ゲーセンの角に隠れて陽菜がイヴに抱きつかれながら出て来るのを見ていた。

 

『……』

 

不機嫌そうな視線を送る3人。

するとリサが

 

「陽菜ってば、ホント女の子にモテるよね〜」

 

と言うと友希那は

 

「リサ。

それは違うわよ」

 

「?」

 

「如月はモテるのでは無くて、男友達が少ないのよ」

 

『……』

 

可もなく不可もなく、といった感じで3人は静かに納得した。

すると向こうで陽菜が怯えていたイヴの頭を撫でた瞬間。

 

「!あ、アタシ大丈夫かなぁ…」

 

珍しく自分の何かを心配するリサ。

それと同時に、友希那と蘭がジトッ…と陽菜を睨むと

 

『!』

 

急に振り返った陽菜に驚き急いで壁の影に隠れた。

そしてしばらくしてから覗くと、2人は歩き出していた。

するとリサが

 

「び、ビックリしたぁ…!

危うくバレるとこだった…」

 

と安堵の声を出すが、蘭が

 

「いや、そこじゃないと思うんですけど…。

てか、なんで陽菜さん。

あの距離からピンポイントでこっち見れるの?」

 

と冷静に指摘された。

それに対して友希那は

 

「如月は、いつも隠し事をしがちだから…。

多分、まだ何か私たちに隠している事があるのかも知れないわね…」

 

少し寂しそうな目をする友希那に今度はリサが

 

「まぁ…でも、陽菜にも隠したいことの1つや2つあると思うから、アタシは陽菜がいつかちゃんと話してくれたら、それで良いよ♪」

 

「…そうね。

それが1番だわ」

 

そしてリサはしんみりとした空気を和ませる為に

 

「とーりーあーえーずー!

尾行続けよっ☆

早くしないと2人を見失っちゃうよ♪」

 

「ちょ、ちょっとリサ?

ここでやめておいた方が良いと思うのだけれど…」

 

「あたしもそう思う…」

 

2人が同時に意見するが、リサは既にこの状況を楽しんでしまっているので

 

「それじゃあ行こっかー♪」

 

そう言って尾行を続け、数メートル先にいる2人の後を追い、某回転寿司の店へと入って行くのが見えた頃。

 

「ふむふむ…。

2人はあそこでお昼ご飯を食べるのか〜♪」

 

リサが物陰から出て、何か良からぬ事を企んでそうに言うと、その背後にいた友希那が

 

「まさか…中まで付いて行くつもりじゃないでしょうね」

 

呆れたように聞くとリサは

 

「えっ!?だめ…かな?」

 

驚いて聞いてきた。

 

「だめに決まっているでしょう…。

とりあえず、私たちはそろそろ帰った方が」

 

すると

 

「あら?そこにいるのは…リサちゃん?」

 

背後から声をかけられたリサが後ろを振り向くと、そこには私服姿の千聖がいた。

 

「あっ!千聖久しぶりだねー♪」

 

「ええ。

それと…友希那ちゃんに蘭ちゃんもお久しぶりね」

 

「お久しぶり」

 

「どうも」

 

3人がそれぞれ挨拶を交わすと

 

「千聖は何か買いに来たの?」

 

「ええ、今は買い物を終えた所よ。

それにしても…珍しい組合わせね。

3人でお出かけかしら?」

 

千聖の言葉に、少し苦くなる3人。

そして蘭が

 

「実は今、陽菜さんとイヴを尾行してて…」

 

「?陽菜とイヴちゃんを?」

 

千聖は辺りを見渡すが、誰もいない。

今入って行ったのだから、当然であろう。

そのまま周りを見渡している千聖に友希那が

 

「2人なら、今そこのお寿司屋さんに入って行ったわ」

 

「そうなのね。

…それで、どうして3人は尾行なんてしているの?」

 

「私は別に…」「あたしは別に…」

 

友希那と蘭は声が重なって少しだけ否定の意思を見せたが、リサは目を逸らした。

 

「…リサちゃん?」

 

千聖が笑顔で聞いてくる。

もちろん、何かある時の笑顔だ。

それには流石のリサもピクッと体を動かし

 

「あはは〜…。

いやー、だって…ほらっ、気になるじゃん?

知り合いが男女2人で腕組んだりしてたらさっ」

 

「腕を…組む…!?」

 

「?うんっ。

それに、頭撫で撫でとか…」

 

「…2人は今あそこに居るのよね」

 

そう言って千聖は視線を寿司屋に移す。

それに何か勘づいた蘭が恐る恐る

 

「そうですけど…。

まさか千聖さんも…」

 

言い切らないように聞くと

 

「せっかくだし、4人で行きましょうか」

 

千聖のニコッとした若干黒い笑顔に引っ張られ、全員が寿司屋の中へと入って行った。

 

幸いにも、席は離れており、なおかつ、あの2人の話が聞こえる席に座れた4人。

蘭と千聖、友希那とリサといった席わけになった。

 

平然を装っている4人だが、しっかりと端っこに座るリサから見て、斜め後ろの席に座る2人の声に聞き耳を立てていた。

すると最初に聞こえてきたのが

 

「ふふっ♪

色んなお寿司が回っていますね♪」

 

「たまに逆回転するぞ」

 

という陽菜の冗談だった。

すると友希那が

 

「そうなの?」

 

と真顔で誰かに聞いてきた。

 

「「ないない!」」

 

リサと蘭が手を横に振って否定すると千聖が

 

「聞いているのがバレバレよ…」

 

「「「あっ…」」」

 

3人が「しまった…」と言わんばかりの声を漏らす。

そして

 

「そ、そういう千聖だって。

今の話の内容がわかるなら、同じってことじゃん♪」

 

リサがそう言うと、友希那と蘭は小さくコクコクと頷いた。

 

「!ち、が…。

アレは…!

たまたま聞こえてきたのよ」

 

ここはとりあえず千聖の言い訳を飲み込もうと考えたのか、次は蘭が友希那に

 

「ていうか、今の情報絶対嘘でしょ…。

なんで湊さん、そんな事も知らないの?」

 

蘭の質問に、リサは思い出しそうな感じで

 

「そういえば…。

友希那ってこういう所来たことなかったっけ…」

 

「ええ。

初めて来たわ」

 

リサの質問に友希那は答えた。

すると

 

「だからさっきから何も食べてなかったんですね…」

 

苦笑を浮かべて言う蘭。

 

「……お腹が空いてなかっただけよ…」

 

それに友希那は若干間が空いて返事をしていた。

そして友希那も寿司屋のシステムを理解してきた頃。

しばらくして

 

「なかなか可愛いこだわりだな」

 

ピクッ

 

何に対して可愛いと言ったのか分からないのに反応する一行。

 

『……』

 

また黙って聞き耳を立てていると、こんな会話が聞こえてきた。

 

「ハルナさんは、可愛いと思った方はどれくらいいるんですか?」

 

イヴの声が聞こえて少し間があった後

 

「そうだな…。

今のところは…約25人…くらいだな」

 

ピクッとまた反応する4人は、それぞれ胸をドキドキさせながら、平然を装って話を聞き続けると

 

「?もしかして、皆さんですか?」

 

というイヴの質問に

 

「そうだな」

 

と陽菜の返答が聞こえて恥ずかしさと嬉しさが一緒に出てきたが

 

「まぁ…可愛い以外はなんとも思わんけどな」

 

同時にイラッとした。

その内心は、恥ずかしさ2割、嬉しさ3割、イライラ5割といった風になっている。

 

「確かに、皆さん可愛いですねっ♪

でも、どうしてハルナさんは皆さんにそう言わないんですか?」

 

「?わざわざ言う必要も無いだろ」

 

訂正。

たった今、恥ずかしさが消えて。

嬉しさ4割、イライラ6割とちょっと傾いた。

 

そして千聖が壁の向こうにいる見えない相手をジトッと睨んだ。

 

「千聖、どうかしたの?」

 

リサが聞くと

 

「いいえ、なんでもないわ」

 

千聖は本日3回目の意味ありげな笑顔を見せた。

そうして時間が経って2人の後を、リサが先頭を切ってまた付いていくと

 

「?」

 

陽菜がイヴに何か話した後、2人で左へと曲がっていった。

当然、妙にやる気が上がってきているリサは目をキラキラさせて

 

「次はどこ行くんだろ♪」

 

と言って付いて行き、3人も有無を言わずに付いて行くと、2人はまた左へと曲がり、進んでは左へと曲がって、最後に最初居た場所に戻り1周した。

すると

 

「…嫌な予感がするわね」

 

千聖がそう言うと友希那と蘭も

 

「そうね。

一度離れた方が良いと思うわ」

 

「あたしも賛成です」

 

といった3人の意見だが、リサは2人が、すぐそこにあるトイレの角を曲がって行ったのを見て

 

「ほーらっ☆

そんなこと言ってないで、早くこっちこっち。

2人にバレないようにそっとね♪」

 

(((聞いてない…)))

 

リサはすぐさま角へと移動した。

するとバッと出てきた1人の人物。

 

「「「「あっ」」」」

 

追いかけていた相手と目が合うと

 

「……リサ、友希那。

それに、千聖に蘭まで。

一体そこで何をしてんだ?」

 

各名前を呼ばれた後、千聖はため息混じりに

 

「はぁ…。

だから止めたのに…」

 

「全くだわ」

 

「リサさんが気になり過ぎて無理矢理連れて来るからですよ」

 

「ええっ!?アタシのせい!?

みんなだって気になってたじゃんっ!」

 

なんて言ってたら

 

「とりあえず、話を聞こうじゃねぇか」

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

そして現在に至る。

 

「なるほど…」

 

話の内容に納得してから

 

「……おいリサ」

 

「はい…」

 

名前を呼んだだけなのに縮こまるリサ。

そして俺は呆れたように

 

「あのなぁ…。

んな事してる暇あったら、元通り友希那と買い物をしとけ」

 

そう言った。

するとリサは両手の人差し指を合わせて、もじもじさせながら

 

「うぅ…ごめん。

アタシ、てっきり陽菜がイヴとデートしてるのかと…」

 

「どうしてそうなった…」

 

するとイヴがクイクイッと袖を引っ張って

 

「ハルナさんハルナさん」

 

「ん?」

 

「そんなに怒ってはリサさんが可愛そうです。

それに私は、皆さんと一緒に居られて楽しいですよっ」

 

イヴに微笑みながら言われて、少したじろいでから

 

「…そうか」

 

と返してから

 

「とりあえず、4人とも。

俺に対して尾行とか盗み聞きはやめとけ。

何かあったら色々と面倒だからな」

 

…はーいっ☆」

 

何か気にした後、元気に返事をするリサ。

 

「…本当にわかってんのか…」

 

「大ジョーブっ♪

陽菜の言いたいことはわかってるよ☆」

 

「ほー、じゃあ一応聞こう」

 

「んふふっ♪」

 

するとリサは嬉しそうに近寄ってきて俺の耳元で

 

「陽菜が今秘密にしてること。

その秘密を話さないのは、きっとアタシたちを守る為なんだよね♪」

 

「!!」

 

そう囁いてから、リサはパッと離れニコニコと微笑んだ。

そして俺は

 

「……すまんな」

 

また謝ってしまった。

しかしリサは

 

「大丈夫だって☆

またいつか話してくれれば、アタシはそれで良いよっ♪」

 

いつものように気楽に話しかけてくれた。

すると

 

「なんの話?」

 

蘭の俺に投げかけたであろう質問に

 

「陽菜の大事な秘密について、だよっ♪」

 

「へぇー…」

 

リサが答えると蘭は意外と深く追求はしなさそうだった。

そして

 

「…この後どうするんだ?

俺はイヴがどこか行きたいなら一応ついて行くけど…」

 

「ホントですかっ!?」

 

「ああ。

今日はそういう日だからな。

つっても、俺はそろそろ家に荷物が届くから帰らないと行けないんだが…」

 

「そうなんですね…」

 

露骨にガッカリするイヴ。

しかし、すぐに立ち直り

 

「それでは、帰りましょうかっ」

 

「?どこも行かなくて良いのか?」

 

「はいっ。

私は今日一日。

ハルナさんと居られて楽しかったですからっ♪

今度は皆さんと一緒に行きたいですっ!」

 

心残りが無いとわかる程、イヴは純粋無垢に笑った。

そして4人の方を見ると千聖と目が合い

 

「千聖たちはこれからどうするんだ?」

 

「私は夕方の6時から仕事があるわ」

 

「私はCiRCLEで練習があるの」

 

「あたしは、つぐの店にこの後集まる予定」

 

「リサは友希那と一緒か」

 

「うんっ♪」

 

「それじゃあ…帰るか」

 

俺的には帰って荷物を受け取れるから良いのだが…。

こういう時、なんと言えば良いのか。

ただ……なんというか……締まらない。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

それぞれ道を別れて帰って行く中、蘭が付いてきた。

 

「……蘭。

つぐみと集まるんじゃなかったのか?」

 

「そうだけど…。

別に、こっちの道からでも行けるし」

 

「ああ、そゆこと」

 

(ここからじゃ商店街まで遠いのに…)

 

わざわざ遠くなる道を選ぶ理由がわからなかった。

しかし、それよりも大事な事があった。

そろそろ俺の荷物がそろそろ届く時間帯なのだ。

 

(マズイな…)

 

「?どうしたの陽菜さん」

 

顔に焦りが出ていたのか、蘭にタイミング悪く聞かれて

 

「いや、なんでもない」

 

と、いつも誤魔化す時の返事をした。

すると段々と俺の家が見えてくる。

 

「!」

 

それと同時に、家の前で1つの荷台が付いているトラックが停まっているのも見えた。

 

(これは…どう説明しようか…)

 

そう思いながら家の前まで近づく。

すると青い制服を着用した業者の人間が家の前に立っており

 

「…荷物の方は家の中に入れましょうか?」

 

「ああ。

そうしてくれ」

 

そして業者が荷台のブルーシートを剥がしている間に、俺は家の鍵を開けた。

そのまま業者に取り出した少し大きめの1m50cmの青色に梱包されたケースを中に入れてもらった。

すると

 

()()()()は届けた」

 

業者のその通りすがりに小声で話しかけてきた。

 

「悪いな」

 

「これが仕事だ。

お互い、気をつけてな」

 

「…ああ」

 

そうして、小声の会話が終わり、業者はトラックに乗って走り去っていった。

すると

 

「陽菜さん」

 

「ん?」

 

「さっき、小声で『おもちゃ』って聞こえたけど。

今の青いやつ何が入ってるの?」

 

「ただのおもちゃだ。

蘭が気にすることじゃない。

…それより、つぐみの店に行かなくて大丈夫か?」

 

「…それもそうだね。

じゃ、またね陽菜さん」

 

そう言って蘭は喫茶店へと向かって行った。

 

「……」

 

(嘘を吐いてイラつくなよ…俺)

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

自宅に入って青色のシートを剥ぎ取ると中から、黒い長方形のケースが身を現した。

 

(さて…と…。

これが重いんだよな…)

 

そのままケースを自室まで持ち運び、ナンバーを入れてロックを解除した。

そして重量感で察しているが、嫌々にゆっくりとケースを開けると

 

「……はぁ」

 

1つの大きなため息。

予想が当たったからだ。

しかし、こういう時のアタリは全く嬉しくない。

 

そして夕焼けに照らされ、中にあった物は、その黒い身を光らせた。

その中身とは…

 

「M82A1…」

 

口にした名前は、対物用スナイパーライフルだった。




Ryusei様 白黒ウサギ様

お気に入りありがとうございます。

さて、今回が今までで、1番主人公の正体が見えたのではないでしょうか?

銃器の名前に関しては読まなくても良いです。
というか、この銃器(あと、その他の銃器)の正式名称の呼び方は自由ですから。

「ああ、スナイパーライフルね」

てな感じで覚えてくれれば良いです。

専門用語もちょいちょい出しますが、出来るだけわかりやすく説明させていただきます。

それと

これから読者の方々が想像している展開が起きるやも知れませんので

「マジムリィ…_:(´ཀ`」 ∠):」

という方は、お気に入りを外してもらっても構いません。
ただ、読んでくれたら作者は嬉しいです。

では、また!

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