退屈な日々を忘れたい俺がなぜバンドの手伝いをしているんだ...... 作:haru亜
アレから2日が過ぎても、政府からのメールは届かなかった。
それは良いのだが、同時に不安でもある。
そして今日は2月13日 水曜日である。
俺はいつも通りの学校へ向かう途中にある桜並木の下をボーッとしながら歩いていると背後からの
「陽菜くんっ!」
突然声をかけられて驚き振り返ると、日菜と紗夜が居た。
「あははっ!
陽菜くんビックリした!」
「子どもかお前は…」
ため息混じりに返事をした。
「すみません如月さん」
紗夜が代わりに申し訳なさそうにして謝った。
「いつものことだ」
それに俺は適当に返した。
そして2人と他愛もなく話しながら歩いていると、下足室に着いた頃。
日菜が何か思い出したように『あっ!』声を漏らした。
「そうだっ!
陽菜くんって、甘い物食べられるよねっ?」
「?ああ」
日菜の質問にデジャヴを感じていると、この前リサにも同じような事を聞かれたのを思い出した。
「それがどうかしたのか?」
「ナイショー♪」
「なんだそれ…」
「えへへ〜♪」
日菜がデレデレと微笑んで誤魔化す。
すると隣に居た紗夜が、その話に少しだけ反応したのが見えた。
「?」
俺は何に反応したのかわからないまま教室へ向かい、自分の席へと座って朝のホームルームが過ぎてからの授業を眠りに落ちそうになりながらも受けた。
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昼休み
この時間に到達するまでの間。
俺は色んな女子から色んな質問をされた。
とはいえ、ほとんどが『甘い物とか大丈夫?』
という質問だった。
俺はその質問に全て同じ返答をしたが、全くと言っていいほど何の意味があるのかわからなかった。
今日どうした?
今日は特定の誰かに『甘い物食べられるの?』
とか聞く日なの?
まぁとにかく。
後輩やらアイドルやらに同じようなを質問されたが、その意味をわかっていない俺は校舎裏へとひとまず身を置いた。
今日は俺1人だと勝手に思ったのだが、案の定
「相変わらずお早いことで…」
「普通よ」
そこには弁当を膝の上に乗せている友希那が居た。
俺は友希那との間に少しスペースを空けて座り、食べ始めようとすると、友希那も自分の弁当包みを開ける。
そしてしばらく友希那と一緒に食べた。
すると食べ終わった頃に友希那のスマホにメールが入り、友希那がそれを見ると
「如月」
「ん?」
「バレンタイン…とは、何の事かしら?」
友希那はキョトンとした顔で聞いてくる。
「まさか…バレンタインを知らないのか?」
「ええ」
「…まぁ、バレンタインってのは…簡単に言うと。
2月の行事みたいなもんで、チョコとかを好きな人に渡す日があるんだ。
最近じゃ、主に女性が知り合いやら異性やらに、友達の印として『義理チョコ』ってのを渡すことが多いな」
「チョコ…」
友希那は何か考え始めた。
そして俺は
「…まぁ…貰ったら貰ったで、お返ししないといけないらしいんだがな…」
体から疲れを癒そうと呟きながら言った。
すると友希那が
「そういえば…。
この時期になると、毎年リサがチョコを作ってきてくれていたけれど…。
あれはバレンタインだったのね」
「……リサ泣くぞ」
「そんなにヤワじゃないわ。
それより、明日がバレンタインかしら?」
「?そうだな」
「……そう。
わかったわ」
(何をだ…)
「如月。
今日は1人で帰るから、今日はついてこないで」
「えっ、と。
いつも一緒に帰ってるわけじゃないが…。
理由を聞いても?」
「…女子にそういうことは聞かないで」
「えぇ…」
友希那が頰を少し染めながら言うので、俺は困惑しながらも了承することにした。
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放課後
陽菜に何か聞かれる前に、さっさと教室を出て目的の場所へ向かう友希那。
その目的地とは、帰り道の途中にある店であった。
自動ドアを通ってお菓子が並ぶコーナーへ向かった。
「……」
(ビターチョコしか無いわね…)
棚に並んでいたであろうチョコは、ほとんどなくなっており、残っているのは砂糖ゼロのビター板チョコだけだった。
(…砂糖を入れれば問題無いのかしら?)
そう思って棚に並ぶ板チョコを1枚余分に3枚手に取って会計を済ませてから外に出た。
キョロキョロと誰かに見られていないか確かめてから家に帰った。
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家に着き、手を洗い、キッチンで材料を並べた。
(どうやって作るのかしら…?)
そう思い、スマホで『チョコ 作り方』と検索すると、いくつものバレンタインについて書かれた。
そして目に入ったのが、渡す時は好きな人に自分の想いを伝えやすい。
というものだった。
「…想いを伝える…」
ポツリと呟くと共に、ハッと我に返って再びチョコの作り方が載っているページを探した。
「……」
(どのページも、ビターチョコについて書いてないわ…)
そして迷った友希那の思考がたどり着いたのは
(リサね)
仲のいい幼馴染だった。
早速電話をかけ、少し待つと
『もしもし友希那っ?
珍しいじゃん☆
友希那からかけてくるなんて♪』
「気のせいよ。
それより、リサに聞きたいことがあるのだけれど…」
『ん?なになに?』
「チョコの作り方を教えて欲しいの」
率直に聞いた。
すると電話の向こうで意気揚々とした元気な声で
『陽菜にあげるの!?』
と聞かれ、ドキッとしながらも
「ち、違うわよ…!」
と否定してしまい、チョコを作れたとしても、リサがいる前では陽菜に渡せなくなった事に若干の後悔。
そして気を取り直して
「…今は、チョコの作り方を聞いているの。
それに答えてちょうだい」
『わかったわかった♪
まず、なんの材料を使うの?』
「ビターチョコよ。
出来たら甘くしたいの」
『?なんで甘くしたかったのにビターチョコ?』
「これしか売ってなかったのよ…」
『あーそっか♪
今はバレンタイン前日だからねっ☆
でも、甘くしたいなら、チョコ混ぜる時に砂糖を入れれば問題無いから、そこは大丈夫!』
(混ぜる…?)
一瞬疑問に思ったが、リサの説明を聞きながらなら、大丈夫だろうと友希那は結論付けた。
「そう。
なら良いわ。
それで…最初は何をすれば良いの?」
『えーっと、まずは材料と調理器具を出して…』
そうして、友希那はリサのレクチャーを受けながら調理すると思われたが、リサが
『って、ごめん友希那…。
アタシ、そろそろバイトだから、とりあえず調理方法だけ送っておくね♪』
「そう、わかったわ。
バイト、頑張って」
『うんっ♪』
そうして、通話を切って少し経つとレシピが送られてきた。
(まずは…溶けやすいようにチョコをみじん切りにする…)
「みじん切り…包丁…」
キッチンの引き出しを開けて包丁を取り出した。
それも逆手に持って
「あっ…」
(この前、紗夜とクッキーを作った時の持ち方は…こうだったはず…)
人差し指を包丁のみねに置き、納得のいく持ち方が出来た。
そして、チョコを細かく刻んでいると
「っ…!」
左手の人差し指を切ってしまい、少しだけ血が流れた。
(痛い…けど。
もし完成したら、如月は喜んでくれるかしら…)
ふとそう思っていた自分を首を振って落ち着かせた。
そしてこのあと、また別の指を2回ほど切ったが、臆する事なくチョコのみじん切りに成功した友希那。
「それで、次は…」
スマホを見て、リサの書いてくれた手順を見て
(次は、小鍋に水を入れて火をつける。
それからチョコを入れて、チョコが溶けたら混ぜながら砂糖を入れる…)
「この時に砂糖を入れれば良いのね」
そうして、友希那は苦労しながらも、順調に作った。
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2時間後
そー…っと体温で溶けてしまわないように早く、そして慎重に透明な袋に移動させ、紫の紐で口を結び、苦労の末、完成した。
決してお世辞にも綺麗な形をしているとは言えないが、ぱっと見で猫とわかるほどの形をしたチョコ。
「これで…大丈夫かしら…」
友希那は味見をしようと1つ余ったチョコを取ろうとしたが、手を引っ込めた。
少し『あの人に最初に食べて欲しい』という欲が出たから。
手を引っ込めたあと、包んだチョコを冷蔵庫の中に入れた。
そして早々に自室に戻って
「『バレンタイン チョコ 渡し方』…」
ベッドに腰をかけ、三毛猫の丸いぬいぐるみの枕を抱きしめながら呟く。
どうやってチョコを渡せば良いのかわからないので、今は検索をかけている。
「……」
まず調べて出てきたのが、机の上に置いて渡す間接法。
それと、手渡しする直接法だった。
さらにそこには
『想いを伝えたいなら、直接手渡しする方が良い』
と記述されていた。
「…なら、明日が本番ね」
絆創膏だらけの両手を見た後、猫の枕にボフンッと顔を埋めた。
ディセルベスタ様
お気に入りありがとうございます。
今回短いですが、次回は出来るだけ早く投稿します。
あ、残りのテストも潰れない程度に頑張ってね
作者はもう覚悟できたんで